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4章 身体強化とその後のアレやコレ
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「あのな、シオン…。」
「あのね、シオン…。」
被ったな。
視線でやり取りして、ジェイデンが話すらしい。
「その、ね?いつになったら、あの…、あっ、愛を囁いてもらえるのかしら?」
「求婚できるようになったら。」
それまで我慢するつもりだ。
「あー、シオン。オレらのワガママかもしれんが、聞いてくれ。オレらはいつまでも待つって言ったな?その言葉に偽りはねえ。だがな…、だからこそ、そっ、そういう言葉をくれないか?オレとジェイデンがお前さんを信じて待てるように、その、……囁いてくれ。頼む。」
「メルヴィン…。」
「シオンがわたしたちに誠実でいてくれるのは嬉しいわ。でも、さっきの言葉を聞いてしまったら、もう、我慢できないの。お願い。」
「ジェイデン…。」
二人から「頼む」と「お願い」されたなら、自分のことなど二の次だ。
「わかった。そのかわり約束してくれるか?」
「何をだ?」
「たとえ命が尽きても俺だけのメルヴィンとジェイデンで居てくれるって。…我儘でごめん。」
「何だ、そんな事か。オレのモンなら、魂までお前さんにやるよ。」
「ええ、わたしの全てを捧げます、って伝えたはずよ?」
「ありがとう。すごくうれしい。…でも欲しがってばっかりで格好悪くて申し訳ない。」
「心配いらねえよ。オレらも欲しかったモンを貰ってる。今もお前さんにねだったばっかりだ。誰かにお前さんのことを聞かれたら、オレは恋人だって答えるぞ。」
「わたしたちを満たしてくれるのはシオンだけ…。幸せをくれるのもシオンだけよ。将来を約束したこっ、恋人だもの!」
「それに、だ。出会ったその日にオレらを惚れさせた男が格好悪いワケがねえ。」
「ん、二人ともありがとう。」
「「…………………。」」
何だ?
熱の籠もった視線を左右から注がれているが、どうした?
「「………………………。」」
「もしかして今、俺が言うのを待ってるのか?」
「おう。」
「ええ。」
「ここ、雑貨屋だから。3人だけになったらな。」
今更だけど、ギャラリーが聞き耳立ててるから。
それに言葉にしてしまったら、いろいろと我慢できる気がしない。
「「!」」
忘れてたな?
「ふふ、俺以外が見えなくなるくらい想われて、幸せだ。」
「そっ、そうかよ。」
「もうっ!茶化さないでちょうだい!」
「はー。お前さん、買い物はそれで終わりなら、取り敢えず会計してこい。オレとジェイデンはアッチの奥にいるから、終わったら来てくれ。」
了承して会計のためにカウンターに向うが「お前は何者だ」と言わんばかりの視線を感じる。
そのうち思い知らせてやるから待ってろよ、ギャラリーども。
ちなみに会計をしてくれた店員さんはチラ見で我慢できる人間だったようだ。
基本的にレジでは顔を見られるし、結構な頻度で入力ミスをされるので、この対応はかなり良い方だ。
スタッフの教育がしっかりしたマトモな雑貨屋だとわかったので、何かあったらこれからもお世話になろう。
会計が終わり、奥へ向うと『未成年のお客様は御遠慮下さい』という注意書きがあった。
夜のお薬ですね、わかりますとも。
しかし、雑貨の売り場とは完全に空間が分けられていないので、アレナド兄弟を観察し放題だ。
たくさんのガラスのボトルが並んだ棚の前で、サンプルだろうか、綿の入った容器を持って接客を受ける二人に声をかける。
「お待たせ。欲しかった物は大体揃ったよ。」
「おう、こっちに来てお前さんの好みを教えてくれ。」
