132 / 170
5章 風呂とかき氷と甘々の目撃者たち
27 〜値付け ジェイデンとフェイト
しおりを挟む
「こんばんは、今日は皆さんお揃いなんですね!」
声の主を振り返ればフェイトだった。
「あらフェイトちゃん、これから夕飯かしら?」
「そのつもりだったんですけど、シオンさんが居るならお話ししたいことがあるんです。少しお時間をもらえますか?」
「大丈夫だけど、どうしたんだ?」
フェイトが俺に用事なら魔道具関連かな。
何か進展があったか行き詰まったか……さすがに水の魔道具の完成はまだだろうし。
「シオンさんが宿泊費の代わりにした『ひえひえカップ』と『ほかほかカップ』のレシピ登録のことなんですけど、協力金のことを決めたいなと思って。」
何でも商業ギルドに魔道具のレシピを登録をすると、レシピの売買ができるようになって、登録したレシピが売れたり買われたレシピで魔道具が作られると収入になるらしい。
その魔道具の元になった付与をした俺にも売り上げからいくらか支払われる仕組みになっている、と。
「あのカップね!気付かないお客さんもいるけど概ね好評よ。エールが冷たいままだから最後まで美味しく飲めるって。」
ジェイデンの口から好評だと聞くと、損をさせてないっていうことと喜んでもらえてるってことにホッとする。
しかしそのまんまだが、えらく可愛らしいネーミングだ。
「今回は高額商品ではないので、シオンさんの取り分は2割5分でどうですか?」
笑顔で提案してくれてるけど、これは断れないヤツだ。
フェイトの指を再生させたときと同じ種類の圧力をひしひしと感じる……。
「ちなみに普通はどのくらいの割合なんだ?」
「ええと、物によりますが1割から3割ですね。一点物とか複雑で高額な物になると5割を越える事もありますけど。」
「うーん……。ちょっと気になってる魔道具があるんだけど、俺の取り分を放棄して魔道具を作ってもらうのはアリかな?」
「そうですね、僕が作れる物なら。あまり低価格なら追加してもらいますけど。」
「映像を記録する魔道具が欲しいんだ。どうかな?」
何かあったときの証拠として異世界モノの定番の魔道具だし、俺も自衛のために入手しておきたいと思ったのだ。
多分魔法でも記録できると思うけど、俺に都合の良い映像を作ったとか言われて証拠能力を疑われるかもしれないし。
「ああ『ハンディカム』ですね!それなら特許も切れててフリーレシピになってますし、作ったこともありますから大丈夫ですよ。」
ハンディカムって!
十中八九、過去の召喚者が作ったヤツなんだろうなぁ。
「じゃあそれで頼む。」
「わかりました!」
「そちらのお話しが終わった直後に申し訳ないのだけれど、わたしもフェイトちゃんにお願いがあるの。食事の後で時間があったら魔法を付与してもらった物の値付けに協力してもらえないかしら?お礼は今日の夕食なんていかが?」
「もちろんお手伝いさせてもらいます!」
「じゃあお願いするわね。シオンとメルヴィンはそろそろ部屋に戻ったら?もういい時間よ。」
言われてみればその通りだ。
メルヴィンを愛でる時間が減ってしまう!
