愛が重いなんて聞いてない

音羽 藍

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紅蓮の烈火の章

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ユリウスは頭を振るい、私の視線を合った瞬間口を震わせて抱きしめた。

「良かった……ほんと良かった無事で。」
「ユリウス、怪我してない?血だらけで」

私は回復させようとしたが、ユリウスは唸る様に違うと言った。

「これは返り血だ、気にしなくていい。」
「え?」

どういう事だ?
返り血?

「誰の?」

ふと、私はその相手が気になった。
ダンジョン中になにかよからぬ事をした人でもいたのだろうか?

「気にしなくていい、これは俺からシアを奪った奴のだから。」
「え?」
「なぁシア、もう戻ろう。家に帰ろう?」
「で、でも帝都近いって。楽しみにしてたでしょ?」
「俺はシアさえいれば良い。ずっと一緒にいてくれれば。それで良いんだ。」

スッと私の背筋を冷たい空気が撫でる様に、深く甘く感じたユリウスの声は危険な匂いがした。
このまま帰ったら、なにか嫌な予感がする。

「ユリウス、ちょっと疲れてるのよ。宿に行ったらゆっくり休みましょ。」

私はユリウスの頭をゆっくり撫でて、彼があの冒険者達を何の躊躇もなく殺害しただろう事もその事を後悔もしていない事も、番を失う事より、相手の命の方が軽い事をわかってはいるから、咎めない。

私だって、もしユリウスを取られるとおもってしまったら相手を殺してしまうかもしれない。

「……約束してくれ。もし……帝都に行っても俺を裏切らないって、絶対だ。」
「ユリウス、どうして?あなたは私の番でしょ。裏切るなんてあり得ないわ。」
「約束してくれれば良いんだ。」
「わかった、約束するわ。」
「……君から少し他人の匂いがするんだが、浮気はしてないよな?」
「してないから!他人とは会って泊まらせてくれたけど。」
「ッ……シア」

私のフードを外して、首筋を舐めていき、だめだと私はもじもじと脚をしてしまい、彼が服を脱がせようとしていて、私は外だからともがいていた。

「ここ…外よ!だめっだからっ」

長い事彼としていないので匂いも酩酊感があり、だんだんと意識がうつろになっていく。

「本当に、この身体を触らせてはいない?」

彼の疑う声に私はぼんやりとした意識の中、婚約者の証を見てあの時はとまるで自白剤を飲んでいる様にスラスラとあった事を言ってしまっていた。

「すごく会いたかった……んっぁ……寂しかった」
「俺も寂しかった。」

私はだめだと思いながら彼が首筋に甘噛みしたり、吸い上げられる感覚に感じて甘い声を上げてしまっていた。

「そいつの事はどう思ったんだ?まさか」
「ううん、なんとも。少し似ていたから、家族みたいな感じ。」
「にていた、どういう事だ?」
「私と同じ銀竜だったの。」
「は?いたのか?」
「王都に来ないかって誘ったけど、考えるって。」

ぺらぺらと私の口は軽く喋り自分でもおかしいとは思うのだけど、止められなかった。

「わかった……すまない。少し匂いに酔ってしまっていて盛ろうとしてしまった。親族の可能性は高いな。」

一般人から銀竜が産まれる事はあり得ない。血族でなければ産まれない。
その事は講師と彼に教わってはいたのもあるけど。
段々とかくんかくんと船を漕いでいた。
うとうとと酩酊感と番がいるという多幸感に包まれていた。

