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第二章 ノアは絶対死なせない!
第四十九話
しおりを挟む‥‥はぁぁ。マクゴガナル様、怖かったわ。それにしても私も悪かったけど、殿下も殿下よね。あれじゃあ勘違いされてもおかしくないわ。
「どうしたんだい?溜息なんかついて。」
ノアが私を覗き込み、優しく尋ねてくれる。
「ううん。何でもないの。ちょっと疲れたなと思って‥‥。」
「マリアンヌはパーティーに慣れていないからね。今日は早めに帰ろう。それまで頑張るんだよ?」
ノアは私の背中を優しくさすり、私の頬をそっと撫でた。蕩けるような笑顔も向けてくる。
‥‥ノア。あまり勘違いされる様な行動はやめてほしいわ。
ノアは私の顔を覗き込みながらしきりに頬を撫でてくる。ペットと勘違いしてない!?
「ノア、しつこいわよ?勘違いされるからやめてよ。」
ノアをキッと睨んで手を払い除けたが、ノアは何も聞いておらず、「マリアンヌは怒った顔も可愛いね。」と相変わらず笑顔を向けてくる。
「だから、しつこいってばっ!」
ーーその時、周りから殺気を伴う視線を感じたーー
‥‥っ!!何!??
周りを注意深く見渡すと、私を睨みつける令嬢方の多いこと!!
ーー思わず息を飲んだ
ーーー!!!!
もう蛇に睨まれた蛙状態で俯いて固まることしか出来なかった。
‥‥‥マリアンヌ‥‥‥
「‥‥‥マリアンヌ?聞いているかい?」
「えっ?何?」
「僕は生徒会長だから今から壇上で挨拶しないといけないんだ。すぐに戻ってくるから、ここで待っていてくれる?」
!?ノア、行っちゃうの!?
ここで1人は怖いわー!!!
「まっ、待ってノア。1人はちょっと‥‥。」
思わずノアの服の端を引っ張ってしまった。
「‥‥‥っっ!!」
ノアは口に手を当て、顔を赤らめ私を見つめる。
「‥‥‥そんな潤んだ目をして‥‥可愛い過ぎるっ!破壊力が凄まじ‥‥。」
眉間に皺を寄せてそう呟きながら、突然ギューっと抱きしめてきた。
しまった!!
避けられなかった!!
もうどこからどうみても恋人だわ!!
ノアに抱きしめられ、胸の中で周りの反応をぐるぐる考えていると、だんだん血の気が失せていった‥‥。
「さぁ、行ってくるよ。すぐに戻るからね‥‥。」
ノアは名残惜しそうに呆然とする私を残し、壇上へと向かった。
私はもう周りを見る勇気なんてなかった。
何にも悪いことしてないのに‥‥針の筵状態だわ‥‥。
そして、俯いていても聞こえてくる噂話。
「‥‥やっぱり魅了の魔術を使われるのは本当だったのね。ノア様の様子もおかしいわ。」
「卑怯よね。学院の人気を二分する2人に魅了をかけるなんて。私、ノア様のファンクラブに入っているのよ。」
「先生に相談して、退学してもらうべきよ!でないと他の生徒も惑わされるわ!」
「というか、魅了の魔術って禁呪じゃなかった?捕まえてもらうべきよ!!」
「マクゴガナル様もお可哀想だわ。殿下と幼馴染で婚約者候補にもなられているんでしょう?あの子とは格も違いますし、心中お察ししますわ。」
‥‥何コレ?
‥‥私‥‥悪女にナッテナイ?
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