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人属編-41

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「お待たせしました。ダンテ様をお連れしました」

カーラがダンテ様を連れて戻ってきた

「ホホホ、お邪魔いたしますぞ」
ダンテ様がニコニコして入ってきた

「・・・ダンテ様!お久しぶりでございます!!」

リゾーレスト伯爵がガタっとソファから立ち上がり45度にお辞儀をする

私たちも、礼をするが「気にせずに、ちょっとお邪魔させていただく」とニコニコして座った

「おや、これは・・・DULCISのお菓子じゃないかい?」

「はい、よければダンテ様もお召し上がりになりますか?」
カーラにお茶を持ってくるように頼んだ

「どれどれ・・・そうそう!これが好きでね~」
手にとってくれたクッキーを何枚も食べてくつろいでいる

継母のぎょろぎょろした目が「よくそんなものを・・」と蔑んでいるのがわかる

「はぁ、おいしい・・・みなさん、お食べになりましたか??」

リゾーレスト伯爵に聞いているが「いや、えっと・・」と濁している

「あぁ、すまぬすまぬ、確か癒の魔石に関してでしたな」
目が穏やかなおじいちゃんだったのに、キラリと仕事をする人の目に代わる

「え、いや・・ダンテ様が・・」
リゾーレスト伯爵が「家族の問題でして・・」とごにょごにょ言いながら汗を拭いている

「マキア様は、転化後に魔力が出始めましてな、癒の魔力だったことを認知しております」

「・・やはり!!」
ほらみろ!そうだろ!!と笑顔になるリゾーレスト伯爵

「しかし、癒の魔力に関しての取引は昨日、王家と直接の専属取引という形となりました」

「な!!」
またプルプルし始めるリゾーレスト伯爵

「なぜですか!?この子の親は私です!!」

「そうそう。それに関してですが、こちらがマキア様の転化時の書類になります」

ダンテ様が取り出したのが、あたしが転化した時に必要だった書類
名前と年齢、所持金が書いてあるやつだ

「転化時の報奨金の受取人は・・・ミション様になっておられますね」
急に話をふられた継母が目をぎょろりとさせている

「名前は書いておりますが、・・・保護者の名前は記載されておりません」
これについての理由は?と尋ねられ継母が言葉に詰まっている

「マキアが!!自分で言ったんですよ!これからは一人で暮らしていくので心配いらないと!!」

リゾーレスト伯爵が横から入ってきた

「・・・さようですか・・」
ダンテ様は書き込みをしている

「いろいろと聞こうと思っていたので、ちょうどいい、今聞きますね。では、当時マキア様の格好が布切れ一枚で転化に来られていたようなのですが・・」

ローアンの報告だろうか

「・・・この子が・・・この子が全部置いていくといったんですわ」
継母が口を開いたかと思えば、目をぎょろぎょろさせて話し始めた

「わ・・わたくしたちはみんな悲しんで止めたんですよ?・・・ならせめてお金だけでもと思ったんですが、当時事業に失敗し、困窮していた私たちを見かねて、報奨金も使ってくださいと・・・その子が言ったんです!」

記憶がないから本当かどうかもわからんけども
まぁ本当ならよくできたいい子だな

「では、保護者無記名で転化を完了した時点でマキア様の保護者はリゾーレスト伯爵家ではなく、転化した獣人地区のものとなります。この場合、地区の領主をしていたジアン様が保護者となっていただきました」

「なっ!!!」

なんで保護者の所に名前をかいていないんだ!!と継母をすごいにらみつけているリゾーレスト伯爵

「い、いや、せっかく再会できましたし・・・、何かの縁です!!私共で再度ひきとろうと・・」

「それにはすでに成人されたマキア様の返答が必要ですが?」

私に確認の顔を向けるがもちろん答えはノーだ

「結構です。すでに獣人地区での生活基盤ができ、結婚もしましたし、人属へ戻ることは今後ありません」

「マキア!!!」

今にでも殴りかかろうとするリゾーレスト伯爵

ダンテ様やジアンがいなかったらきっとフルぼっこで、奴隷扱いだろう

「え~お姉さまぁ~少しでいいからぁ~魔石くれるよねぇ?」

おっと・・・ななめからパンチきたぞ

「・・・そのような個人的な取引は違法となり、処罰の対象となりますがよろしいでしょうか?」ダンテ様が応酬し、唇を尖らせて「いいじゃん、そんくらい」と黙った

メンタル強いな

「すでに、人属からの転化で保護者も変更され、マキア様もリゾーレスト伯爵家を望んでいないことから、戸籍離脱扱いとなります」

「え」


「つまり、他人です」


ップ!!!うける

ぽかんと口を開けているリゾーレスト伯爵がうける!
きっといい金ずるがとか思っていたんだろうけどww

他人ってwww

縁を切りたいって思っていたけど、戸籍離脱か
これならもう家族とはいえないわな

よかった~転化当時はどうなるかと思っていたけど
恵まれたな~獣人地区の人たちのほうがよっぽど家族に近いわ

こぶしを血が出るんじゃないかというくらい握りしめてプルプルとしているリゾーレスト伯爵

どうしようもないね~こうなったら

お金なんてビタ一文やらねーぜ?
やるなら孤児施設へ全額投資するわ

「・・・失礼します!!!」

がばりと立ち上がり、出ていくリゾーレスト伯爵

え?え?って顔でついていく継母

もう~って顔でサナも立ち上がる
見送りとかいらないよね

ようやくかえるか~もう一生会わなくていいや

子供にたかりにくるとか・・・こんな親いる?

