ダメな方の異世界召喚された俺は、それでも風呂と伴侶を愛してる

おりく

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6章 足りないのは我慢なのか適性なのか

感謝SS 03ー2 〜ハロウィンだから

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「もう!なんて魅力的なうさぎさんなのかしら。丁寧に下拵えしてまるごと食べちゃいたいわ…ちゅっ。」

「ジェイデンに食べてもらえるなら本望だ。それにしても今日は華やかでゴージャスでファビュラスだね。鳥類の王様の化身みたい。」

ジェイデンの額は黒真珠のサークレット、髪は羽根で飾られている。
しかも纏っている大判のショールはもっふもふ…いや、もっふぁああっとした羽根でできている。
こんなに豪華な羽根のショールは、アケミさんの衣装保管用マンションでしか見たことがない。

うーん、アケミさんがカラオケで歌う、昭和の不死鳥の歌姫を思い出す。
ちなみにアケミさんの十八番は「愛燦々」だ。

「シオンだって素敵よ。でもこんなに可愛いおヘソまで出すなんて反則だわ!太ももだってこんなにっ!目もともいつもと雰囲気が違うし、メルヴィンだってイチコロだったじゃない!」

「ジェイデンもイチコロにできたかな?」

「もうっ!ハートを鷲掴みにされっぱなしよ!鳥はわたしの方なのに!ちゅっ、ちゅぅ、ちゅうぅ!」

ジェイデンに褒めてもらえてすっかりご機嫌だ。
これで今日の目標の半分は達成できたな。

「だったら嬉しい。ちなみにどんな鳥の仮装なんだ?」

「分からない?…あっ!シオンは遠い国の出身だから知らないのね。
これはね、本来はとっても地味なのだけれど、番を見つけると美しく姿を変える伝説の鳥の仮装よ。現実には存在しないから魔境で化物を狩ってきて、その羽根を代用しているの。似合うかしら?」

「うん!それに綺麗な羽根を使っているってことは、ジェイデンは番う相手を見つけたってことだよな?」

「ええ、そのとおりよ。」

「ねえジェイデン…。俺は自惚れてもいいんだろうか?」

「自惚れなんかじゃないわ。わたしの番う相手はあなただけ。愛しているわ、シオン…ちゅ。」

「俺も…ん、ちゅぅ。」

「はあ、名残惜しいけれどお料理もお酒も楽しまないとね。今日は以前あなたが《保温》を付与してくれた大皿も使っているのよ。
さあ、集まってくれた皆さんも、会費のを取って帰れるようにたくさん召し上がれ!
それと、お酒を飲むとしたくなるでしょう?中庭に仮設のレストルームを準備してあるの。そちらも使ってちょうだいね。」

それを聞いて若干前屈みになっているギャラリーの数人がコソコソと動き出した。
さすがジェイデン、誘導も巧みだ。

しゃがみ込んで動けない人は………まあ、頑張ってくれ。

そんな彼らにメルヴィンがとどめを刺す。

「お前さん、覚悟しろ。今日こそは思い知らせてやる。泣いたってやめてやらねえからな。」

そんなことを言うワリに、いつも返り討ちにされているのは自分なのに懲りない男だ。

「望むところだ。『もう打ち止めだ』って泣きを入れるのはいつだってメルヴィンだからな。期待してる。」

「わたしだって!シオンに満足してもらえるように頑張るわ!パーティーの後はたくさん愛し合いましょうね。
それと、あっちにフェイトちゃんとラースちゃんがいるわよ。ラースちゃんは可哀想なことになっているみたいだけど、フェイトちゃんは大丈夫みたいね。」

盛り上がりはじめた参加者をすり抜けて二人がいる場所に行くと、ラースはばっちり前屈みだった。
「前が痛ぇ」とか言ってるのは聞こえないフリをしてやる。

「フェイト、ラース、俺の仮装はどうだ?似合っているか?」

せっかくだからポージングして、いろんな角度から見てもらう。
いつも純粋に俺を慕ってくれるフェイトへのサービスも兼ねて。

「はい、とっても!おヘソは可愛いのに割れた腹筋は格好良いし、甘いレース生地との対比が際立ちますね!それに長めのベルスリーブから見える指先がとっても色っぽいです!もちろんうさ耳もお似合いですし、オープントゥのショートブーツも最高です!
ふあぁっ!背中まで透けるレースなんですね!」

今日はペディキュアまで抜かりなく塗ってるからな。

「褒めてくれてありがとう。フェイトはキツネかな?大きな耳が可愛いし、よく似合ってる。もふもふな尻尾まで動くなんてすごいな。」

「えへへっ、これはメルヴィンさんの尻尾と同じ魔道具なんです!メルヴィンさんから受けた虎の尻尾を作る依頼のついでに自分の尻尾も作ってみました。魔力の流れを感知して動くんですよ。」

「へぇ!俺のうさぎ尻尾も頼めばよかったな…。なあ、あんたも何か言えよ、ラース。」

「うぅ…俺は今それどころじゃねえ…っぐ。」

ちなみにラースの仮装は吸血鬼。
それにしても日に焼けてすっごく健康的なガチムチ吸血鬼って斬新だな。
ラースも元がイイ男だから衣装自体は似合っているが、吸血鬼の定義に一石を投じるつもりなんだろうか。

「むう…。せっかく気合いを入れて仮装したのに。」

「悪いがその格好で俺の視界に入らないでくれ。…っぅぅ。それにだ、こんなに俺に近づいたらアンジェラさんとキティさんが妬くんじゃねえか?」

「確かにあんたじゃなければ警戒するだろうな。」

「あ?そりゃどういうことだ?」

「メルヴィンとジェイデンはあんたに一目置いてる。ちょっと特殊な特別っぽいぞ。」

あの二人はラースが行動を起こすのを待っている節があるからな。

「は?」

「あっ、ニコルたちだ。じゃあまたな!」

「おい!言い逃げかよ!……チっ!その格好似合い過ぎだぞ、シオン!」

ラースらしい褒め言葉を背中に受けてニコルたちのところへ行く。
彼女たちの仮装は人気小説の勇者一行。
魔法使いのラーナが勇者、食いしん坊でお転婆娘のアルシェが聖女、剣士ニコルが賢者だった。
ハンターの装備と大差ない仮装だが、いつものジョブと違うと新鮮で、こういう仮装もありだなと思った。

他にもルーシャたちギルドの職員さんや、依頼で知り合った人たちと談笑して楽しい時間を過ごすことができた。

もちろん宣言どおり、ジェイデンとはたくさんベッドで愛し合った。
この日も可愛くあんあん啼いてくれて最高だった。

メルヴィンは今回も返り討ちにしてやった。
ひんひんガチ泣きしていたけど自業自得だよな?

たとえリングでは最強のタイガーマスクでも、ベッドじゃあ年中無休で発情期のうさぎに勝てるワケが無いんだから。
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