「例のお薬に好みの香りを調合してくれるの。どんな物が良いかしら?」
女性体のスタッフが静かに挨拶をしてきたので、俺も返す。
しかしこのスタッフ、できる。
二人の接客をして俺の顔を見ても、身体の前で合わせて握った手にグッと力が入っただけで耐えた。
この雑貨屋、全体的にやるな…。
そしてここを選んだジェイデンがデキるのは間違い無い。
そのデキる彼は俺の返答をソワソワしながら待っている。
メルヴィンもだ。
二人とも反応が可愛いし、もう少し焦らしたいが、営業の邪魔をしたいわけではないので素直に答える。
「花の香りは、ラベンダーと薔薇と金木犀くらいしか分からないな…。他の植物はレモングラスとミントとお茶か。でもお茶の香りとラベンダーは好きだが、薔薇は苦手だ。」
言うやいなや、ジェイデンがサンプルを棚に戻した。
薔薇の香りだったんだな…。
「ほっ、他に苦手な香りは無いの?」
そんなに動揺しなくても…。
香りは無くても大丈夫だし。
「石鹸その物の匂いは良いが、他の物に移された石鹸の香りは嫌いだ。」
コトっという音がしたので、そちらを見ればメルヴィンだった。
今度はあんたか。
しかしメルヴィンが石鹸か…。
もっとオトナな香りを好むかと思っていた。
「すっ、好きな物だけ言ってくれ!」
王国最強の男がこんな事で動揺するなんて!
メルヴィンめ、可愛いが過ぎるぞ。
「フルーツは香りも好きだ。あとは白ワインや米から作る酒に、ウイスキーやブランデーの香りも。」
何だろう、ホワイトサングリアができそうだ…。
「あの、シオン、バニラは好きかしら?」
ジェイデン、甘い物が好きだって言ってたもんな。
「ほんのり香るくらいならな。ああ、あとカカオの匂いも好きだ。」
明らかにホッとしてるな。
愛読書に薔薇とかバニラの香りに包まれて結ばれた…なんて場面でもあるんだろうか…?
ジェイデンのためならイヤな記憶が蘇る薔薇の香りにも耐えてみせるぞ。
「あのね、シオン…。」
被ったな。
視線でやり取りして、ジェイデンが話すらしい。
「その、ね?いつになったら、あの…、あっ、愛を囁いてもらえるのかしら?」
「求婚できるようになったら。」
それまで我慢するつもりだ。
「あー、シオン。オレらのワガママかもしれんが、聞いてくれ。オレらはいつまでも待つって言ったな?その言葉に偽りはねえ。だがな…、だからこそ、そっ、そういう言葉をくれないか?オレとジェイデンがお前さんを信じて待てるように、その、……囁いてくれ。頼む。」
「メルヴィン…。」
「シオンがわたしたちに誠実でいてくれるのは嬉しいわ。でも、さっきの言葉を聞いてしまったら、もう、我慢できないの。お願い。」
「ジェイデン…。」
二人から「頼む」と「お願い」されたなら、自分のことなど二の次だ。
「わかった。そのかわり約束してくれるか?」
「何をだ?」
「たとえ命が尽きても俺だけのメルヴィンとジェイデンで居てくれるって。…我儘でごめん。」
「何だ、そんな事か。オレのモンなら、魂までお前さんにやるよ。」
「ええ、わたしの全てを捧げます、って伝えたはずよ?」
「ありがとう。すごくうれしい。…でも欲しがってばっかりで格好悪くて申し訳ない。」
「心配いらねえよ。オレらも欲しかったモンを貰ってる。今もお前さんにねだったばっかりだ。誰かにお前さんのことを聞かれたら、オレは恋人だって答えるぞ。」
「わたしたちを満たしてくれるのはシオンだけ…。幸せをくれるのもシオンだけよ。将来を約束したこっ、恋人だもの!」
「それに、だ。出会ったその日にオレらを惚れさせた男が格好悪いワケがねえ。」
「ん、二人ともありがとう。」
「「…………………。」」
何だ?
熱の籠もった視線を左右から注がれているが、どうした?
