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5章 風呂とかき氷と甘々の目撃者たち
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ロバートさんとお茶をして馴染みのお茶屋さんを教えてもらった。
暗くなるまでに時間があったので覗いてみると、たくさんのお茶の中に玄米茶を見つけた。
元の世界で好きだったから嬉しくなって購入して、散策しながら宿への道を歩いた。
宿に着いてジェイデンの姿を探すと酒場で作業中だった。
品出しだろうか、担いでいた酒樽をカウンターに置いて注ぎ口を取り付けている。
それにしても樽を担いでいたときの僧帽筋と広背筋の逞しさがヤバい。
前腕も上腕も良いけど、働く男の背中が素敵過ぎる。
こう…バキッ!という感じで格好良くて羨ましい。
思わず飛び付きたくなったくらいだ。
「ただいまジェイデン。」
頃合いを見て声をかけるとこちらを振り向いて嬉しそうに微笑んで迎えてくれる。
「おかえりなさい、随分早いのね。」
「はは、ギルドでメルヴィンに暗くなる前に帰って来いって言われてな。さあジェイデン…お帰りのキスをして?」
「ええ、ん…ちゅ。……ふふっ、子どもじゃないのに心配性ね。」
「ちゅう……俺もそう思う。でも愛されてるなら良いかな、とも思ってる。」
「そうね…でもわたしもメルヴィンの事を言えないわ。シオンが早く帰って来てくれて嬉しいもの…ちゅっ。あとはあなたにお手紙が届いているわ。受付で預かっているから確認してちょうだいね。わたしはもう少し作業したら着替えてくるから、また後でね…ちゅう。」
今は作業中ということもあってか、ジェイデンは初めて会った時に着ていたようなフリフリのブラウスとぴったりとしたズボンを身に着けている。
「分かった、ありがとう…ちゅっ。」
初めてのキスからたった数日でジェイデンはナチュラルにキスしてくれるようになった。
恥じらいながらも嬉しそうに微笑んでキスをくれる。
その初々しい様子がとても可愛いらしいのに、ベッドでは的確に俺の劣情を煽ってくるから堪らない。
受付で手紙を受け取り差出人を確認すると『コフレ』のセリーヌとあった。
さっそく連絡をくれたと言うことは、色よい返事を期待しても良いのだろうか。
手紙は落ち着いてから読みたいので飲み物が欲しい。
買ったばかりの玄米茶をレストランで飲めないかハンクさんに聞いてみたら「いいぞ」と言ってティーセットとお湯を準備してくれた。
お茶を飲んで一息ついてから手紙を開封して読み進めていくと期待以上の内容だった。
アレをアレナド兄弟と使うところを想像して、思わずニヤけそうになりなが便箋を封筒に収めた。
手紙には「午後ならゆっくりと時間を取れますので、ご都合の良い日に訪ねて頂ければ幸いです。もしくはご指定の日時に『エンジェルスマイル』に伺います。」とあったので、早速明日の午後にでも行ってこよう。
「とってもご機嫌ね、シオン。手紙の相手に妬いちゃいそうだわ。」
着替えたジェイデンが宿に戻ってきた。
今日の仕事着はレースのハイネックのノースリーブに、オフショルダーのブラウスらしい。
少しだけ見える肌がイイ。
「色っぽい内容じゃないから心配いらないよ。」
「…………そう。ごめんなさい…面倒くさいわよね、わたし。」
カウンターに座る俺をバックハグしながら凹んでいる。
このくらいのヤキモチなら可愛いものだし、全く妬かれないよりずっと良い。
「俺宛の手紙を勝手に開封して読んだわけでもないし、気にならないよ。ちなみに差出人はジェイデンが連れて行ってくれた雑貨屋の店長さんだから。」
「ああ…『コフレ』の。」
「欲しい物ができたから昨日も行って来たんだ。売ってなかったから作ってほしいってお願いして、その返事だよ。」
「そうだったの。ちなみに何が欲しいのかしら?わたしとメルヴィンでも手に入れられない物?」
「んー、今はナイショ。お店での販売が始まったら三人で一緒に見に行こうか。ちょっとだけどデートしよう。」
「嬉しいわ!大好きよ、シオン…ちゅう。」
「俺もだよ、ジェイデン…ちゅうぅ。また手を繋いで歩こう。」
俺を抱きしめる腕の力が強くなるが、暖かくて気持ちいい。
後ろを取られているのに怖くないのはジェイデンだからなんだろうな。
「ええ、楽しみに待っているわ。」
ジェイデンが俺に回していた腕を解き、カウンターの中に入ってグラスやカトラリーを磨き始めた。
ついでに夕食の相談をする。
「少し早いけどまだ空いているうちに夕食にする?」
「今日はメルヴィンと一緒に食べようって約束してきたから、メルヴィンの帰宅時間次第かな…。ジェイデンは?」
「そうね…混み合う前ならわたしも一緒に食べようかしら。料理長にお願いしてくるわ。」
ハンクさんとの会話を終えてジェイデンが作業に戻ってきたので、俺も一緒にカトラリーを磨くことにした。
特に会話もないが、穏やかな表情で同じ作業をするジェイデンとの心地よい時間が過ぎていった。
メルヴィンの帰りはいつ頃になるだろうか…なんて考えていたら、意外にもカトラリーを磨き終わってすぐに帰ってきた。
ちょっとゲンナリした顔で。
暗くなるまでに時間があったので覗いてみると、たくさんのお茶の中に玄米茶を見つけた。
元の世界で好きだったから嬉しくなって購入して、散策しながら宿への道を歩いた。
宿に着いてジェイデンの姿を探すと酒場で作業中だった。
品出しだろうか、担いでいた酒樽をカウンターに置いて注ぎ口を取り付けている。
それにしても樽を担いでいたときの僧帽筋と広背筋の逞しさがヤバい。
前腕も上腕も良いけど、働く男の背中が素敵過ぎる。
こう…バキッ!という感じで格好良くて羨ましい。
思わず飛び付きたくなったくらいだ。
「ただいまジェイデン。」
頃合いを見て声をかけるとこちらを振り向いて嬉しそうに微笑んで迎えてくれる。
「おかえりなさい、随分早いのね。」
「はは、ギルドでメルヴィンに暗くなる前に帰って来いって言われてな。さあジェイデン…お帰りのキスをして?」
「ええ、ん…ちゅ。……ふふっ、子どもじゃないのに心配性ね。」
「ちゅう……俺もそう思う。でも愛されてるなら良いかな、とも思ってる。」
「そうね…でもわたしもメルヴィンの事を言えないわ。シオンが早く帰って来てくれて嬉しいもの…ちゅっ。あとはあなたにお手紙が届いているわ。受付で預かっているから確認してちょうだいね。わたしはもう少し作業したら着替えてくるから、また後でね…ちゅう。」
今は作業中ということもあってか、ジェイデンは初めて会った時に着ていたようなフリフリのブラウスとぴったりとしたズボンを身に着けている。
「分かった、ありがとう…ちゅっ。」
初めてのキスからたった数日でジェイデンはナチュラルにキスしてくれるようになった。
恥じらいながらも嬉しそうに微笑んでキスをくれる。
その初々しい様子がとても可愛いらしいのに、ベッドでは的確に俺の劣情を煽ってくるから堪らない。
受付で手紙を受け取り差出人を確認すると『コフレ』のセリーヌとあった。
さっそく連絡をくれたと言うことは、色よい返事を期待しても良いのだろうか。
手紙は落ち着いてから読みたいので飲み物が欲しい。
買ったばかりの玄米茶をレストランで飲めないかハンクさんに聞いてみたら「いいぞ」と言ってティーセットとお湯を準備してくれた。
お茶を飲んで一息ついてから手紙を開封して読み進めていくと期待以上の内容だった。
アレをアレナド兄弟と使うところを想像して、思わずニヤけそうになりなが便箋を封筒に収めた。
手紙には「午後ならゆっくりと時間を取れますので、ご都合の良い日に訪ねて頂ければ幸いです。もしくはご指定の日時に『エンジェルスマイル』に伺います。」とあったので、早速明日の午後にでも行ってこよう。
「とってもご機嫌ね、シオン。手紙の相手に妬いちゃいそうだわ。」
着替えたジェイデンが宿に戻ってきた。
今日の仕事着はレースのハイネックのノースリーブに、オフショルダーのブラウスらしい。
少しだけ見える肌がイイ。
「色っぽい内容じゃないから心配いらないよ。」
「…………そう。ごめんなさい…面倒くさいわよね、わたし。」
カウンターに座る俺をバックハグしながら凹んでいる。
このくらいのヤキモチなら可愛いものだし、全く妬かれないよりずっと良い。
「俺宛の手紙を勝手に開封して読んだわけでもないし、気にならないよ。ちなみに差出人はジェイデンが連れて行ってくれた雑貨屋の店長さんだから。」
「ああ…『コフレ』の。」
「欲しい物ができたから昨日も行って来たんだ。売ってなかったから作ってほしいってお願いして、その返事だよ。」
「そうだったの。ちなみに何が欲しいのかしら?わたしとメルヴィンでも手に入れられない物?」
「んー、今はナイショ。お店での販売が始まったら三人で一緒に見に行こうか。ちょっとだけどデートしよう。」
「嬉しいわ!大好きよ、シオン…ちゅう。」
「俺もだよ、ジェイデン…ちゅうぅ。また手を繋いで歩こう。」
俺を抱きしめる腕の力が強くなるが、暖かくて気持ちいい。
後ろを取られているのに怖くないのはジェイデンだからなんだろうな。
「ええ、楽しみに待っているわ。」
ジェイデンが俺に回していた腕を解き、カウンターの中に入ってグラスやカトラリーを磨き始めた。
ついでに夕食の相談をする。
「少し早いけどまだ空いているうちに夕食にする?」
「今日はメルヴィンと一緒に食べようって約束してきたから、メルヴィンの帰宅時間次第かな…。ジェイデンは?」
「そうね…混み合う前ならわたしも一緒に食べようかしら。料理長にお願いしてくるわ。」
ハンクさんとの会話を終えてジェイデンが作業に戻ってきたので、俺も一緒にカトラリーを磨くことにした。
特に会話もないが、穏やかな表情で同じ作業をするジェイデンとの心地よい時間が過ぎていった。
メルヴィンの帰りはいつ頃になるだろうか…なんて考えていたら、意外にもカトラリーを磨き終わってすぐに帰ってきた。
ちょっとゲンナリした顔で。
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