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幕間 参
これまでの大罪人の娘 第壱章 前夜、凛の章
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『宿命』
これは、自分の力では絶対に変えられない未来のことを言う。
◇
明智光秀の長女にして愛娘である凛は、わずか15歳で『政略結婚の道具』となった。
摂津国・有岡城[現在の兵庫県伊丹市]という住んだこともないばかりか、行ったこともない場所へ行って、会ったこともない男性と結婚するよう命じられたからだ。
この政略結婚は、『策略』の一環でもあった。
光秀は亡き妻である煕子にこう誓っていた。
「戦国乱世に終止符を打ち、平和な世を達成したい」
と。
最愛の妻への誓いを果たすためなら手段を選ばないと決めていた光秀は……
摂津国が持つ強大な武力を、直ちに我が物にしようとしていたのである。
◇
光秀が巡らせた策略の第一弾は、荒木村重という実力者を摂津国の大名に据えることであった。
ただし。
村重は、とてつもなく大きな問題に直面していた。
国を統一できないことだ。
摂津国の石山[現在の大阪市中央区]という場所に……
国を飲み込むほどの恐ろしく強大な勢力・本願寺教団があったためである。
◇
「このままでは……
摂津国が、本願寺教団によって蹂躙されてしまう。
手段を選んでいる場合ではない!」
こう考えた光秀は、ある決意をする。
「荒木村重には、本願寺教団と関わりを持つ池田勝正、伊丹親興、茨木重朝ら、南蛮[スペインとポルトガルのこと]から伝来したキリスト教団と関わりを持つ和田惟政などの競争相手がいる。
どんなに汚い手段を用いても、村重の競争相手を尽く『抹殺』してやろう」
と。
そして。
お金に物を言わせて偽りの噂[デマ]を国中にバラ撒くという悪辣な手段を用いて4人の評判を地に落とし、摂津国の人々からの支持を失わせていく。
最終的には4人を白井河原[現在の大阪府茨木市]の地へと集めて一網打尽にしたのである。
荒木村重の一方的な勝利に終わった……
あの白井河原の戦いは、光秀が後ろで糸を引いていたのだ。
◇
類まれな智謀を持つ凛の侍女頭・阿国は、光秀の策略がもたらした『副作用』の部分を正確に捉えていた。
「これでは……
村重様が、ご自身の『実力』で大名の地位を得ていないことになってしまいますが」
こう続く。
「いや。
むしろ……
村重様に、摂津国を統一する実力など全く『ない』のでしょう?」
「……」
「国を統一するどころか、足元を治めることすら難渋しているのでは?」
「そなたには、全てお見通しというわけか。
阿国よ。
そなたの類まれな智謀には、ときどき恐ろしさすら感じる……
先の先まで読む『眼力』が尋常ではない」
「……」
「話を戻そう。
村重は元々、数ある国衆[独立した領主のこと]の一つである池田一族の家臣に過ぎなかった。
それが主を牛耳り、やがて主そのものも乗っ取った」
「『下剋上』で成り上がったと?」
「そうだ」
「光秀様。
そんな成り上がり者を、国の支配者と認める国衆がいるのでしょうか?」
「……」
「誰一人としていないのでは?」
「阿国よ。
すべて、そなたの申す通り……
村重を国の支配者と認める国衆など誰一人としていない。
国を一つにするどころか、足元を治めることすら難渋している」
「だからこそ迷われておいでなのでしょう?
そんな『危険』な場所へ、凛様を行かせて良いのかどうかを」
「……」
◇
迷う光秀の背中を、阿国が強く押し始めた。
「凛様は、わたしが命に代えてもお守りします。
それよりも……
このようにお考えになってはいかがですか?
これは、凛様の持つ才能を開花させる絶好の機会であると」
阿国は何と、危険な場所へ行かせることを絶好の機会[チャンス]だと言い切ったのだ!
これには光秀も驚きを隠せない。
「阿国よ。
これが、才能を開花させる絶好の機会[チャンス]だと申すのか?」
「凛様は物事の『本質』を見抜く才能をお持ちです。
ただし、今はまだ才能を開花させていません。
この才能は……
困難な状況の中で闘うことで、ようやく開花するものだからです」
と。
『戦い』と『闘い』は違う。
戦いとは、勝ち負けを決めるために争うことを意味する。
だからこそ絶対に勝たねばならない。
勝つためなら、どんなに汚い手段を用いたって構わない。
正々堂々と正面から挑むなど、頭の中に一面のお花畑が咲いているおめでたい人か、平和ボケしたズブの素人がやることだ。
むしろ誰かを利用し、煽り、唆し、騙し、欺き、操って相手を罠に嵌めることこそ肝心である。
一方。
闘いとは、どんな方法を使うかが肝心であって勝ち負けは二の次となる。
暗闘、苦闘、闘病など、困難な状況を乗り越える際に使う言葉であり、汚い手段を用いるかどうかで悩む必要はない。
到底、敵わないような『難敵』に対して挑むのだから。
◇
「阿国よ。
なぜ闘うことで開花すると思うのだ?」
「凛様の『使命』は……
荒木家に限らず、摂津国の全ての人々を信長様に従わせることです」
「うむ」
「ただし。
その使命を果たすには極めて困難な状況でしょう?
大名である村重様が……
摂津国を一つにするどころか、足元を治めることすら難渋しているからです」
「……」
「しかも。
荒木家にとって、凛様は『よそ者』に過ぎません」
「……」
「『この国をろくに知らない女子が何を申すか』
などと厳しい言葉を浴びせられる可能性もあるでしょう」
「……」
「凛様は感情の起伏が激しい御方。
心無い言葉に深く傷付き、強い諦めの気持ちに苛まれてもおかしくはありません」
「よそ者であるために『外』との闘いを強いられ……
己の弱さとの『内』なる闘いも強いられるのか」
「はい。
光秀様。
この状況を打破するには、己の感情や目先のことに囚われず、己の『目的』が何かを決して見失わないことが肝心です。
国を一つにすることが目的であって、争いの種を撒くことが目的ではないからです」
「その通りだ。
誰かが吐く心無い言葉にいちいち腹を立て、そういう者を全て敵と見なしてしまうようでは……
使命を果たすどころか、争いの種を撒き散らすだけだからのう。
『辛抱』が試されるときぞ」
「辛抱強くあるためには……
こう考えることが大事だと思っています。
『どうして、そんな言葉を吐いてしまったのか?
相手が辛い状況に置かれているからではないか?
あるいは己のどこかに過ちがあり、知らずに相手を傷付けてしまっていたからでは?』
と」
「素晴らしい考え方ではないか!
阿国よ。
そうやって常に『相手の立場』になって考えていれば、結果として人々を一つにし、大きな成功を収めることができるだろう」
「有難き幸せです。
光秀様」
「仮に『正しい』ことだとしても。
己の正しさだけを押し付ける、中身が子供のまま歳だけ取ったような愚か者は……
人々を一つにするどころか、争いを引き起こすだけの有害な存在でしかないのだからな」
「『正しさに拘ってはならん』
光秀様は口癖のように、何度も仰っていました」
「ははは!
よく覚えているのう」
「正しさに拘るよりも、相手の立場になって考え、他人から謙虚に学ぶことで……
人は『成長』するものでしょう?」
「その通りだ!
この非常に困難な状況は、凛を成長させる絶好の機会[チャンス]となるに違いない」
「はい。
必ずや」
「強引な手段を用いてしまったが……
阿国よ。
そなたを我が家に迎えられて真に良かった」
「あ……
わたしも光秀様のお側でお仕えできて……」
阿国は光秀を正視できなくなった。
何か秘めたる想いを抱えているのだろうか?
「そなたが頼りだ。
凛を、よろしく頼む」
◇
「わたくしは……
ずっと探していました。
『人は、特別な存在なのでは?
何らかの意図を以って生み出され、果たすべき使命を与えられていると考える方が自然でしょう?
銭[お金]を増やすこと、楽しむこと、有名になること、このことばかりを追求する生き方が、人らしい生き方であるはずがない!
