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クッキー星人・2
しおりを挟むそして、一週間後に人気投票の結果報告がやってきた。
「隊長、今度こそは僕の勘が当たってますよ」
「さあ、どうかな」
僕らは結果が表示される画面をじっと見つめた。
画面に表示されたのは「彗星クッキー」だった。
「わぁ!隊長が好きなやつじゃないですか」
「いやぁ、だけど予想は外れたな」
「絶対、冥王星クッキーだと思ったんだけどなー」
そんなことを言いながらも、実際にはどれが選ばれてもおかしくないとも思っている。
星のエキス入りクッキーはそれぞれが他にはない特別なおいしさを持っているのだから。
ただ、すべての種類を作るのは大変だから、人気投票を行っているだけだ。
僕らは選ばれたクッキーを作るため、再び彗星に行くとエキス抽出機を取り付けた。
今度は前回よりも大量のエキスが必要だ。
大型タンカーにエキスを満タンに詰め込んで、クッキー工場へ運んだ。
工場ではエキスが到着するのを今か今かと待ち構えていた。
エキスが到着すると、すぐさまクッキー作りが始まった。
工場はまたたくまに何とも言えないおいしい香りで満たされ、クッキーを作っている工員たちは、こっそりつまみ食いをしたい衝動に駆られる。
おいしい香りは工場から漏れ出し、辺りは彗星クッキーの香りが漂っている。
すると、クッキー星の人々がワイワイと集まって来て、工場の扉をドンドン叩いた。
「おーい、俺たちにもそのクッキーを食べさせてくれよ!」
クッキー星の人々はクッキーが大好きだ。
だから、新しいクッキーが作られるたびに、同じような騒動が繰り返される。
しかし、新しいクッキーはまずそれを売り出す国に運ばれてしまう。
だから、クッキー星の人がそれを味わえるのは随分先のことになる。
だから、ダメだと分かっていても、クッキー好きの人たちがこうして押し寄せてくる。
そうは言っても、クッキー工場の人たちも自慢のクッキーを食べさせたくてうずうずしている。
そして、結局はこっそりみんなにふるまってしまうのだ。
すると、やっぱり自分たちも食べたくなって、みんなで仲良く彗星クッキーを食べるのだ。
だから、クッキー星の人はみんなしあわせ。
そして、クッキー星の人が作ったクッキーを食べる他の星の人たちも、クッキーを食べればみんなみんなしあわせになるんだ。
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