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人属編-23

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今日は新作ケーキの発売日!!


ものすっごい行列ができている・・・

オープンの1時間前から行列ができている
もろに平日なんだけど、奥様たちがニコニコして並んでいる

個数制限もあるけど・・・これは早い時間に売り切れになりそうだな~

「すごいわね・・・」
リッタさんも窓の外をみてびっくりしている

「はい・・・かなり予想以上です」

「いえ、僕はわかっていました。食べたときの衝撃はすごかったですから」

ノックスもうずうずしている
食べたいのだろうw

「ノックス・・大丈夫!三つ確保してもらっているからw」

はっ!!!っと振り返られた

「本当ですか!?」
ああ~もうどうしよう・・・って騒いでいる
冷静沈着なノックスが・・悶えているよw

「カフェをしめたらゆっくり食べましょう!」

「うれしいわ~じゃぁ、今日も頑張らないとね!」

「もちろんです!!」

二人とも張り切っている

「ちょっと見てきてもいいですか??」
DULCISは大丈夫かちょっと気になる

「もちろんよ~いってらっしゃい」

カフェの隣だから便利だけど、猫地区店とうさぎ地区店のDULCISもきっとすごいことになっているんだろうな~

行列を眺めながらカフェの入り口からはいろうとすると

「マキア~!」
ん??

「リンク!」
手を振っている

「リンク・・・まさかケーキ??」

「当たり前じゃん!!楽しみにしていたのに~!つかおかえり~~」

「ただいま~ってこの間食べたばっかじゃん」

新婚旅行に行く前にみんなで作って食べたはず
しかも残ったのもも持って帰ったじゃん

「ちっちっちっ!そういうんじゃないんだな~あ!あいた!!」

ちょっと待ってて!!っていって速攻店内に入って注文している

一度には入れず、入場制限をしている
一人2つまでのカットケーキだが、シェフがどんどん仕上げている

「お待たせ~」
ケーキの箱のほかにも大量の商品を抱えている

「DULCISファンとしては見逃せないからね!」と鼻を膨らませている

「買いすぎ~」

「今日は忙しそうだね~旅行の話はまた今度ゆっくり聞かせてよ」

「もちろん~お土産買ってきたから渡すね~」

「やりぃ~じゃぁ、僕早速持って帰って食べてくる~」
そわそわして帰っていった

作ってって言えば作ってあげるのに・・・ちゃんと並んで買うって
リンクのそういうところ好きだな


店に入ってみたが、シェフのバロンも店長のパティも大忙しだ

これは・・・あたしがいたら気を遣うし、邪魔な奴だな

「がんばってくださーい」といってカフェへ戻った
また混雑がはけたあたりにいくか


「どうだった~??」
平和な店内に戻ってきたが、ここが一番いいな

DULCISに流れているせいか、人もまだ少ない

「すごかったですよ。邪魔になりそうだったので帰ってきましたw」

「まぁまぁ!じゃぁ、今全然空いているし、久しぶりにピアノでもどう?」

おお!まじで!?
猫地区のグレゴリー様の館で弾いて以来だ!

「うれしいです!」
すぐにピアノを開けて座る

少し身長も高くなったから、楽譜も見やすいし、足も届きやすいし
手も大きくなったから弾きやすくなった

お客さんが「まぁ、今日は当たりね」と喜んでくれる

会話の邪魔にならないように、目立たないように、
クラシックの静かな流れるような音楽が最適だろう

ここはカフェで私は主役ではない
BGMを流す感じにしないとね

『月光ソナタ』

ちょっと静かめに弾くか・・・

~~~♪

~~~♪

~~~♪

~~~♪

~~~♪

ああ~やっぱりピアノはいいよね~
自分の指だけで思い通りな音楽が作れるってすごい
暇があればずっとピアノを弾いていたな~

夏休みとか、ずっと練習していた
トイレしかたたなくて、ごはん食べ忘れたり

楽譜も高くてなかなか買ってもらえなくて
ピアノの先生がくれるものや、学校の教科書とか
図書館にあるものとかかりたけど

あとはほとんど耳コピして自分で楽譜を起こしていた
買えないなら作ればいいかって

まぁたいてい楽譜を書く前に暗譜しちゃってたけどね
覚えた記念にって、それこそめっちゃ汚い楽譜だったけどw

書きまくったな~
懐かしい



もしまた生まれ変わってもピアノはやりたいな