そうならば……
わたしは、どんな生き方をすればいいの?』
と。
この答えはまだ見付かりません。
でも。
その前に……
わたくしは、父上の娘でしょう?」
「凛……」
「宿命には逆らえないのでしょう?」
「……」
「行きます」
覚悟を見せた愛娘に対して、光秀は一つの質問をする。
「では問おう。
そなたが闘うべき『真の敵』とは、誰なのか?」
凛は、もっと敵を知り……
真の敵が誰なのかを正確に見分ける能力を身に着ける必要がある。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」
父は2つのことを愛娘に教え始めた。
まず1つ目は……
『戦いの黒幕』という敵のこと。
そして2つ目は……
黒幕を生み出した『歴史』について。
これは、自分の力では絶対に変えられない未来のことを言う。
◇
明智光秀の長女にして愛娘である凛は、わずか15歳で『政略結婚の道具』となった。
摂津国・有岡城[現在の兵庫県伊丹市]という住んだこともないばかりか、行ったこともない場所へ行って、会ったこともない男性と結婚するよう命じられたからだ。
この政略結婚は、『策略』の一環でもあった。
光秀は亡き妻である煕子にこう誓っていた。
「戦国乱世に終止符を打ち、平和な世を達成したい」
と。
最愛の妻への誓いを果たすためなら手段を選ばないと決めていた光秀は……
摂津国が持つ強大な武力を、直ちに我が物にしようとしていたのである。
◇
光秀が巡らせた策略の第一弾は、荒木村重という実力者を摂津国の大名に据えることであった。
ただし。
村重は、とてつもなく大きな問題に直面していた。
国を統一できないことだ。
摂津国の石山[現在の大阪市中央区]という場所に……
国を飲み込むほどの恐ろしく強大な勢力・本願寺教団があったためである。
◇
「このままでは……
摂津国が、本願寺教団によって蹂躙されてしまう。
手段を選んでいる場合ではない!」
こう考えた光秀は、ある決意をする。
「荒木村重には、本願寺教団と関わりを持つ池田勝正、伊丹親興、茨木重朝ら、南蛮[スペインとポルトガルのこと]から伝来したキリスト教団と関わりを持つ和田惟政などの競争相手がいる。
どんなに汚い手段を用いても、村重の競争相手を尽く『抹殺』してやろう」
と。
そして。
お金に物を言わせて偽りの噂[デマ]を国中にバラ撒くという悪辣な手段を用いて4人の評判を地に落とし、摂津国の人々からの支持を失わせていく。
最終的には4人を白井河原[現在の大阪府茨木市]の地へと集めて一網打尽にしたのである。
荒木村重の一方的な勝利に終わった……
あの白井河原の戦いは、光秀が後ろで糸を引いていたのだ。
◇
類まれな智謀を持つ凛の侍女頭・阿国は、光秀の策略がもたらした『副作用』の部分を正確に捉えていた。
「これでは……
村重様が、ご自身の『実力』で大名の地位を得ていないことになってしまいますが」
こう続く。
「いや。
むしろ……
村重様に、摂津国を統一する実力など全く『ない』のでしょう?」
「……」
「国を統一するどころか、足元を治めることすら難渋しているのでは?」
「そなたには、全てお見通しというわけか。
阿国よ。
そなたの類まれな智謀には、ときどき恐ろしさすら感じる……
先の先まで読む『眼力』が尋常ではない」
「……」
「話を戻そう。
村重は元々、数ある国衆[独立した領主のこと]の一つである池田一族の家臣に過ぎなかった。
それが主を牛耳り、やがて主そのものも乗っ取った」
「『下剋上』で成り上がったと?」
「そうだ」
「光秀様。
そんな成り上がり者を、国の支配者と認める国衆がいるのでしょうか?」
「……」
「誰一人としていないのでは?」
「阿国よ。
すべて、そなたの申す通り……
村重を国の支配者と認める国衆など誰一人としていない。
国を一つにするどころか、足元を治めることすら難渋している」
「だからこそ迷われておいでなのでしょう?
そんな『危険』な場所へ、凛様を行かせて良いのかどうかを」
「……」
◇
迷う光秀の背中を、阿国が強く押し始めた。
「凛様は、わたしが命に代えてもお守りします。
それよりも……
このようにお考えになってはいかがですか?
これは、凛様の持つ才能を開花させる絶好の機会であると」
阿国は何と、危険な場所へ行かせることを絶好の機会[チャンス]だと言い切ったのだ!
