閉じ込められたらくっついた

おりく

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タウンハウスで急転直下

02

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◇◇ユージーン◇◇

ギルドの建物を出て認識阻害を展開すると同時に、マジックバッグから紙とペンを取り出す。
メッセージを書いてタウンハウスの祖父さんに向けて魔法で送った。

「待たせたな。オレん家まで少し遠いが我慢してくれ。」

「大丈夫だよ。それより急ぐなら身体強化して走ろうか?」

「いや、そこまではしなくていい。」

「では手を繋いでも良いだろうか?」

「いいぞ、ジル。ランも。」

二人の手を取り歩き出した。




タウンハウスが見えてくると、いつものように祖父さまが迎えに出てくてれていた。
認識阻害をしていても、祖父さまには何となくだがオレが近くに居ると分るらしい。

祖父さまが合図をすると使用人がやってきた。
そいつらに紛れて門をくぐってから認識阻害を解除する。
オレの存在を王家から隠すための工夫だ。

「ただいま、ギュンター。メッセージに書いたとおりオレの伴侶になる二人を連れてきた。祖父さんは?」

「おかえりなさいませ、若さま。先代さまはホールでソワソワしながらお待ちですよ。ミハエルさまもこちらに。当代さまと夫人もじきにいらっしゃるかと。」

「分かった。行くぞ、ジル、ラン。」




◇◇ジルベルト◇◇

ギュンターと呼ばれた家令のような男性に先導されて邸に入ると、壮年の男性が待っていた。
ホールにいらっしゃるのは御祖父様と言っていたが、御父上にしか見えない。
立ち姿もスッキリとした細身で若々しい方だ。

「急に来て悪いな。こっちはオレが伴侶に望むジルベルトとランドルフだ。あんたらのことだから二人の素性も知ってるんだろ?」

ジーンに頷いて答える男性に名乗りを上げる。

「ジルベルトと申します。」

「ランドルフと申します。平民となりましたので、二人とも家名はありません。」

「ジーン、失礼があってはならぬから教えて欲しい。こちらの御仁は御祖父様で間違い無いか?御父上ではなく?」

「ん?ああ、すげえ若く見えるがオレの祖父さんで間違いねえよ。」

「ジーンのおじいちゃんのクラウスじゃ。二人ともよろしくの。……ギュンター。」

「はい。皆様、応接室にご案内いたします。」

「まだその似合わねえ喋り方してんのかよ。誰がどう見たってオレのオヤジにしか見えねえから諦めろって!」

「いやじゃ!わし、ジーンのおじいちゃんじゃもん!」

「ジジイは「もん!」とか言わねえよ……。祖父さまを見習えって。」

「ぐぬぬ…。」

そんな孫と祖父の会話を聞きながら応接室に通され、勧められたソファに座る。

「さて、改めてじゃな。わしが先代辺境伯クラウス・サウザンライト、ジーンの祖父じゃ。」

御祖父様が後ろに控えていたギュンター殿に視線を送ると、ギュンター殿が隣に腰を下ろした。

「ギュンター・サウザンライトと申します。先代さまの内縁の伴侶で、ジーンの祖父でございます。」

内縁の伴侶……。
先ほどジーンは「ギュンター」と呼んでいた。
顔を会わせていないときは「祖父さま」と言っていたのに。
関係を秘さねばならぬとは、このお方にも辛い思いをさせてきたようだ。
何と我らの罪深いことか。

「わたしが生まれる前のこととはいえ、お二方にはなんとお詫びしてよいか…。」

「私たちの祖父が申し訳ございません。」

ランディと揃って頭を下げて謝罪する。
許されることではないと分かっているが、謝らずにはいられなかった。

「謝罪は受け取ろう。じゃが本来ならば君らが頭を下げる必要はない。これ以後は不要じゃ。良いな?」

「ご厚情を賜わり感謝いたします。」

「ジーンに尽くし支えることでご恩はお返しいたします。」

そのとおりだ、ランディ。
きっと皆に認められる伴侶になり、ジーンを幸せにしてみせよう。
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