まぁすごいお世話になったとか、どうしても仕方がなくてとかならわかるけどさ
あたし捨てられたことに感謝しているんだよ
ないわな~まじで


「あ、お姉さまぁ~」

なんだなんだ
まだ何か用か

「これぇ~お土産ですぅ~召し上がってくださいねぇ~」と小さな紙袋を渡してくる

「・・・ありがとう」
ふふふ~と出て行った

エドガーがじっとりと見つめて立っている
早く帰ってくれ・・・

「・・・マキア」

やめて~何言うの・・気持ち悪い

「俺たち・・そのうまくいかないこともあったけど、君のことは忘れたことはない・・・」

よくいうわな
あたしがひどい環境にいたのに助けてくれなかったでしょ?

「・・君が望むなら、俺・・助けるから、いつでも連絡してほしい」

ぎゅっと手を握ってきた

は・・!?やめてよ
ゾワゾワっと毛が逆立った

じっとりとした手がきつくて離れられない

「それには及びません」

ジアンが無理やり間に入ってきて、ようやく離れることができた

「・・・マキア、獣人でも俺はお前を受け入れられる!」

ジアンの横から顔を出し、必死に訴えてくる

「・・・必要ありません。困ってもいませんし、私は愛する人も家族もみんな獣人属にいます」

目を見ないように、なるべく冷静に答えた
こういうタイプは逆上させてはならない

「というか、あなたはサナの婚約者でしょう?」

「・・っ、それは・・・そうだが」

ふむふむ
ちょっと違うとか思い始めた?

「俺に合うのは、お前だと思うんだ!!」

・・・?

なんっつった
『俺に合う』??

「それ以上なにかお話になるのであれば、正式な文書を送っていただき、正式な場所を設けてください。まぁ断りますが」

ジアンからゴゴゴゴと聞こえてくる
怒ってるぞ怒ってるぞ

「・・・連絡待っているから!」

無理やり退出させられながらも叫んでいる
もはや必死で草

「あなたに会うことは永遠にあり得ません」

その言葉は閉じられた扉の先には届いてなかったけど、ジアンに届けば問題ない


はぁ・・・と振り向けばダンテ様がフフフと笑っている
「いやぁ・・最近の若い者は・・・」

「ダンテ様、申し訳ございません、お手数をおかけして」

ダンテ様はまたソファに座りなおして、DULCISのお菓子に手を付け始めた

「いやいや、多分こうなるんではないかと思っていたのでね」
早めに解決できてよかったよと、お茶をすすりながらいってくれた

「これであきらめてくれたらいいのですが、マキア様の癒の魔力は非常に魅力的なものです。リゾーレスト伯爵だけではなく、他の貴族も絡んでくると厄介ですので、早めに周知させましょう」

「ありがとうございます」ジアンとともにお礼をいった

「それと、先日の昼食会での暴動の犯人だが・・・」
みんな捕まえていたもんね

「・・言いにくいんだが、人属派の過激グループによるものだった。王家が獣人属との交わしている和平条約の撤廃を訴えている」

多分彼らだけでは侵入することは難しいはずだ
誰かしら黒幕がいるはず

それも公爵や侯爵くらいの地位に

例えばシドニー王に何かあった場合に、次に王様になるのは・・ルド王子
でもルド王子はもう結婚をして、時期王となることも決定している

「・・・王位継承権の第2位は誰ですか?」

ダンテ様がはぁとため息をついて「シドニー王の弟のガランテ様になります」と静かに答えた

きっと彼が絡んでいるとうすうすわかっているのだろう

シドニー王は獣人よりだけど、弟のガランテ様はバリバリの人属派なのね

「この話はここまでにしましょう。何かしら進展がありましたら、またご連絡します」

立ち上がりそれでは・・といって出て行った

「大丈夫か?」
ジアンが頭をなでてくれる

「うん・・ごめんね~あんな親で。疲れたでしょう」

「いや、・・・おもしろかったw」
確かに・・途中でふいていたもんね




あ~めんどかった・・・
はやく家にかえりたいな~



今日で人属の滞在終わりだし、ミレイ様とピアノでも弾いてリフレッシュするか
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