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伴侶の章 アレナドふたりの、はじめてがいっぱい
メルヴィン・アレナドは翻弄される 04
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それでもスケスケについて抗議したかったが、ジェイデンが嬉しそうだったし……もちろんオレもそうだから、我慢しようと思った。
思ったが、ムリだった。
オレの部屋だが一応ノックしてからドアを開ければ、そこは知らない場所のようだった。
窓辺で月光を纏って佇む。
ただそれだけなのにこの上なく美しい。
オレの言葉じゃあ表現できねえ。
そんな男にこれから抱かれるのかと思ったら、恥じらいやら、照れやら、畏れ多いやら、怖いやら、とにかく激流みたいに感情が荒れ狂ってコントロールできなくなって詰ってしまった。
だがあいつはそんなオレを褒めてキスしてくれた。
背伸びしてオレの唇を求めるシオンの腰を抱いて支えれば、自然と下半身が密着して否が応にも期待が高まる。
この夜着じゃあ、反応したら直ぐにバレる。
込み上げる欲を我慢して抱擁を解くと、ジェイデンから声がかかった。
贈られた夜着を「どうかな?」なんて、オレは怖くて聞けねえ。
万が一にもあいつの期待を裏切ったら…と思うと無理だ。
自分がこんなにも臆病者だったなんて知りたくなかった。
デカいし、ゴツいし、その上初対面はアノ格好で、しかもオッサン…。
抱きたいと思われる要素が見つからねえ。
いや、雄っぱいがあったか……。
だがそれ以外は全滅だ。
抱かれる側としての自己評価が低いのはジェイデンも一緒だが、あいつには素直さと可愛いさがある。
どっちもオレにはねえモンだ。
弟みたいに可愛げがあれば…なんて思ったのは初めてのことだ。
強くありたいと思って、そう生きてきたことに後悔なんか無い。
だがあいつのように、自分の弱さを曝け出す強さは持ってなかった。
シオンなら己の価値を正しく認識できないジェイデンに、自信を持たせて支えてくれる。
好いた男に愛されて、自分は無価値じゃないと気付けるはず。
きっとこれからジェイデンは輝くだろう。
あいつがそうさせるに違いない。
愛しい、抱きたい、ジェイデンだから欲しい…。
真摯に心を伝えられて自信をつけていけるなんてな。
何かが軋む音がしたが、イイ感じに盛り上がる二人を見てそのまま最後までやればどうだと提案したが、意外にもジェイデンに断られた。
まあ弟の言葉も、もっともだ。
十年以上経った今でも、相手がシオンでも不安なんだろう。
諾の返事をすればシオンの機嫌が悪くなった気配がして、不穏な質問をされた。
理由を知りたかったが、何事もなかったかの様に話題を変えられてしまった。
その後で改めてオレをどうやって抱けば良いか聞かれて、また何かが軋んだが、そんなのはすぐに吹っ飛んだ。
なんなんだ!ベッドに誘えって!!
ジェイデンの前でそんなことできるかよっ!
予想通り、あまりの羞恥で酷いことしか言えなかった。
確かに言ってみたい誘い文句の一つや二つくらいあるにはあるが言えるワケねえ。
いろいろ初めてなんだ、ムリだっつーの!
だがあいつはオレらのスレてないやり取りがお気に召したようで、また可愛いとか宣った。
オッサンに素直さや初心さを求められたって応えられねえよ!
だって年食ってヒネたオッサンなんだからな!
そんなオレでも抱きたいと言ってくれるあいつのために、精一杯素直に気持ちを言葉にしたら呆れて笑われたけどな!
それでもあいつのキスは優しかった。
その反面、ジェイデンにすごいことを言った。
オレのためにあいつのアイツを育てろってなんだ!
ジェイデンもその言葉ですっかり発情しきってたし、あいつらの趣味はどうなってんだ?
多人数のベッドってこういうモンなのか?
