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5章 風呂とかき氷と甘々の目撃者たち
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「おかえりなさい、シオン。ロバートさんから荷物が届いているわよ。」
宿に帰るとカウンターの奥からジェイデンが迎えてくれた。
俺の顔を見て花咲くように微笑んでくれる。
「ただいま。荷物はここで受け取りか?」
「いいえ、量があったからわたしの家のリビングで預かっているの。夜に来てくれると約束したから、そっちの方が良いかと思って。」
「ん、ありがと。あと昼食のとき料理長が差し入れをくれたんだ。フェイトとラースと一緒に美味しく頂いたよ。こっちもありがとう。」
「いいのよ」と言って笑顔を向けてくれるが、どこかそわそわしている。
原因は分かっているが、コメントするためにも全身が見たいのでカウンターから出てきてもらった。
「それ、新しい服だろ?ホルターネックもワイドパンツも良く似合ってる。今までよりもずっとエレガントで魅力的だよ。」
「嬉しいです、旦那様」と目元を染めながら俺にだけ聞こえる声で囁やいた。
頬と頬が触れ合う程の距離での会話は特別感があって満たされる。
「ふふ、シオンに言われた通り、カウンターに立つのに合わせて着替えてみたの。慣れないうちは裾に気を付けないといけないけれど、気持ちが切り換わって良いわね。こう…よりアンジェラとしてお仕事も頑張ろうってなったの。」
初めて会ったときの寂しそうな笑顔じゃない、輝く笑顔でそう告げるジェイデンはとても美しい。
俺の伴侶が尊くて困る。
「ジェイデンの魅力を引き出す服を作ってくれたロバートさんにお礼しなきゃな。」
あの人は夜に旦那さんと使う物を喜んでくれそうだから、準備しておこう。
ポジションの邪推とか、野暮なことはしない。
どっちでも良いし、どっちも良い…ってな。
「そうね。急ぎでシオンの普段着とわたしたちの仕事着を仕立ててくれたみたいだから、レストランに招待しようかしら。」
「良いんじゃないか?ここの食事は美味いし。」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。メルヴィンはまだ帰ってないけど、夕飯はレストランで良いかしら。何かリクエストはある?」
残念ながらメルヴィンは帰りに用事があるらしく、一緒に帰って来れなかった。
「どんな料理があるか良くわからないからジェイデンに任せるよ。ただ、身体を動かしてきたからがっつり食べたいな。」
「わかったわ。カウンターのお席で待っててちょうだいね。」
言われた通りにカウンター席に座ってから認識阻害の魔法を発動した。
理由は単純に食事中に絡まれるのを防ぐためだ。
折角便利なモノを使えるようになったのだから、最大限に利用してやろう。
しばらくするとジェイデンが出来立ての料理を運んできてくれた。
「お待たせ。ディナーセットと追加のパンとブラウンシチューと牡蠣のオイル漬けよ。これで足りるかしら?」
目の前に並んだ料理を見るとかなりのボリュームだ。
セットのパン、スープ、サラダ、豚肉のソテーに追加のパンと具沢山なシチュー、夜に効きそうな牡蠣…。
食欲を唆る匂いがして腹が減る。
「ん、ありがとう。充分だよ。」
「今日のシチューは料理長のイチオシなんですって。」
厨房を見れば料理長がグッ!とサムズアップしていたので、俺も同じ動作を返しておいた。
ちなみにシチューは具の形がきれいに残っているのに、口に入れると溶ける程柔らかく、まさに絶品だった。
もう少しで完食するところでメルヴィンが帰って来た。
メルヴィンの登場でざわめきが起こったが、レストランの客は彼がスボン穿いてるのに驚いたんだろう。
認識阻害で気配を薄くしていることを忘れて「おかえり」と声をかけたらびっくりされてしまった。
ジェイデンと料理長は魔法を発動する前から俺の存在を知っていたので普通に認識できている。
「お前さん、何で認識阻害なんか展開してんだ?」
「虫除け。」
身も蓋もない言い方だけど、納得!って表情をされてしまった。
「あら、おかえりなさいメルヴィン。直接こっちに顔を出すなんて珍しいわね。このままここで夕食にする?」
「いや、シオンのメシも終わりそうだし、あっちで食う。それよりアレ買ってきたぞ。」
「わかったわ。じゃあ夕食は出来上がり次第届けるわね。あとロバートさんから服が届いてるの。お部屋に運んであるから確認してね。」
「ありがとうよ。しかし相変わらず仕事が早えな。」
「ふふ、今回は特に、ね。」
「あー……な。よっぽど嬉しかったんだろ。」
そう言って家に向かうメルヴィンを見送って、食後の飲み物を頼んだ。
周りの客は酒を飲んでいる者が多いが、俺は昔からの習慣で食後はお茶だ。
あと、飲酒後の入浴は危険なので、飲むならなるべくシャワーで済ませるか風呂の後にしている。
腹も膨れたし一度部屋に戻ろうかと思っていると、ジェイデンに絡む声が聞こえてきた。
「オーナー、そんな格好して抱いてくれるオトコでも出来たんですか~?」
「いやいや、そんなのムリだろ!イザとなったらデカ過ぎて逃げ出すに決まってるって。」
「じゃあそういう格好した男に抱かれるのが好きな相手ができたってことか!」
「違いねえ!ソイツもマトモなヤツじゃねえってことか!お似合いだな!ハハハっ。」
