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【最終章 西上作戦】 武田家を滅ぼす策略に抗うべく、信長と家康打倒を決断す
第六十四話 浜松を攻めるか、岡崎を攻めるか
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三方ヶ原合戦で逃げる徳川軍を追撃していた武田四天王の一人・山県昌景。
浜松城の門が全て開いているにも関わらず、一兵たりとも城内に入ることを許さなかった。
「一見すると城内には『避難している民』しかいないようだが……
あれは、真に民なのか?
どうも罠の臭いがする。
こういうときは、本能に従うべきだな。
皆の者!
誰一人、中に入ることは許さん。
全軍退却せよ!
逆らう奴はその場で首を刎ねるぞ!」
と。
山県昌景といえば……
当主の信玄やその後継者の四郎勝頼だけでなく、敵からもその実力を高く評価された武将である。
歴史書でも武将としての評価は非常に高い。
それにも関わらず、歴史書はこんなことまで書いている。
「徳川家康の使った空城の計に……
山県昌景はまんまと引っ掛かり、退却してしまった」
などと。
高い評価をしながら、策略に引っ掛かる間抜けな扱いをする。
昌景は凡人ではない。
むしろ名将の中の名将だ。
戦争の素人が、平和な時代に『エンターテイメント』の一環で書いたのだから仕方ないとは思うが……
凡人の感覚で扱っては山県昌景に対して失礼だろう。
◇
三方ヶ原合戦で勝利した武田軍が、軍議を開いている。
武田信玄と勝頼、武田四天王のうちの3人、山県昌景、内藤昌豊、馬場信春、そして武田一族の重鎮である穴山信君、武田信豊などが出席していた。
「我らは三方ヶ原で大勝し、徳川家康を浜松城へと追い詰めた。
さて……
今後どう動くべきか、意見がある者は?」
信玄である。
穴山信君が先頭を切った。
「この勢いで、浜松城を一気に落とすべきかと」
ほとんどの者たちが頷いているのを見た信君は、質問を畳み掛ける。
「ところで昌景殿。
城の門が全て開いていたのにも関わらず、事もあろうに退却されたとか?
それを見て利敵行為だと騒ぐ兵が大勢おりましてな。
『徳川家康と通じているのでは?』
などと。
違うのならば、何か弁明されては如何?」
皆の視線が昌景に集まったが、当の本人は淡々とこう答えた。
「弁明など必要ない。
罠の臭いがしたから退却しただけだが、それが何か?」
と。
◇
信君に続いて何人かが笑い出す。
「ははは!
てっきり家康と通じていたのかと思ったが、ただ単に策略に引っ掛かっていただけとは!
まさか、昌景殿。
本気で空城の計を恐れて退却されたと?
徳川家康のあの逃げっぷりから見ても、罠を仕掛ける余裕などなかったのでは?」
一瞬、苛立ちを見せた昌景が何か言おうとするのを……
鶴の一声が止めた。
「勝頼、おるか」
「ここに」
「そなたは、どう思う?
考えを申してみよ」
皆の視線が、今度は勝頼へと集まる。
「我らは三方ヶ原で徳川の兵を大勢討ち取りましたが……
肝心の鉄砲隊には逃げられている事実を憂慮すべきかと」
「なぜ逃げられたと分かる?」
「討ち取った敵のほとんどは、重い甲冑を着た兵でした。
鉄砲を撃つのに甲冑など不要でしょう?」
「確かにそうじゃ。
我らは、敵の鉄砲隊をほとんど討ち取れなかったのか」
「鉄砲隊は甲冑を着ていないばかりか、敵が接近すればすぐ逃げ出すもの。
追い付くのは至難の業と思われます」
「鉄砲の弾丸と火薬が豊富にある浜松城を……
昌景隊『だけ』では落とせなかったであろうな」
「父上。
残念ですが……
武田軍全軍で攻めても、浜松城は容易に落とせないでしょう」
「何っ!?
それは真か」
◇
「武田軍全軍で攻めても、浜松城は容易に落とせない」
この勝頼の言葉は……
一同に衝撃をもたらした。
「息子よ。
我らは、徳川の兵を大勢討ち取った。
鉄砲隊のほとんどが無事とはいえ……
まともに戦える兵など半分もいないのでは?」
「その通りかと」
「一方で、我が武田の兵は数百人が殺られた程度じゃ」
「……」
「しかも。
浜松城は、山地でもなく『平地』に築いた城ぞ?」
「その通りです。
難攻不落の地形に恵まれているわけではありません」
「そうならば……
明日、全軍で浜松城に攻め掛かってはどうじゃ?
