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6章 足りないのは我慢なのか適性なのか
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食後のお茶を一気に飲み干し、メルヴィンは早々と自室に戻った。
体力の消耗よりも、たくさん頭を使った上に気疲れしたらしい。
肉体的な疲れなら癒やせるのに…と悔しい思いをしたが、何もできないのはもっと悔しい。
だからおやすみのキスをしたときに、一本3000円のアケミさん御用達の栄養ドリンクを差し入れしてみた。
「コレは効くわよっ!」って言ってたし、少しでも元気になってくれると良いけど…。
メルヴィンを見送ってから、もう一人の元気になってほしい人と一緒にソファに座る。
手を繋いで、離れていた間のことをお互いに話していく。
既にメルヴィンから聞いて知っていることでも、きっと俺から直接聞きたいと思っているだろうし、より安心してもらえるだろう。
それに俺だってジェイデンのことを知りたい。
「そのようなことがあったのですね。本当によく無事に帰ってきてくれました。」
「うん。でも加減無しで身体強化できる相手だったから、返ってやりやすかったかも。」
ギルドで微調整ができるように練習しているけど、まだ満足できる域には達していない。
全力で身体強化する方が簡単だ。
「ふふっ、それは頼もしいですね。」
やっといつものジェイデンの笑顔が見られて嬉しい。
穏やかで優しい表情に思わず見入ってしまう。
「どうかされましたか?」
「ん?ジェイデンの笑顔が好きだな…って。ああ、そんなに頬を染めて…。食べてしまいたくなる。
そうだ、今度休日が揃ったら三人で一緒に今回お世話になった農場に行かないか?野菜も果物も美味しかったし、果実酒も漬けているんだって。手紙で収穫を体験させてもらえないか頼んでみるよ。後でもらってきたお土産も渡すから期待してて。」
昨日はメルヴィンが登場してちょっとした騒ぎになったけど、二度目ならそんなに驚かれることもないはず。
ジェイデンのことも知ってるから、三人で訪ねても良いだろう。
「それは嬉しいお誘いです。新鮮な素材を使った美味しい料理を旦那様に食べてもらえますし、今から楽しみですね。」
「そうだな。ジェイデンは料理上手だから期待してる。持たせてくれたフリッターもありがとう。ハンクさんには申し訳ないけど、あれが一番美味しかった。
今日は農場の人が採れたての野菜で朝食を作ってくれたんだけど、ジェイデンの手料理がないとどこか寂しくてな…。
宿のことで忙しくしてるあなたにお願いするのは心苦しいんだけど、泊まりがけで出かけるときには何か一品作ってくれると嬉しい。」
「ええ、喜んで!むしろ手料理なんて重いと嫌がられなくて安心しました。」
ジェイデンの輝く笑顔が眩しい。
俺のことが大好きだって言われてるみたいで少し照れるな。
「ジェイデンが俺のためにしてくれたのに、そんなこと思うわけない。あなたの気持ちが嬉しかった。一回の食事に一つずつ、ちゃんと味わって食べたから。」
「そっ、そうでしたか。そこまで喜んでもらえるなんて、妻冥利に尽きますね。次はどんなものを作りましょうか…。何か要望はありますか?」
「んー…。あ、手間が増えて申し訳ないんだけど、小分けにしてもらえると嬉しいかな。串に刺して一食分とか。あと、日数より少し多めに持たせてほしい。」
弁当の中身全てがジェイデンの手作りじゃなくても構わない。
だが、毎食何かお手製のものを食べたいと思ってしまう。
贅沢だとは思うが是非ともお願いしたい。
「分かりました、料理長にも相談して考えてみますね。参考に教えてほしいのですが、今日の夕食はいかがでしたか?」
「フィッシュフライとタルタルソースの組み合わせも捨てがたいけど、ほうれん草とチーズのラビオリが一番かな。」
どの料理も味は良かった。
でもラビオリは食べたらこう…ほっこりしたんだ。
心身にじんわりと染み渡る感じかな。
評論家じゃないから上手く言えないけど。
「ラビオリはわたしが作りました。お気に召してもらえて嬉しいです。あっ!でも、味付けは料理長がしてくれたので、わたしが一人で作ったものではないのですが…。」
ジェイデンが作ってくれたものが一番美味しく感じるのはどうしてだろう。
愛情が入っているからか?
