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紅蓮の烈火の章
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言葉や考えると抑えきれない感情が出てきそうで、あの時今思えば口を開けば、震えそうで詠唱出来なくて、咄嗟で無詠唱で足止めは出来たけど、ユリウスが来てくれなかったらとゾッとしてきてくれて良かったと目覚める。
頼み綱の竜化は使ったらバレてしまうか、家を破壊してしまうから本当になにもできなかったときだろう。
クラウディアやリディアの追憶はあっても。
目の前でしなければ詰む場面や怒りが込み上げてきたら殺すことはできるとは思うけど。
なるべく避けていたいという甘えた気持ちがあった。
この世界は日本の様に優しくはない。
女の尊厳など簡単に奪われ国違えば奴隷商に売られ未来さえ奪われる残酷で、でもユリウスがいたり竜や魔法がある美しく魅了する世界だ。
今度からは躊躇なくやらなければ。
今回のはさすがに殺すのはやり過ぎるけど。
ふと私は何かをギュッと掴んで寝ていたらしく、焦点が合うとそれがユリウスの服だった事に気がついた。
「おはよう、シア」
「おはよう。ごめんなさい、掴んでて……動けなかったでしょ?身体は大丈夫?」
私はまるで石の様に固まっていた手を震えながら外した。
自分でもここまで怖かったのかと今頃になって気がついた。
手の裏を見てグーパーしているとユリウスが優しく頭や背中を撫でてくれて心の奥底の安心感が増していった。
「俺の事は気にしないで。シアの為なら大丈夫なんでもするしもっと甘えていいから。」
その優しい声にじんわりと涙が溢れてきた。
「少しまだ抱きしめててもいい?」
ユリウスは微笑んでいるのだけが見えてそれからは涙で見えなかった。
抱きついてユリウスの匂いを嗅いで、安心してきた。
「ごめんな……」
ちゅ
ユリウスの優しい声とキスを頭にされ、背中を撫でられているとこわばっていた身体は少しずつ戻っていく。
―――――――――――――――
部屋から出ると、はめごろしの小さな窓から覗くと晴れていそうで家から出た瞬間、村長が奥の部屋から出てきて引き止められる。
「おっと、お客さん達朝食はいかがかね?」
「俺達は旅路を急ぐので。」
冷徹なユリウスの声に、私が無意識のうちに彼の服を掴んでて良かったと安堵した。
旅の序盤でまだこんな事で帰りたくない。
きっと彼は夜離したら全てを薙ぎ払い、滅ぼしてしまいそうだと考えた。
竜人族は番を奪おうとすれば、烈火の如く怒るから。
「では、三人の子達はどうする?」
あの三人の娘は並びユリウスに媚びた目線を送る。
鬼人族のウル
犬人族のマリタ
猫人族のソーニャ
朝起きた時にユリウスが教えてくれた。
マリタとソーニャは村長の秘蔵の棚から媚薬をくすねてそれを入れた酒をユリウスに用意していたのを知ったウルはユリウスに事前に教えていたらしい。
同時にこの村長の家にある客間は一つのみであると言う事。
普通の民家は客間は多くはない。
その事に王族で常識を忘れていたユリウスは、ではシアはどこだと気がついて、あの男の所かと気がついた。
ウルは素行の悪い次男は有名で村人からも敬遠されていると。
「護衛にも良いでしょうし、さぁどうします?一人金貨一枚で良いですよ。」
村長はにやにやと笑い、それとも昨日うちの息子と楽しまれたそちらのお嬢さんを代わりに貰ってもと言いかけユリウスに睨まれてビクっとして口を閉じた。
護衛と言った時に私はウルの方を見ると、ユリウスの方を見てうっとりと赤く頬を染めて見ており、心がツキツキと痛んだ。
「ユリウス、全員いらないの。あのね……誰かの手を取るならば……返す……わ」
嫌だと身体が言うけど、無理矢理震える手でスカーフの下にある婚約者の証を取ろうとしてかちゃかちゃと外そうとした。
「シアだめだ、絶対に外すな。」
私の耳元で言い聞かせる様に言って、耳の端を舐められた後に甘噛みされた。
「……ッん」