どうでも良い相手か娼館以外で複数と寝たことがないから良くわからんが、貴族の閨教育を受けたジェイデンが普通にやってるんだからそうなのか?
しかしそんなことはすぐにどうでも良くなった。
シオンの上半身だけだが、目の前に曝されたからだ。
ジェイデンの言葉通り美しかった。
ギルドで模擬戦したときには黒い服だったから余計に着痩せしていたんだろう。
靭やかな筋肉のついている鍛え上げられた身体だった。
厚みがないと嘆いていたが、充分だ。
その肉体の持ち主は、鍛える苦労をおくびにも出さず、オレに褒められてご満悦だ。
こういうトコロは可愛げがあるのにな。
そんなやつにオレの身体が見たいと言われた。
だが鍛えてはいても、シオンとは違ってデカくてゴツいだけだ。
シオンに見られるのが急に恥ずかしくなって、思わず茶化してしまった。
それでも夜着を脱がせる間、キスをして愛撫までしてくれた。
ベッドで緊張なんてガラじゃねえのにな…なんて思っていたら感嘆の声が上がった。
「はぁ…、メルヴィンの身体、すごく格好良い。うっとりするな…。」
今まで散々聞いた褒め言葉だ。
受け身のオレには嬉しくないハズなのに、シオンに言われると嬉しいし、心も身体も疼きだす。
「それなのにこっちはもう濡れていて、可愛いね?」
またオレのイチモツに触って可愛いとか本気かよ。
自慢じゃないが並の男性体なら戦意喪失してもおかしくないんだぞ。
「っ、ぁ、…。っく、そうかよ。」
「ふふ、可愛いって言われてビクンってなって大きくなるのも素直で良いな。なあ、声は聞かせてくれないのか?」
「……っダメだ。」
ジェイデンの前では恥ずかしいし、なによりオレの声でシオンが萎えてしまうのが怖かった。
「残念。きっと喘ぐ声も可愛いのに。」
また可愛いって言われた…。
ダメだ、可愛いと言われる度に疼く。
オレの可愛いとは言えないイチモツは益々可愛げが無くなるし、子宮はシオンの子種が欲しいと叫んでる。
もう我慢なんてできねえ…。
思ったが、ムリだった。
オレの部屋だが一応ノックしてからドアを開ければ、そこは知らない場所のようだった。
窓辺で月光を纏って佇む。
ただそれだけなのにこの上なく美しい。
オレの言葉じゃあ表現できねえ。
そんな男にこれから抱かれるのかと思ったら、恥じらいやら、照れやら、畏れ多いやら、怖いやら、とにかく激流みたいに感情が荒れ狂ってコントロールできなくなって詰ってしまった。
だがあいつはそんなオレを褒めてキスしてくれた。
背伸びしてオレの唇を求めるシオンの腰を抱いて支えれば、自然と下半身が密着して否が応にも期待が高まる。
この夜着じゃあ、反応したら直ぐにバレる。
込み上げる欲を我慢して抱擁を解くと、ジェイデンから声がかかった。
贈られた夜着を「どうかな?」なんて、オレは怖くて聞けねえ。
万が一にもあいつの期待を裏切ったら…と思うと無理だ。
自分がこんなにも臆病者だったなんて知りたくなかった。
デカいし、ゴツいし、その上初対面はアノ格好で、しかもオッサン…。
抱きたいと思われる要素が見つからねえ。
いや、雄っぱいがあったか……。
だがそれ以外は全滅だ。
抱かれる側としての自己評価が低いのはジェイデンも一緒だが、あいつには素直さと可愛いさがある。
どっちもオレにはねえモンだ。
弟みたいに可愛げがあれば…なんて思ったのは初めてのことだ。
強くありたいと思って、そう生きてきたことに後悔なんか無い。
だがあいつのように、自分の弱さを曝け出す強さは持ってなかった。
シオンなら己の価値を正しく認識できないジェイデンに、自信を持たせて支えてくれる。
好いた男に愛されて、自分は無価値じゃないと気付けるはず。
きっとこれからジェイデンは輝くだろう。
あいつがそうさせるに違いない。
愛しい、抱きたい、ジェイデンだから欲しい…。
真摯に心を伝えられて自信をつけていけるなんてな。
何かが軋む音がしたが、イイ感じに盛り上がる二人を見てそのまま最後までやればどうだと提案したが、意外にもジェイデンに断られた。
まあ弟の言葉も、もっともだ。
十年以上経った今でも、相手がシオンでも不安なんだろう。
諾の返事をすればシオンの機嫌が悪くなった気配がして、不穏な質問をされた。
理由を知りたかったが、何事もなかったかの様に話題を変えられてしまった。
その後で改めてオレをどうやって抱けば良いか聞かれて、また何かが軋んだが、そんなのはすぐに吹っ飛んだ。
なんなんだ!ベッドに誘えって!!