「シア、眠っていいよ。俺が運んでおくから。」

愛してるユリウスの優しい声を聞きながら、意識は暗闇の中に落ちていった。


―――――――――――――――


がやがやとした喧騒に目が覚めて、目を開けると大都市の姿が見えた。

「シア、起きちゃった?まだ寝てていいよ。」
「もう大丈夫、ここって帝都?」

建物は灰色の石材の壁に赤い屋根。
私はユリウスにおんぶされていたようだった。

「あぁ、着いたよ。昼食を取ろうか。」

おろしてもらい、ユリウスの腕を掴み隣を歩いた。
店の呼び込み声がしたり、大通りの中央を行き交う馬車など人々の声や音。

屋台の美味しそう匂いがする肉を挟んだパンを買って食べ歩いたり、果実水を買って飲んだりして楽しんでいた。

これも美味しそうと二人で、たわいのないことで笑い合っているととても幸福だと私達は肩を寄せ合い歩いた。


竜王国は主に竜人族が多くその次に人族やその他種族がいたが、帝都は偏りがない様々な種族が行き交い、見ているだけでも楽しいと言える。

出店を見ていると、綺麗な装丁の本を見かけてそちらのほうへユリウスを掴んでいた手を外した。

チラッと値段を見るとかなりの高額であり、他の本も竜王国の本の値段と掛け離れている。
少し内容が気になるけど高額だった為に諦めようとして振り返る。
ユリウスの方へ一歩踏み出した時に、馬車の馬が大きく嘶いて道を外れて小道の方へ走っていく。

「シア…こっちに。」
「ぁ、うん」

私はユリウス元へ戻ろうとしたが、叫び声や避ける群衆ので私は手を伸ばしたがどうしても届かない。

「なぁ、あんたの剣良いもんじゃないか、俺に売らないか?」

剣帯に下げられている剣の良さに気がついたえんじ色の髪の髭の生えた男性の冒険者にユリウスは絡まれている。
ユリウスはそれより、私の方へ手を伸ばしてくれたが、ガシッとユリウスの肩を掴み、邪魔をした。

「この剣は家に伝わるもので売れない。」

ユリウスはうるさいと冷徹に怒りながら、断った。

「それかなりの逸品だな。鍛冶屋は何処だ?それに素材は?」

しつこく冒険者は周りの群衆など、お構いなしに質問をしている。
剣呑な雰囲気になるなか、私はユリウスの方へ行こうと人々をかきわけて行こうとしたが、雑踏に呑まれ込み、押されて離れてしまった。

「ユリウス!」
「すまない、伝わる秘伝の物で教える事もできない。」

その声を最後に私はかなり距離があき、決闘が始まると市民達はテンション上がり押し寄せた。

腕輪の簡易連絡で私はこっちは無事で待ってると内容を送った。



やっと人混みから落ち着いた街角で、コツンと靴に当たるなにかを感じて見てみると指輪があった。
指輪は宝石がつきかなり値段がありそうな品だと思い、通りがかった見回りをしていた衛兵を見つけて訳を話す。

「そうですか……詳しく聞きたいので詰所でお伺いしますね。」

連れられてと広場にある詰所で、指輪が落ちていた場所を話した。

「それなら、確か探されている人が……」
「見つかった!?」

扉を開け放ち見るからに、何故か良い品質の物を使い、フードを深々と被り、厚化粧の婦人が現れ、衛兵は何故か目を逸らしている。

「あら、あなたが見つけてくれたの?御礼にし……家に招待させて。」

キラキラと瞳が輝きながら招かれたが余り勝手な行動はユリウスにまた怒られそうだし、危険だと即座に考え断った。

「すみません、連れとはぐれてて、待っているので。」
「いやよ、気が収まらない」

嘆いているので、私は考えた結果質問をした。

「おすすめの店があります?今日初めて帝都来たので。」
「あら、じゃ大人気の大人のカップル向けの店があるの。工房でお揃いの物を作ったりできるのよ。」

勝手に行くとユリウス絶対怒るし、待たないとなと考えていた。
婚約指輪に彼女の目線が向いて微笑んだ。

「あら、あなた結婚か婚約しているのね。お相手はどこなの?」
「さっきいっていた待ち人が婚約者ではぐれてしまい待っていたの。」
「そこの銅像前でいると良いわ。この銅像はここしかないから目立つし。そこの一本小道の奥にある店がさっき言っていた店よ。広場からも見える安全な場所だから。」

妖艶に微笑んだ彼女は銅像についている時計を見た。

「時間切れで惜しいわ。また今度ね。お名前を聞いてもいいかしら?」

絶対なにかややこしそうと予測した私は首を振りながら断った。

「また会った時に教えるわ。」
「絶対よ、次会ったら聞きますわ。」

彼女が去り、腕輪のメッセージで子供と母親だろうかの銅像のある広場で待っていると送った。

しばらく経つと複数人の男性達から視線が来て数人が私の前に集まって来ている。
どうしようか。

「ねぇ、そこの姉ちゃん俺らとパブ行かない?美味しい店あるし、案内するよ。」

魔法を使っても大丈夫なのかな。
私は断ろうと口を開いた。
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