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温故知新で今に立つ 前編
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私は二回も迷宮喫茶に迷い込んだものの、さすがに何度もあるのかないのかわからない喫茶店に入ってしまったと言っても誰も信用してくれないからと、なんとはなしに大阪の都市伝説をスマホで検索してみた。
出てくる出てくる、大阪の都市伝説。そのほとんどは、梅田の地下街だった。
【拡張型ダンジョン】【また梅田駅が増えた】【せっかく近道できたのにもう封鎖された】【ラスボスがまた変わった】
「……どれだけ皆、あそこで迷っているんだろう」
私のことはまるっと棚に上げて言ってみる。実際に地元民からも「工事のせいで大概変わるし、この数年は本当に道が変わるから記憶が頼りにならない」と言っているから、相当なもんだろう。
そう思いながらポチポチとしている中、前に多岐川さんも言っていた【赤いコートの女】の話が出てきた。
【2000年代初頭から噂されるようになった都市伝説。赤いコートを着た黒目だけの女が噴水の近くに現れて「あなたでしょ~」と声をかけてくる存在】
「これはネットが広がりはじめたときに、誰かがつくった都市伝説なのかな」
私がそう思いながら晩ご飯にとつくり置きのカレーを温めはじめる。あの店長さんの言葉がふっと頭に閃いた。
『せやせや。この間お客さんが来たときみたいに、道に迷てるでもええし、人生に迷てるとか、岐路に立って途方に暮れてるとか、とにかく迷わん人は入られへんねんよ』
そう店長さんがにこにこしながら言っていたけれど、迷宮喫茶の話は、どれだけ探しても見つからなかったことに、私は首を傾げた。
「迷宮喫茶が一番都市伝説っぽいのに」
カレーの匂いを嗅ぎながら、私はしきりに首を捻っていた。
迷子にならないと辿り着けない店ならば、私はまた行けないかなと、そんなことばかり考えていた。
****
その日は休みで、朝からスーパーに食材の買い出しに行き、せっせと今週分のつくり置きを準備していたところで、スマホが鳴った。
妹の蛍《ほたる》からだった。
「もしもし?」
『お姉ちゃんお願いします! 今日の午後、空いてる!?』
「空いてるって……」
なんかやな予感がするなあと、うっすらと感じている中、蛍が叫ぶ。
『梅田で谷町《たにまち》先生のサイン会があるの! そこで本買ってサインもらってきてくれない!?』
「はあ……」
そりゃ埼玉からだったら、いきなり大阪になんて行けないし、梅田の本屋になんてもっと行けないだろう。
蛍がわんわんと言う。
『谷町先生の新刊なんだよ! ずっと待ってた! 谷町先生の「桜川」シリーズがずっと好きで……!』
「そーう? まあ、本代は後で返してよ、サイン本は送ってあげるから」
『やった! お姉ちゃん大好き!』
そのまま電源は切れた。
蛍の言っていた本屋は、私が普段使っている私鉄の近くだから、まあそこまで迷うこともないだろう。
私はつくり置きを冷蔵庫や冷凍庫に保存し終えると、サイン会の時間をスマホで確認してから、出かけることにした。
****
私鉄で快速急行で十分。
のんびりとしていた場所が、一気にせかせかとした世話しない街並みへと切り替わる。
私の使っている私鉄の手前の本屋は、一階しかフロアがないにも関わらず、新刊から既刊、娯楽本から専門書までかなり幅広く置いてある店舗だ。そのせいか、平日だろうが休日だろうが、いつも人がどのフロアにもいる。
私は蛍の言っていた谷町先生のサイン会はどこだろうなと思っていたら、貼り紙に『午後四時から、谷町とわ先生のサイン会が……』のアナウンスで、すぐにわかった。
とりあえず蛍から聞いていたサイン用の本を買ってから時間を待つ。待っている間、買った本をパラパラ捲って「ふーん」と唸り声を上げた。
