18 / 64
第弐章 戦国乱世、お金の章
第十六節 あらゆる悪い事柄の根
しおりを挟む
日宋貿易の真実。
宋は得をするが、日本は損をする貿易であった。
一途にこう思っていた平清盛。
「お金を普及させることができれば……
人々の暮らしは、今よりもずっと豊かで楽しくなるではないか!
お金の普及こそが、人間を幸せにする一番の方法なのじゃ」
と。
清盛を含む日本人は、こうして宋にまんまと『欺かれた』のだ。
◇
災いの連鎖は止まらない。
お金の普及によって……
売り買いがはるかに便利になり、モノではない飲食、観光、交通、芸能や風俗などの商売も盛んになった。
あらゆる場所に商店が立ち、飲食や芸能、風俗を提供する店、旅行客のための宿も次々と出来た。
これらの場所で働くため、大勢の人が農地を離れるようになった。
そして。
日宋貿易の真実に気付いた人々は、宋銭を売って、金や銀、米などに換えていく。
ある日を境にして、宋銭の価値が下がり、モノの値段が上がり始めた。
このような状況で……
台風や豪雨による洪水、これに干魃も加わった飢饉、そして地震に流行病などの自然災害が次々と襲い掛かって来たのだ!
日本は、未曾有の物価高騰[インフレ]に見舞われた。
躍起になって増やしたお金も、生活に必要なモノと交換できなければゴミ同然だ。
こうなってしまっては……
『力ずく』で他人のモノを奪い取るしか、生き残る方法はない。
秩序は脆くも崩壊した。
強盗や殺人が世にあふれ、各地で暴動や反乱が起こって日本全土が無法地帯と化したのである。
こうして戦国乱世は始まったのだ。
『応仁の乱』が原因などと歴史の教科書に書いた筆者たちは、勘違いも甚だしい。
背景を調べず現象だけを発信する素人と一緒だと思う。
実際は……
生きるための手段に過ぎないお金を、愚かにも生きる目的へと変えていき、お金の奴隷と化した大勢の『人間』が、戦国乱世を招いたのである。
戦国乱世は、関西、関東、九州へと広がっていき、数え切れないほどの人々が虐殺や略奪で命を落とした。
そこで流れた血は、源平の争いで流れた血よりもはるかに多かった。
◇
「凛よ。
話を戻すが……
『鎌倉幕府を討て、北条一族を討て』
後醍醐天皇のこの倒幕命令を受けて、人々はどうしたと思う?」
「予想は付きます。
人々はこれ幸いと……」
「その通りだ。
人々は一斉に北条一族に襲い掛かり、その領地と財産を奪ったのだ」
「こんなものは……
ただの『略奪』ではありませんか。
人々は、天皇の命令に本心で従ったわけではないのでしょう?
北条一族の富に目が眩んだだけ」
「そうだ。
たが、仕方あるまい。
秩序が崩壊しているのだからな」
「秩序を立て直さねばならないと?」
「うむ。
後醍醐天皇は……
鎌倉幕府を滅ぼすと、すぐに秩序を立て直そうとしたのだ」
「どのように?」
「まず北条一族の討伐に参加した人々への賞罰。
人々は倒幕命令に従って戦ったが、その本心はそなたが申した通り。
北条一族の富に目が眩んだだけであった。
絶好の機会とばかりに略奪を働いたに過ぎない」
「はい」
「賞罰を十分に詮議[検討すること]する上でも……
奪った領地と財産を、一旦は返上させねなばならん。
北条一族から奪った領地と財産を我が物にしている状態は、略奪を許しているも同然だからな」
「略奪には断固たる『姿勢』で臨まなければなりません。
奪った領地と財産を返上するのは、当然のことでしょう。
ただ……
人々がその命令に従うでしょうか?
富に目が眩み、今まで主と仰いでいた北条一族に平然と叛旗を翻した人たちです。
己の、しかも目先の利益ばかりを追求し、忠義のかけらもない、恥知らずでどうしようもない人たち……
大人しく従うとはとても思えません」
「その通りだ。
人々は、奪った富を返上することを拒んだ。
各地で暴動や反乱を起こした」
「またですか!」
「結果として。
後醍醐天皇は秩序を回復できなかった。
源氏の棟梁[代表のこと]の血を引く足利尊氏は、それを見てある『決断』をする」
「どんな決断を?」
「天皇と逆のことをしたまでよ。
人々が奪った富を、そのまま我が物とすることを認めた」
「認めたのですか!