それとも愛情たっぷりの魔力が何かに作用しているとか?
何にしても愛のなせるワザだと良いな。
「そうだとしても嬉しい気持ちは減ったりしないし、感謝しているよ。大好きで大切な人が俺を思ってくれているんだから。
でもね、ジェイデン。だからこそあなたも自分を大切にしてほしい。」
「っ!旦那様…。」
上手く誤魔化せていると思っていたんだな、ジェイデンは。
こんなに分かりやすいことを俺が見逃すはずがないだろう?
「昨日は眠れた?」
「いえ、落ち着いていられなくて……。」
シュンとさせてしまって申し訳ない。
責めているわけじゃないんだ。
分かってもらえるだろうか…?
「そうか。無理に眠れとは言わない。でも、もし次にそうなったときはベッドに横になって目を瞑って?」
「……分かりました。」
「約束だよ。それと、食事も抜いていたんじゃないか?これも無理に食べろなんて言わない。その代わり水分はちゃんととろう。ハンクさんに頼めば野菜や果物をジュースにしてくれるだろ?
俺の大好きなぷるぷるの唇がひび割れて痛そうだ。それなのにおかえりのキスをねだった俺を許してくれ。」
「もちろんです。いつもどおりに振る舞えていると思っていたのに、旦那様にいらぬ心配をかけてしまうとは…。」
増々萎れてしまった。
そんな顔をさせたいわけじゃないけど、分かってほしいんだ。
「今回はいきなり化物に遭遇したし仕方ないよ。ただ、ジェイデンが俺を大切に思ってくれているのと同じように、俺もジェイデンを大切に思っているのを忘れないでくれ。」
体力の消耗よりも、たくさん頭を使った上に気疲れしたらしい。
肉体的な疲れなら癒やせるのに…と悔しい思いをしたが、何もできないのはもっと悔しい。
だからおやすみのキスをしたときに、一本3000円のアケミさん御用達の栄養ドリンクを差し入れしてみた。
「コレは効くわよっ!」って言ってたし、少しでも元気になってくれると良いけど…。
メルヴィンを見送ってから、もう一人の元気になってほしい人と一緒にソファに座る。
手を繋いで、離れていた間のことをお互いに話していく。
既にメルヴィンから聞いて知っていることでも、きっと俺から直接聞きたいと思っているだろうし、より安心してもらえるだろう。
それに俺だってジェイデンのことを知りたい。
「そのようなことがあったのですね。本当によく無事に帰ってきてくれました。」
「うん。でも加減無しで身体強化できる相手だったから、返ってやりやすかったかも。」
ギルドで微調整ができるように練習しているけど、まだ満足できる域には達していない。
全力で身体強化する方が簡単だ。
「ふふっ、それは頼もしいですね。」
やっといつものジェイデンの笑顔が見られて嬉しい。
穏やかで優しい表情に思わず見入ってしまう。
「どうかされましたか?」
「ん?ジェイデンの笑顔が好きだな…って。ああ、そんなに頬を染めて…。食べてしまいたくなる。
そうだ、今度休日が揃ったら三人で一緒に今回お世話になった農場に行かないか?野菜も果物も美味しかったし、果実酒も漬けているんだって。手紙で収穫を体験させてもらえないか頼んでみるよ。後でもらってきたお土産も渡すから期待してて。」
昨日はメルヴィンが登場してちょっとした騒ぎになったけど、二度目ならそんなに驚かれることもないはず。
ジェイデンのことも知ってるから、三人で訪ねても良いだろう。
「それは嬉しいお誘いです。新鮮な素材を使った美味しい料理を旦那様に食べてもらえますし、今から楽しみですね。」
「そうだな。ジェイデンは料理上手だから期待してる。持たせてくれたフリッターもありがとう。ハンクさんには申し訳ないけど、あれが一番美味しかった。
