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エピローグ
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ノイズから抜け出し、気付いたら見慣れた生物室にいた。
小泉は僕が帰ってきたのを見届けてから、ちらっと時計を見る。観測機を使った時間は確認していなかったけれど、こっちでは数分しか経ってないみたいだ。
「終わったのか?」
僕はポツンと言ってみる。
海鳴の背中を押した。押した以上、海鳴は僕を殺す、たったそれだけのためにずっと平行世界を移動し続けて、僕を殺しに来るだろう。……そして、今のボロボロで記憶を改竄されつくした彼女になってしまう。
我ながらとんでもない悪党だ。ひとりやふたり殺している狂人のほうがまだマシだ。海鳴はひとつの世界につき、最低ふたりを殺して、ずっと僕のところまで繰り返し移動し続けていたんだから……。
小泉は「ふう……」と息を吐いた。
「さっきも言ったと思うけれど、恋愛っていうのは生殖本能を刺激するための脳病の一種。脳のエラーなんだ」
「……それ、さっきも言っていたけど、どういう意味だ?」
「人間っていうのは、恋愛って概念の上だったら、どんなに間違っていることだってしてしまう生き物らしい。不倫や略奪愛、二股……歴史で語られる英傑だって、色恋が関わった途端に無茶苦茶になってしまうし、最悪国が滅んでいる例だって少なくない。でも君たちの場合は、巻き込んでいるのは互いだけなんだから、いいんじゃないかと僕は思うよ」
「……それ、最初の世界のお前に煎じて飲ませてやりたい」
あれはどうしようもない奴だった。こっちの小泉も変人ではあるけれど、まだ人の話がわかる奴だけれど、あいつとだけは最初から最後までなんのそりも合わなかった。
海鳴が殺していたのは、あくまで僕と海鳴本人だけだった。そして僕が殺したのは、最初の世界の小泉たったひとりだ。……そこでふと思う。
「観測機を使って、見ていたと思うけれど。結局お前は最初の世界のお前からアクセスされて、平行世界の観測のために、全部仕組んでいたのか?」
あの最後にニヤリと笑った小泉は、果たしてどこまで仕組んでいたのか。僕はふと口にしてみる。小泉はそれには「さあ、どうだろうな」と首を振られてしまった。
……本当に、僕はこいつのことが嫌いだ。思わずむっと思いつつ、「帰る」と荷物を背負った。今日、僕は海鳴に殺されるはずだ。あいつに、まだ僕を殺す気があるんだったら、だけれど。
「小泉は、一度池谷と話をしたほうがいいと思う」
「なんで急に池谷くんの名前が出るんだ?」
「さあ、池谷は小泉のこと、今のところ誤解したまんまだからな」
僕はそうお節介をした。池谷も本当に、ろくでもない奴を好きになったなと気の毒に思うけれど、小泉の言葉をそのまんまで取るんだったら、恋は脳のエラーだ。間違っていようが、倫理的におかしかろうが、してしまったものはもう、どうしようもない。
ここから先は、僕がずっと見ていた夢から大きく外れた世界だ。だからこそ、ここから先のことは、僕自身しか責任を取ることができない。
小泉は顎をしゃくりながら首を捻っているのを無視しながら、僕たちは合宿場をあとにする。
行きのバスでは元気にカラオケを披露していた海鳴だけれど、帰りのバスではまるで借りてきた猫のようにおとなしくなってしまって、池谷にもたれかかって眠ってしまっていた。
バスから降りて、次の部活の話をしてから、そのまま解散する。
こんなにカンカン照りでグラウンドが風でなぶられると目が痛くなるほど砂が飛んでくるっていうのに。蝉の鳴き声はなんの気まぐれか、何回目かの夢と同じく、ちっとも鳴いてはいなかった。