「じゃあそろそろお暇しようかな。おやすみジェイデン…ちゅ。フェイトもおやすみ。魔道具、楽しみに待ってる。行こうメルヴィン。」
「お、おう。じゃあな。」
ジェイデンにおやすみのキスをして、メルヴィンの部屋に向かう背中に声が届く。
「キティさんどうしたんですか?随分静かでしたけど…。」
「ふふっ、シオンと二人きりで夜を過ごすから緊張してただけよ。心配いらないわ。」
「そっ、そうですか!」
見上げると図星だったのかメルヴィンの顔が真っ赤だ。
俺の嫁は本当に堪らなく可愛い。
◇◇◇◇◇
「フェイトちゃん、お待たせしたわね。このお皿なんだけど…どう思う?」
「…………こんなに大きいのに全然歪んでないし、形もピッタリ揃ってるなんて凄いですね。しかも絵付けまで。貴族からの払い下げでもあったんですか?」
「やっぱりそのクラスの品物だと思うわよね…。これはね、バイキング用にってシオンが用意して保温の魔法を付与してくれた物なの。ウチの備品になるから代金を支払いたくて相談させてもらったのだけれど、フェイトちゃんの見立てではいくらくらいかしら?」
「お皿そのものの価値についてはアンジェラさんの方が詳しいと思いますけど…これ、硬化も付与されてますよ?僕が同じ付与をするなら銀貨2枚から3枚(2~3万円)くらいいただきたいですね。」
「えっ!硬化もなの?はぁ、きっと長く使えるように気を遣ってくれたのね。」
「それなら硬化は知らなかったことにした方が良さそうですね。保温だけなら銀貨1枚と大銅貨3枚くらいかな。お皿は大銀貨1枚(10万円)くらいでしょうか…。」
「やっぱり大銀貨よね…。品物に見合った代金を支払いたいけど、そうするとシオンは喜びそうにない金額になっちゃうの。付けた値段の半額でって言ってくれたけど、本当ならこのお皿1枚は大銀貨1枚と銀貨3枚でしょ?」
「ちなみにこのお皿って何枚あるんですか?」
「30枚よ。」
「さんじゅう……。」
「そうよ、30枚。全部で金貨3枚と大銀貨9枚の半額で金貨1枚と大銀貨9枚と銀貨5枚……まあキリ良く金貨2枚(200万円)ね。」
「それは確かに不本意そうです。そもそもシオンさんの故郷は焼き物の技術が発達していて、この国ほど高額ではないのかもしれませんね。うーん……、お皿1枚大銀貨1枚で説得してみては?」
「そうすると金貨3枚の半額だから金貨1枚と大銀貨5枚ね。それでも高価過ぎるって言われそうよ…。」
「うーん…いっそシオンさんに必要そうな物での支払いの方が喜んでもらえるかもしれませんよ?ハンターのお仕事関連で何かありませんか?」
「そうね……。あっ!転移陣の使用許可証なんてどうかしら?」
「良いんじゃないですか?移動の時間が短縮されれば帰宅も早くなりますし。ちなみにおいくらなんですか?」
「確か金貨1枚よ。実際に転移陣を使うときには別途で使用料金と魔力か魔石が必要だけど、Bランクくらいから持ちはじめるわね。」
「シオンさんなら魔力は問題ありませんし、恋人の時間も確保できそうですね。」
「まあ!フェイトちゃんたら!嬉しいからデザートもオマケしちゃうわ!」
声の主を振り返ればフェイトだった。
「あらフェイトちゃん、これから夕飯かしら?」
「そのつもりだったんですけど、シオンさんが居るならお話ししたいことがあるんです。少しお時間をもらえますか?」
「大丈夫だけど、どうしたんだ?」
フェイトが俺に用事なら魔道具関連かな。
何か進展があったか行き詰まったか……さすがに水の魔道具の完成はまだだろうし。
「シオンさんが宿泊費の代わりにした『ひえひえカップ』と『ほかほかカップ』のレシピ登録のことなんですけど、協力金のことを決めたいなと思って。」
何でも商業ギルドに魔道具のレシピを登録をすると、レシピの売買ができるようになって、登録したレシピが売れたり買われたレシピで魔道具が作られると収入になるらしい。
その魔道具の元になった付与をした俺にも売り上げからいくらか支払われる仕組みになっている、と。
「あのカップね!気付かないお客さんもいるけど概ね好評よ。エールが冷たいままだから最後まで美味しく飲めるって。」
ジェイデンの口から好評だと聞くと、損をさせてないっていうことと喜んでもらえてるってことにホッとする。
しかしそのまんまだが、えらく可愛らしいネーミングだ。
「今回は高額商品ではないので、シオンさんの取り分は2割5分でどうですか?」
笑顔で提案してくれてるけど、これは断れないヤツだ。
フェイトの指を再生させたときと同じ種類の圧力をひしひしと感じる……。
「ちなみに普通はどのくらいの割合なんだ?」
「ええと、物によりますが1割から3割ですね。一点物とか複雑で高額な物になると5割を越える事もありますけど。」
「うーん……。ちょっと気になってる魔道具があるんだけど、俺の取り分を放棄して魔道具を作ってもらうのはアリかな?」
「そうですね、僕が作れる物なら。あまり低価格なら追加してもらいますけど。」
「映像を記録する魔道具が欲しいんだ。どうかな?」
何かあったときの証拠として異世界モノの定番の魔道具だし、俺も自衛のために入手しておきたいと思ったのだ。
多分魔法でも記録できると思うけど、俺に都合の良い映像を作ったとか言われて証拠能力を疑われるかもしれないし。
「ああ『ハンディカム』ですね!それなら特許も切れててフリーレシピになってますし、作ったこともありますから大丈夫ですよ。」
ハンディカムって!
