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序章

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小さな村に辿り着き、雑貨屋があったので道端で採取した薬草を売り払う。

「お嬢ちゃんお一人かい?親御さんは?」
「大きい街で待ち合わせしてるんです。大きい街はこの先ですよね?」
「あぁ、この先にあるクィデーツの街あるね。」

狙うは小国郡ルートだ。
山脈超えは独り身で抜けるのはさすがに無謀だし。
小国郡ルートなら商隊や乗り合い馬車があるからまだ安全な方だ。

乗り合い馬車のあるクィデーツの街へとりあえず向かおう。

勿論それにはお金がかかる。

国境超えにもお金かかるし、小国郡を抜けるのもお金がかかる。

つまり、私にはお金が必要。

稼ぐ為にぼちぼちと採取だ。

野宿の時は寝るのはホームの古城内のベッドで寝てる。

ローブと隠し布、これで旅の安全性も強化した。

ゲームの時はフレーバーテキストだったけど、今はありがたい。


忘れ見のローブ
薄い紫色のローブ。着ている者の存在感を弱める。フードを深く被り、そっと村人に話しかけると驚かれる。

忘れ見の隠し布
みた者は記憶にも残らない様な顔だったと思われる隠し布。



村から出て私は途中の林や草原で採取をしながら歩く。

一応、ゲーム時代のお金もあるにはある。


だけど、それは微妙に不安であるし、有限ではあるので稼ぎつつ、足らなくなったら最終的に使うかと考えた。


胡椒の実発見。

林の木のつるをみたらスキル鑑定を使い見たら、胡椒だ。

さすがファンタジー、気候違うけどあるなぁとへらっと笑いながら採取する。

色々、ファンタジーだからか前世の地球とは異なる部分もあるし、魔道具とか魔法神力などたくさんある。

視線を動かし、私は歩き出した。



歩き疲れたとげんなりしているとようやく大きい街がみえてきた。


街へ入る為の関所ではなにか取り引きしているようで入場待ちの様だ。

貴族の馬車は大きい門をすすっと手続きして入っているので権力かと遠い目になる。




並んでいる内にようやく番が来た。

「街に入る目的は?」
 「1日宿泊後に乗り合い馬車に乗る予定です。」

じろりと兵士は私を見た後箱を見せる。

 「問題ありません。税として銅貨3枚こちらへ納めてください。もし予定が変わり、長期滞在者になる時は税理士の方へ来てください。」

私はポケットから箱に貨幣を入れた。

「ふむ、問題ない、楽しい1日を。」
「ええ、ありがとう。」

私は街に入るとたくさんの人々が行き交う久しぶりの光景を見る。


やはり、村とかと比べると段違いに人が多い。


ぼーっとしてしまったと私は慌てて歩き出した。

歩いていると段々、同じ様な街並みなので飽きてきた。
ばふっ

箒で地面をはく主婦の人が風にあおられて洗濯物が私の顔にクリーンヒットした。


「あらごめんなさいね、止め方緩かったみたいで。」
「いえ、大丈夫ですよ、あのなるべく安心なそこそこのおすすめの値段の宿屋ってあります?」
「そこの小さな道を入ると三日月のマークのある宿屋おすすめさね。私の親友の夫婦が経営してて安全だよ。そこが満杯ならちょい高めだけど広場にある三日月のマークの宿屋もおすすめさ。」
「ありがとうございます、助かります。」

私は別れて、歩き出し、小道の三日月のマークのお店に入る。

「いらっしゃい何名?」
「一人、一泊素泊まりでいい。」
「あいよ、これが鍵だ。そうだ今夜は赤月だから鍵は忘れずにかけたほうがいい。」
「あー、わかりました。」

私は奥へと進み、扉を開けて中に入る。勿論扉を閉めた後鍵を閉めた。

ベッドにばふんと倒れると今日の今夜は赤月かと悩んだ。

赤月

番持つ種族には互いを呼応すると言われている。離れていても夢で会ったりするかもしれないと囁かれている。
解放的な精神状態になりやすく、人族で女性の夜道は危険と言われ、魔物も活性化する為屋内推奨されている。赤月の前の現象として燃える様な夕焼けや、下弦の月が見えたらそろそろ来ると言われてる。

定期的に来るので、ゲームではシンフォニア竜王国の王立観測研究所が教えてくれるらしいが、シアは学園卒業後各地を放浪する為に、お助けキャラの精霊が教えてくれる。
シアモード限定ではあるけど。

番ね。


私はそういえば…前の時の赤月の時は病気で寝込んでて記憶ないし、その前はなんかすっごい呼ばれてたなと思い出した。

今回どうしようか。

ホームで寝たらさすがに防げるとは思うけど、そこまでするべきかと悩む。

悩んでいたら私はそのまま疲れてたからから寝てしまった。







「…………ア」


なんだ眠たい。

微睡んでいる私を起こさないでくれ。

「………シア」


さすがにうるさくて目を開ける。
いつものお家ホームだと。
私は玉座に深々と座りもたれかかって寝ていた様だ。

「会いたかった、君と会いたいよ。どこにいるんだ?」
「誰…」

私はぼやーとしてるからか目を擦ると耳元で囁かれる。

「ひどいな、俺の事忘れたの?」
「…ッ」

私は知らない低い魅力的な美声にびっくりしてよりかかっていた椅子から身を起こす。

「ユリウス?」
「当たり。ぁあ、益々君は美しくなって行くね。今どこにいる?」
「今どこだっけ。」
ユリウスは声変わりしたのか。
なんか更に色っぽくて…
渋くてずぐんとキュンとしちゃう声で……
なんだろう。
好み過ぎる。

ぼやっと考えていると眠気が更に深まる。

「ふぁ…ねむ…ユリウスに会えて幸せ」
「………シア俺も会えて…幸せだ」

「どこにいるんだ?向かい」


眠さが増して目が開けられない。
あぁ、夢の中でユリウスに会えて嬉しかった。

消えて行く意識の中モゴモゴと私は言った。

「シンフォニアにこれから向かうよ」
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