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メロンクリームソーダの滝・3
しおりを挟む「あれ、メロンクリームソーダの滝は?」
僕が目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。
僕が体を起こすと「和くん、やっと目を覚ましたのね」と母さんが駆け寄って来た。
母さんによると、あの日行方不明になった僕が翌日になって玄関先で気を失って倒れていたということだった。
僕はびしょぬれで、体中から甘い香りが漂っていたそうだ。
そして、僕は一週間もの間眠っていたらしい。
「母さん、僕・・・」
「今は何も言わなくていいのよ。あなたが生きていてくれただけで十分」
母さんは僕の手をギュッと握りしめた。
そう言われても、僕の頭の中はメロンクリームソーダの滝のことでいっぱいだ。
「あ、そうだ、ペンダントはどこ?」
僕は胸元に手をやったけれど、ペンダントはしていない。
「ペンダント?」
母さんは不思議そうに僕の言葉を繰り返した。
「なんでもないよ」
もはやメロンクリームソーダの滝に関する手掛かりはなにも残っていない。
「意識が戻ってよかったですね」
お医者さんがやってきて言った。
看護婦さんが体温と血圧を測ってくれた。
「特に異常がないようですから、もう退院しても大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
母さんがお礼を言っている。
僕はその間、ただぼんやりとされるがままになっていた。
「では、お大事に」と言ってお医者さんと看護婦さんが部屋を出て行こうとした。
その時僕は確かに見たんだ。看護婦さんの胸元に、あの緑色のペンダントが揺れているのを。
「あ、待って」
僕はベッドから飛び降りて看護婦さんに駆け寄った。
「どうしたの?」と言って振り向いた看護婦さんの胸にはもうあのペンダントはなかったんだ。
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