~~~♪

~~~♪

~~~♪

~~~♪


パチパチパチ~~!!!
お客さんから拍手がきた

BGMなのに

「ありがとうございます!」
にっこり笑ってお辞儀をする





その後はやはり予想通り混雑し、あたふたと注文に追われた
久しぶりの仕事で感覚を取り戻すのが大変

夕方閉店がちかくなるともうお客さんもいなくなったが、
隣のDULCISはまだお客さんが入っていた

バロンが追加追加でどんどんケーキを焼いたおかげで、
なんとか最後のお客さんまで売ることが出来たと喜んでいた

「ゼリーの時には、早めに売り切れてしまって・・・申し訳なくてですね」
その反省を生かし、今回はこれでもかと張り切っていたらしい

「お疲れ様です。まだ当分混雑が続くと思いますが、よろしくお願いいたします」

「大丈夫です!頑張りますよ」
パティもスタッフの人たちも気合十分だ



「リッタさ~ん!ノックス~!食べよ~~!!」
ケーキを取り出して準備をする

「まぁ!じゃぁ、いったん片付けはストップして~」

「コフェア準備しますね!」

「マシュマロもいれて~」

みんなケーキに大はしゃぎだ

「それじゃ、新作ケーキ発売を記念してカンパーイ!」
みんなでケーキを食べる

「ん~~~!!やっぱりおいしいわ~!」

「・・・!!・・・・!!」
ノックスは声にならないらしい

「おいしいですね~特別な感じがしますね」
うん、レシピ通りの味だ

「でも、値段もさほど高くないわよね~」

「はい。DULCISはみんなが買えるお菓子屋さんにしたいんです」

「ふふふ、素敵」

「次に考えているといったケーキもこのような感じのケーキですか?」
もうノックスの皿からケーキが消えている
はっや!

「ううん、こんなしっとりしていないよ。生クリームも使わないし」

想像がつかないようだ
二人とも??て顔をしている

「なんていうんだろう、ケーキとクッキーの中間のような」

「カップケーキのような?」

それともちがうよね~
アップルタルトでしょ
カスタードクリーム使うし・・・

「ん~説明難しいから、今度作ります!」

「ふふふマキアちゃんの作るものはいつも予想外だし、そのほうがわかりやすいかも」

「楽しみにしています」



カランカラン


「マキア」
ドアがあいてジアンが入ってきた

「ジアン様、いらっしゃいませ」

「ジアン様、長旅お疲れさまでした。おかえりなさいませ」

一応ジアン領主だからな
みんなちゃんとしている

あたしなんて最初からこんな感じだったから
なんか聞いているとジアンがえらいんだって改めて実感するわ

「ジアン!ありがとう!」
二人にやるお土産を持ってきてもらった

「ナイスタイミング~」

重たくて朝どう持っていこうか悩んでいたら
ジアンがカフェが終わりそうな時間にもっていってやるって言ってくれて

甘えたんだよね

「何食べてんの?」

「ケーキ!今日発売なんだよ!」

「ああ!言ってたな・・・俺のは?」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

やっべ
たべちゃったよ
あたしの残ってんのでいいかなw

「・・はい、あーん?」
フォークでさして一口サイズにして食べさせてあげる

「・・・」
なにやら顔が赤いですな

「まぁ!結婚式の時のようね~」
リッタさんがちゃちゃをいれてくる

おやおや・・首まで真っ赤になったぞ
ウブなところもあるんですな~ふふふ

ぱくりと食べて、もぐもぐしている

「・・・うまい」
公開処刑のようだわなw



「リッタさん!ノックス!お土産お土産~」
大きな袋を二人に渡す

「え!こんなに!?」
びっくりしているが、これでも足りないくらいだ

二人にはお世話になりっぱなしなのに

「こっちが猫地区のスパイスに~・・こっちがステンドグラスのランプです」
「あとこれが、うさぎ地区で買った加工された手鏡でしょ~~」
いろいろと出していく

ノックスには上質な皮でできた靴や財布なんかを
いいと思ったものはどんどん買っていたからな

多分今まで働いてためてきたお金初めてこんなに使ったんじゃないかなw
楽しかったw

散財だ

こういう時に使わないでいつ使う
