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5章 風呂とかき氷と甘々の目撃者たち
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「待たせたな。そろそろ行こうか。」
準備を整えてレストランに戻りラースに声をかける。
「おう。フェイトはこのまま仕事か?」
「そうです。飲み物を冷やすカップが需要を見込めるので試作する予定だったんですけど………シオンさんのおかげで冷たい水を出せるカップ作りになるかも。」
「ははっ、じゃあよろしく。」
「はい!行ってらっしゃい。ラースさんも!」
「はいよ、またな。」
ラースと連れ立って雑貨屋までの道を歩くが、重要な事は先程相談したばかりなので軽い質問をすることにした。
「なあ、ラース。あの二人の呼び方なんだけどな。」
「ああ、アンジェラさんとキティさんのか。」
「そうだ。俺はつい嫁とか妻って言ってしまうんだが、問題ないだろうか。」
「その辺は緩いからな。抱かれる人を妻とか嫁と呼ぶし、あの二人は男性体だから旦那とか夫でも大丈夫だ。あとは本人たちに何て呼ばれたいか聞けば良いと思うぞ。まあ対外的には妻とか嫁と呼ぶのは控えた方が夜のポジションがバレ難いけどな。」
「そうか、助かる。」
じゃあ妻と嫁は要注意だな。
旦那とか夫は嫌がるだろうか?
取り敢えず外では伴侶って言う癖をつけた方が良いだろう。
「えらく悩んでるけどシンプルに恋人じゃあダメなのか?」
恋人…。
恋人か……。
「悪くはないけど恋人だと何か違うんだよ。すぐには伴侶になれないからもっとこう…二人が不安にならないようにしっかりした呼び方をしたいんだ。あとは俺の人だと主張したい。」
恋人期間を楽しみたいと言って、ジェイデンに「旦那様」と呼ぶのを控えるようにお願いしたが、もう既に撤回したい。
「はあ…お前、見かけによらず重たい男だな。」
「愛に生きる男の息子だし、このくらい序ノ口だ。引いたか?」
「いや、個人的には良いと思うぞ。ただキティさんの歯形にはちょっと引いた。」
アレな!
自分でもやり過ぎたと思うもんな…。
「まあな。でも昨日はどうしても我慢できなかったんだ。反省してるし、次は気を付ける。」
「ホントだよ。この国最強の男に歯形なんか付けるのお前だけだぞ!」
当然だ!
寧ろ他のヤツがメルヴィンに…なんて許せるワケがない。
歯形でも良いから俺の痕が欲しいなんていじらしいことを言ってくれたからやり過ぎたけど。
「ジェイデンなら許せるけど、メルヴィンにそんな事する身の程を知らない輩がいたら全力ですり潰してやる。」
不埒な輩に対する殺意は高く持たないとな。
「お~コワっ!だがお前にそこまで想われたら幸せなんだろうな……。」
「何だ、羨ましいのか?」
「うーん、まあ…そうかもな。誰かにそこまで想ってもらえるなんて中々ないだろうし。」
「まあ、そうだな……。」
想う人に想いを返してもらえる俺は本当に幸せだ。
もっと二人を大切にして、もっと俺に夢中になってもらおう。
そのためにも雑貨屋だ!
昨日と同じ「いらっしゃいませ」という明るい声に迎えられて雑貨屋に入り、店の奥にある夜の薬の売り場に向かう。
「お前、雑貨屋に用事ってコッチかよ…。」
呆れたような声で言われたがスルーだ。
カウンターには昨日調合してくれた店員さんがいた。
「昨日は世話になった。店長かオーナーにお願いがあるんだが、会えないだろうか。」
「わ、わたしがこの雑貨店『コフレ』の店長で、セリーヌと申します。」
おお、それなら話もしやすいな。
「ご丁寧にありがとう。俺のことはシオンと呼んで欲しい。それで時間は貰えるだろうか。」
そう尋ねたら意を決した表情で答えが返ってきた。
「あのっ!申し訳ないのですが、昨日お買い上げ頂いたお薬以上に弛緩薬の濃度は上げられないんです!そこまで行くと薬屋さんの物しか…。」
「は?」
今日も俺の尻を心配そうにチラチラ見ているが、どういうことだ?
「えっ!あの……上手く挿入できなかったお話ではないのですか?まさかお買い上げ頂いた6本全てお使いになられた訳ではないですよね?」
「6本!?」
「ラース、うるさいぞ。」
ヒェッとか言うなよ。
あー、つまりアレナド兄弟のブツが大き過ぎて俺の尻に入らなかったから、もっと強い弛緩薬を買いに来たと勘違いされたのか…。
まぁ2日連続でやって来たら不備があったと勘違いするのも仕方ないかもな。
「そこは問題無い。良い薬だった。」
その言葉で明らかにホッとされるとアレナド兄弟の影響力の一端を感じる。
彼らに使えない薬を売ったなんて広まったら大変だもんな。
「この薬ってベースはオイルだよな?」
「はい。植物油を使用しておりますので身体にも優しく、口に入っても問題無い商品です。」
それは良いことを聞いた。
「俺は最近この国に来たんだが、故郷ではオイルベースの物は主流ではなかったんだ。それで使い慣れた物をこの店で作って貰えないかと思ってお願いに来たんだ。」
二人に俺のを受け入れて貰えたんだから、この店の夜の薬は間違い無く良い物だったと思う。
しかし使い慣れないせいか、どうにも油の感触が気になる。
それでも十分気持ち良かったが、ローションが欲しい。
こちらの方が二人が感じる快感も強いだろうし。
ローションくらい魔法でいくらでも作れるが、二人はきっと俺と一緒に選んで夜の薬を買いたいと思ってくれていることだろう。
それならこの雑貨店で取り扱ってもらえば良い。
準備を整えてレストランに戻りラースに声をかける。
「おう。フェイトはこのまま仕事か?」
「そうです。飲み物を冷やすカップが需要を見込めるので試作する予定だったんですけど………シオンさんのおかげで冷たい水を出せるカップ作りになるかも。」
「ははっ、じゃあよろしく。」
「はい!行ってらっしゃい。ラースさんも!」
「はいよ、またな。」
ラースと連れ立って雑貨屋までの道を歩くが、重要な事は先程相談したばかりなので軽い質問をすることにした。
「なあ、ラース。あの二人の呼び方なんだけどな。」
「ああ、アンジェラさんとキティさんのか。」
「そうだ。俺はつい嫁とか妻って言ってしまうんだが、問題ないだろうか。」
「その辺は緩いからな。抱かれる人を妻とか嫁と呼ぶし、あの二人は男性体だから旦那とか夫でも大丈夫だ。あとは本人たちに何て呼ばれたいか聞けば良いと思うぞ。まあ対外的には妻とか嫁と呼ぶのは控えた方が夜のポジションがバレ難いけどな。」
「そうか、助かる。」
じゃあ妻と嫁は要注意だな。
旦那とか夫は嫌がるだろうか?
取り敢えず外では伴侶って言う癖をつけた方が良いだろう。
「えらく悩んでるけどシンプルに恋人じゃあダメなのか?」
恋人…。
恋人か……。
「悪くはないけど恋人だと何か違うんだよ。すぐには伴侶になれないからもっとこう…二人が不安にならないようにしっかりした呼び方をしたいんだ。あとは俺の人だと主張したい。」
恋人期間を楽しみたいと言って、ジェイデンに「旦那様」と呼ぶのを控えるようにお願いしたが、もう既に撤回したい。
「はあ…お前、見かけによらず重たい男だな。」
「愛に生きる男の息子だし、このくらい序ノ口だ。引いたか?」
「いや、個人的には良いと思うぞ。ただキティさんの歯形にはちょっと引いた。」
アレな!
自分でもやり過ぎたと思うもんな…。
「まあな。でも昨日はどうしても我慢できなかったんだ。反省してるし、次は気を付ける。」
「ホントだよ。この国最強の男に歯形なんか付けるのお前だけだぞ!」
当然だ!
寧ろ他のヤツがメルヴィンに…なんて許せるワケがない。
歯形でも良いから俺の痕が欲しいなんていじらしいことを言ってくれたからやり過ぎたけど。
「ジェイデンなら許せるけど、メルヴィンにそんな事する身の程を知らない輩がいたら全力ですり潰してやる。」
不埒な輩に対する殺意は高く持たないとな。
「お~コワっ!だがお前にそこまで想われたら幸せなんだろうな……。」
「何だ、羨ましいのか?」
「うーん、まあ…そうかもな。誰かにそこまで想ってもらえるなんて中々ないだろうし。」
「まあ、そうだな……。」
想う人に想いを返してもらえる俺は本当に幸せだ。
もっと二人を大切にして、もっと俺に夢中になってもらおう。
そのためにも雑貨屋だ!
昨日と同じ「いらっしゃいませ」という明るい声に迎えられて雑貨屋に入り、店の奥にある夜の薬の売り場に向かう。
「お前、雑貨屋に用事ってコッチかよ…。」
呆れたような声で言われたがスルーだ。
カウンターには昨日調合してくれた店員さんがいた。
「昨日は世話になった。店長かオーナーにお願いがあるんだが、会えないだろうか。」
「わ、わたしがこの雑貨店『コフレ』の店長で、セリーヌと申します。」
おお、それなら話もしやすいな。
「ご丁寧にありがとう。俺のことはシオンと呼んで欲しい。それで時間は貰えるだろうか。」
そう尋ねたら意を決した表情で答えが返ってきた。
「あのっ!申し訳ないのですが、昨日お買い上げ頂いたお薬以上に弛緩薬の濃度は上げられないんです!そこまで行くと薬屋さんの物しか…。」
「は?」
今日も俺の尻を心配そうにチラチラ見ているが、どういうことだ?
「えっ!あの……上手く挿入できなかったお話ではないのですか?まさかお買い上げ頂いた6本全てお使いになられた訳ではないですよね?」
「6本!?」
「ラース、うるさいぞ。」
ヒェッとか言うなよ。
あー、つまりアレナド兄弟のブツが大き過ぎて俺の尻に入らなかったから、もっと強い弛緩薬を買いに来たと勘違いされたのか…。
まぁ2日連続でやって来たら不備があったと勘違いするのも仕方ないかもな。
「そこは問題無い。良い薬だった。」
その言葉で明らかにホッとされるとアレナド兄弟の影響力の一端を感じる。
彼らに使えない薬を売ったなんて広まったら大変だもんな。
「この薬ってベースはオイルだよな?」
「はい。植物油を使用しておりますので身体にも優しく、口に入っても問題無い商品です。」
それは良いことを聞いた。
「俺は最近この国に来たんだが、故郷ではオイルベースの物は主流ではなかったんだ。それで使い慣れた物をこの店で作って貰えないかと思ってお願いに来たんだ。」
二人に俺のを受け入れて貰えたんだから、この店の夜の薬は間違い無く良い物だったと思う。
しかし使い慣れないせいか、どうにも油の感触が気になる。
それでも十分気持ち良かったが、ローションが欲しい。
こちらの方が二人が感じる快感も強いだろうし。
ローションくらい魔法でいくらでも作れるが、二人はきっと俺と一緒に選んで夜の薬を買いたいと思ってくれていることだろう。
それならこの雑貨店で取り扱ってもらえば良い。
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