落とせる可能性は十分にあるはず」
「それがしは、ずっと考えておりました。
徳川家康が浜松城の門を全て開けた真の『理由』を」
「昌景隊だけなら何とかなると思ったからではなく?」
「お考えください。
三方ヶ原合戦は夕刻[夕方のこと]近くに始まり、暗くなる前には決着が付きました。
徳川軍を追撃していた昌景隊が浜松城に付いた頃には辺りは真っ暗となっていたはず」
「……」
「真っ暗で何も『見えない』のに、追撃していたのが昌景隊だけだとどうして分かるのでしょう?」
「ん!?
要するに……
徳川家康は、昌景隊よりもっと大勢の武田軍が城内に突入することを想定した上で全ての門を開けたのか!?」
「そういうことになります」
◇
勝頼の話は、一同に更なる衝撃をもたらした。
「徳川軍でまともに戦える兵は半分もいないはず……
だいたい5千人程度であろう?
我らに突入されては、ひとたまりもないぞ?」
「真に5千人程度ならば、その通りです」
「ん!?
援軍といえば、織田信長が派遣した3千人のみではなかったか?
それも蜘蛛の子を散らすように逃げたのであろう?」
「父上。
昌景殿は、浜松城を見てこう呟いたとか。
『一見すると城内には避難している民しかいないようだが……
あれは、真に民なのか?』
と」
「もしや……
避難している民が、民に『見せかけた』兵であると?」
「鉄砲は戦そのものを変えました。
刀や槍、弓矢と比べて圧倒的に短い時間の鍛錬で済み、非力でも扱える鉄砲の登場で……
老若男女問わず大勢の民を、兵に変えることが可能となっているのです」
「息子よ。
徳川家康は……
浜松に住む民を、鉄砲を扱える兵に変えていたと申すのか?」
「父上。
家康は、行き当りばったりの行動をしているわけではありません。
一貫した『意図』を持って行動していると思われます」
「我らに一矢報いることではなく?」
「もちろん、それもありますが……」
「他にあるのか?」
「2つです。
1つ目は……
圧倒的に不利な状況でも、決して滅ぼされない戦い方をすること」
「なるほど。
徳川軍は兵の数こそ我が武田軍に及ばないが、民の数を合わせれば上回ると考えたのか」
「ご推察の通りです」
「して、2つ目は?」
「2つ目は……
それでも敗北する場合は、織田信長のために武田の兵を一人でも多く殺しておくこと」
「織田信長のために!?」
「室町幕府は日ノ本中の大名へ信長討伐命令を出しました。
既に信長の敵である浅井家、朝倉家、三好家などが兵を挙げ、信長の軍勢を釘付けにしているとか。
徳川軍が我が武田軍に何の損害も与えず壊滅すれば、信長は無傷の武田軍に背後を突かれて『終わり』でしょう?」
「三方ヶ原合戦において3倍近い大軍を相手に鶴翼の陣に布陣し、十字砲火戦法を狙ってきたことも……
浜松に住む民を、全て鉄砲を扱う兵へと変えたことも……
いざとなれば『捨て身』の反撃で、我ら武田の兵を一人でも多く道連れにしようとしていたのか」
「そういう敵に『正面』から攻めれば、夥しい犠牲者が出ます」
「ではどこを攻めれば良いと?」
ここで、もう一人の一族の重鎮・武田信豊が口を挟む。
「叔父上!
いえ、信玄様!
三河国の岡崎城[現在の愛知県岡崎市]を攻めては如何?」
「ん?」
「浜松城は、徳川家康が築いた城。
だから鉄砲を効果的に利用する仕掛けがあるのでしょう?
一方、昔からある岡崎城にその仕掛けはありませんぞ」
何人かの者が信豊に同調した。
「さすが、見事な策でござる!
岡崎城を落とせば……
信長のいる美濃国の岐阜城[現在の岐阜市]は目と鼻の先じゃ!」
「浜松を攻めるか、岡崎を攻めるか。
どちらを攻めるか決断せねばならんのだな?」
信玄がこう呟いた……
まさにその瞬間のことだ。
「父上。
岡崎へ向かってはなりません!
我らの目的をお忘れですか?」
「家康を滅ぼした上で……
盟友を見殺しにした男として、信長の評判を地に堕とすことであろう」
「その通りです。
岡崎へ向かえば、浜松にいる家康を討つ機会は失われますぞ!」
「しかし……
そなたは、浜松城を容易に落とせないと申したではないか」
「浜松城を攻める以外にも、浜松城を落とす方法はあります」
「どんな方法じゃ?」
勝頼は地図のある場所を指した。
「この高天神城を……
全軍で、直ちに落とすことです」
「高天神城!?」
【次話予告 第六十五話 徳川家康の生命線、高天神城】
浜松に住む民を鉄砲を扱う兵へと変えた徳川家康は……
鉄砲の弾丸と火薬の『補給線』を守ることが最も重要と考えていました。
この補給線こそが、家康にとって『生命線』であったのです。
浜松城の門が全て開いているにも関わらず、一兵たりとも城内に入ることを許さなかった。
「一見すると城内には『避難している民』しかいないようだが……
あれは、真に民なのか?
どうも罠の臭いがする。
こういうときは、本能に従うべきだな。
皆の者!
誰一人、中に入ることは許さん。
全軍退却せよ!
逆らう奴はその場で首を刎ねるぞ!」
と。
山県昌景といえば……
当主の信玄やその後継者の四郎勝頼だけでなく、敵からもその実力を高く評価された武将である。
歴史書でも武将としての評価は非常に高い。
それにも関わらず、歴史書はこんなことまで書いている。
「徳川家康の使った空城の計に……
山県昌景はまんまと引っ掛かり、退却してしまった」
などと。
高い評価をしながら、策略に引っ掛かる間抜けな扱いをする。
昌景は凡人ではない。
むしろ名将の中の名将だ。
戦争の素人が、平和な時代に『エンターテイメント』の一環で書いたのだから仕方ないとは思うが……
凡人の感覚で扱っては山県昌景に対して失礼だろう。
◇
三方ヶ原合戦で勝利した武田軍が、軍議を開いている。
武田信玄と勝頼、武田四天王のうちの3人、山県昌景、内藤昌豊、馬場信春、そして武田一族の重鎮である穴山信君、武田信豊などが出席していた。
「我らは三方ヶ原で大勝し、徳川家康を浜松城へと追い詰めた。
さて……
今後どう動くべきか、意見がある者は?」
信玄である。
穴山信君が先頭を切った。
「この勢いで、浜松城を一気に落とすべきかと」
ほとんどの者たちが頷いているのを見た信君は、質問を畳み掛ける。
「ところで昌景殿。
城の門が全て開いていたのにも関わらず、事もあろうに退却されたとか?
それを見て利敵行為だと騒ぐ兵が大勢おりましてな。
『徳川家康と通じているのでは?』
などと。
違うのならば、何か弁明されては如何?」
皆の視線が昌景に集まったが、当の本人は淡々とこう答えた。
「弁明など必要ない。
罠の臭いがしたから退却しただけだが、それが何か?」
と。
◇
信君に続いて何人かが笑い出す。
「ははは!
てっきり家康と通じていたのかと思ったが、ただ単に策略に引っ掛かっていただけとは!
まさか、昌景殿。
本気で空城の計を恐れて退却されたと?
徳川家康のあの逃げっぷりから見ても、罠を仕掛ける余裕などなかったのでは?」
一瞬、苛立ちを見せた昌景が何か言おうとするのを……
鶴の一声が止めた。
「勝頼、おるか」
「ここに」
「そなたは、どう思う?
考えを申してみよ」
皆の視線が、今度は勝頼へと集まる。
「我らは三方ヶ原で徳川の兵を大勢討ち取りましたが……
肝心の鉄砲隊には逃げられている事実を憂慮すべきかと」
「なぜ逃げられたと分かる?」
「討ち取った敵のほとんどは、重い甲冑を着た兵でした。
鉄砲を撃つのに甲冑など不要でしょう?」
「確かにそうじゃ。
我らは、敵の鉄砲隊をほとんど討ち取れなかったのか」
「鉄砲隊は甲冑を着ていないばかりか、敵が接近すればすぐ逃げ出すもの。
追い付くのは至難の業と思われます」
「鉄砲の弾丸と火薬が豊富にある浜松城を……
昌景隊『だけ』では落とせなかったであろうな」
「父上。
残念ですが……
武田軍全軍で攻めても、浜松城は容易に落とせないでしょう」
「何っ!?
それは真か」
◇
「武田軍全軍で攻めても、浜松城は容易に落とせない」
この勝頼の言葉は……
一同に衝撃をもたらした。
「息子よ。
我らは、徳川の兵を大勢討ち取った。
鉄砲隊のほとんどが無事とはいえ……
まともに戦える兵など半分もいないのでは?」
「その通りかと」
「一方で、我が武田の兵は数百人が殺られた程度じゃ」
「……」
「しかも。
浜松城は、山地でもなく『平地』に築いた城ぞ?」
「その通りです。
難攻不落の地形に恵まれているわけではありません」
「そうならば……
明日、全軍で浜松城に攻め掛かってはどうじゃ?
落とせる可能性は十分にあるはず」
「それがしは、ずっと考えておりました。
徳川家康が浜松城の門を全て開けた真の『理由』を」
「昌景隊だけなら何とかなると思ったからではなく?」
「お考えください。
三方ヶ原合戦は夕刻[夕方のこと]近くに始まり、暗くなる前には決着が付きました。
徳川軍を追撃していた昌景隊が浜松城に付いた頃には辺りは真っ暗となっていたはず」
「……」
「真っ暗で何も『見えない』のに、追撃していたのが昌景隊だけだとどうして分かるのでしょう?」
「ん!?
要するに……
徳川家康は、昌景隊よりもっと大勢の武田軍が城内に突入することを想定した上で全ての門を開けたのか!?」
「そういうことになります」
◇
勝頼の話は、一同に更なる衝撃をもたらした。
「徳川軍でまともに戦える兵は半分もいないはず……
だいたい5千人程度であろう?
我らに突入されては、ひとたまりもないぞ?」
「真に5千人程度ならば、その通りです」
「ん!?
援軍といえば、織田信長が派遣した3千人のみではなかったか?
それも蜘蛛の子を散らすように逃げたのであろう?」
「父上。
昌景殿は、浜松城を見てこう呟いたとか。
『一見すると城内には避難している民しかいないようだが……
あれは、真に民なのか?』
と」
「もしや……
避難している民が、民に『見せかけた』兵であると?」
「鉄砲は戦そのものを変えました。
刀や槍、弓矢と比べて圧倒的に短い時間の鍛錬で済み、非力でも扱える鉄砲の登場で……
老若男女問わず大勢の民を、兵に変えることが可能となっているのです」
「息子よ。
徳川家康は……
浜松に住む民を、鉄砲を扱える兵に変えていたと申すのか?」
「父上。
家康は、行き当りばったりの行動をしているわけではありません。
一貫した『意図』を持って行動していると思われます」
「我らに一矢報いることではなく?」
「もちろん、それもありますが……」
「他にあるのか?」
「2つです。
1つ目は……
圧倒的に不利な状況でも、決して滅ぼされない戦い方をすること」
「なるほど。
徳川軍は兵の数こそ我が武田軍に及ばないが、民の数を合わせれば上回ると考えたのか」
「ご推察の通りです」
「して、2つ目は?」
「2つ目は……
それでも敗北する場合は、織田信長のために武田の兵を一人でも多く殺しておくこと」
「織田信長のために!?」
「室町幕府は日ノ本中の大名へ信長討伐命令を出しました。
既に信長の敵である浅井家、朝倉家、三好家などが兵を挙げ、信長の軍勢を釘付けにしているとか。
徳川軍が我が武田軍に何の損害も与えず壊滅すれば、信長は無傷の武田軍に背後を突かれて『終わり』でしょう?」
「三方ヶ原合戦において3倍近い大軍を相手に鶴翼の陣に布陣し、十字砲火戦法を狙ってきたことも……
浜松に住む民を、全て鉄砲を扱う兵へと変えたことも……
いざとなれば『捨て身』の反撃で、我ら武田の兵を一人でも多く道連れにしようとしていたのか」
「そういう敵に『正面』から攻めれば、夥しい犠牲者が出ます」
「ではどこを攻めれば良いと?」
ここで、もう一人の一族の重鎮・武田信豊が口を挟む。
「叔父上!
いえ、信玄様!
三河国の岡崎城[現在の愛知県岡崎市]を攻めては如何?」
「ん?」
「浜松城は、徳川家康が築いた城。
だから鉄砲を効果的に利用する仕掛けがあるのでしょう?
一方、昔からある岡崎城にその仕掛けはありませんぞ」
何人かの者が信豊に同調した。
「さすが、見事な策でござる!
岡崎城を落とせば……
信長のいる美濃国の岐阜城[現在の岐阜市]は目と鼻の先じゃ!」
「浜松を攻めるか、岡崎を攻めるか。
どちらを攻めるか決断せねばならんのだな?」
信玄がこう呟いた……
まさにその瞬間のことだ。
「父上。
岡崎へ向かってはなりません!
我らの目的をお忘れですか?」
「家康を滅ぼした上で……
盟友を見殺しにした男として、信長の評判を地に堕とすことであろう」
「その通りです。
岡崎へ向かえば、浜松にいる家康を討つ機会は失われますぞ!」
「しかし……
そなたは、浜松城を容易に落とせないと申したではないか」
「浜松城を攻める以外にも、浜松城を落とす方法はあります」
「どんな方法じゃ?」
勝頼は地図のある場所を指した。
「この高天神城を……
全軍で、直ちに落とすことです」
「高天神城!?」
【次話予告 第六十五話 徳川家康の生命線、高天神城】
浜松に住む民を鉄砲を扱う兵へと変えた徳川家康は……
鉄砲の弾丸と火薬の『補給線』を守ることが最も重要と考えていました。
この補給線こそが、家康にとって『生命線』であったのです。
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