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6章 足りないのは我慢なのか適性なのか
19 〜前半メルヴィン
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情事の後特有の甘い気怠さを感じながら、腕の中の愛しい男を見る。
起きているときよりも幾分幼い表情だが、寝顔まですげえキレイだから恐ろしい。
ふと気が付いたが、情を交わした後でこの男の寝顔をこんなにじっくり見たことはなかった。
オレがこうして寝落ちしてないのも「2発」と指定したからだろう。
こいつに飽きられたくなくて、ガラにもなく焦っていろいろやってやろうと思っていたことはほとんど実行できなかった。
「オレのことが好きだ」ってカオを見ちまえば我慢なんかできやしねえ。
ただこの男に抱かれたくて、それしか考えられなくなっていた。
こういうやつのことこそ魔性って言うんだろう。
だがこの男はそれだけじゃ終わらねえ。
アルシェからの緊急連絡が入ったときは肝が冷えた。
初めて遭遇した化物を単騎で狩るというオレの予想を飛び越えた働きをしてくれたが、無事でいてくれたことが何よりも嬉しかった。
そんな男が今、オレの腕の中で寝息を立てている。
オレにとっては生涯で唯一の惚れた男になるだろう。
それを失う恐怖と溢れ出る愛しさで思わず身体に力が入ったのか、シオンが起きちまった。
「ん……メルヴィン、まだ起きてたのか。……あ、俺が重かった?ごめん、今降りる…。」
「いや、お前さんさえ良けりゃあこのままでいてくれ。」
「良いのか?うれし…。メルヴィンのふわふわ雄っぱい気持ち良くてだいすき。」
「そりゃあありがとうよ。しかしお前さんも飽きねえな。」
「だってメルヴィンの雄っぱいだもん、飽きるわけないよ…はむっ…ちゅ。」
寝惚けて気持ち良さそうにはむはむ甘噛みしてるし、よく分からねえ理屈だが飽きられねえならかまわねえか。
それに気を良くしてポロッと本音がこぼれた。
「なあ、シオン。本当はオレだってお前さんを抱いて気持ち良くしてやりたいんだ。今日もなあ、お前さんのお前さんを手と口で可愛がるハズだったんだ。嫌がられなかったら慎ましい雄っぱいも。
なのにお前さんのカオを見ちまったらお前さんに抱かれたくなっちまう。オレをこんなにしやがって。お前さんのせいだぞ。」
「一応聞くけど、俺に挿れたいわけじゃないんだろ?」
「そうだな。でも突っ込むだけが『抱く』ってことじゃねえだろ。
オレに覆い被さってるお前さんに縋り付きてえ。
お前さんに乗っかって腰を振りたくって搾り取ってやりてえ。
オレにできることなら何だって…。
だがオレの体重がな…。ヘタすりゃあお前さんを潰しちまう。
減量してお前さんの大好きな雄っぱいを減らすワケにもいかねえし。まあオレは元々がデカいから減量したってたかが知れてるけどな。」
「メルヴィン…。心の内を明かしてくれてありがとう。俺はね、メルヴィンが俺を好きって思ってくれて幸せ。俺に抱かれてくれるだけで幸せ。不満なんて何もないよ。
でもメルヴィンがそう言ってくれるなら俺も頑張る。だから少し待ってて。」
「ん?よく分からんが分かった。オレは待てば良いんだな?ただ、無理はすんなよ。」
「うん!」
オレは深く考えてなかったが、このときシオンは重力魔法を習得する決心をしたらしい。
結果は……まあ…、お察しってヤツだ。
オレの旦那サマは器用過ぎるぜ。
◇◇◇◇◇
ふわふわ雄っぱいに包まれて起きる朝は最高だ。
頬ずりして揉んでしまうのは仕方ない。
ただ、それでメルヴィンを起こしてしまうのは申し訳ないと思っている。
「おはよう、メルヴィン…ちゅ。昨日は思ってること、教えてくれて嬉しかった。」
「……ん?おはようさん…ちゅう。あー、お前さん寝惚けてたから覚えてないと思ったぜ。」
「忘れないよ。メルヴィンの悩みは早急にどうにかするから。」
眠たい頭で考えたんだ。
身体強化でも大丈夫そうだけど、身体に指とか食い込んで痛そうだ。
あと骨折とかしそう…。
もっと根本的に解決するにはメルヴィンを軽くすれば良い。
ということで重さや引力を操る重力魔法の習得を目指すことにした。
目に見えないものだから今まで以上に想像力が必要だと思うけど、どうにかしてやる。
俺たちの豊かな性生活のために!