十中八九、過去の召喚者が作ったヤツなんだろうなぁ。
「じゃあそれで頼む。」
「わかりました!」
「そちらのお話しが終わった直後に申し訳ないのだけれど、わたしもフェイトちゃんにお願いがあるの。食事の後で時間があったら魔法を付与してもらった物の値付けに協力してもらえないかしら?お礼は今日の夕食なんていかが?」
「もちろんお手伝いさせてもらいます!」
「じゃあお願いするわね。シオンとメルヴィンはそろそろ部屋に戻ったら?もういい時間よ。」
言われてみればその通りだ。
メルヴィンを愛でる時間が減ってしまう!
「じゃあそろそろお暇しようかな。おやすみジェイデン…ちゅ。フェイトもおやすみ。魔道具、楽しみに待ってる。行こうメルヴィン。」
「お、おう。じゃあな。」
ジェイデンにおやすみのキスをして、メルヴィンの部屋に向かう背中に声が届く。
「キティさんどうしたんですか?随分静かでしたけど…。」
「ふふっ、シオンと二人きりで夜を過ごすから緊張してただけよ。心配いらないわ。」
「そっ、そうですか!」
見上げると図星だったのかメルヴィンの顔が真っ赤だ。
俺の嫁は本当に堪らなく可愛い。
◇◇◇◇◇
「フェイトちゃん、お待たせしたわね。このお皿なんだけど…どう思う?」
「…………こんなに大きいのに全然歪んでないし、形もピッタリ揃ってるなんて凄いですね。しかも絵付けまで。貴族からの払い下げでもあったんですか?」
「やっぱりそのクラスの品物だと思うわよね…。これはね、バイキング用にってシオンが用意して保温の魔法を付与してくれた物なの。ウチの備品になるから代金を支払いたくて相談させてもらったのだけれど、フェイトちゃんの見立てではいくらくらいかしら?」
「お皿そのものの価値についてはアンジェラさんの方が詳しいと思いますけど…これ、硬化も付与されてますよ?僕が同じ付与をするなら銀貨2枚から3枚(2~3万円)くらいいただきたいですね。」
「えっ!硬化もなの?はぁ、きっと長く使えるように気を遣ってくれたのね。」
「それなら硬化は知らなかったことにした方が良さそうですね。保温だけなら銀貨1枚と大銅貨3枚くらいかな。お皿は大銀貨1枚(10万円)くらいでしょうか…。」
「やっぱり大銀貨よね…。品物に見合った代金を支払いたいけど、そうするとシオンは喜びそうにない金額になっちゃうの。付けた値段の半額でって言ってくれたけど、本当ならこのお皿1枚は大銀貨1枚と銀貨3枚でしょ?」
「ちなみにこのお皿って何枚あるんですか?」
「30枚よ。」
「さんじゅう……。」
「そうよ、30枚。全部で金貨3枚と大銀貨9枚の半額で金貨1枚と大銀貨9枚と銀貨5枚……まあキリ良く金貨2枚(200万円)ね。」
「それは確かに不本意そうです。そもそもシオンさんの故郷は焼き物の技術が発達していて、この国ほど高額ではないのかもしれませんね。うーん……、お皿1枚大銀貨1枚で説得してみては?」
「そうすると金貨3枚の半額だから金貨1枚と大銀貨5枚ね。それでも高価過ぎるって言われそうよ…。」
「うーん…いっそシオンさんに必要そうな物での支払いの方が喜んでもらえるかもしれませんよ?ハンターのお仕事関連で何かありませんか?」
「そうね……。あっ!転移陣の使用許可証なんてどうかしら?」
「良いんじゃないですか?移動の時間が短縮されれば帰宅も早くなりますし。ちなみにおいくらなんですか?」
「確か金貨1枚よ。実際に転移陣を使うときには別途で使用料金と魔力か魔石が必要だけど、Bランクくらいから持ちはじめるわね。」
「シオンさんなら魔力は問題ありませんし、恋人の時間も確保できそうですね。」
「まあ!フェイトちゃんたら!嬉しいからデザートもオマケしちゃうわ!」
10
お気に入りに追加
546
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。



王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

○○に求婚されたおっさん、逃げる・・
相沢京
BL
小さな町でギルドに所属していた30過ぎのおっさんのオレに王都のギルマスから招集命令が下される。
といっても、何か罪を犯したからとかではなくてオレに会いたい人がいるらしい。そいつは事情があって王都から出れないとか、特に何の用事もなかったオレは承諾して王都へと向かうのだった。
しかし、そこに待ち受けていたのは―――・・


俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる