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指切り
六
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再び吉原の大門をくぐった先。
相変わらず物見遊山に来た人々で賑わっている一方、女郎の数がいささか少ない。それらを見ながら、史郎はひとつ路地を変えた。
吉原にあるのは、なにも遊郭や女郎だけではない。そのほとんどは、彼らを支える人々だ。千のように繕い物を担っている店もあれば、以前に行ったときのように小間物屋や土産屋などが軒を連ね、更に呉服屋や髪結いなど、花魁や芸妓が身を立てた際に使う店が存在する。その中に、「あった」と史郎は足を止めた。
ツンと鼻に突き刺さるにおいがした。このにおいが駄目な人間の肌はたちまち荒れ、時には血を噴き出したり痒くて痒くて毎晩眠れない日々を送るが、対処さえ間違えなかったら三日三晩で治るものだ……もっとも、三日三晩も眠れなかったら大概は様子がおかしくなってしまうため、完全に三日三晩で治るのは稀だろうが。
「すみません。ちょっと話を聞いてもよろしいですか?」
史郎が声をかけると、途端にそこで細工をしていた者たちの動きが止まって、一斉に振り返った。
ここは人形屋である。本来ならば、五月人形やらひな人形やら、季節物の人形を取り扱う店だが、昨今は指切り用に人形の指を所望する例が多く、ここでも季節物の人形以外に、指切り用の指をつくって売っていたのだ。
「……陰陽師さんがなんの用で?」
「いえいえ。最近女郎屋で呪われたとばかりに、寝込む女子が増えているようでね。祓ってくれないかと相談されたんですよ。ただねえ……呪われたって疑惑のある大店に出かけたんですが、これは呪いではなかったんですよ。ですから、実際のところはどうなのかと思って見に来たんですよ」
職人らしき男は、質素剛健とばかりに、腕にはしっかりと筋肉が乗っているものの、それ以外は身らしき身のない男であった。目はぎょろりと大きい。その男は「ああ……」と苦虫を噛みつぶしたような顔をした。
「つまりは、知ったんですね……」
「一応、吉原の探索がてら、他に指切り用の指を売っている店にも行ってみたんですが、そこでは特に呪われたなんて騒ぎもなくてね。知人に頼んで、どこで買ったものか調べてみたら、ここに辿り着いた訳なんですよ。これ……職人が若過ぎるんじゃないですか?」
「陰陽師さんは、奉行所働きでもしているんで?」
「いやいや。奉行所のように、ご用改めする権限なんて自分にはありゃしませんて。ただ、調査の結果うちの弟子までひどいかぶれ方をしたもんでねえ……そろそろどうにかしないと、江戸中で吉原に呪いが蔓延しているって騒ぎになるんじゃないかと思いまして、ね」
職人は再び苦虫を噛みつぶしたような顔をする。
顔がかぶれ、炎症止めに効くどくだみの葉を周りに処方して周り、そして人形屋で確認した。
鼻に突き刺さるにおい。それは漆であった。
漆は比較的なんにでも使える。器に塗って乾かせば木が水を弾いて立派な食器になるし、壁、床、家具、艶の欲しいものに塗ればどんなものもたちどころに丈夫で長持ちする物に早変わりする。
その反面、この漆は取り扱いが難しい。
まずは必ず完全に乾かさないといけないということ。乾かさなかったら、その漆の効果は発揮することができず、異臭を放つだけになってしまう。
そしてその異臭だが。厄介なことにこれがときどき悪さをして、皮膚を激しく焼いたり、かぶれたり腫れたりを引き起こす。ひどいときには、漆の材料の木の横を通っただけでかぶれを引き起こす。これが漆だと気付かなかったら、突然の湿疹やかぶれは意味がわからず呪いにも見えるだろう。
「漆は悪さをしないようにするには、完全に乾かさないとならねえが……若手の職人はそこ辺り……」
「……ええ、ええ。陰陽師さん。その通りですよ」
職人は吐き出すように言った。
「自分だって人形職人だ。誇りを持って仕事をしている。こんなものを売っちゃならねえ。こんな中途半端なもんを出しちゃならねえってわかっちゃいるんですよ……ですけど……これも商売なんですよ……」
ちらりと史郎は見た。
史郎としゃべっている職人以外には、ざっと見積もっても六人。どれもこれも、人形の腕をずっとつくり続けている。今の職人が一番の古株なのだろう。彼のつくった指は、艶やかになるまでしっかりとヤスリがけがしてあるのに対して、若手のものはまだ完全に乾いてもいないのに無理矢理磨いたせいで、においがする上にどことなく歪に固まってしまっている。その歪な指は、ちょうど史郎が椿に頼んでかまどで焼いたものに近い形をしていた。
「これ、少々請負過ぎじゃありませんか?」
「わかってますよ。わかって。ですけどね、他の職人に取られたら、おまんまの食い上げがですね」
「……納得できないなら、素直に季節人形だけ売ったほうがいい。今お前さんが金と一緒に信頼まで売り払っている。信頼がないとやがて人形の指だけでなく、季節人形だって売れなくなりますよ。そっちのほうが損じゃありませんか?」
職人は肩を落とした。
ただ説教しただけでは、この人形職人たちだっておまんまの食い上げがよろしくないだろう。史郎は懐から、長屋周りで摘んできたどくだみの葉をあげた。
「これは……」
「漆でかぶれたお客さんにあげてください。炎症止めになります……あと、間違っても漆を口に含ませちゃいけませんぜ」
漆を取り扱う際、漆でかぶれないよう、漆を舐めて強くしようとする療法が存在する。しかしそんなことしたら逆に漆に当たる職人が増えるだけなので、史郎からしてみれば「おい止めろ」としか言い様のない療法であった。
何度も何度も職人たちに頭を下げられてから、史郎は依頼人である千の元へと向かっていった。
****
「漆のかぶれだったんですか……」
「ええ。原因は需要に対して供給が追いつかず、完成してない漆塗りの人形の指が蔓延したせいで、かぶれが起こった方々が続出したんですね」
「まさか漆がそんなおそろしいものとは思っていませんでしたが」
「漆は当たる人と当たらない人といますから。自分たちは幸い当たらない人間だったから助かったに過ぎません」
「そう……ですね」
千は物置に寝かされている贔屓客たちのことを思って、目を伏せた。
あまりよろしくない環境にいる人々は、漆に当たる確率がぐんと跳ね上がる。彼女たちが早くよくなるよう、遣り手の隙をかいくぐって炎症止めを持っていってやるので精一杯だろう。
史郎はちらりと千を見る。
「お前さんが漆に当たらなかったのは、単純に運がよかったからだし、お前さんが店を構えてられるのも運がよかったからだ。お前さんの運のよさをいちいち卑下しちゃなんねえよ?」
「……そういう風に見えましたか?」
「うちのお糸さんみたいな目に見えたからなあ……」
史郎はじっと千を見た。
糸にしろ千にしろ、夜鷹は本来は非公認の女郎なため、見つかれば奉行所にしょっ引かれるところだったが、どちらも運よく当たりの旦那を引き当てて、今は大家になったり繕い屋を構えたりできている。
運がよくない者たちはそのまま奉行所にしょっ引かれていったり、どこか岡場所に売り払われてさんざんな目に遭う……それこそ、死んだほうがまだましだという扱いを受ける女だって少なくはない。
だからこそ史郎は訴えた。
「お前さんたちは、なんにも悪かねえよ。惚れた腫れたに指切りなんて約束しないとままならねえ、吉原のしきたりが悪かったんだから、それで運の悪い女たちや旦那がたが現れた。それだけだ」
「……そうだといいんですけれど」
元々、男を縛るために自身の小指を切って落として贈る因習があったが、普通に縁起が悪いと廃止された。それから人形の指を贈るようになったが。
需要と供給が追いつかず、職人たちの腕もままならず、出来損ないの指が出回ってしまったがための悲劇だった。
奉行所に出て訴えるにも訴えにくい話であり、こればかりは人形職人たちと遊郭、女郎屋の需要と供給が追いつくよう祈りながら、運の悪い女たちに向けて炎症止めを贈る以外にはなかったのだ。
千が俯いてしまった中「ところで」と史郎は尋ねる。
「……はい?」
「うちの弟子がなあ。ちょっと今寝込んでて。せめて元気づけてやりたいから菓子を買ってこいとのことなんだが。このあたりでいい店はないかい?」
「そう……ですか。甘露梅はいかがですか?」
「甘露梅なあ……椿が余計なこと言わなきゃいいが」
甘露梅は梅を紫蘇で撒いて砂糖に漬け込んだもので、吉原土産として人気だが。これをつくるのは大概は吉原に住まう女郎たちなため、下世話な妄想が頻繁にされていた。