痛みと気持ち良さに私は手を顔に当てて隠した。
「全員いらない」
ユリウスは旅路だと言っただろうと断言する。
なにかユリウスと村長は会話しているが、それ以上に嬉しさと束縛してしまった申し訳なさに私は思考が散漫する。
ユリウスに連れられて村を出て、左の道を歩いていく。
「……ユリウス、幻滅した?」
「シア、どうして?」
私はぽろぽろとまるで小さな子供の様に泣いてしまってそれをおかしいなと笑いながら聞いた。
「あのね、ウルさんと仲良さそうだったのに。」
「いや、アレは剣術をできるか、聞かれたから話していたけど、シアに幻滅もしないから。俺は君がまるで女神と同じ様で嬉しく思うだけだよ。」
ギュッと抱きしめられて、私は道の真ん中だけど、ユリウスの肩に顔を埋めた。
最近はしてないので誘う様な匂いもそこそこしててふわふわとする。
「まるで神話の様だった。」
「……え?なんで」
私は不思議に思っていると、こんな逸話があるとユリウスは背中を撫でてくれながら教えくれた。
沢山の世界や女神を創った美しい竜神。
その中で世界の力で竜神の手ではなく偶然生まれた女神。
女神を見染めた竜神はアプローチしたが、女神はもし……あなたが他人の手を取り、その愛を向けた瞬間、この天秤が傾く。私は世から姿を消すでしょうと。
そして、他人を私と私達の子以外、二度と愛せなくなっても良いのなら私の手を取ってと拒んだ女神。
それでも良いと自らを縛り、ひざまつき女神と共に生きた。
「他人より選ぶのはもちろんシアだから。俺は間違わないから。だから泣かないで。」
「…………ありがとう」
「泣くなら、ベッドの上でして。たくさん愛してあげる。」
「それは……嬉しい様な嫌な様な気がする。」
「フッ……アレもそろそろ終わったよな?シアが自ら求めてくるまでしよっか?」
ユリウスは目を細めて優しく私のお腹を撫でられて、私は目を見開いた。
「え?なんで知っているの?」
「大事な番の体調を把握するのは基本だよ。終わると誘う様な甘い匂いに変わるし、以外とそこらへんはまだ知らなかったか?」
月の障りを完全に把握されていて、呆然としていると涙を舐められキスをされている事にようやく気がついて、ハッとすると、ニヤッとユリウスは笑った。
頼み綱の竜化は使ったらバレてしまうか、家を破壊してしまうから本当になにもできなかったときだろう。
クラウディアやリディアの追憶はあっても。
目の前でしなければ詰む場面や怒りが込み上げてきたら殺すことはできるとは思うけど。
なるべく避けていたいという甘えた気持ちがあった。
この世界は日本の様に優しくはない。
女の尊厳など簡単に奪われ国違えば奴隷商に売られ未来さえ奪われる残酷で、でもユリウスがいたり竜や魔法がある美しく魅了する世界だ。
今度からは躊躇なくやらなければ。
今回のはさすがに殺すのはやり過ぎるけど。
ふと私は何かをギュッと掴んで寝ていたらしく、焦点が合うとそれがユリウスの服だった事に気がついた。
「おはよう、シア」
「おはよう。ごめんなさい、掴んでて……動けなかったでしょ?身体は大丈夫?」
私はまるで石の様に固まっていた手を震えながら外した。
自分でもここまで怖かったのかと今頃になって気がついた。
手の裏を見てグーパーしているとユリウスが優しく頭や背中を撫でてくれて心の奥底の安心感が増していった。
「俺の事は気にしないで。シアの為なら大丈夫なんでもするしもっと甘えていいから。」
その優しい声にじんわりと涙が溢れてきた。
「少しまだ抱きしめててもいい?」
ユリウスは微笑んでいるのだけが見えてそれからは涙で見えなかった。
抱きついてユリウスの匂いを嗅いで、安心してきた。
「ごめんな……」
ちゅ
ユリウスの優しい声とキスを頭にされ、背中を撫でられているとこわばっていた身体は少しずつ戻っていく。
―――――――――――――――
部屋から出ると、はめごろしの小さな窓から覗くと晴れていそうで家から出た瞬間、村長が奥の部屋から出てきて引き止められる。
「おっと、お客さん達朝食はいかがかね?」
「俺達は旅路を急ぐので。」