ため込んでいても死ぬときは一瞬

もう身をもってしっているから、どんどん使って経済回さないとね


「こんな・・素敵なものをいただいてもいいんでしょうか」
ノックスは山のようなお土産に恐縮している

「いいのいいの!いつもお世話になっているお礼だから!」

「そんな・・・自分のほうが・・・こんな素晴らしい店で働くことができているのに・・」
感動しているぞ

「旅行とても楽しかったから!お裾分けだよ~」




それからああだった、こうだったとジアンと一緒に旅行の話をした

「まぁ、それで?そこのマールム農園と契約をしてきたの?」

「はい!今度の新作ケーキはそちらの農園からとりよせたマールムになります!」
おいしかったしね

こっちの八百屋さんで契約してもいいけど、
店舗がどんどん増えていく中大量に使うマールムに対応できるかも心配だし

一気に農園で契約したほうが、品切れもなくなるし、流通も安定しそうかな

「その農園知ってますよ」
ノックスが有名だと教えてくれた

「うさぎ地区って土地が様々なんです。その土地に合わせた作物をうまく植えないと育ちが悪くて」

へーそうなんだ
でも、行ったときどれも生き生きしていたよね??

「そのドラガスさんがいろいろと試して、どこの土地にはどれがいいのかとか
、農薬を使うとどうなるかとか、何年もかけて調べ上げたそうです」

すごい・・・ドラガスそんな人だったの?
ムキムキマッチョだと思っていたら、意外に頭脳派

「我が家はホフカしかしておりませんが、ホフカを収穫し終わった後はそのまま次の苗つけまで放置していますが、ドラガスさんはその間に違う食物を植えているんです」

おお~なんかそういうのあったよね
使わない間もったいないから、違うものを育てるってやつ

「何を植えた後には何がいいとか、土の状態もちゃんと調べたようで、他の農家も参考にしているんですよ」

すごい・・何年もかけて調べた自分の情報を惜しみなくほかの人にも教えるの?


「すごいね」

「ああ、できた人だな」
ジアンも感心している

「うさぎ地区は一番農作に不向きといわれていたんですが、今では一番の収穫量を出しているはずです」

そこまで!
自分だけの利益のためではなく、うさぎ地区や獣人地区全体のことを考えて動くって

すごいことだ

「シェイクがすすめてくれた理由がわかったな」

「うん、すごい人だったんだね」

おいしいだけじゃなくて、人もできた人
出会いは一期一会だ

「彼に聞いて、これから作る商品に使う果物はどこがいいかアドバイスもらおうかな」

「それがいいな。適役だろう」


凄い人がいたもんだな





帰り道、ジアンに話してみる

「ドラガスさんのところ、機械での収穫はしていないって言ったじゃない?」

「ああ、みんな一つ一つ手作業だって言っていたな」

「もし、孤児施設が改善されたら、そこで働かせてもらう場所の一つにならないかな」

「・・・そうだな。確かに、技術も学べるし、ドラガスさんなら安心だろう」

よかった・・・

「でも」

「うん?」

「まだ何も決まっていない。始まってもいない。これからだ」

ああ~確かに

「わかってる」

「来月人属へ行った後になると思うが、三者協議を行う予定になったから、それまではおとなしくしているんだ」

「・・うん」

こうしている間にもあの子たちはおなかをすかせているんじゃないかと心配になる

「大丈夫だ、決定するまで一時的だが一部予算を回すように各領主間で決まったから、
十分な食事はとれているはずだ」

ジアンを見上げるとにっこりと笑って「やるにはちゃんとやるぜ」といってくれた

も~・・そういうところ好きだ
「ありがとう!!大好き!ジアン!」




どう解決するかわからないけど、きっとジアン達ならいい方向へもっていってくれるはずだ
できる限り手伝えるようにしよう
あたしもやれることは全部やるんだ


まずは・・人属へのパーティの準備もしないとだな
はぁちょっと前より行く気半減だけど

領主のパートナーとして隣に立ってお祝いしないとだしね


がんばるか
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