ダメな方の異世界召喚された俺は、それでも風呂と伴侶を愛してる

おりく

文字の大きさ
上 下
104 / 170
5章 風呂とかき氷と甘々の目撃者たち

01

しおりを挟む
俺は今、とても締まりのない顔をしていることだろう。
メルヴィンとジェイデンの部屋を出た中庭でそう思う。
でもこれは仕方ない、不可抗力なんだ。
可愛いが過ぎる二人が、可愛い過ぎるのがいけない。

彼らのおかげで今日も俺の語彙力が残念なことになっているが、兄弟揃ってあんなに健気でいじらしいのだからどうしようもない。

メルヴィンは包み込んでくれたし、ジェイデンは搾り取るみたいだった。
どっちが良いとかじゃなくて、どっちも最高だ。
頑張って俺を受け入れてくれた二人には感謝しかない。
あーやばい、中途半端にお預け食らったから、今すぐにでも二人を可愛がりたくなってきた。

しかし昨日の今日でジェイデンから誘われるとは思わなかった。
だが抱き潰されてヨレヨレになったメルヴィンのことが羨ましいと呟いていたし、また俺に抱かれたいと思ってもらえたことが素直にうれしい。
それは俺とのセックスが怖くなかったって事だから正直ホッとした。
今夜は二人きりだし、もっとドロドロに溶かしてしまおう。

そんな事を考えながらご機嫌で朝食を取った。
午後からは昨日行った雑貨屋に行きたいから、食休みの後で中庭に出て日課の鍛錬をした。
身体を動かして汗をかいても《クリーン》で済むのは楽だが、やはり風呂に入りたい。

転移魔法を試して成功したら、川や湖からデカいタンクで水を運んで入浴できないだろうか…。
面倒だが背に腹は代えられないし。

それよりも水源に取水と転移を組み込んだ魔道具を設置して、湯舟に吐水させるのはどうだろう。
しかしその湯舟自体が無いんだよな…。

いっその事ジェイデンが教えてくれた温泉に行くべきか。
早く俺の嫁さんたちと一緒に入浴したい。

こんな事を考えてしまうのは、身体を動かした後というのはもちろんだが今日も暑いからだ。
温めの風呂に入りたい。
加えて冷たい物も欲しくなる。
ため息を吐きながら客室に戻ると、思わずボヤいてしまう。

「ああ…かき氷が食べたいな…。」

そう言うやベッドに何かが現れた。
何か…というか、かき氷機だ。
金属製のゴツくてデカくて人力でハンドルを回す…昔ながらのかき氷機。

「は!?」

驚いた……。
しかも器に盛り付けられたかき氷じゃなくて、なぜかかき氷機!
よくよく見れば、氷もセットしてあるし、ガラス容器に入ったシロップや練乳まである。

しかしこのままではベッドが濡れてしまうので、慌てて空間収納にしまい込む。
俺はボヤいただけで出現させるほどかき氷食べたかったのか…。
思わず頭を抱えそうになったが、重大な事に気が付いた。

氷だ……。
氷が出せた。
俺の魔力を氷に変換できたってことなんだろうけど…氷って水が状態変化した物だよな?
ということは俺は魔法で水が出せる。
おそらくはお湯も……。
つまり、いつでも風呂に入れるんじゃないか!?

とりあえずビニールプールだ!
ムリさせたメルヴィンには某会員制倉庫店で見かけた簡易ジャグジーか!?
テンションがおかしなことになってきたが、作り出したプールとジャグジーにお湯を張ろうとするとアッサリできた。

思い返せばフェイトとラースと一緒に屋台メシを食べたときにジンジャーエールを出せたのだから、水やお湯を出せても不思議じゃない。

魔道具で水を生み出す効率の悪さの原因も気になるが、後でフェイトに詳しく聞けばいい。
まずは昨夜頑張ってくれたメルヴィンとジェイデンを癒やしたい。

足早にアレナド兄弟の別館に向かう。
まだ出かけていないだろうか、と思いながら玄関のノッカーを鳴らす。
するとジェイデンがドアを開けてくれた。

「あっ、旦那様!忘れ物でもありましたか?」

思いがけず俺がやって来て驚いたけど、会えて嬉しいという雰囲気で俺まで嬉しい。

「いや、ジェイデンに聞きたいことがあって来たんだ。」

「わたしに?何でしょう。」

ジェイデンのきょとんとした表情が可愛い。

「中庭に出したい物があるんだけど、良いかな?それとメルヴィンはまだ居る?居たら二人の時間を少し貰いたい。」

「おう、いいぞ。」

「メルヴィン!もう歩いて平気か?」

奥から声が聞こえて来たので聞いてみる。

「違和感とかイロイロあるが歩くくらいなら問題ない。」

「そうか、良かった。それでジェイデン、中庭借りてもいいか?」

「ええ、いくらでも。」

穏やかに微笑んで許可をくれた。
これで二人と風呂に入れる!

「ありがとう。ちなみに二人は水着持ってるか?持ってたら着替えてきて欲しい。あと、俺も着替えたいから部屋を貸して貰えると助かる。」

「水着か…。昔使ったのがどっかにあるだろう。探して着替えてくるから待っててくれ。」

何で水着?という顔をしながらも俺のお願いを聞いてくれてうれしい。

「わたしも持っていますから着替えてきますね。」

「じゃあ俺はリビングを借りて着替えるよ。中庭で待ってるから。」

年甲斐もなくうきうきしながら水着を作り出して着替え、中庭に風呂代わりのデカいビニールプールとジャグジーを設置する。
今更だけどジャグジーの動力は魔力で、この世界仕様になっていた。
自分でやっている事だが、魔法って本当に便利だと思う。
チート級の魔力でゴリ押しできるのもな!
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

淫愛家族

箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。 事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。 二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。 だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

○○に求婚されたおっさん、逃げる・・

相沢京
BL
小さな町でギルドに所属していた30過ぎのおっさんのオレに王都のギルマスから招集命令が下される。 といっても、何か罪を犯したからとかではなくてオレに会いたい人がいるらしい。そいつは事情があって王都から出れないとか、特に何の用事もなかったオレは承諾して王都へと向かうのだった。 しかし、そこに待ち受けていたのは―――・・

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

処理中です...