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ギルドへの報告とジーンの憂鬱

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◇◇ランドルフ◇◇

「お前らみたいに優秀な伴侶を二人も連れて帰ってみろ。きっと喜ぶぜ。」

これは夢か……?
ジーンが愛しすぎて、また私がおかしくなってしまったのだろうか。

「「伴侶……。」」

声のした方を見れば、ジルも呆然としている。
どうやらお互いに言葉にしてしまい、同じ状態になっているらしい。

「なあ、ジル…。」

「………どうした、ランディ。」

「ジーンが言った『伴侶』とは………私たちのことだろうか?」

「間違えるな、ランディ。」

くっ!
やはり幻聴か……。

「『優秀な伴侶』……だ。」

「そうだぞ、ラン。それとも俺の伴侶になるのは嫌か?」

また伴侶と……。
わたしたちを望んでくれるのか、ジーン。

「いやなものか…。ずっとジーンの伴侶になりたいと願っていた。」

「私もそなたの伴侶になりたい。」

そう言ったジルの手を取り、ジーンが口づける。

「愛してる、ジルベルト。どうか俺の伴侶に。」

「っ!私もジーンを愛している。この先もそなたの側に置いてくれ。」

「ああ、もう離さねえ。」

何と……。
ジーンがそのようなことを…。

今度は私の手に口づけてくれた。
否が応にも期待が高まる。

「ランドルフ。お前のことも愛してる。俺の伴侶になってくれ。」

「うれしい、ジーン。死んでも愛してる。」

まさに感無量で、そんな私の口から飛び出たセリフは思いの外重かった。
ジーンから言われたら私はうれしいが、ジーンはどうだろう?

そう思ったが、どうやら心配いらなかったようだ。

「ははっ!ありがとうよ。厄介な相手のことが片付いたら、二人とも俺のところに来てくれ。」

「その日を心待ちにしている。」
「その日を指折り数えて待っているよ。」

じわり、じわりと歓びが湧き上がってくる。
私の人生でこんなにうれしかったことはない。
いや、ジーンと初めて結ばれた日も同じくらいうれしかったな。

仕置きもされたけど、あの日、おバカな行動に出て良かった。
なあ、ジル?
そう思ってジルを見ると視線が交わった。
どちらからともなく、お互いを抱きしめる。

「ジル…、ジル……。私たちがジーンの伴侶になれるなんて。」

「ああ、ランディ。望みを捨てなくて良かった。」

歓びで涙が溢れる。
その幸せの雫を舐め取ったジーンに抱きしめられた。

「お前らなあ……。ここは俺に抱きつくトコだろ?」

「「ジーンっ!」」

左右からジルと一緒に力いっぱい抱きついてしまった。
それでも揺るがない力強さが堪らない。
二人ともジーンの隣に立って恥ずかしくないように鍛えているし、私とは体格の差も殆どないのに何故だろう。

「それで…だな…。その……、我らはそなたの……こっ、婚約者ということでいいのだろうか?」

「ああ。書類なんかは親父とおふくろに紹介してからになるが、そう思ってくれていい。」

素晴らしいぞ、ジル!
婚約者……なんと甘美な響きだろうか。
伴侶とはまた違った良さがある。

「ではジーン、婚約者として聞きたいことがある。その厄介な相手とやらに、そなたの一族がされたことを教えてはくれないか。」

「それ、私も気になる。話せる範囲で構わないから聞きたいな。」

「あー…一応聞くが、楽しい話しじゃねえのは分かって言ってるんだよな?」

「ああ。」
「うん。」

「分かった。……はじまりは俺の曾祖父さんの時代らしいんだ。その厄介な相手……もう厄介者と呼ぶが、その父親の統める領地が減る事件が起きたんだ。ウチにも救援要請が来たんだが、ウチはウチでスタンピードが起きてて援軍なんか出す余裕なんか無かった。だから断った。
誰だって自分トコの領民が大事だし、何より相手が違う。厄介者の相手は人間でコッチはモンスターだ。ヤバさの種類も違うからな。
で、領地を失ったのはウチが援軍を出さなかったせいだと逆恨みされたんだ。
ウチは武門の家で先祖伝来の武具なんかもある。それを強奪できれば失地回復できるっていう、頭のおかしい理論に行き着いたらしくてな。今となっては妄執レベルらしいぞ。」

この話……どこか聞き覚えがあるが、気のせいだろうか……。
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