ダメな方の異世界召喚された俺は、それでも風呂と伴侶を愛してる

おりく

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5章 風呂とかき氷と甘々の目撃者たち

03

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「ええと、シオン?フェイトちゃんが来てくれたのだし、お話があったのではないの?」

するりとジェイデンが俺から離れて言った。
残念だが助かった。
あのまま締め上げられたら肋骨の一本や二本くらい簡単に圧し折られただろう。
ヒールで治せるとはいえ、折れるときは痛いからな…。

アレナド兄弟と生きていくなら本気で身体強化を極めないと危険かもしれい。

「そうなんだ。フェイトさえ良ければ時間をくれないか?」

「はい、大丈夫ですよ。」

「折角だから一緒に風呂に入りながらでも良いか?水着は……これでどうだろう?」

先日の会話からフェイトは水着を着たことがないことを知っていたので、作って渡す。

「着替えはわたしたちの家でするといいわ。」

「じゃあ、ちょっとお借りしますね!」

さて、俺はかき氷の準備をでもしようか。
いくら温い風呂でも逆上せるし、水分補給は必要だ。

「メルヴィン、ちょっと離して貰えると助かる。逆上せないように冷たい物を食べよう。」

「……………ぉぅ。」

「なあ、メルヴィン。これからは俺に愛されるのが当り前になるんだからな?その反応も可愛いけど、もっと堂々としてくれよ。」

「……………………ぉぅ。」

もっと照れてしまった。

「可愛い………ちゅ。ジェイデンもキスして。」

「はい…………ちゅぅ。」

最高に可愛い嫁さん二人の唇を味わってからかき氷を準備する。
とりあえず机を作って空間収納にしまったかき氷機を取り出す。
器が無いから、こちらも四つ作って氷を削っていく。
シャリシャリという音だけでも涼しくなる。

いちご、みぞれ、ブルーハワイ、抹茶にしてみた。
レモンやメロン、マンゴーなんかは次回だ。
そのうち凍らせた果物も削りたいな。

ちなみに俺は抹茶ミルクにする。
ジェイデンのものはいちごミルクにしたいが、練乳は好みでかけてもらおう。

かき氷ができたところでフェイトが着替えてきたのでジャグジーへと促す。
アレナド兄弟はビニールプールに移動してくれた。
フェイトは175センチくらいでこの国の平均身長だが、如何せん他の三人が大きくてさすがに簡易ジャグジーでは狭い。

ジャグジーに入って「気持ち良いですね~」とうっとりしているフェイトにはブルーハワイ、ジェイデンにはいちご、メルヴィンにはみぞれのかき氷を渡すとボヤきが聞こえてきた。

「オレのは味ねえのかよ…。」

拗ねてるメルヴィンを後目に「甘いわ~!」「美味しいです!」という感想が聞こえる。

「メルヴィン、かき氷食べた事ないのか?みぞれって知らないか?」

「シャーベットなら食った事あるが、コレは無い。」

「わたしもシャーベットやグラニテなら食べたことがあるけれど、これは少し違うのね…。」

グラニテってフランスあたりの小洒落たかき氷だよな?
確かにあれとは違うな。

「みぞれは透明だけど、ちゃんと甘いぞ。俺はかき氷なら抹茶とみぞれが一等好きだ。好みで練乳もかけるといい。」

「わたしもミルク頂いて良いかしら?」

「僕も!ミルク無しでも甘くて美味しいけど、試してみたいです!」

「もちろん」と返しながら自分も抹茶ミルクにする。

「確かにちゃんと甘いし、シャリシャリしてて美味いな、コレ。お前さんのも味見させてくれ。」

メルヴィンがそう言いながら自分のスプーンで俺のかき氷を掬おうとしてくるが、やらせない。
抹茶ミルクを俺のスプーンで掬ってメルヴィンに差し出した。

「はい、メルヴィン。あ~んして?」

「あー…ん。」

勢いであ~んしてやった。
じわじわこみ上げる羞恥心と戦うメルヴィンはそっとしておいてやろう。
俺はあ~んできて満足だしな。
次は…。

「ジェイデンもあ~ん。」

「ぁ……ん。」

目元を染めながらも素直に口を開けるなんて、ジェイデンはエロいな。

「し、シオンも、あ~ん。」

「あ~っん。……ありがと、ジェイデン。」

しかもはにかみながらあ~んを返してきた。
うーん、可憐だ。

「フェイトも味見するか?」

「いいんですか!?くださいっ!」

「いいぞ。ほれあ~ん。」

「あ~ん。……こっちはほろ苦くて美味しいです!」

あ~んとかき氷を楽しんでいると中庭の入口から邪魔が入った。

「シオン、お前ぇ!何やってんだっ!!」

「あ~ん、だ。ラースこそどうした?」

「どうした?じゃねぇ!外で裸なんてハレンチだ!!」

「裸じゃないから大丈夫だ。あんたもかき氷食えよ。」

ジャグジーから出てラースのかき氷も削ってやる。
シロップはレモンで良いか。

「ほら、こっちきて食べよう。で、俺に用か?」

「あ、ああ。例の鞄代に昼メシ…誘いに、来……たん…だ。」

ラースが近づくにつれ目線が泳いで顔が赤くなっていく。
さっきもこんな反応されたな。
かき氷を渡す俺の腕や肩を凝視して、アレナド兄弟を驚愕の表情で見ている。

「いくらなんでも手ぇ早すぎだろ!アンジェラさんはまだしも、キティさんなんか歯形だらけじゃねぇか!何やってんだ!!」

「ラース、それ以上のツッコミは遠慮してくれ。メルヴィンが恥ずかしがって震えてるだろ。ただ、俺からは二人とも最高だったとだけ言っておこう。あとソレ、溶けたら唯の色のついた甘い水になるから早く食えよ。」

「食うけど!キティさんにとどめ刺したの絶対お前だからな!……ウマっ!」

「そりゃあ良かった。ホレ、あんたの水着。着替えて風呂入ろうぜ。」

そう誘えばラースはアレナド兄弟に部屋を借りる許可を貰って着替えに行った。
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