そんなことを許していいのですか?」
「許していいわけがなかろう。
天皇は、京の都に戻って釈明するよう尊氏に何度も求めた」
「尊氏は戻らなかったのでしょう?」
「尊氏自身は戻ろうとしたが、一族の者たちが『力ずく』で止めたらしい」
「仕方なく天皇に対して謀反を起こしたと?」
「うむ。
暴動や反乱を鎮めるには、人々に妥協するしかなかったからのう……」
「真に妥協するしかなかったのでしょうか?
逆賊の汚名によって尊氏は、一度は新田義貞、楠木正成、そして北畠顕家の連合軍に敗れて九州まで落ち延びていますが……
何と『別』の天皇を立てて、再度京の都へ攻め上っています」
「……」
「むしろ、天皇に対して積極的に謀反を起こしているようにも見えるのですが?」
「凛よ。
そもそも尊氏の名前は、後醍醐天皇の名前である尊治から一字もらっていたことを忘れたのか?
尊氏の名前は死ぬまで尊氏で、死んでからも尊氏ぞ?」
「尊氏自身が、名前を変えようとしなかったと?」
「一族や家臣から何度も名前を変えるよう迫られても……
一切耳を貸さなかったのだろうな。
生涯ずっと、良心の呵責に苛まれていたのかもしれん」
「父上。
その後醍醐天皇ですが……
歴史の書物にはこう書かれていました。
『側室の阿野廉子という悪女に唆されていた。
お気に入りの者にしか恩賞を与えず、立派な屋敷を建てるために重税を課した。
最後は武士たちに反乱を起こされて京から逃げた』
と」
「敗北した者によく付けられる、事実無根の『敗因』だ。
いくら敗因を分かりやすくしたいとはいえ……
悪女の登場、不公平な人事、重税を課すなど、どこにでもある、ごくありふれた話ではないか」
「確かにそうかもしれません。
楽に読んでもらうために都合のいい悪役を作り、大事なことを省いて真実までも捻じ曲げる人たちの思い付きそうなことです」
「あまりにも内容が浅すぎて、かえって『つまらない』と思うがな」
◇
「話を続けよう。
最終的に勝利した足利尊氏は室町幕府を開く。
それでも、秩序はある程度しか回復されなかった」
「ある程度しか?」
「室町幕府は、源頼朝が作った鎌倉幕府よりも大きく劣っていた。
武士たちに戦う『自由』を与えてしまったからだ」
「どうしてです?」
「そなたに教えたではないか。
戦の真の目的を見抜けと」
「戦は、人々が銭[お金]を増やすための『手段』だと!」
「そうだ。
武士たちに戦う自由を与えなければどうなる?
銭[お金]を増やす手段を失うぞ?
己の、しかも目先の利益ばかり追求し、忠義のかけらもない、恥知らずでどうしようもない者たちが……
また暴動や反乱を起こすだけのことであろう」
娘は深い溜息を付く。
「父上。
生きるための手段に過ぎない銭[お金]を、人が愚かにも生きる目的へと変えていき……
大勢の人が銭の奴隷と化したこと。
そこに、『あらゆる悪い事柄の根』があるのですね」
「うむ」
「一体……
どうすれば、その根を絶てるのでしょうか?」
「あらゆる悪い事柄の根を絶つ……
難しいことだ。
それよりも、凛。
そなた……
少し、疲れたのではないか?
