ダメな方の異世界召喚された俺は、それでも風呂と伴侶を愛してる

おりく

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4章 身体強化とその後のアレやコレ

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「悩むな…。」
「悩ましいわね…。」

消耗品だしそこまで悩まなくても…。
これは思っても口には出してはいけないセリフだから、二人には言わない。
それにしても真剣だな。

「失礼ながら、中心となる香りを決められて、それに合う香りを足して頂くのがよろしいかと存じます。お連れ様に、お客様方にお似合いの香りを挙げて頂くのはいかがでしょう。」

デキるスタッフさんから悩める二人に助け舟が出された。
しかし、俺に飛び火したぞ。

「「シオン!」」

「あー、ジェイデン。俺は林檎や桃が可愛くてあなたに似合うと思う。」

俺の中で姫のイメージが童話とゲームしか無くて申し訳ない。
むしろここまで来たらホワイトサングリアが似合うと思う。
提案してみようかな?

「メルヴィンは強い酒とつまみに出てくる甘くないチョコレートかな。」

「ふーむ、それでも悩むな。」

「そうねえ…。大事な物だもの、悩んじゃうわ。」

「二人とも1つの香りにするのか?」

1つに絞るから悩むのだろう。

「ん?どういうこった?」

「その薬は消耗品なんだし、何種類か作ってその日の気分で選んだって良いだろう?1本しか俺と使わないなんて寂しい事は言わないよな?」

「っそうだな!」
「っええ!」

「ねえ、ジェイデン。1つはホワイトサングリアをイメージした香りにしないか?あれにはいろんなフルーツが入っていて、見た目にも可愛いだろ?」

「そうね、そうするわ!あとはさっき教えてくれたラベンダーと、わたしの好きなバニラの香りも。バニラは甘くなり過ぎないようにしてもらって、3種類オーダーしようかしら。」

「どれもきっと似合うよ。」

提案して喜んでもらえると、こちらもうれしい。

「なあ、オレは?」

「メルヴィンは大人の香りの中に、甘さを加えてほしいかな。」

「ぅぐ、オレには難しいな。」

「そこはプロに相談したら良いんじゃないか?」

飛び火してきた分は返すぞ、デキるスタッフよ。

「承りました。ではウィスキーとベルガモットやオレンジキュラソーの香りなどはいかがでしょうか。」

柑橘系の香りは好きだし、甘過ぎなくてちょうど良い。

「俺はメルヴィンが気に入ったなら、それが良い。」

「オレはお前さんが良ければ……。ああ、でもアンジェラは3種類だったな。もう一つ何か選んでくれ。」

「じゃあライムとかグレープフルーツを使ってもらおう。」

メルヴィンのは柑橘繋がりで行ってみようかな。
こちらは白ワインの香りと合わせる事になった。

「ではこちらの6種類の香りは、どちらの薬と調合いたしましょうか?」

「弛緩と潤滑、両方を入れてくれ。」

「2つの効果を持たせるのか?」

別々に作られる薬だと思っていたが、1つに纏められるのか。

「今日はオレら二人とだから別々だと時間がかかるし、あって困る効果じゃねえからな。むしろ便利だろ?」

おお、デキるスタッフさんが震えている。
しかし声は出さないで驚愕の眼差しで俺を見てくる。

「そういう事か。ああ、でも使い切る前に慣れるかもしれないな。」

「それはシオン次第ね。弛緩薬の効果が必要なくなっても、潤滑薬として使えば良いから心配いらないわ。」

「わかった。」

「では、調合して参りますので、暫しお待ち下さい。」

そう言ってカウンターで調合作業に入ったスタッフさんだが、俺の尻を心配そうに見ている。
俺じゃなくて、二人の雄尻を心配してやってくれとも言えないので、他のサンプルも試しながら完成を待った。

ギャラリーからは、「やっぱり薬が必要な大きさなんだ…」「6本も!?やはりアッチも強いのか!」なんて聞こえて来る。
下世話な想像をされるのも有名税か…。
やはり俺が抱かれると勘違いしたままで居てもらおう。
二人が抱かれるところは、例え想像でも見せたくないからな。

「はあー、匂い1つでこんなに疲れるとは思わなかったな…。」

「本当ね。こんなにも緊張するなんて知らなかったわ…。でも楽しかったのよね。わたしの事を考えて提案してくれたのも嬉しかったし。」

「そうだなぁ…。シオンと居ると知らなかった事の多さに驚くぜ。オレもまだまだだ。」

「わたしもよ。でもまだまだって事は、もっともっと幸せになれるって事よね。………こんなふうに思えるようになるなんて。でも欲張りになってしまって困るわ。」

「………お前が幸せそうで嬉しい。今まで辛い思いをした分、幸せになれジェイデン。」

それは我が子を嫁や婿にやる父親のセリフっぽいぞ、メルヴィン。

「メルヴィン…。あなたにはどれだけ感謝を捧げても足りないわ。でもそんな他人事みたいに言わないで。あなたも苦労した分、一緒に幸せになるのよ。」

「俺も仲間に入れてくれ。」

兄弟仲が良いのはグッとくるが、仲間外れは寂しい。

「「シオン。」」

「もちろんよ。あなたが居なければ成り立たない事だもの。」

「責任取ってオレらを一生可愛がれよ、旦那サマ。」

そんなことを言われずとも、思い切り俺で啼かせてやりたい。

「うん。早く夜にならないかな…。」

「それな。」

「まだまだ明るいものねぇ…。今日は夜になるまで長いわ。」

良い大人が3人で、十代の子どもみたいになってしまった。
誰かと繋がる事がこんなにも待ち遠しいなんて、俺も知らなかった事ばかりだよ。
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