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偽夫婦、肝試しを行います
6話
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朝になって朝ご飯を出したあと、食堂に来た子たちに説明する。一部の猫の怖い子や匂いが原因で猫に近付いたらまずい子は部屋に入ってもらい、大掃除よろしく寮のあちこちを探す。
意外なことに、朝から舘向さんも出てきて、一緒に探してくれた。
琴吹さんは匂いが原因で申し訳なさそうに部屋に戻る。
「すみません……猫探すのを手伝えなくって……その替わり実家住みの子たちに、黒猫を引き取ってくれる子がいないか、アプリのグループで探してみますね」
「あー、ありがとう。こっちも猫探してくるから」
素子さんは猫たちを入れるケージを買いに、早川さんと一緒にホームセンターに出かけて行ったから、俺たちはわいわいと寮を探す。
昼間は暑くて見つからないんだから、日陰だろうと、今は空き部屋になっている部屋や、空気口を中心に探す。でもなかなか見つからない上に、どんどん日が昇ってきて暑くなってくる。
あの毛並みだったら、余計に日差しの下に出たら暑いだろうに。
俺は台に乗って天井を開けて、その中に首を突っ込んだとき。キラーンと光るものを見つけて、思わず仰け反って台から落ちそうになる。でも、これは昨日も見たものだ。
「猫、見つけたー……!」
俺がどうにか天井に入り込んで、猫を抱えようとするものの、猫は「シャーッ」と鳴いて威嚇し、全然捕まってくれない。でも俺も猫をどうすりゃいいのかわかんないしな。
「誰か、猫が平気で触れる子いるー? 俺だと逃げ回って全然捕まえられない」
「あー、じゃあ私いいですかー?」
舘向さんがマイペースに手を挙げた。肝試しではいつもワンピースだったというのに、今日はTシャツにスラックスと比較的身軽な格好だ。俺が台を降りて舘向さんに譲ると、彼女はするすると天井に入り込むと、いつものパンを千切ったような声をかける。
「さあ、いらっしゃーい。大丈夫大丈夫、怖くないからぁー」
間延びした声を上げる。すると「ミャア」と甘えたな声が聞こえてきた。俺には威嚇しかしなかったのに、これが猫好きと動物音痴の違いか。舘向さんはひょいと天井から顔を出すと、子猫を抱えた手を差し出してきた。
「はい、管理人さん。まずは一匹。あと四匹いるから」
「そ、そんなにいたんだっ!?」
俺が慌てて抱えるものの、抱え方が悪いのか、猫はビローンと伸びる上に嫌がって抵抗してくる。でも逃がす訳にもいかずに「誰かぁー!」と悲鳴を上げたら、手伝ってくれた子たちが来てくれた。
「ああ、無茶苦茶真っ黒! 目は金色だし可愛いー!」
「うちだと猫が怖い子もいるから難しいだろうしねえ……」
俺が抱えると思いっきり抵抗していた猫も、慣れている子たちが抱えると、甘えたようにゴロゴロと言うんだから、猫ってかなり関わる人間を選んでいるんだなと、変に感動してしまう。
そんなこんなで、次々と舘向さんが猫を天井裏から降ろしていく中、「ただいまー」と素子さんと早川さんが帰ってきた。猫がにゃごにゃごと言っているのを見た瞬間、早川さんは目を蕩けさせた。
まさかこの猫たちがさんざん幽霊騒動で周りを怖がらせていたなんて、この光景だけだと察することすらできないだろう。
天井裏から降りてきた舘向さんは、少しだけ埃で顔を真っ黒にさせていた。
「それじゃあ、この子たちどうしましょうか?」
「まずは病院に連れて行って、そのあとに里親探しですかねえ」
素子さんはそれぞれの猫を検分し、「どの子もよくこの季節に生きてられたってくらいに元気いっぱいですね」と微笑んだ。
皆でそれぞれカンパしてもらったお金で、素子さんは舘向さんと一緒に動物病院に出かけたところで、部屋にずっといた琴吹さんがひょっこりと顔を出した。
「あのう、アプリで里親を募集したら、実家住みの子で猫好きの子が何人か立候補してくれたんだけれど。それで里親探しは問題ないでしょうか?」