しばらく休もうぞ。
そなたのために茶を点てよう」
父は慣れた手付きで茶を点て始めた。
出来上がると、娘に優しく差し出す。
娘はすぐに飲むことができた。
ちょうど良い温かさに加減されていたからだ。
両手で茶碗を持ち、美味しそうに飲んでいる。
娘のために茶を点てるのは、これが最後かもしれない……
飲み干すまで目を離せなかった。
愛娘は、目の中に入れても痛くないほど愛くるしかった。
◇
2,000年以上も前に書かれた本がある。
書かれている内容は、分かりやすいどころか非常に分かりにくい。
楽に読める要素がまるでない。
大勢の人に読んでもらおうという気配すらないにも関わらず……
この本は、二位以下を大きく突き放す圧倒的な人類史上一位の座を誇っている。
そこにこういう一文がある。
「富もうとする人たちは、罠に陥り、多くの無分別で有害な欲望を抱き、破滅に至る。
お金を愛することは、あらゆる悪い事柄の根であるからだ」
と。
あらゆる悪い事柄の根は、お金そのものではない。
お金を愛する人間自身にある。
【次節予告 第十七節 秩序のために戦う、一人の天才】
京の都からはるかに遠い奥州の地で……
一人の若者が、幕府に戦いを挑むことを決意しました。
たった4ヶ月で関東を制圧した若者は、京の都へ向かって進撃を開始するのです。
宋は得をするが、日本は損をする貿易であった。
一途にこう思っていた平清盛。
「お金を普及させることができれば……
人々の暮らしは、今よりもずっと豊かで楽しくなるではないか!
お金の普及こそが、人間を幸せにする一番の方法なのじゃ」
と。
清盛を含む日本人は、こうして宋にまんまと『欺かれた』のだ。
◇
災いの連鎖は止まらない。
お金の普及によって……
売り買いがはるかに便利になり、モノではない飲食、観光、交通、芸能や風俗などの商売も盛んになった。
あらゆる場所に商店が立ち、飲食や芸能、風俗を提供する店、旅行客のための宿も次々と出来た。
これらの場所で働くため、大勢の人が農地を離れるようになった。
そして。
日宋貿易の真実に気付いた人々は、宋銭を売って、金や銀、米などに換えていく。
ある日を境にして、宋銭の価値が下がり、モノの値段が上がり始めた。
このような状況で……
台風や豪雨による洪水、これに干魃も加わった飢饉、そして地震に流行病などの自然災害が次々と襲い掛かって来たのだ!
日本は、未曾有の物価高騰[インフレ]に見舞われた。
躍起になって増やしたお金も、生活に必要なモノと交換できなければゴミ同然だ。
こうなってしまっては……
『力ずく』で他人のモノを奪い取るしか、生き残る方法はない。
秩序は脆くも崩壊した。
強盗や殺人が世にあふれ、各地で暴動や反乱が起こって日本全土が無法地帯と化したのである。
こうして戦国乱世は始まったのだ。
『応仁の乱』が原因などと歴史の教科書に書いた筆者たちは、勘違いも甚だしい。
背景を調べず現象だけを発信する素人と一緒だと思う。
実際は……
生きるための手段に過ぎないお金を、愚かにも生きる目的へと変えていき、お金の奴隷と化した大勢の『人間』が、戦国乱世を招いたのである。
戦国乱世は、関西、関東、九州へと広がっていき、数え切れないほどの人々が虐殺や略奪で命を落とした。
そこで流れた血は、源平の争いで流れた血よりもはるかに多かった。
◇
「凛よ。
話を戻すが……
『鎌倉幕府を討て、北条一族を討て』
後醍醐天皇のこの倒幕命令を受けて、人々はどうしたと思う?」
「予想は付きます。
人々はこれ幸いと……」
「その通りだ。
人々は一斉に北条一族に襲い掛かり、その領地と財産を奪ったのだ」
「こんなものは……
ただの『略奪』ではありませんか。
人々は、天皇の命令に本心で従ったわけではないのでしょう?
北条一族の富に目が眩んだだけ」
「そうだ。
たが、仕方あるまい。
秩序が崩壊しているのだからな」
「秩序を立て直さねばならないと?」
「うむ。
後醍醐天皇は……
鎌倉幕府を滅ぼすと、すぐに秩序を立て直そうとしたのだ」
「どのように?」
「まず北条一族の討伐に参加した人々への賞罰。
人々は倒幕命令に従って戦ったが、その本心はそなたが申した通り。
北条一族の富に目が眩んだだけであった。
絶好の機会とばかりに略奪を働いたに過ぎない」
「はい」
「賞罰を十分に詮議[検討すること]する上でも……
奪った領地と財産を、一旦は返上させねなばならん。
北条一族から奪った領地と財産を我が物にしている状態は、略奪を許しているも同然だからな」
「略奪には断固たる『姿勢』で臨まなければなりません。
奪った領地と財産を返上するのは、当然のことでしょう。
ただ……
人々がその命令に従うでしょうか?