今日は農場の人が採れたての野菜で朝食を作ってくれたんだけど、ジェイデンの手料理がないとどこか寂しくてな…。
宿のことで忙しくしてるあなたにお願いするのは心苦しいんだけど、泊まりがけで出かけるときには何か一品作ってくれると嬉しい。」
「ええ、喜んで!むしろ手料理なんて重いと嫌がられなくて安心しました。」
ジェイデンの輝く笑顔が眩しい。
俺のことが大好きだって言われてるみたいで少し照れるな。
「ジェイデンが俺のためにしてくれたのに、そんなこと思うわけない。あなたの気持ちが嬉しかった。一回の食事に一つずつ、ちゃんと味わって食べたから。」
「そっ、そうでしたか。そこまで喜んでもらえるなんて、妻冥利に尽きますね。次はどんなものを作りましょうか…。何か要望はありますか?」
「んー…。あ、手間が増えて申し訳ないんだけど、小分けにしてもらえると嬉しいかな。串に刺して一食分とか。あと、日数より少し多めに持たせてほしい。」
弁当の中身全てがジェイデンの手作りじゃなくても構わない。
だが、毎食何かお手製のものを食べたいと思ってしまう。
贅沢だとは思うが是非ともお願いしたい。
「分かりました、料理長にも相談して考えてみますね。参考に教えてほしいのですが、今日の夕食はいかがでしたか?」
「フィッシュフライとタルタルソースの組み合わせも捨てがたいけど、ほうれん草とチーズのラビオリが一番かな。」
どの料理も味は良かった。
でもラビオリは食べたらこう…ほっこりしたんだ。
心身にじんわりと染み渡る感じかな。
評論家じゃないから上手く言えないけど。
「ラビオリはわたしが作りました。お気に召してもらえて嬉しいです。あっ!でも、味付けは料理長がしてくれたので、わたしが一人で作ったものではないのですが…。」
ジェイデンが作ってくれたものが一番美味しく感じるのはどうしてだろう。
愛情が入っているからか?
それとも愛情たっぷりの魔力が何かに作用しているとか?
何にしても愛のなせるワザだと良いな。
「そうだとしても嬉しい気持ちは減ったりしないし、感謝しているよ。大好きで大切な人が俺を思ってくれているんだから。
でもね、ジェイデン。だからこそあなたも自分を大切にしてほしい。」
「っ!旦那様…。」
上手く誤魔化せていると思っていたんだな、ジェイデンは。
こんなに分かりやすいことを俺が見逃すはずがないだろう?
「昨日は眠れた?」
「いえ、落ち着いていられなくて……。」
シュンとさせてしまって申し訳ない。
責めているわけじゃないんだ。
分かってもらえるだろうか…?
「そうか。無理に眠れとは言わない。でも、もし次にそうなったときはベッドに横になって目を瞑って?」
「……分かりました。」
「約束だよ。それと、食事も抜いていたんじゃないか?これも無理に食べろなんて言わない。その代わり水分はちゃんととろう。ハンクさんに頼めば野菜や果物をジュースにしてくれるだろ?
俺の大好きなぷるぷるの唇がひび割れて痛そうだ。それなのにおかえりのキスをねだった俺を許してくれ。」
「もちろんです。いつもどおりに振る舞えていると思っていたのに、旦那様にいらぬ心配をかけてしまうとは…。」
増々萎れてしまった。
そんな顔をさせたいわけじゃないけど、分かってほしいんだ。
「今回はいきなり化物に遭遇したし仕方ないよ。ただ、ジェイデンが俺を大切に思ってくれているのと同じように、俺もジェイデンを大切に思っているのを忘れないでくれ。」
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