前に蛍から見せてもらった『桜川』シリーズは、ほのぼのとした作風だったのに対して、サイン本に使われる本はミステリーものだった。新境地を開拓したいのかなと思いながら、サイン会を待ちつつ、並んでいる子たちを眺める。
蛍みたいな年頃の高校生から大学生までの女の子が多い印象だった。
やがて、サイン会がはじまると、本屋の店員に連れられてきたのは、大人しそうな女の人が出てきた。あの人が谷町とわ先生か。
私も並び、サインの順番を並んでいるときだった。私より四つほど前の子が、「谷町先生!」と大声を上げた。
サイン会で並んでいるお客さんだけでなく、本屋で他の本を買いに来ている人たちまで振り返るような声だった。
「どうして『桜川』シリーズの続巻を書いてくれないんですか!? 私、完全新作より、続巻が読みたかったです!!」
やめ、やめえ……。
私は共感性羞恥で、体温が上がってくるのがわかった。
大人しそうに薄く笑っていた谷町先生の顔も、みるみる強張って来るのが見て取れる。
大丈夫なんだろうか。私はそう思って見守っていたけれど、彼女は再び薄く笑って、絞り出すような声を上げた。
「感想ありがとうございます。出版社にお伝えしておきます」
それ以外に言えることなんて、ないもんなあと、私は思って見守っていた。
でもさっきの子が犬笛になってしまったんだろうか。私の前の子たちも同じようなことを言い出してしまった。
「先生、『桜川』シリーズの新刊が!」
「先生!」
「先生……!!」
私にサインの順番が到着したときには、もう谷町先生は今にも倒れそうなくらいに憔悴してしまっていた。
傍では店員さんもものすごくあわあわして見守っている。
私はどうしたものかと困り果てていたところで、谷町先生はどうにか笑みを浮かべてこちらに顔を上げた。
「今回はサイン会ありがとうございます」
「妹がファンです。妹は谷町先生の新刊を楽しみにしていました」
「まあ……妹さんにどうぞよろしくお伝えくださいませ」
彼女が本にキュッキュとサインを書いて、私に手渡してくれた。私はそれを何度も「ありがとうございます」とお礼を言ってから、家に帰ることにした。
そのまま私鉄に乗って帰ればよかったものの、先程の谷町先生のあまりにも気落ちした顔を見たあと帰るのも後味が悪い気がし、結果としてデパートでなにか買ってから帰ることにした。
蛍に本と一緒に実家に送る、デパ地下スイーツを買い、ついでに私が家で食べるお菓子を買うと、今度こそ家路に着こうとした中。
私の通り過ぎようとした紅茶ショップで見覚えのある人が紅茶を買っているのが見えた。
誰だっけと思って見ていて気が付いた。
ついさっき別れたばかりの、谷町先生だった。
「あのう、谷町先生……ですか?」
「はっ!?」
紅茶を買い終えたばかりの彼女は、挙動不審に体をこちらに向けた。
私をしばらく見て硬直したあと、ものすごい苦笑いを浮かべた。
「あ、ああ……サイン会の方、でしたか……」
「いえ、こちらこそオフでいきなり声をかけてしまってすみません。この辺りの方でしたか?」
「はい……あんまり、私もサイン会とかしないんで、初めてだったんですけど……お見苦しいものをお見せしてすみません……」
「いえ、そんな」
私がぶんぶんと手を振ってみるものの、谷町先生は目の前で気の毒なほどに縮こまってしまっている。
むしろ谷町先生を悪気なくさらし者にしてと、私には思えたけれど。
他の業界はどうだか知らないけれど、仕事って個人の力だけでどうすることもできない。
広告業界に足を突っ込んでいる私ですら思うのだから、作家だって続巻の話は出版社に言え以外に言えることはないだろう。
とりあえず、私は「立ち話も難ですし、お茶でもしませんか?」と言うと、心底困った顔をされてしまった。
「あの……お時間はよろしいんですか? 妹さんのお使いだと伺いましたけど……」
「いえ。妹は関東の子ですから、関東に先生の本は送りますし。私もこれからは家に帰ってご飯食べるだけですから暇ですよ」
「そ、そうですか……」
それに、彼女は気の毒なくらいに憔悴しているのが見て取れた。
こういう話って、ネットに書いたら炎上するし、同業者に言ったら贅沢な悩みだと一蹴されるだろうし、家族に愚痴る場合は、家族がどれだけ理解があるかがわからないし。
第三者を壁だと思って愚痴るほうがいいんじゃないかなと思ったんだ。
でも。デパートの上層部は、休日なだけあって、どこもかしこもお客さんが混み合って、とてもじゃないけれど休憩できそうもなかった。
「すみません……言い出しっぺですのに、こんなに人が多くって」
「い、いえ……休日なんてそんなもんですし……人が少ないとなったら、地下を探したほうがいいですけど、地下は結構込み入ってますもんね」
「込み入って……あ」
そこで店長さんの言葉を思い出した。
『この間お客さんが来たときみたいに、道に迷てるでもええし、人生に迷てるとか、岐路に立って途方に暮れてるとか、とにかく迷わん人は入られへんねんよ』
今、谷町先生は煮詰まっているみたいだし、もしかしたら辿り着けるかもしれない。
「あのう、よかったら地下の喫茶店探しませんか? どこかでゆっくりできる場所があるかもしれません」
「ですけど……休日にそんな都合いい店ってありますかね?」
「あるかもしれませんよ。行きましょう」
「なんだか……ありがとうございます」
谷町先生は、しんみりとした口調で言った。
この人。今ひとりにしたらまずいのでは。さっきの憔悴した顔を思い浮かべて思う。
我ながら余計な世話を焼いているのだから怒られてもしょうがないけれど、彼女自身も自分が今ひとりになったらまずいとわかっているように思える。
なおのこと、店長さんの場所に届けたいと思った。
私たちはエレベーターで地下に降りると、そのままデパートを出て、地下道を歩きはじめた。
辿り着くといいのだけれどと、祈りだけを込めながら。
出てくる出てくる、大阪の都市伝説。そのほとんどは、梅田の地下街だった。
【拡張型ダンジョン】【また梅田駅が増えた】【せっかく近道できたのにもう封鎖された】【ラスボスがまた変わった】
「……どれだけ皆、あそこで迷っているんだろう」
私のことはまるっと棚に上げて言ってみる。実際に地元民からも「工事のせいで大概変わるし、この数年は本当に道が変わるから記憶が頼りにならない」と言っているから、相当なもんだろう。
そう思いながらポチポチとしている中、前に多岐川さんも言っていた【赤いコートの女】の話が出てきた。
【2000年代初頭から噂されるようになった都市伝説。赤いコートを着た黒目だけの女が噴水の近くに現れて「あなたでしょ~」と声をかけてくる存在】
「これはネットが広がりはじめたときに、誰かがつくった都市伝説なのかな」
私がそう思いながら晩ご飯にとつくり置きのカレーを温めはじめる。あの店長さんの言葉がふっと頭に閃いた。
『せやせや。この間お客さんが来たときみたいに、道に迷てるでもええし、人生に迷てるとか、岐路に立って途方に暮れてるとか、とにかく迷わん人は入られへんねんよ』
そう店長さんがにこにこしながら言っていたけれど、迷宮喫茶の話は、どれだけ探しても見つからなかったことに、私は首を傾げた。
「迷宮喫茶が一番都市伝説っぽいのに」
カレーの匂いを嗅ぎながら、私はしきりに首を捻っていた。
迷子にならないと辿り着けない店ならば、私はまた行けないかなと、そんなことばかり考えていた。
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その日は休みで、朝からスーパーに食材の買い出しに行き、せっせと今週分のつくり置きを準備していたところで、スマホが鳴った。
妹の蛍《ほたる》からだった。
「もしもし?」
