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5章 風呂とかき氷と甘々の目撃者たち
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目的地に着いて中に入ると、ロバートさんは奥のカウンターで何かを読んでいる最中だった。
「こんにちはロバートさん、お取り込み中かな?」
「おや、今日はどうしました?届けた物のサイズに問題……は無さそうですね。」
「うん、今着ている服も着心地良いよ。こんなに早く仕上げてもらえると思ってなくて驚いた。ありがとう。」
書類から顔を上げてこちらを向いたロバートさんに感謝を伝える。
「今日は客としてきたんじゃないんだ。だから手紙かな?それを先に読んでもらってからでかまわないから時間をもらえると嬉しい。」
「ではお言葉に甘えて。残りは僅かなので少し待っていて下さい。」
「分かった。」
ロバートさんを待つ間、手芸店の布コーナーみたいな棚を見せてもらった。
種類も豊富で見るだけでも楽しい。
しばらくすると声がかかった。
「お待たせしました。家族からの手紙で無事に目的地に着いたという知らせでした。ハンターの護衛依頼中なのですよ。」
安否確認の手紙を出してくれるなんてマメなんだな。
「へえ、じゃあ俺の先輩か。顔を合わせることがあったら挨拶しないと。」
「そのうち家族総出であなたのところに突撃しそうですがね。」
再生した足を指して苦笑いされた。
だがハンターに突撃されるのは圧が凄そうだから遠慮したい。
「ちなみにご家族は何人いるんだ?」
「夫が二人、成人した子どもが三人ですね。」
「ロバートさんの夫々も三人のカップルなのか。」
ニコルたちも三人で愛し合ってるって言ってたもんな。
「ええ、平民なら二人から四人での婚姻が多いですね。同居と子どもの人数を考えるとそれが限界でもありますが。それ以上だとどうしても別居が多くなりますし、不公平感が不和の原因にもなりますから。」
「じゃあ広い家が持てるくらい稼ぎがあって、伴侶を大事にできて、伴侶になる人もできた人じゃないとハーレムって成り立たないんだな…。」
伴侶を複数持つ事が普通でも、平穏な生活を送るには努力と忍耐が必要不可欠なのか。
でも人の営みなんだから当然か。
「あなたは心配いりませんよ。相手はあのメルヴィンとアンジェラですからね。」
「そのジェイデンに言われたんだ。もっと俺の相手は増えるし、増やさないといけなくなるって。でも俺は好きでもない相手をホイホイ伴侶にしたくないし、ハーレムに入れたくない。そうなると人を雇うか寄付することになるって聞いた。だから困ってる。まだまだ先の話だけど本当に厄介な慣習だよ。」
「あの子がそんな事を…。そうなった場合はメルヴィンを序列1位にしておけば大丈夫です。アンジェラも兄を立てて支えるでしょう。どうなるか分かりませんが、あなたたちの幸せを願っておりますよ。」
「うん、ありがとう。できることから頑張るよ。」
「ハンターの仕事は危険を伴いますからね…。どんなに無様でも生きて帰ることこそ肝要です。死んであの二人を悲しませないと約束してくれますか?」
「はい、きっと生きて帰ります。」
ハンターの家族を持ち、自身も足を失っていたロバートさんの言葉には重みがある。
生きて戻ってお帰りのキスをしてもらうためにももっと鍛えよう。
「よろしい。ではあなたの用件を聞きましょうか。」
「ええと、急ぎで服を作ってもらったお礼をするために来たんだけど…。」
真面目な話の後に渡すのが憚られる物なんだよな…。
「私はお代はもらわないと言いましたよ?」
「うん、それは俺も了承した。でも良い物をたくさん作ってもらって嬉しかったから、その気持ち。一応ロバートさんが喜びそうな物を持ってきたつもりなんだけど…。」
そう言ってからカウンターにキャニスターを並べる。
中身はもちろんローションだ。
「あとはこんな物もあるけど…どうだろう。」
次は例のリングだ。
ロバートさんは責めるのが好きそうだから有効利用してくれるだろう。
「これは何です?液体のようですが…。」
「俺の故郷の潤滑剤なんだ。この前渡した下着のことを刺激になって良いって言ってたから、ベッドで使う物なら喜んでもらえると思って。嫌じゃなかったら手に取ってみてくれ。」
躊躇いながらもキャニスターの中身を指に取って擦り合わせると、ロバートさんの表情が変わった。
「……これはっ!」
「この国の潤滑薬と全然違うだろ?雑貨店に持ち込んで商品化を打診してるんだ。」
「きっと商品化されると思います。この滑りは衝撃的ですから。ベッドで使うということはこちらのリングはもしや…。」
「コックリングだ。普通のリングは痛そうで俺は見ていられない。だからこのリングは嵌めたモノの大きさにフィットして変形するんだ。魔法で子種を塞き止めるから痛みは無いし、ブジーと違って尿道を傷付ける心配も無い。ロバートさんなら楽しめるんじゃないかと思って持って来たんだけど…攻め過ぎたかな?」
自分でも顔を合わせるのが2回目の人に贈る物じゃないって分かってるけど、他に何が良いのか思いつかなかったから許して欲しい。