ハハハじゃねえよ。
俺の嫁を侮辱したヤツらを無事で帰すものか。
覚悟しろ。
宿に帰るとカウンターの奥からジェイデンが迎えてくれた。
俺の顔を見て花咲くように微笑んでくれる。
「ただいま。荷物はここで受け取りか?」
「いいえ、量があったからわたしの家のリビングで預かっているの。夜に来てくれると約束したから、そっちの方が良いかと思って。」
「ん、ありがと。あと昼食のとき料理長が差し入れをくれたんだ。フェイトとラースと一緒に美味しく頂いたよ。こっちもありがとう。」
「いいのよ」と言って笑顔を向けてくれるが、どこかそわそわしている。
原因は分かっているが、コメントするためにも全身が見たいのでカウンターから出てきてもらった。
「それ、新しい服だろ?ホルターネックもワイドパンツも良く似合ってる。今までよりもずっとエレガントで魅力的だよ。」
「嬉しいです、旦那様」と目元を染めながら俺にだけ聞こえる声で囁やいた。
頬と頬が触れ合う程の距離での会話は特別感があって満たされる。
「ふふ、シオンに言われた通り、カウンターに立つのに合わせて着替えてみたの。慣れないうちは裾に気を付けないといけないけれど、気持ちが切り換わって良いわね。こう…よりアンジェラとしてお仕事も頑張ろうってなったの。」
初めて会ったときの寂しそうな笑顔じゃない、輝く笑顔でそう告げるジェイデンはとても美しい。
俺の伴侶が尊くて困る。
「ジェイデンの魅力を引き出す服を作ってくれたロバートさんにお礼しなきゃな。」
あの人は夜に旦那さんと使う物を喜んでくれそうだから、準備しておこう。
ポジションの邪推とか、野暮なことはしない。
どっちでも良いし、どっちも良い…ってな。
「そうね。急ぎでシオンの普段着とわたしたちの仕事着を仕立ててくれたみたいだから、レストランに招待しようかしら。」
「良いんじゃないか?ここの食事は美味いし。」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。メルヴィンはまだ帰ってないけど、夕飯はレストランで良いかしら。何かリクエストはある?」
残念ながらメルヴィンは帰りに用事があるらしく、一緒に帰って来れなかった。
「どんな料理があるか良くわからないからジェイデンに任せるよ。ただ、身体を動かしてきたからがっつり食べたいな。」
「わかったわ。カウンターのお席で待っててちょうだいね。」
言われた通りにカウンター席に座ってから認識阻害の魔法を発動した。
理由は単純に食事中に絡まれるのを防ぐためだ。
折角便利なモノを使えるようになったのだから、最大限に利用してやろう。
しばらくするとジェイデンが出来立ての料理を運んできてくれた。
「お待たせ。ディナーセットと追加のパンとブラウンシチューと牡蠣のオイル漬けよ。これで足りるかしら?」
目の前に並んだ料理を見るとかなりのボリュームだ。
セットのパン、スープ、サラダ、豚肉のソテーに追加のパンと具沢山なシチュー、夜に効きそうな牡蠣…。
食欲を唆る匂いがして腹が減る。
「ん、ありがとう。充分だよ。」
「今日のシチューは料理長のイチオシなんですって。」
厨房を見れば料理長がグッ!とサムズアップしていたので、俺も同じ動作を返しておいた。
ちなみにシチューは具の形がきれいに残っているのに、口に入れると溶ける程柔らかく、まさに絶品だった。
もう少しで完食するところでメルヴィンが帰って来た。
メルヴィンの登場でざわめきが起こったが、レストランの客は彼がスボン穿いてるのに驚いたんだろう。
認識阻害で気配を薄くしていることを忘れて「おかえり」と声をかけたらびっくりされてしまった。
ジェイデンと料理長は魔法を発動する前から俺の存在を知っていたので普通に認識できている。
「お前さん、何で認識阻害なんか展開してんだ?」
「虫除け。」
身も蓋もない言い方だけど、納得!って表情をされてしまった。
「あら、おかえりなさいメルヴィン。直接こっちに顔を出すなんて珍しいわね。このままここで夕食にする?」
「いや、シオンのメシも終わりそうだし、あっちで食う。それよりアレ買ってきたぞ。」
「わかったわ。じゃあ夕食は出来上がり次第届けるわね。あとロバートさんから服が届いてるの。お部屋に運んであるから確認してね。」
「ありがとうよ。しかし相変わらず仕事が早えな。」
「ふふ、今回は特に、ね。」
「あー……な。よっぽど嬉しかったんだろ。」
そう言って家に向かうメルヴィンを見送って、食後の飲み物を頼んだ。
周りの客は酒を飲んでいる者が多いが、俺は昔からの習慣で食後はお茶だ。
あと、飲酒後の入浴は危険なので、飲むならなるべくシャワーで済ませるか風呂の後にしている。
腹も膨れたし一度部屋に戻ろうかと思っていると、ジェイデンに絡む声が聞こえてきた。
「オーナー、そんな格好して抱いてくれるオトコでも出来たんですか~?」
「いやいや、そんなのムリだろ!イザとなったらデカ過ぎて逃げ出すに決まってるって。」
「じゃあそういう格好した男に抱かれるのが好きな相手ができたってことか!」
「違いねえ!ソイツもマトモなヤツじゃねえってことか!お似合いだな!ハハハっ。」
ハハハじゃねえよ。
俺の嫁を侮辱したヤツらを無事で帰すものか。
覚悟しろ。
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