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おてんば姫の空飛ぶスカート・2
しおりを挟む「そんなことより、どうすれば飛べるの?」
姫様の質問に、「いえ、わたくしも実際にはいたわけじゃありませんから、よく分からないんですよ。なんでも相性が良ければうまく飛べるらしいのですが」などと、いい加減な返事を返してきた。
「それじゃあ、やっぱり飛べ・・・、きゃあ」
急に姫様の体はひっくり返り、そのまま空へと舞い上がった。
「フランソワ!」母君は驚きのあまり気を失ってふらふらと倒れてしまった。
「お父様、助けて」姫様が叫ぶと、「フランソワ、もっと高く飛んで見せておくれ」などと言って取り合ってくれない。
しかし、ひっくり返ったままでは、頭に血が上ってしまう。
姫様はどうにか頭と足の位置を入れ替えようと必死になった。
でんぐり返りをする要領で体を動かしてみたら、やっと元に戻った。
すると、ようやく宙に浮いているという実感が湧いてきた。
それは、とても楽しいもので、姫様はもう少し高いところへ行ってみたいと思って、上に向けて体を動かしてみた。
すると、意外にもスムーズに体が移動し、結果的に高く飛ぶことができた。
「おお、見事じゃ、フランソワ」父君は、姫様が飛んでいるのをまるで曲芸を見ているように楽しんでいる。
心配性の母君とはえらい違いだ。
「お父様、わたくし何だか楽しくなってきましたわ」
姫様は徐々にコツをつかみ、すっかり自由に動けるようになってしまった。
「商人よ、それをもらおう」
「ははぁ、かしこまりました」
商人はホクホク顔でもみ手をした。
スカート嫌いだったはずの姫様が、その日以来毎日スカートをはいている。
もちろんそれは空飛ぶスカートだ。
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