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東京へ
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5月3日、憲法記念日の沖縄の天気は晴天だった。
千鶴が『東京へ行っちゃえ!』と言ってから4日後、麻琴は一人、機上の人となった。
東京へは那覇空港から東京羽田空港間の片道切符しか取れなかった。
那覇空港までの帰りの航空機チケットはいつ取っても良かった。
梨沙と何度も身体の関係もある。今さら、一緒に夜を過ごせないとは言わないだろう。
沖縄那覇空港から東京羽田空港へはおおよそ二時間半。
彼はこの旅行に心を踊らせていた。
「やっと。梨沙に会える。」
胸が熱くなる。この時をどれだけ待っていたか・・・
そう思うと涙さえ零れてくる。彼は那覇発東京行きの一番機。つまり、早朝の便で飛び立った。
午前11時には羽田空港に着ける。
この日、梨沙に会いに行くことは、梨沙本人には絶対に秘密だった。
彼女を驚かせたいというのもあったが彼女の生活感のある部屋をまた、見たいと思ったのだ。
彼女は片付けが上手とは言えなかった。梨沙の部屋に行ってベッド下を覗くとセクシーなミント色の下着の上下が転がっていたこともあったし、部屋も散らかっていた。
ーーそれでも、先輩を、梨沙を愛した。
根路銘の家はとにかく部屋を片付けること、身だしなみを整えること、学業に身を入れることを徹底させられた。
窮屈な家だった。逃げ出そうにも逃げられなかった。早く大学を卒業して自由を手に入れたかった。なんなら、大学は奨学金を借りて、アルバイトをしながら梨沙と生活するのもいい。
彼の家は旧家の家で代々、教員の家柄だった。父親も中学校の英語科の教員だった。母親とは職場結婚で中学社会科の教員だった。
両親は麻琴にも教員になることを望んでいたが、教員という職業も彼には疎ましく、根路銘の家を嫌で嫌で仕方がなかった。
そんなとき、梨沙が現れた。
梨沙は煌めく太陽のような笑顔で、麻琴にどんな嫌なことがあっても。
『なんくるないさ~(何でもないよ、大丈夫。大丈夫。)。』
慰めてくれた。彼は梨沙に甘えた。男の若さの捌け口として彼女自身が使われても。
「大丈夫。大丈夫。なんくるないさ~。」
といって、何度も何度もキスしてくれた。
その優しさで彼は梨沙を愛した。男にとっては、全くの都合のいい女に変耀した。
フェミニスト逹にとっては酷く、頭の痛い話だろうけれど。
飛行して一時間もすると雲の切れ間から雨がパラついてきて、着陸45分前になるとザーザー降りになった。房総半島を迂回して東京都内に入る頃には雨が更に強くなった。
ーー傘を持って来なかったな・・・
麻琴はそんな事を漫然と考えていた。
間もなく、梨沙のいる東京に着く。羽田空港に着いたら彼女の住む池袋までリムジンバスが出ているそうだ。電車より時間がかかるが、乗り継ぎがないため、田舎者の麻琴には都合がいい。
胸が高鳴るが、やはり、その前に空港のコンビニでビニール傘を買わなくてはならないだろう。ローソンがあると聞いている。
女性客室乗務員からシートベルトの着用のアナウンスがあった。一様に乗客達はカチリカチリとベルトを締めた。
今日は朝早い便だったが機内食が出ない事を麻琴は酷く残念に思っていた。
羽田空港の旅客ターミナルに着いたらMacに行こう。地下一階にあると聞いている。
いや、やはり、梨沙に会いに行くのが先だ。
麻琴はポシェットに入れていた半分食べられた残りのスニッカーズを口にした。
千鶴が『東京へ行っちゃえ!』と言ってから4日後、麻琴は一人、機上の人となった。
東京へは那覇空港から東京羽田空港間の片道切符しか取れなかった。
那覇空港までの帰りの航空機チケットはいつ取っても良かった。
梨沙と何度も身体の関係もある。今さら、一緒に夜を過ごせないとは言わないだろう。
沖縄那覇空港から東京羽田空港へはおおよそ二時間半。
彼はこの旅行に心を踊らせていた。
「やっと。梨沙に会える。」
胸が熱くなる。この時をどれだけ待っていたか・・・
そう思うと涙さえ零れてくる。彼は那覇発東京行きの一番機。つまり、早朝の便で飛び立った。
午前11時には羽田空港に着ける。
この日、梨沙に会いに行くことは、梨沙本人には絶対に秘密だった。
彼女を驚かせたいというのもあったが彼女の生活感のある部屋をまた、見たいと思ったのだ。
彼女は片付けが上手とは言えなかった。梨沙の部屋に行ってベッド下を覗くとセクシーなミント色の下着の上下が転がっていたこともあったし、部屋も散らかっていた。
ーーそれでも、先輩を、梨沙を愛した。
根路銘の家はとにかく部屋を片付けること、身だしなみを整えること、学業に身を入れることを徹底させられた。
窮屈な家だった。逃げ出そうにも逃げられなかった。早く大学を卒業して自由を手に入れたかった。なんなら、大学は奨学金を借りて、アルバイトをしながら梨沙と生活するのもいい。
彼の家は旧家の家で代々、教員の家柄だった。父親も中学校の英語科の教員だった。母親とは職場結婚で中学社会科の教員だった。
両親は麻琴にも教員になることを望んでいたが、教員という職業も彼には疎ましく、根路銘の家を嫌で嫌で仕方がなかった。
そんなとき、梨沙が現れた。
梨沙は煌めく太陽のような笑顔で、麻琴にどんな嫌なことがあっても。
『なんくるないさ~(何でもないよ、大丈夫。大丈夫。)。』
慰めてくれた。彼は梨沙に甘えた。男の若さの捌け口として彼女自身が使われても。
「大丈夫。大丈夫。なんくるないさ~。」
といって、何度も何度もキスしてくれた。
その優しさで彼は梨沙を愛した。男にとっては、全くの都合のいい女に変耀した。
フェミニスト逹にとっては酷く、頭の痛い話だろうけれど。
飛行して一時間もすると雲の切れ間から雨がパラついてきて、着陸45分前になるとザーザー降りになった。房総半島を迂回して東京都内に入る頃には雨が更に強くなった。
ーー傘を持って来なかったな・・・
麻琴はそんな事を漫然と考えていた。
間もなく、梨沙のいる東京に着く。羽田空港に着いたら彼女の住む池袋までリムジンバスが出ているそうだ。電車より時間がかかるが、乗り継ぎがないため、田舎者の麻琴には都合がいい。
胸が高鳴るが、やはり、その前に空港のコンビニでビニール傘を買わなくてはならないだろう。ローソンがあると聞いている。
女性客室乗務員からシートベルトの着用のアナウンスがあった。一様に乗客達はカチリカチリとベルトを締めた。
今日は朝早い便だったが機内食が出ない事を麻琴は酷く残念に思っていた。
羽田空港の旅客ターミナルに着いたらMacに行こう。地下一階にあると聞いている。
いや、やはり、梨沙に会いに行くのが先だ。
麻琴はポシェットに入れていた半分食べられた残りのスニッカーズを口にした。
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