これには光秀も驚きを隠せない。
「阿国よ。
これが、才能を開花させる絶好の機会[チャンス]だと申すのか?」
「凛様は物事の『本質』を見抜く才能をお持ちです。
ただし、今はまだ才能を開花させていません。
この才能は……
困難な状況の中で闘うことで、ようやく開花するものだからです」
と。
『戦い』と『闘い』は違う。
戦いとは、勝ち負けを決めるために争うことを意味する。
だからこそ絶対に勝たねばならない。
勝つためなら、どんなに汚い手段を用いたって構わない。
正々堂々と正面から挑むなど、頭の中に一面のお花畑が咲いているおめでたい人か、平和ボケしたズブの素人がやることだ。
むしろ誰かを利用し、煽り、唆し、騙し、欺き、操って相手を罠に嵌めることこそ肝心である。
一方。
闘いとは、どんな方法を使うかが肝心であって勝ち負けは二の次となる。
暗闘、苦闘、闘病など、困難な状況を乗り越える際に使う言葉であり、汚い手段を用いるかどうかで悩む必要はない。
到底、敵わないような『難敵』に対して挑むのだから。
◇
「阿国よ。
なぜ闘うことで開花すると思うのだ?」
「凛様の『使命』は……
荒木家に限らず、摂津国の全ての人々を信長様に従わせることです」
「うむ」
「ただし。
その使命を果たすには極めて困難な状況でしょう?
大名である村重様が……
摂津国を一つにするどころか、足元を治めることすら難渋しているからです」
「……」
「しかも。
荒木家にとって、凛様は『よそ者』に過ぎません」
「……」
「『この国をろくに知らない女子が何を申すか』
などと厳しい言葉を浴びせられる可能性もあるでしょう」
「……」
「凛様は感情の起伏が激しい御方。
心無い言葉に深く傷付き、強い諦めの気持ちに苛まれてもおかしくはありません」
「よそ者であるために『外』との闘いを強いられ……
己の弱さとの『内』なる闘いも強いられるのか」
「はい。
光秀様。
この状況を打破するには、己の感情や目先のことに囚われず、己の『目的』が何かを決して見失わないことが肝心です。
国を一つにすることが目的であって、争いの種を撒くことが目的ではないからです」
「その通りだ。
誰かが吐く心無い言葉にいちいち腹を立て、そういう者を全て敵と見なしてしまうようでは……
使命を果たすどころか、争いの種を撒き散らすだけだからのう。
『辛抱』が試されるときぞ」
「辛抱強くあるためには……
こう考えることが大事だと思っています。
『どうして、そんな言葉を吐いてしまったのか?
相手が辛い状況に置かれているからではないか?
あるいは己のどこかに過ちがあり、知らずに相手を傷付けてしまっていたからでは?』
と」
「素晴らしい考え方ではないか!
阿国よ。
そうやって常に『相手の立場』になって考えていれば、結果として人々を一つにし、大きな成功を収めることができるだろう」
「有難き幸せです。
光秀様」
「仮に『正しい』ことだとしても。
己の正しさだけを押し付ける、中身が子供のまま歳だけ取ったような愚か者は……
人々を一つにするどころか、争いを引き起こすだけの有害な存在でしかないのだからな」
「『正しさに拘ってはならん』
光秀様は口癖のように、何度も仰っていました」
「ははは!
よく覚えているのう」
「正しさに拘るよりも、相手の立場になって考え、他人から謙虚に学ぶことで……
人は『成長』するものでしょう?」
「その通りだ!
この非常に困難な状況は、凛を成長させる絶好の機会[チャンス]となるに違いない」
「はい。
必ずや」
「強引な手段を用いてしまったが……
阿国よ。
そなたを我が家に迎えられて真に良かった」
「あ……
わたしも光秀様のお側でお仕えできて……」
阿国は光秀を正視できなくなった。
何か秘めたる想いを抱えているのだろうか?
「そなたが頼りだ。
凛を、よろしく頼む」
◇
「わたくしは……
ずっと探していました。
『人は、特別な存在なのでは?
何らかの意図を以って生み出され、果たすべき使命を与えられていると考える方が自然でしょう?
銭[お金]を増やすこと、楽しむこと、有名になること、このことばかりを追求する生き方が、人らしい生き方であるはずがない!
そうならば……
わたしは、どんな生き方をすればいいの?』
と。
この答えはまだ見付かりません。
でも。
その前に……
わたくしは、父上の娘でしょう?」
「凛……」
「宿命には逆らえないのでしょう?」
「……」
「行きます」
覚悟を見せた愛娘に対して、光秀は一つの質問をする。
「では問おう。
そなたが闘うべき『真の敵』とは、誰なのか?」
凛は、もっと敵を知り……
真の敵が誰なのかを正確に見分ける能力を身に着ける必要がある。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」
父は2つのことを愛娘に教え始めた。
まず1つ目は……
『戦いの黒幕』という敵のこと。
そして2つ目は……
黒幕を生み出した『歴史』について。
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