ジェイデンの前でそんなことできるかよっ!
予想通り、あまりの羞恥で酷いことしか言えなかった。
確かに言ってみたい誘い文句の一つや二つくらいあるにはあるが言えるワケねえ。
いろいろ初めてなんだ、ムリだっつーの!
だがあいつはオレらのスレてないやり取りがお気に召したようで、また可愛いとか宣った。
オッサンに素直さや初心さを求められたって応えられねえよ!
だって年食ってヒネたオッサンなんだからな!
そんなオレでも抱きたいと言ってくれるあいつのために、精一杯素直に気持ちを言葉にしたら呆れて笑われたけどな!
それでもあいつのキスは優しかった。
その反面、ジェイデンにすごいことを言った。
オレのためにあいつのアイツを育てろってなんだ!
ジェイデンもその言葉ですっかり発情しきってたし、あいつらの趣味はどうなってんだ?
多人数のベッドってこういうモンなのか?
どうでも良い相手か娼館以外で複数と寝たことがないから良くわからんが、貴族の閨教育を受けたジェイデンが普通にやってるんだからそうなのか?
しかしそんなことはすぐにどうでも良くなった。
シオンの上半身だけだが、目の前に曝されたからだ。
ジェイデンの言葉通り美しかった。
ギルドで模擬戦したときには黒い服だったから余計に着痩せしていたんだろう。
靭やかな筋肉のついている鍛え上げられた身体だった。
厚みがないと嘆いていたが、充分だ。
その肉体の持ち主は、鍛える苦労をおくびにも出さず、オレに褒められてご満悦だ。
こういうトコロは可愛げがあるのにな。
そんなやつにオレの身体が見たいと言われた。
だが鍛えてはいても、シオンとは違ってデカくてゴツいだけだ。
シオンに見られるのが急に恥ずかしくなって、思わず茶化してしまった。
それでも夜着を脱がせる間、キスをして愛撫までしてくれた。
ベッドで緊張なんてガラじゃねえのにな…なんて思っていたら感嘆の声が上がった。
「はぁ…、メルヴィンの身体、すごく格好良い。うっとりするな…。」
今まで散々聞いた褒め言葉だ。
受け身のオレには嬉しくないハズなのに、シオンに言われると嬉しいし、心も身体も疼きだす。
「それなのにこっちはもう濡れていて、可愛いね?」
またオレのイチモツに触って可愛いとか本気かよ。
自慢じゃないが並の男性体なら戦意喪失してもおかしくないんだぞ。
「っ、ぁ、…。っく、そうかよ。」
「ふふ、可愛いって言われてビクンってなって大きくなるのも素直で良いな。なあ、声は聞かせてくれないのか?」
「……っダメだ。」
ジェイデンの前では恥ずかしいし、なによりオレの声でシオンが萎えてしまうのが怖かった。
「残念。きっと喘ぐ声も可愛いのに。」
また可愛いって言われた…。
ダメだ、可愛いと言われる度に疼く。
オレの可愛いとは言えないイチモツは益々可愛げが無くなるし、子宮はシオンの子種が欲しいと叫んでる。
もう我慢なんてできねえ…。
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