むしろロバートさんの旦那さんたちに謝るべきだろうか…。
「こんにちはロバートさん、お取り込み中かな?」
「おや、今日はどうしました?届けた物のサイズに問題……は無さそうですね。」
「うん、今着ている服も着心地良いよ。こんなに早く仕上げてもらえると思ってなくて驚いた。ありがとう。」
書類から顔を上げてこちらを向いたロバートさんに感謝を伝える。
「今日は客としてきたんじゃないんだ。だから手紙かな?それを先に読んでもらってからでかまわないから時間をもらえると嬉しい。」
「ではお言葉に甘えて。残りは僅かなので少し待っていて下さい。」
「分かった。」
ロバートさんを待つ間、手芸店の布コーナーみたいな棚を見せてもらった。
種類も豊富で見るだけでも楽しい。
しばらくすると声がかかった。
「お待たせしました。家族からの手紙で無事に目的地に着いたという知らせでした。ハンターの護衛依頼中なのですよ。」
安否確認の手紙を出してくれるなんてマメなんだな。
「へえ、じゃあ俺の先輩か。顔を合わせることがあったら挨拶しないと。」
「そのうち家族総出であなたのところに突撃しそうですがね。」
再生した足を指して苦笑いされた。
だがハンターに突撃されるのは圧が凄そうだから遠慮したい。
「ちなみにご家族は何人いるんだ?」
「夫が二人、成人した子どもが三人ですね。」
「ロバートさんの夫々も三人のカップルなのか。」
ニコルたちも三人で愛し合ってるって言ってたもんな。
「ええ、平民なら二人から四人での婚姻が多いですね。同居と子どもの人数を考えるとそれが限界でもありますが。それ以上だとどうしても別居が多くなりますし、不公平感が不和の原因にもなりますから。」
「じゃあ広い家が持てるくらい稼ぎがあって、伴侶を大事にできて、伴侶になる人もできた人じゃないとハーレムって成り立たないんだな…。」
伴侶を複数持つ事が普通でも、平穏な生活を送るには努力と忍耐が必要不可欠なのか。
でも人の営みなんだから当然か。
「あなたは心配いりませんよ。相手はあのメルヴィンとアンジェラですからね。」
「そのジェイデンに言われたんだ。もっと俺の相手は増えるし、増やさないといけなくなるって。でも俺は好きでもない相手をホイホイ伴侶にしたくないし、ハーレムに入れたくない。そうなると人を雇うか寄付することになるって聞いた。だから困ってる。まだまだ先の話だけど本当に厄介な慣習だよ。」
「あの子がそんな事を…。そうなった場合はメルヴィンを序列1位にしておけば大丈夫です。アンジェラも兄を立てて支えるでしょう。どうなるか分かりませんが、あなたたちの幸せを願っておりますよ。」
「うん、ありがとう。できることから頑張るよ。」
「ハンターの仕事は危険を伴いますからね…。どんなに無様でも生きて帰ることこそ肝要です。死んであの二人を悲しませないと約束してくれますか?」
「はい、きっと生きて帰ります。」
ハンターの家族を持ち、自身も足を失っていたロバートさんの言葉には重みがある。
生きて戻ってお帰りのキスをしてもらうためにももっと鍛えよう。
「よろしい。ではあなたの用件を聞きましょうか。」
「ええと、急ぎで服を作ってもらったお礼をするために来たんだけど…。」
真面目な話の後に渡すのが憚られる物なんだよな…。
「私はお代はもらわないと言いましたよ?」
「うん、それは俺も了承した。でも良い物をたくさん作ってもらって嬉しかったから、その気持ち。一応ロバートさんが喜びそうな物を持ってきたつもりなんだけど…。」
そう言ってからカウンターにキャニスターを並べる。
中身はもちろんローションだ。
「あとはこんな物もあるけど…どうだろう。」
次は例のリングだ。
ロバートさんは責めるのが好きそうだから有効利用してくれるだろう。
「これは何です?液体のようですが…。」
「俺の故郷の潤滑剤なんだ。この前渡した下着のことを刺激になって良いって言ってたから、ベッドで使う物なら喜んでもらえると思って。嫌じゃなかったら手に取ってみてくれ。」
躊躇いながらもキャニスターの中身を指に取って擦り合わせると、ロバートさんの表情が変わった。
「……これはっ!」
「この国の潤滑薬と全然違うだろ?雑貨店に持ち込んで商品化を打診してるんだ。」
「きっと商品化されると思います。この滑りは衝撃的ですから。ベッドで使うということはこちらのリングはもしや…。」
「コックリングだ。普通のリングは痛そうで俺は見ていられない。だからこのリングは嵌めたモノの大きさにフィットして変形するんだ。魔法で子種を塞き止めるから痛みは無いし、ブジーと違って尿道を傷付ける心配も無い。ロバートさんなら楽しめるんじゃないかと思って持って来たんだけど…攻め過ぎたかな?」
自分でも顔を合わせるのが2回目の人に贈る物じゃないって分かってるけど、他に何が良いのか思いつかなかったから許して欲しい。
むしろロバートさんの旦那さんたちに謝るべきだろうか…。
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