「おお、もう見つかったんだ。もっと時間かかるかと思ってたけど」
「ついこの間に家にいた子が亡くなったばかりでペットロス症候群になっている子とか、もう一匹猫を飼いたい子とか、結構いますから。でも自分が猫と一緒にいるのはちょっとまずいと思うんで、どうしましょう?」
「んー……琴吹さんの共通の友達いないかな? その子に猫たちを預けられたらいいけど」
「だとしたら、奈乃香ですかねえ……」
そういえば琴吹さんと舘向さんは友達だっけか。でも友達の友達は友達って、今時小学生でも信じないだろうし、大丈夫かな。
俺が「んー……」と顔を引っ掻いていたら、「大丈夫だと思いますよ?」と早川さんが口を挟んできた。
「舘向さん、結構顔が広いですから。ホラーが好きなだけで、それを強制しませんし」
「なるほど?」
だから今まで寮に籠もって夜生活送っていても、寮生から誰も苦情が来なかったのかなと思った。こうして、琴吹さんが当たってくれた里親に、明日にでも舘向さんが引き渡しに行くことになったんだ。
まさか、数日皆を怖がらせていた幽霊騒動が、たった一日でスピード解決するなんて、思いもしなかった。
****
次の日、出かける舘向さんは、頭には大きな帽子に、更に日傘を携え、猫の入った籠を下げた。ワンピースに日除けのカーディガン、サンダルといういで立ちは涼し気だけれど、アスファルトの照り返しが暴力的だから、大丈夫かと心配になる。
「重くない? 持っていこうか?」
聞いてみたら、舘向さんに「大丈夫ですよ」と笑われた。
「久しぶりに炎天下歩きますし、軽いスポーツだと思って出かけてきます。どっちみち後期までに夜生活を治さないといけませんし。この子たちも、いい人に会えるといいんですけどねえ」
マイペースにそう言って「行ってきます」と出かけて行った。
そんなもんかな。
振り返ると朝の玄関の掃除を終え、青陽館の出入り口に水を撒いている素子さんと目が合った。もうもうと立ち込める巻きあがった湯気に、果たして本当に気温を下げてくれているのか疑問だ。朝でこれじゃ、昼にやっても効果はなさそうだ。
「なんだか、この数日の幽霊騒動、解決してみたら拍子抜けでしたねえ。平和なのはいいことですけど」
「そうですねえ。まあ本当になにもなくってよかったじゃないですか。猫もいい飼い主に会えるといいですね」
「まあ、そうなんですけど。あと今回は舘向さんもですが、素子さんが大活躍だったじゃないですか。俺、動物は全然触れないんで、ふたりがいなかったら全然駄目でしたよ」
そう褒めたら、素子さんが八の字眉にして微笑んだ。
普段から自分の意見をはっきりと言う人ではないけれど、ここまであからさまに困った顔をするのは珍しい。
俺、なんか素子さんに悪いことを言ったか?
「ええっと……俺、なんか駄目なこと言ったでしょうか……?」
おずおずと聞くと、素子さんは我に返ったような顔をして、笑みをつくり直す。
「いえ、なんでもないです。ただ、ここにずっといたら、いずれ保健所に連絡をしないといけないかもしれませんでしたから。それを避けられてよかったです」
「あー……そうですね」
「今日のお昼ご飯どうしましょうか。今日もかなり暑いですもんねえ」
そう言って素子さんは空を仰いだ。今日ももうもうと入道雲が立ち込めているから、どこかでゲリラ豪雨が来るかもしれない。
俺は素子さんの下手くそ過ぎる話題転換に乗りながら、夏の定番料理を考える。どれもこれも簡単という割には暑くて、一分一秒でも火の近くから離れたい人間からしてみれば暑くて仕方がないラインナップだ。
少し考えて、「ああ、そうだ」と言った。
「俺が炒飯つくりましょうか。そろそろ高菜の漬物片付けたほうがいいでしょうし」
「ああ。いいですね。お願いして大丈夫ですか?」
「もちろん」
既にふたつの季節を一緒に過ごしてきたけれど、俺は素子さんのことをなにも知らない。それを聞いていいのかどうかも、未だにわからないけれど。