『お姉ちゃんお願いします! 今日の午後、空いてる!?』
「空いてるって……」
なんかやな予感がするなあと、うっすらと感じている中、蛍が叫ぶ。
『梅田で谷町《たにまち》先生のサイン会があるの! そこで本買ってサインもらってきてくれない!?』
「はあ……」
そりゃ埼玉からだったら、いきなり大阪になんて行けないし、梅田の本屋になんてもっと行けないだろう。
蛍がわんわんと言う。
『谷町先生の新刊なんだよ! ずっと待ってた! 谷町先生の「桜川」シリーズがずっと好きで……!』
「そーう? まあ、本代は後で返してよ、サイン本は送ってあげるから」
『やった! お姉ちゃん大好き!』
そのまま電源は切れた。
蛍の言っていた本屋は、私が普段使っている私鉄の近くだから、まあそこまで迷うこともないだろう。
私はつくり置きを冷蔵庫や冷凍庫に保存し終えると、サイン会の時間をスマホで確認してから、出かけることにした。
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私鉄で快速急行で十分。
のんびりとしていた場所が、一気にせかせかとした世話しない街並みへと切り替わる。
私の使っている私鉄の手前の本屋は、一階しかフロアがないにも関わらず、新刊から既刊、娯楽本から専門書までかなり幅広く置いてある店舗だ。そのせいか、平日だろうが休日だろうが、いつも人がどのフロアにもいる。
私は蛍の言っていた谷町先生のサイン会はどこだろうなと思っていたら、貼り紙に『午後四時から、谷町とわ先生のサイン会が……』のアナウンスで、すぐにわかった。
とりあえず蛍から聞いていたサイン用の本を買ってから時間を待つ。待っている間、買った本をパラパラ捲って「ふーん」と唸り声を上げた。
前に蛍から見せてもらった『桜川』シリーズは、ほのぼのとした作風だったのに対して、サイン本に使われる本はミステリーものだった。新境地を開拓したいのかなと思いながら、サイン会を待ちつつ、並んでいる子たちを眺める。
蛍みたいな年頃の高校生から大学生までの女の子が多い印象だった。
やがて、サイン会がはじまると、本屋の店員に連れられてきたのは、大人しそうな女の人が出てきた。あの人が谷町とわ先生か。
私も並び、サインの順番を並んでいるときだった。私より四つほど前の子が、「谷町先生!」と大声を上げた。
サイン会で並んでいるお客さんだけでなく、本屋で他の本を買いに来ている人たちまで振り返るような声だった。
「どうして『桜川』シリーズの続巻を書いてくれないんですか!? 私、完全新作より、続巻が読みたかったです!!」
やめ、やめえ……。
私は共感性羞恥で、体温が上がってくるのがわかった。
大人しそうに薄く笑っていた谷町先生の顔も、みるみる強張って来るのが見て取れる。
大丈夫なんだろうか。私はそう思って見守っていたけれど、彼女は再び薄く笑って、絞り出すような声を上げた。
「感想ありがとうございます。出版社にお伝えしておきます」
それ以外に言えることなんて、ないもんなあと、私は思って見守っていた。
でもさっきの子が犬笛になってしまったんだろうか。私の前の子たちも同じようなことを言い出してしまった。
「先生、『桜川』シリーズの新刊が!」
「先生!」
「先生……!!」
私にサインの順番が到着したときには、もう谷町先生は今にも倒れそうなくらいに憔悴してしまっていた。
傍では店員さんもものすごくあわあわして見守っている。
私はどうしたものかと困り果てていたところで、谷町先生はどうにか笑みを浮かべてこちらに顔を上げた。
「今回はサイン会ありがとうございます」
「妹がファンです。妹は谷町先生の新刊を楽しみにしていました」
「まあ……妹さんにどうぞよろしくお伝えくださいませ」
彼女が本にキュッキュとサインを書いて、私に手渡してくれた。私はそれを何度も「ありがとうございます」とお礼を言ってから、家に帰ることにした。
そのまま私鉄に乗って帰ればよかったものの、先程の谷町先生のあまりにも気落ちした顔を見たあと帰るのも後味が悪い気がし、結果としてデパートでなにか買ってから帰ることにした。
蛍に本と一緒に実家に送る、デパ地下スイーツを買い、ついでに私が家で食べるお菓子を買うと、今度こそ家路に着こうとした中。
私の通り過ぎようとした紅茶ショップで見覚えのある人が紅茶を買っているのが見えた。
誰だっけと思って見ていて気が付いた。
ついさっき別れたばかりの、谷町先生だった。
「あのう、谷町先生……ですか?」
「はっ!?」
紅茶を買い終えたばかりの彼女は、挙動不審に体をこちらに向けた。
私をしばらく見て硬直したあと、ものすごい苦笑いを浮かべた。
「あ、ああ……サイン会の方、でしたか……」
「いえ、こちらこそオフでいきなり声をかけてしまってすみません。この辺りの方でしたか?」
「はい……あんまり、私もサイン会とかしないんで、初めてだったんですけど……お見苦しいものをお見せしてすみません……」
「いえ、そんな」
私がぶんぶんと手を振ってみるものの、谷町先生は目の前で気の毒なほどに縮こまってしまっている。
むしろ谷町先生を悪気なくさらし者にしてと、私には思えたけれど。
他の業界はどうだか知らないけれど、仕事って個人の力だけでどうすることもできない。
広告業界に足を突っ込んでいる私ですら思うのだから、作家だって続巻の話は出版社に言え以外に言えることはないだろう。
とりあえず、私は「立ち話も難ですし、お茶でもしませんか?」と言うと、心底困った顔をされてしまった。
「あの……お時間はよろしいんですか? 妹さんのお使いだと伺いましたけど……」
「いえ。妹は関東の子ですから、関東に先生の本は送りますし。私もこれからは家に帰ってご飯食べるだけですから暇ですよ」
「そ、そうですか……」
それに、彼女は気の毒なくらいに憔悴しているのが見て取れた。
こういう話って、ネットに書いたら炎上するし、同業者に言ったら贅沢な悩みだと一蹴されるだろうし、家族に愚痴る場合は、家族がどれだけ理解があるかがわからないし。
第三者を壁だと思って愚痴るほうがいいんじゃないかなと思ったんだ。
でも。デパートの上層部は、休日なだけあって、どこもかしこもお客さんが混み合って、とてもじゃないけれど休憩できそうもなかった。
「すみません……言い出しっぺですのに、こんなに人が多くって」
「い、いえ……休日なんてそんなもんですし……人が少ないとなったら、地下を探したほうがいいですけど、地下は結構込み入ってますもんね」
「込み入って……あ」
そこで店長さんの言葉を思い出した。
『この間お客さんが来たときみたいに、道に迷てるでもええし、人生に迷てるとか、岐路に立って途方に暮れてるとか、とにかく迷わん人は入られへんねんよ』
今、谷町先生は煮詰まっているみたいだし、もしかしたら辿り着けるかもしれない。
「あのう、よかったら地下の喫茶店探しませんか? どこかでゆっくりできる場所があるかもしれません」
「ですけど……休日にそんな都合いい店ってありますかね?」
「あるかもしれませんよ。行きましょう」
「なんだか……ありがとうございます」
谷町先生は、しんみりとした口調で言った。
この人。今ひとりにしたらまずいのでは。さっきの憔悴した顔を思い浮かべて思う。
我ながら余計な世話を焼いているのだから怒られてもしょうがないけれど、彼女自身も自分が今ひとりになったらまずいとわかっているように思える。
なおのこと、店長さんの場所に届けたいと思った。
私たちはエレベーターで地下に降りると、そのままデパートを出て、地下道を歩きはじめた。
辿り着くといいのだけれどと、祈りだけを込めながら。
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