あの耳年増な娘が、余計なことを考えて拗ね出さないかと気を揉みながら、史郎は糸に「どこの店の甘露梅が人気だい?」と聞くことにした。
相変わらず物見遊山に来た人々で賑わっている一方、女郎の数がいささか少ない。それらを見ながら、史郎はひとつ路地を変えた。
吉原にあるのは、なにも遊郭や女郎だけではない。そのほとんどは、彼らを支える人々だ。千のように繕い物を担っている店もあれば、以前に行ったときのように小間物屋や土産屋などが軒を連ね、更に呉服屋や髪結いなど、花魁や芸妓が身を立てた際に使う店が存在する。その中に、「あった」と史郎は足を止めた。
ツンと鼻に突き刺さるにおいがした。このにおいが駄目な人間の肌はたちまち荒れ、時には血を噴き出したり痒くて痒くて毎晩眠れない日々を送るが、対処さえ間違えなかったら三日三晩で治るものだ……もっとも、三日三晩も眠れなかったら大概は様子がおかしくなってしまうため、完全に三日三晩で治るのは稀だろうが。
「すみません。ちょっと話を聞いてもよろしいですか?」
史郎が声をかけると、途端にそこで細工をしていた者たちの動きが止まって、一斉に振り返った。
ここは人形屋である。本来ならば、五月人形やらひな人形やら、季節物の人形を取り扱う店だが、昨今は指切り用に人形の指を所望する例が多く、ここでも季節物の人形以外に、指切り用の指をつくって売っていたのだ。
「……陰陽師さんがなんの用で?」
「いえいえ。最近女郎屋で呪われたとばかりに、寝込む女子が増えているようでね。祓ってくれないかと相談されたんですよ。ただねえ……呪われたって疑惑のある大店に出かけたんですが、これは呪いではなかったんですよ。ですから、実際のところはどうなのかと思って見に来たんですよ」
職人らしき男は、質素剛健とばかりに、腕にはしっかりと筋肉が乗っているものの、それ以外は身らしき身のない男であった。目はぎょろりと大きい。その男は「ああ……」と苦虫を噛みつぶしたような顔をした。
「つまりは、知ったんですね……」
「一応、吉原の探索がてら、他に指切り用の指を売っている店にも行ってみたんですが、そこでは特に呪われたなんて騒ぎもなくてね。知人に頼んで、どこで買ったものか調べてみたら、ここに辿り着いた訳なんですよ。これ……職人が若過ぎるんじゃないですか?」
「陰陽師さんは、奉行所働きでもしているんで?」
「いやいや。奉行所のように、ご用改めする権限なんて自分にはありゃしませんて。ただ、調査の結果うちの弟子までひどいかぶれ方をしたもんでねえ……そろそろどうにかしないと、江戸中で吉原に呪いが蔓延しているって騒ぎになるんじゃないかと思いまして、ね」
職人は再び苦虫を噛みつぶしたような顔をする。
顔がかぶれ、炎症止めに効くどくだみの葉を周りに処方して周り、そして人形屋で確認した。
鼻に突き刺さるにおい。それは漆であった。
漆は比較的なんにでも使える。器に塗って乾かせば木が水を弾いて立派な食器になるし、壁、床、家具、艶の欲しいものに塗ればどんなものもたちどころに丈夫で長持ちする物に早変わりする。
その反面、この漆は取り扱いが難しい。
まずは必ず完全に乾かさないといけないということ。乾かさなかったら、その漆の効果は発揮することができず、異臭を放つだけになってしまう。
そしてその異臭だが。厄介なことにこれがときどき悪さをして、皮膚を激しく焼いたり、かぶれたり腫れたりを引き起こす。ひどいときには、漆の材料の木の横を通っただけでかぶれを引き起こす。これが漆だと気付かなかったら、突然の湿疹やかぶれは意味がわからず呪いにも見えるだろう。
「漆は悪さをしないようにするには、完全に乾かさないとならねえが……若手の職人はそこ辺り……」
「……ええ、ええ。陰陽師さん。その通りですよ」
職人は吐き出すように言った。
「自分だって人形職人だ。誇りを持って仕事をしている。こんなものを売っちゃならねえ。こんな中途半端なもんを出しちゃならねえってわかっちゃいるんですよ……ですけど……これも商売なんですよ……」
ちらりと史郎は見た。
史郎としゃべっている職人以外には、ざっと見積もっても六人。どれもこれも、人形の腕をずっとつくり続けている。今の職人が一番の古株なのだろう。彼のつくった指は、艶やかになるまでしっかりとヤスリがけがしてあるのに対して、若手のものはまだ完全に乾いてもいないのに無理矢理磨いたせいで、においがする上にどことなく歪に固まってしまっている。その歪な指は、ちょうど史郎が椿に頼んでかまどで焼いたものに近い形をしていた。