ただ、ここで俺たちの関係に名前を付けてしまったら、別れが惜しくなる気がして、結局はなにも聞けずにいた。
俺たちの関係は、あくまで期間限定のものだから。
意外なことに、朝から舘向さんも出てきて、一緒に探してくれた。
琴吹さんは匂いが原因で申し訳なさそうに部屋に戻る。
「すみません……猫探すのを手伝えなくって……その替わり実家住みの子たちに、黒猫を引き取ってくれる子がいないか、アプリのグループで探してみますね」
「あー、ありがとう。こっちも猫探してくるから」
素子さんは猫たちを入れるケージを買いに、早川さんと一緒にホームセンターに出かけて行ったから、俺たちはわいわいと寮を探す。
昼間は暑くて見つからないんだから、日陰だろうと、今は空き部屋になっている部屋や、空気口を中心に探す。でもなかなか見つからない上に、どんどん日が昇ってきて暑くなってくる。
あの毛並みだったら、余計に日差しの下に出たら暑いだろうに。
俺は台に乗って天井を開けて、その中に首を突っ込んだとき。キラーンと光るものを見つけて、思わず仰け反って台から落ちそうになる。でも、これは昨日も見たものだ。
「猫、見つけたー……!」
俺がどうにか天井に入り込んで、猫を抱えようとするものの、猫は「シャーッ」と鳴いて威嚇し、全然捕まってくれない。でも俺も猫をどうすりゃいいのかわかんないしな。
「誰か、猫が平気で触れる子いるー? 俺だと逃げ回って全然捕まえられない」
「あー、じゃあ私いいですかー?」
舘向さんがマイペースに手を挙げた。肝試しではいつもワンピースだったというのに、今日はTシャツにスラックスと比較的身軽な格好だ。俺が台を降りて舘向さんに譲ると、彼女はするすると天井に入り込むと、いつものパンを千切ったような声をかける。
「さあ、いらっしゃーい。大丈夫大丈夫、怖くないからぁー」
間延びした声を上げる。すると「ミャア」と甘えたな声が聞こえてきた。俺には威嚇しかしなかったのに、これが猫好きと動物音痴の違いか。舘向さんはひょいと天井から顔を出すと、子猫を抱えた手を差し出してきた。
「はい、管理人さん。まずは一匹。あと四匹いるから」
「そ、そんなにいたんだっ!?」
俺が慌てて抱えるものの、抱え方が悪いのか、猫はビローンと伸びる上に嫌がって抵抗してくる。でも逃がす訳にもいかずに「誰かぁー!」と悲鳴を上げたら、手伝ってくれた子たちが来てくれた。
「ああ、無茶苦茶真っ黒! 目は金色だし可愛いー!」
「うちだと猫が怖い子もいるから難しいだろうしねえ……」
俺が抱えると思いっきり抵抗していた猫も、慣れている子たちが抱えると、甘えたようにゴロゴロと言うんだから、猫ってかなり関わる人間を選んでいるんだなと、変に感動してしまう。
そんなこんなで、次々と舘向さんが猫を天井裏から降ろしていく中、「ただいまー」と素子さんと早川さんが帰ってきた。猫がにゃごにゃごと言っているのを見た瞬間、早川さんは目を蕩けさせた。
まさかこの猫たちがさんざん幽霊騒動で周りを怖がらせていたなんて、この光景だけだと察することすらできないだろう。
天井裏から降りてきた舘向さんは、少しだけ埃で顔を真っ黒にさせていた。
「それじゃあ、この子たちどうしましょうか?」
「まずは病院に連れて行って、そのあとに里親探しですかねえ」
素子さんはそれぞれの猫を検分し、「どの子もよくこの季節に生きてられたってくらいに元気いっぱいですね」と微笑んだ。
皆でそれぞれカンパしてもらったお金で、素子さんは舘向さんと一緒に動物病院に出かけたところで、部屋にずっといた琴吹さんがひょっこりと顔を出した。
「あのう、アプリで里親を募集したら、実家住みの子で猫好きの子が何人か立候補してくれたんだけれど。それで里親探しは問題ないでしょうか?」
「おお、もう見つかったんだ。もっと時間かかるかと思ってたけど」
「ついこの間に家にいた子が亡くなったばかりでペットロス症候群になっている子とか、もう一匹猫を飼いたい子とか、結構いますから。でも自分が猫と一緒にいるのはちょっとまずいと思うんで、どうしましょう?」