「………お前さん、そんなおキレイな顔してんのに結構な俗物だよな。まあ、ソコも良いんだけどな…ちゅ。」
どうやら後半は考えていることが口から出てしまったらしい。
「ははっ、ありがと。」
そんな感じでいちゃついているとジェイデンがやってきた。
「おはようございます、旦那様、メルヴィン。おや、今朝は歯形が一つだけですか。」
「んちゅ…おはよう、ジェイデン。歯形はね、キスしたいのにできないとき、さみしくて付けていたみたいなんだ。」
「ということは昨夜はたくさんキスできたということでしょうか?」
「うん、そうなんだ。あ、朝食もらってくるよ。」
「ええ、お願いします。」
その後、三人で美味しい朝食をいただいて、ジェイデンに中庭の隅に置いてあった煉瓦のブロックをいくつかもらった。
これで重力魔法の練習ができる!と意気揚々と試してみたら木端微塵にしてしまい、慌てて《リペア》した。
試行錯誤して分かったのは、加圧や加重することの方が簡単だということ。
俺がやりたいのはメルヴィンの軽量化だから難しい。
あと、寝惚けた状態でいきなりメルヴィンに魔法をかけなかった自分を褒めたいと思う。
俺は魔力が多いらしいから、加減しないと魔法で得られる結果が極端になってしまう。
身体強化のときもそうだったしな。
重力魔法よりも《リペア》の練度が上がりそうな現実にため息がでるが、メルヴィンのためにも諦めずに頑張りたい。
✽✽✽✽✽
本日は1話です。
明日か明後日にもう1話更新できたら…と思っています。
起きているときよりも幾分幼い表情だが、寝顔まですげえキレイだから恐ろしい。
ふと気が付いたが、情を交わした後でこの男の寝顔をこんなにじっくり見たことはなかった。
オレがこうして寝落ちしてないのも「2発」と指定したからだろう。
こいつに飽きられたくなくて、ガラにもなく焦っていろいろやってやろうと思っていたことはほとんど実行できなかった。
「オレのことが好きだ」ってカオを見ちまえば我慢なんかできやしねえ。
ただこの男に抱かれたくて、それしか考えられなくなっていた。
こういうやつのことこそ魔性って言うんだろう。
だがこの男はそれだけじゃ終わらねえ。
アルシェからの緊急連絡が入ったときは肝が冷えた。
初めて遭遇した化物を単騎で狩るというオレの予想を飛び越えた働きをしてくれたが、無事でいてくれたことが何よりも嬉しかった。
そんな男が今、オレの腕の中で寝息を立てている。
オレにとっては生涯で唯一の惚れた男になるだろう。
それを失う恐怖と溢れ出る愛しさで思わず身体に力が入ったのか、シオンが起きちまった。
「ん……メルヴィン、まだ起きてたのか。……あ、俺が重かった?ごめん、今降りる…。」
「いや、お前さんさえ良けりゃあこのままでいてくれ。」
「良いのか?うれし…。メルヴィンのふわふわ雄っぱい気持ち良くてだいすき。」
「そりゃあありがとうよ。しかしお前さんも飽きねえな。」
「だってメルヴィンの雄っぱいだもん、飽きるわけないよ…はむっ…ちゅ。」
寝惚けて気持ち良さそうにはむはむ甘噛みしてるし、よく分からねえ理屈だが飽きられねえならかまわねえか。
それに気を良くしてポロッと本音がこぼれた。
「なあ、シオン。本当はオレだってお前さんを抱いて気持ち良くしてやりたいんだ。今日もなあ、お前さんのお前さんを手と口で可愛がるハズだったんだ。嫌がられなかったら慎ましい雄っぱいも。
なのにお前さんのカオを見ちまったらお前さんに抱かれたくなっちまう。オレをこんなにしやがって。お前さんのせいだぞ。」
「一応聞くけど、俺に挿れたいわけじゃないんだろ?」