「「………………………。」」
「もしかして今、俺が言うのを待ってるのか?」
「おう。」
「ええ。」
「ここ、雑貨屋だから。3人だけになったらな。」
今更だけど、ギャラリーが聞き耳立ててるから。
それに言葉にしてしまったら、いろいろと我慢できる気がしない。
「「!」」
忘れてたな?
「ふふ、俺以外が見えなくなるくらい想われて、幸せだ。」
「そっ、そうかよ。」
「もうっ!茶化さないでちょうだい!」
「はー。お前さん、買い物はそれで終わりなら、取り敢えず会計してこい。オレとジェイデンはアッチの奥にいるから、終わったら来てくれ。」
了承して会計のためにカウンターに向うが「お前は何者だ」と言わんばかりの視線を感じる。
そのうち思い知らせてやるから待ってろよ、ギャラリーども。
ちなみに会計をしてくれた店員さんはチラ見で我慢できる人間だったようだ。
基本的にレジでは顔を見られるし、結構な頻度で入力ミスをされるので、この対応はかなり良い方だ。
スタッフの教育がしっかりしたマトモな雑貨屋だとわかったので、何かあったらこれからもお世話になろう。
会計が終わり、奥へ向うと『未成年のお客様は御遠慮下さい』という注意書きがあった。
夜のお薬ですね、わかりますとも。
しかし、雑貨の売り場とは完全に空間が分けられていないので、アレナド兄弟を観察し放題だ。
たくさんのガラスのボトルが並んだ棚の前で、サンプルだろうか、綿の入った容器を持って接客を受ける二人に声をかける。
「お待たせ。欲しかった物は大体揃ったよ。」
「おう、こっちに来てお前さんの好みを教えてくれ。」
「例のお薬に好みの香りを調合してくれるの。どんな物が良いかしら?」
女性体のスタッフが静かに挨拶をしてきたので、俺も返す。
しかしこのスタッフ、できる。
二人の接客をして俺の顔を見ても、身体の前で合わせて握った手にグッと力が入っただけで耐えた。
この雑貨屋、全体的にやるな…。
そしてここを選んだジェイデンがデキるのは間違い無い。
そのデキる彼は俺の返答をソワソワしながら待っている。
メルヴィンもだ。
二人とも反応が可愛いし、もう少し焦らしたいが、営業の邪魔をしたいわけではないので素直に答える。
「花の香りは、ラベンダーと薔薇と金木犀くらいしか分からないな…。他の植物はレモングラスとミントとお茶か。でもお茶の香りとラベンダーは好きだが、薔薇は苦手だ。」
言うやいなや、ジェイデンがサンプルを棚に戻した。
薔薇の香りだったんだな…。
「ほっ、他に苦手な香りは無いの?」
そんなに動揺しなくても…。
香りは無くても大丈夫だし。
「石鹸その物の匂いは良いが、他の物に移された石鹸の香りは嫌いだ。」
コトっという音がしたので、そちらを見ればメルヴィンだった。
今度はあんたか。
しかしメルヴィンが石鹸か…。
もっとオトナな香りを好むかと思っていた。
「すっ、好きな物だけ言ってくれ!」
王国最強の男がこんな事で動揺するなんて!
メルヴィンめ、可愛いが過ぎるぞ。
「フルーツは香りも好きだ。あとは白ワインや米から作る酒に、ウイスキーやブランデーの香りも。」
何だろう、ホワイトサングリアができそうだ…。
「あの、シオン、バニラは好きかしら?」
ジェイデン、甘い物が好きだって言ってたもんな。
「ほんのり香るくらいならな。ああ、あとカカオの匂いも好きだ。」
明らかにホッとしてるな。
愛読書に薔薇とかバニラの香りに包まれて結ばれた…なんて場面でもあるんだろうか…?
ジェイデンのためならイヤな記憶が蘇る薔薇の香りにも耐えてみせるぞ。
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