「これ、少々請負過ぎじゃありませんか?」
「わかってますよ。わかって。ですけどね、他の職人に取られたら、おまんまの食い上げがですね」
「……納得できないなら、素直に季節人形だけ売ったほうがいい。今お前さんが金と一緒に信頼まで売り払っている。信頼がないとやがて人形の指だけでなく、季節人形だって売れなくなりますよ。そっちのほうが損じゃありませんか?」
職人は肩を落とした。
ただ説教しただけでは、この人形職人たちだっておまんまの食い上げがよろしくないだろう。史郎は懐から、長屋周りで摘んできたどくだみの葉をあげた。
「これは……」
「漆でかぶれたお客さんにあげてください。炎症止めになります……あと、間違っても漆を口に含ませちゃいけませんぜ」
漆を取り扱う際、漆でかぶれないよう、漆を舐めて強くしようとする療法が存在する。しかしそんなことしたら逆に漆に当たる職人が増えるだけなので、史郎からしてみれば「おい止めろ」としか言い様のない療法であった。
何度も何度も職人たちに頭を下げられてから、史郎は依頼人である千の元へと向かっていった。
****
「漆のかぶれだったんですか……」
「ええ。原因は需要に対して供給が追いつかず、完成してない漆塗りの人形の指が蔓延したせいで、かぶれが起こった方々が続出したんですね」
「まさか漆がそんなおそろしいものとは思っていませんでしたが」
「漆は当たる人と当たらない人といますから。自分たちは幸い当たらない人間だったから助かったに過ぎません」
「そう……ですね」
千は物置に寝かされている贔屓客たちのことを思って、目を伏せた。
あまりよろしくない環境にいる人々は、漆に当たる確率がぐんと跳ね上がる。彼女たちが早くよくなるよう、遣り手の隙をかいくぐって炎症止めを持っていってやるので精一杯だろう。
史郎はちらりと千を見る。
「お前さんが漆に当たらなかったのは、単純に運がよかったからだし、お前さんが店を構えてられるのも運がよかったからだ。お前さんの運のよさをいちいち卑下しちゃなんねえよ?」
「……そういう風に見えましたか?」
「うちのお糸さんみたいな目に見えたからなあ……」
史郎はじっと千を見た。
糸にしろ千にしろ、夜鷹は本来は非公認の女郎なため、見つかれば奉行所にしょっ引かれるところだったが、どちらも運よく当たりの旦那を引き当てて、今は大家になったり繕い屋を構えたりできている。
運がよくない者たちはそのまま奉行所にしょっ引かれていったり、どこか岡場所に売り払われてさんざんな目に遭う……それこそ、死んだほうがまだましだという扱いを受ける女だって少なくはない。
だからこそ史郎は訴えた。
「お前さんたちは、なんにも悪かねえよ。惚れた腫れたに指切りなんて約束しないとままならねえ、吉原のしきたりが悪かったんだから、それで運の悪い女たちや旦那がたが現れた。それだけだ」
「……そうだといいんですけれど」
元々、男を縛るために自身の小指を切って落として贈る因習があったが、普通に縁起が悪いと廃止された。それから人形の指を贈るようになったが。
需要と供給が追いつかず、職人たちの腕もままならず、出来損ないの指が出回ってしまったがための悲劇だった。
奉行所に出て訴えるにも訴えにくい話であり、こればかりは人形職人たちと遊郭、女郎屋の需要と供給が追いつくよう祈りながら、運の悪い女たちに向けて炎症止めを贈る以外にはなかったのだ。
千が俯いてしまった中「ところで」と史郎は尋ねる。
「……はい?」
「うちの弟子がなあ。ちょっと今寝込んでて。せめて元気づけてやりたいから菓子を買ってこいとのことなんだが。このあたりでいい店はないかい?」
「そう……ですか。甘露梅はいかがですか?」
「甘露梅なあ……椿が余計なこと言わなきゃいいが」
甘露梅は梅を紫蘇で撒いて砂糖に漬け込んだもので、吉原土産として人気だが。これをつくるのは大概は吉原に住まう女郎たちなため、下世話な妄想が頻繁にされていた。
あの耳年増な娘が、余計なことを考えて拗ね出さないかと気を揉みながら、史郎は糸に「どこの店の甘露梅が人気だい?」と聞くことにした。
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