「そうだな。でも突っ込むだけが『抱く』ってことじゃねえだろ。
オレに覆い被さってるお前さんに縋り付きてえ。
お前さんに乗っかって腰を振りたくって搾り取ってやりてえ。
オレにできることなら何だって…。
だがオレの体重がな…。ヘタすりゃあお前さんを潰しちまう。
減量してお前さんの大好きな雄っぱいを減らすワケにもいかねえし。まあオレは元々がデカいから減量したってたかが知れてるけどな。」
「メルヴィン…。心の内を明かしてくれてありがとう。俺はね、メルヴィンが俺を好きって思ってくれて幸せ。俺に抱かれてくれるだけで幸せ。不満なんて何もないよ。
でもメルヴィンがそう言ってくれるなら俺も頑張る。だから少し待ってて。」
「ん?よく分からんが分かった。オレは待てば良いんだな?ただ、無理はすんなよ。」
「うん!」
オレは深く考えてなかったが、このときシオンは重力魔法を習得する決心をしたらしい。
結果は……まあ…、お察しってヤツだ。
オレの旦那サマは器用過ぎるぜ。
◇◇◇◇◇
ふわふわ雄っぱいに包まれて起きる朝は最高だ。
頬ずりして揉んでしまうのは仕方ない。
ただ、それでメルヴィンを起こしてしまうのは申し訳ないと思っている。
「おはよう、メルヴィン…ちゅ。昨日は思ってること、教えてくれて嬉しかった。」
「……ん?おはようさん…ちゅう。あー、お前さん寝惚けてたから覚えてないと思ったぜ。」
「忘れないよ。メルヴィンの悩みは早急にどうにかするから。」
眠たい頭で考えたんだ。
身体強化でも大丈夫そうだけど、身体に指とか食い込んで痛そうだ。
あと骨折とかしそう…。
もっと根本的に解決するにはメルヴィンを軽くすれば良い。
ということで重さや引力を操る重力魔法の習得を目指すことにした。
目に見えないものだから今まで以上に想像力が必要だと思うけど、どうにかしてやる。
俺たちの豊かな性生活のために!
「………お前さん、そんなおキレイな顔してんのに結構な俗物だよな。まあ、ソコも良いんだけどな…ちゅ。」
どうやら後半は考えていることが口から出てしまったらしい。
「ははっ、ありがと。」
そんな感じでいちゃついているとジェイデンがやってきた。
「おはようございます、旦那様、メルヴィン。おや、今朝は歯形が一つだけですか。」
「んちゅ…おはよう、ジェイデン。歯形はね、キスしたいのにできないとき、さみしくて付けていたみたいなんだ。」
「ということは昨夜はたくさんキスできたということでしょうか?」
「うん、そうなんだ。あ、朝食もらってくるよ。」
「ええ、お願いします。」
その後、三人で美味しい朝食をいただいて、ジェイデンに中庭の隅に置いてあった煉瓦のブロックをいくつかもらった。
これで重力魔法の練習ができる!と意気揚々と試してみたら木端微塵にしてしまい、慌てて《リペア》した。
試行錯誤して分かったのは、加圧や加重することの方が簡単だということ。
俺がやりたいのはメルヴィンの軽量化だから難しい。
あと、寝惚けた状態でいきなりメルヴィンに魔法をかけなかった自分を褒めたいと思う。
俺は魔力が多いらしいから、加減しないと魔法で得られる結果が極端になってしまう。
身体強化のときもそうだったしな。
重力魔法よりも《リペア》の練度が上がりそうな現実にため息がでるが、メルヴィンのためにも諦めずに頑張りたい。
✽✽✽✽✽
本日は1話です。
明日か明後日にもう1話更新できたら…と思っています。
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