冷徹なユリウスの声に、私が無意識のうちに彼の服を掴んでて良かったと安堵した。
旅の序盤でまだこんな事で帰りたくない。
きっと彼は夜離したら全てを薙ぎ払い、滅ぼしてしまいそうだと考えた。
竜人族は番を奪おうとすれば、烈火の如く怒るから。
「では、三人の子達はどうする?」
あの三人の娘は並びユリウスに媚びた目線を送る。
鬼人族のウル
犬人族のマリタ
猫人族のソーニャ
朝起きた時にユリウスが教えてくれた。
マリタとソーニャは村長の秘蔵の棚から媚薬をくすねてそれを入れた酒をユリウスに用意していたのを知ったウルはユリウスに事前に教えていたらしい。
同時にこの村長の家にある客間は一つのみであると言う事。
普通の民家は客間は多くはない。
その事に王族で常識を忘れていたユリウスは、ではシアはどこだと気がついて、あの男の所かと気がついた。
ウルは素行の悪い次男は有名で村人からも敬遠されていると。
「護衛にも良いでしょうし、さぁどうします?一人金貨一枚で良いですよ。」
村長はにやにやと笑い、それとも昨日うちの息子と楽しまれたそちらのお嬢さんを代わりに貰ってもと言いかけユリウスに睨まれてビクっとして口を閉じた。
護衛と言った時に私はウルの方を見ると、ユリウスの方を見てうっとりと赤く頬を染めて見ており、心がツキツキと痛んだ。
「ユリウス、全員いらないの。あのね……誰かの手を取るならば……返す……わ」
嫌だと身体が言うけど、無理矢理震える手でスカーフの下にある婚約者の証を取ろうとしてかちゃかちゃと外そうとした。
「シアだめだ、絶対に外すな。」
私の耳元で言い聞かせる様に言って、耳の端を舐められた後に甘噛みされた。
「……ッん」
痛みと気持ち良さに私は手を顔に当てて隠した。
「全員いらない」
ユリウスは旅路だと言っただろうと断言する。
なにかユリウスと村長は会話しているが、それ以上に嬉しさと束縛してしまった申し訳なさに私は思考が散漫する。
ユリウスに連れられて村を出て、左の道を歩いていく。
「……ユリウス、幻滅した?」
「シア、どうして?」
私はぽろぽろとまるで小さな子供の様に泣いてしまってそれをおかしいなと笑いながら聞いた。
「あのね、ウルさんと仲良さそうだったのに。」
「いや、アレは剣術をできるか、聞かれたから話していたけど、シアに幻滅もしないから。俺は君がまるで女神と同じ様で嬉しく思うだけだよ。」
ギュッと抱きしめられて、私は道の真ん中だけど、ユリウスの肩に顔を埋めた。
最近はしてないので誘う様な匂いもそこそこしててふわふわとする。
「まるで神話の様だった。」
「……え?なんで」
私は不思議に思っていると、こんな逸話があるとユリウスは背中を撫でてくれながら教えくれた。
沢山の世界や女神を創った美しい竜神。
その中で世界の力で竜神の手ではなく偶然生まれた女神。
女神を見染めた竜神はアプローチしたが、女神はもし……あなたが他人の手を取り、その愛を向けた瞬間、この天秤が傾く。私は世から姿を消すでしょうと。
そして、他人を私と私達の子以外、二度と愛せなくなっても良いのなら私の手を取ってと拒んだ女神。
それでも良いと自らを縛り、ひざまつき女神と共に生きた。
「他人より選ぶのはもちろんシアだから。俺は間違わないから。だから泣かないで。」
「…………ありがとう」
「泣くなら、ベッドの上でして。たくさん愛してあげる。」
「それは……嬉しい様な嫌な様な気がする。」
「フッ……アレもそろそろ終わったよな?シアが自ら求めてくるまでしよっか?」
ユリウスは目を細めて優しく私のお腹を撫でられて、私は目を見開いた。
「え?なんで知っているの?」
「大事な番の体調を把握するのは基本だよ。終わると誘う様な甘い匂いに変わるし、以外とそこらへんはまだ知らなかったか?」
月の障りを完全に把握されていて、呆然としていると涙を舐められキスをされている事にようやく気がついて、ハッとすると、ニヤッとユリウスは笑った。
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