「んー……琴吹さんの共通の友達いないかな? その子に猫たちを預けられたらいいけど」
「だとしたら、奈乃香ですかねえ……」
そういえば琴吹さんと舘向さんは友達だっけか。でも友達の友達は友達って、今時小学生でも信じないだろうし、大丈夫かな。
俺が「んー……」と顔を引っ掻いていたら、「大丈夫だと思いますよ?」と早川さんが口を挟んできた。
「舘向さん、結構顔が広いですから。ホラーが好きなだけで、それを強制しませんし」
「なるほど?」
だから今まで寮に籠もって夜生活送っていても、寮生から誰も苦情が来なかったのかなと思った。こうして、琴吹さんが当たってくれた里親に、明日にでも舘向さんが引き渡しに行くことになったんだ。
まさか、数日皆を怖がらせていた幽霊騒動が、たった一日でスピード解決するなんて、思いもしなかった。
****
次の日、出かける舘向さんは、頭には大きな帽子に、更に日傘を携え、猫の入った籠を下げた。ワンピースに日除けのカーディガン、サンダルといういで立ちは涼し気だけれど、アスファルトの照り返しが暴力的だから、大丈夫かと心配になる。
「重くない? 持っていこうか?」
聞いてみたら、舘向さんに「大丈夫ですよ」と笑われた。
「久しぶりに炎天下歩きますし、軽いスポーツだと思って出かけてきます。どっちみち後期までに夜生活を治さないといけませんし。この子たちも、いい人に会えるといいんですけどねえ」
マイペースにそう言って「行ってきます」と出かけて行った。
そんなもんかな。
振り返ると朝の玄関の掃除を終え、青陽館の出入り口に水を撒いている素子さんと目が合った。もうもうと立ち込める巻きあがった湯気に、果たして本当に気温を下げてくれているのか疑問だ。朝でこれじゃ、昼にやっても効果はなさそうだ。
「なんだか、この数日の幽霊騒動、解決してみたら拍子抜けでしたねえ。平和なのはいいことですけど」
「そうですねえ。まあ本当になにもなくってよかったじゃないですか。猫もいい飼い主に会えるといいですね」
「まあ、そうなんですけど。あと今回は舘向さんもですが、素子さんが大活躍だったじゃないですか。俺、動物は全然触れないんで、ふたりがいなかったら全然駄目でしたよ」
そう褒めたら、素子さんが八の字眉にして微笑んだ。
普段から自分の意見をはっきりと言う人ではないけれど、ここまであからさまに困った顔をするのは珍しい。
俺、なんか素子さんに悪いことを言ったか?
「ええっと……俺、なんか駄目なこと言ったでしょうか……?」
おずおずと聞くと、素子さんは我に返ったような顔をして、笑みをつくり直す。
「いえ、なんでもないです。ただ、ここにずっといたら、いずれ保健所に連絡をしないといけないかもしれませんでしたから。それを避けられてよかったです」
「あー……そうですね」
「今日のお昼ご飯どうしましょうか。今日もかなり暑いですもんねえ」
そう言って素子さんは空を仰いだ。今日ももうもうと入道雲が立ち込めているから、どこかでゲリラ豪雨が来るかもしれない。
俺は素子さんの下手くそ過ぎる話題転換に乗りながら、夏の定番料理を考える。どれもこれも簡単という割には暑くて、一分一秒でも火の近くから離れたい人間からしてみれば暑くて仕方がないラインナップだ。
少し考えて、「ああ、そうだ」と言った。
「俺が炒飯つくりましょうか。そろそろ高菜の漬物片付けたほうがいいでしょうし」
「ああ。いいですね。お願いして大丈夫ですか?」
「もちろん」
既にふたつの季節を一緒に過ごしてきたけれど、俺は素子さんのことをなにも知らない。それを聞いていいのかどうかも、未だにわからないけれど。
ただ、ここで俺たちの関係に名前を付けてしまったら、別れが惜しくなる気がして、結局はなにも聞けずにいた。
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