海鳴はどこにいるんだろう。既に池谷と一緒に帰ったんだろうか。それとも、僕と一対一になるのを待って、殺そうとするんだろうか。……またひとりで、泣いてないだろうか。
僕はあの揺れるポニーテールを探して、住宅街へと入っていった。
「海鳴?」
僕の声しか聞こえない。
「海鳴?」
住宅街は、しん。と静まり返って、夏休みにはしゃぐ小学生の甲高い声すら聞こえない。
くっきりとした光と影のコントラストが、余計に僕の胸にさざ波を立ててくれたけれど、探していたポニーテールはすぐに見つかった。
坂を登るための階段に座り込んで、膝を抱えて泣いていたのだ。僕がその隣に座るけれど、海鳴はこちらに顔を上げることがない。
「こんなところにいたんだ……僕を殺しに来るのかと思ったのに」
「……もう、嫌なの」
「うん」
海鳴の声は、前に僕に助けを求めに来たときみたいに、ひどく弱々しかった。
ダガーナイフを振り回したとしても、屋根から簡単に飛び降りて無傷だとしても、スタイルが人よりもぐんとよくって人目を引いたとしても。海鳴はどこまで行っても、普通の女の子だった。
何人も何人も殺してもなお、シリアルキラーになんてなりきれなかったんだ。「好きな人のため」って大義名分がなかったら、人を殺すことなんてできないような、普通の女の子。
海鳴は絞り出すように、僕に言葉をポンポンと投げつけてくる。
「本当は、もう誰も殺したくないの。入江くんのこと、殺したくない」
「うん」
「でもね……今止まったら、わたしはいったい、なんのために迷子になってたんだろうって思っちゃうの。今までしたことが全部無駄だったらどうしようって、そればっかり。……身勝手だなあって、自分でもわかってるよ。でも……」
「うん」
「……疲れた、もう疲れたって、空をかいてもなにも掴めないのって、虚しくって、寂しい。池谷さんみたいに、ただ憧れだけで人を見られたらよかったのになって、そうずっと思ってる」
「……そっか」
池谷は池谷でしんどいだろうよ。あいつが好きなのは、人の恋愛を「脳のエラー」って一蹴するような、知識は人一倍あるくせして、人の気持ちに人一倍鈍感な変人だ。そう思った言葉は引っ込めて、代わりに海鳴に手が伸びていた。
僕はイケメンではない。チビだし、メガネだし、顔だって知り合いに間違えられ過ぎるくらいにありふれ過ぎているくらいに平凡な顔だ。おまけに夏だし、暑いし、汗臭いし。
……そうだ、これは全部、夏のせいにしてしまおう。
気付いたら泣いている海鳴の背中に腕を回して、自分のほうに肩を寄せていた。海鳴は驚いたようにビクンと肩を跳ねさせる。
「……入江くん?」
強張った声は、嫌がっていないと信じたい。
僕は、そっと声を出した。イケメンじゃない僕が言っても、どれだけ響くのかはわからないけれど。
「僕は、君が好きだ。……もう、よそに行って、殺して回るのなんて、止めろよ」
海鳴は驚いたようにもう一度肩を震わせたあと、今度は自分から身を寄せてくる。ふにゅり、と大きな胸が僕の腕に引っ付いたような気がするけれど、そこから必死で意識を離そうとする。
「……わたし、もうやめちゃってもいいのかなあ……身勝手じゃないのかなあ……だって、だって本当に、好きなんだもん」
「身勝手なもんだよ、惚れた腫れたなんて」
僕はそう吐き出す。
そうだ。身勝手なんだ。僕だって、海鳴だって。身勝手に誰かを好きになって、身勝手に誰かの人生を踏み荒らしている。
だからどうした。それがどうした。
……好きに理屈なんてついて、たまるかよ。
「もう、僕を選べばいいんだよ」
イケメンだったらすぐに惚れるだろうに、残念ながら僕は全然そんなんじゃない。海鳴は引くだろうか。そう思って恐々と海鳴を見て、僕は驚いた。
海鳴は、はじめて僕に笑いかけてくれたのだ。……涙をいっぱい溜めた目を垂れさせて、汗ばんで紅潮した頬をさせて。
「……そうだね」
僕たちは、ようやく夏を、終わらせられる。
<了>
小泉は僕が帰ってきたのを見届けてから、ちらっと時計を見る。観測機を使った時間は確認していなかったけれど、こっちでは数分しか経ってないみたいだ。
「終わったのか?」
僕はポツンと言ってみる。
海鳴の背中を押した。押した以上、海鳴は僕を殺す、たったそれだけのためにずっと平行世界を移動し続けて、僕を殺しに来るだろう。……そして、今のボロボロで記憶を改竄されつくした彼女になってしまう。
我ながらとんでもない悪党だ。ひとりやふたり殺している狂人のほうがまだマシだ。海鳴はひとつの世界につき、最低ふたりを殺して、ずっと僕のところまで繰り返し移動し続けていたんだから……。
小泉は「ふう……」と息を吐いた。
「さっきも言ったと思うけれど、恋愛っていうのは生殖本能を刺激するための脳病の一種。脳のエラーなんだ」
「……それ、さっきも言っていたけど、どういう意味だ?」
「人間っていうのは、恋愛って概念の上だったら、どんなに間違っていることだってしてしまう生き物らしい。不倫や略奪愛、二股……歴史で語られる英傑だって、色恋が関わった途端に無茶苦茶になってしまうし、最悪国が滅んでいる例だって少なくない。でも君たちの場合は、巻き込んでいるのは互いだけなんだから、いいんじゃないかと僕は思うよ」
「……それ、最初の世界のお前に煎じて飲ませてやりたい」
あれはどうしようもない奴だった。こっちの小泉も変人ではあるけれど、まだ人の話がわかる奴だけれど、あいつとだけは最初から最後までなんのそりも合わなかった。
海鳴が殺していたのは、あくまで僕と海鳴本人だけだった。そして僕が殺したのは、最初の世界の小泉たったひとりだ。……そこでふと思う。
「観測機を使って、見ていたと思うけれど。結局お前は最初の世界のお前からアクセスされて、平行世界の観測のために、全部仕組んでいたのか?」
あの最後にニヤリと笑った小泉は、果たしてどこまで仕組んでいたのか。僕はふと口にしてみる。小泉はそれには「さあ、どうだろうな」と首を振られてしまった。
……本当に、僕はこいつのことが嫌いだ。思わずむっと思いつつ、「帰る」と荷物を背負った。今日、僕は海鳴に殺されるはずだ。あいつに、まだ僕を殺す気があるんだったら、だけれど。
「小泉は、一度池谷と話をしたほうがいいと思う」
「なんで急に池谷くんの名前が出るんだ?」
「さあ、池谷は小泉のこと、今のところ誤解したまんまだからな」
僕はそうお節介をした。池谷も本当に、ろくでもない奴を好きになったなと気の毒に思うけれど、小泉の言葉をそのまんまで取るんだったら、恋は脳のエラーだ。間違っていようが、倫理的におかしかろうが、してしまったものはもう、どうしようもない。
ここから先は、僕がずっと見ていた夢から大きく外れた世界だ。だからこそ、ここから先のことは、僕自身しか責任を取ることができない。
小泉は顎をしゃくりながら首を捻っているのを無視しながら、僕たちは合宿場をあとにする。
行きのバスでは元気にカラオケを披露していた海鳴だけれど、帰りのバスではまるで借りてきた猫のようにおとなしくなってしまって、池谷にもたれかかって眠ってしまっていた。
バスから降りて、次の部活の話をしてから、そのまま解散する。
こんなにカンカン照りでグラウンドが風でなぶられると目が痛くなるほど砂が飛んでくるっていうのに。蝉の鳴き声はなんの気まぐれか、何回目かの夢と同じく、ちっとも鳴いてはいなかった。
海鳴はどこにいるんだろう。既に池谷と一緒に帰ったんだろうか。それとも、僕と一対一になるのを待って、殺そうとするんだろうか。……またひとりで、泣いてないだろうか。
僕はあの揺れるポニーテールを探して、住宅街へと入っていった。
「海鳴?」
僕の声しか聞こえない。
「海鳴?」
住宅街は、しん。と静まり返って、夏休みにはしゃぐ小学生の甲高い声すら聞こえない。
くっきりとした光と影のコントラストが、余計に僕の胸にさざ波を立ててくれたけれど、探していたポニーテールはすぐに見つかった。
坂を登るための階段に座り込んで、膝を抱えて泣いていたのだ。僕がその隣に座るけれど、海鳴はこちらに顔を上げることがない。
「こんなところにいたんだ……僕を殺しに来るのかと思ったのに」
「……もう、嫌なの」
「うん」
海鳴の声は、前に僕に助けを求めに来たときみたいに、ひどく弱々しかった。
ダガーナイフを振り回したとしても、屋根から簡単に飛び降りて無傷だとしても、スタイルが人よりもぐんとよくって人目を引いたとしても。海鳴はどこまで行っても、普通の女の子だった。
何人も何人も殺してもなお、シリアルキラーになんてなりきれなかったんだ。「好きな人のため」って大義名分がなかったら、人を殺すことなんてできないような、普通の女の子。
海鳴は絞り出すように、僕に言葉をポンポンと投げつけてくる。
「本当は、もう誰も殺したくないの。入江くんのこと、殺したくない」
「うん」
「でもね……今止まったら、わたしはいったい、なんのために迷子になってたんだろうって思っちゃうの。今までしたことが全部無駄だったらどうしようって、そればっかり。……身勝手だなあって、自分でもわかってるよ。でも……」
「うん」
「……疲れた、もう疲れたって、空をかいてもなにも掴めないのって、虚しくって、寂しい。池谷さんみたいに、ただ憧れだけで人を見られたらよかったのになって、そうずっと思ってる」
「……そっか」
池谷は池谷でしんどいだろうよ。あいつが好きなのは、人の恋愛を「脳のエラー」って一蹴するような、知識は人一倍あるくせして、人の気持ちに人一倍鈍感な変人だ。そう思った言葉は引っ込めて、代わりに海鳴に手が伸びていた。
僕はイケメンではない。チビだし、メガネだし、顔だって知り合いに間違えられ過ぎるくらいにありふれ過ぎているくらいに平凡な顔だ。おまけに夏だし、暑いし、汗臭いし。
……そうだ、これは全部、夏のせいにしてしまおう。
気付いたら泣いている海鳴の背中に腕を回して、自分のほうに肩を寄せていた。海鳴は驚いたようにビクンと肩を跳ねさせる。
「……入江くん?」
強張った声は、嫌がっていないと信じたい。
僕は、そっと声を出した。イケメンじゃない僕が言っても、どれだけ響くのかはわからないけれど。
「僕は、君が好きだ。……もう、よそに行って、殺して回るのなんて、止めろよ」
海鳴は驚いたようにもう一度肩を震わせたあと、今度は自分から身を寄せてくる。ふにゅり、と大きな胸が僕の腕に引っ付いたような気がするけれど、そこから必死で意識を離そうとする。
「……わたし、もうやめちゃってもいいのかなあ……身勝手じゃないのかなあ……だって、だって本当に、好きなんだもん」
「身勝手なもんだよ、惚れた腫れたなんて」
僕はそう吐き出す。
そうだ。身勝手なんだ。僕だって、海鳴だって。身勝手に誰かを好きになって、身勝手に誰かの人生を踏み荒らしている。
だからどうした。それがどうした。
……好きに理屈なんてついて、たまるかよ。
「もう、僕を選べばいいんだよ」
イケメンだったらすぐに惚れるだろうに、残念ながら僕は全然そんなんじゃない。海鳴は引くだろうか。そう思って恐々と海鳴を見て、僕は驚いた。
海鳴は、はじめて僕に笑いかけてくれたのだ。……涙をいっぱい溜めた目を垂れさせて、汗ばんで紅潮した頬をさせて。
「……そうだね」
僕たちは、ようやく夏を、終わらせられる。
<了>
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