富に目が眩み、今まで主と仰いでいた北条一族に平然と叛旗を翻した人たちです。
己の、しかも目先の利益ばかりを追求し、忠義のかけらもない、恥知らずでどうしようもない人たち……
大人しく従うとはとても思えません」
「その通りだ。
人々は、奪った富を返上することを拒んだ。
各地で暴動や反乱を起こした」
「またですか!」
「結果として。
後醍醐天皇は秩序を回復できなかった。
源氏の棟梁[代表のこと]の血を引く足利尊氏は、それを見てある『決断』をする」
「どんな決断を?」
「天皇と逆のことをしたまでよ。
人々が奪った富を、そのまま我が物とすることを認めた」
「認めたのですか!
そんなことを許していいのですか?」
「許していいわけがなかろう。
天皇は、京の都に戻って釈明するよう尊氏に何度も求めた」
「尊氏は戻らなかったのでしょう?」
「尊氏自身は戻ろうとしたが、一族の者たちが『力ずく』で止めたらしい」
「仕方なく天皇に対して謀反を起こしたと?」
「うむ。
暴動や反乱を鎮めるには、人々に妥協するしかなかったからのう……」
「真に妥協するしかなかったのでしょうか?
逆賊の汚名によって尊氏は、一度は新田義貞、楠木正成、そして北畠顕家の連合軍に敗れて九州まで落ち延びていますが……
何と『別』の天皇を立てて、再度京の都へ攻め上っています」
「……」
「むしろ、天皇に対して積極的に謀反を起こしているようにも見えるのですが?」
「凛よ。
そもそも尊氏の名前は、後醍醐天皇の名前である尊治から一字もらっていたことを忘れたのか?
尊氏の名前は死ぬまで尊氏で、死んでからも尊氏ぞ?」
「尊氏自身が、名前を変えようとしなかったと?」
「一族や家臣から何度も名前を変えるよう迫られても……
一切耳を貸さなかったのだろうな。
生涯ずっと、良心の呵責に苛まれていたのかもしれん」
「父上。
その後醍醐天皇ですが……
歴史の書物にはこう書かれていました。
『側室の阿野廉子という悪女に唆されていた。
お気に入りの者にしか恩賞を与えず、立派な屋敷を建てるために重税を課した。
最後は武士たちに反乱を起こされて京から逃げた』
と」
「敗北した者によく付けられる、事実無根の『敗因』だ。
いくら敗因を分かりやすくしたいとはいえ……
悪女の登場、不公平な人事、重税を課すなど、どこにでもある、ごくありふれた話ではないか」
「確かにそうかもしれません。
楽に読んでもらうために都合のいい悪役を作り、大事なことを省いて真実までも捻じ曲げる人たちの思い付きそうなことです」
「あまりにも内容が浅すぎて、かえって『つまらない』と思うがな」
◇
「話を続けよう。
最終的に勝利した足利尊氏は室町幕府を開く。
それでも、秩序はある程度しか回復されなかった」
「ある程度しか?」
「室町幕府は、源頼朝が作った鎌倉幕府よりも大きく劣っていた。
武士たちに戦う『自由』を与えてしまったからだ」
「どうしてです?」
「そなたに教えたではないか。
戦の真の目的を見抜けと」
「戦は、人々が銭[お金]を増やすための『手段』だと!」
「そうだ。
武士たちに戦う自由を与えなければどうなる?
銭[お金]を増やす手段を失うぞ?
己の、しかも目先の利益ばかり追求し、忠義のかけらもない、恥知らずでどうしようもない者たちが……
また暴動や反乱を起こすだけのことであろう」
娘は深い溜息を付く。
「父上。
生きるための手段に過ぎない銭[お金]を、人が愚かにも生きる目的へと変えていき……
大勢の人が銭の奴隷と化したこと。
そこに、『あらゆる悪い事柄の根』があるのですね」
「うむ」
「一体……
どうすれば、その根を絶てるのでしょうか?」
「あらゆる悪い事柄の根を絶つ……
難しいことだ。
それよりも、凛。
そなた……
少し、疲れたのではないか?
しばらく休もうぞ。
そなたのために茶を点てよう」
父は慣れた手付きで茶を点て始めた。
出来上がると、娘に優しく差し出す。
娘はすぐに飲むことができた。
ちょうど良い温かさに加減されていたからだ。
両手で茶碗を持ち、美味しそうに飲んでいる。
娘のために茶を点てるのは、これが最後かもしれない……
飲み干すまで目を離せなかった。
愛娘は、目の中に入れても痛くないほど愛くるしかった。
◇
2,000年以上も前に書かれた本がある。
書かれている内容は、分かりやすいどころか非常に分かりにくい。
楽に読める要素がまるでない。
大勢の人に読んでもらおうという気配すらないにも関わらず……
この本は、二位以下を大きく突き放す圧倒的な人類史上一位の座を誇っている。
そこにこういう一文がある。
「富もうとする人たちは、罠に陥り、多くの無分別で有害な欲望を抱き、破滅に至る。
お金を愛することは、あらゆる悪い事柄の根であるからだ」
と。
あらゆる悪い事柄の根は、お金そのものではない。
お金を愛する人間自身にある。
【次節予告 第十七節 秩序のために戦う、一人の天才】
京の都からはるかに遠い奥州の地で……
一人の若者が、幕府に戦いを挑むことを決意しました。
たった4ヶ月で関東を制圧した若者は、京の都へ向かって進撃を開始するのです。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
戦国の華と徒花
三田村優希(または南雲天音)
歴史・時代
武田信玄の命令によって、織田信長の妹であるお市の侍女として潜入した忍びの於小夜(おさよ)。
付き従う内にお市に心酔し、武田家を裏切る形となってしまう。
そんな彼女は人並みに恋をし、同じ武田の忍びである小十郎と夫婦になる。
二人を裏切り者と見做し、刺客が送られてくる。小十郎も柴田勝家の足軽頭となっており、刺客に怯えつつも何とか女児を出産し於奈津(おなつ)と命名する。
しかし頭領であり於小夜の叔父でもある新井庄助の命令で、於奈津は母親から引き離され忍びとしての英才教育を受けるために真田家へと送られてしまう。
悲嘆に暮れる於小夜だが、お市と共に悲運へと呑まれていく。
※拙作「異郷の残菊」と繋がりがありますが、単独で読んでも問題がございません
【他サイト掲載:NOVEL DAYS】
謂わぬおもひで
ひま
歴史・時代
書生、楠木八之助はとある記憶を思い出す。
幼い頃に母代わりとなって愛情を注いでくれた人との思い出だ。
もう戻らぬ日々に思いを馳せて一日一日の記憶を、鮮明に思い返していく。
彼女への伝わらぬ想いと共に。
夢のまた夢~豊臣秀吉回顧録~
恩地玖
歴史・時代
位人臣を極めた豊臣秀吉も病には勝てず、只々豊臣家の行く末を案じるばかりだった。
一体、これまで成してきたことは何だったのか。
医師、施薬院との対話を通じて、己の人生を振り返る豊臣秀吉がそこにいた。
強いられる賭け~脇坂安治軍記~
恩地玖
歴史・時代
浅井家の配下である脇坂家は、永禄11年に勃発した観音寺合戦に、織田・浅井連合軍の一隊として参戦する。この戦を何とか生き延びた安治は、浅井家を見限り、織田方につくことを決めた。そんな折、羽柴秀吉が人を集めているという話を聞きつけ、早速、秀吉の元に向かい、秀吉から温かく迎えられる。
こうして、秀吉の家臣となった安治は、幾多の困難を乗り越えて、ついには淡路三万石の大名にまで出世する。
しかし、秀吉亡き後、石田三成と徳川家康の対立が決定的となった。秀吉からの恩に報い、石田方につくか、秀吉子飼いの武将が従った徳川方につくか、安治は決断を迫られることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる