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4章 身体強化とその後のアレやコレ

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「俺も服の注文に来たんだ。だからそちらからお願いしたい。」

「わかりました。ではお手持ちの服はどのような物か教えてください。」

「戦闘用の装備と今着ている物しか持っていない。だからロバートさんが必要だと思う物を一般的な枚数作ってほしい。」

あとは寝る時の浴衣と甚平しかないからな。

「はい?」

「あのねロバートさん、シオンはこの国に来てまだ3日目なの。だから今日は必要な物を買い出しに来ているのよ。」

「3日…。あなたたちは出会って3日目の彼に、そんなにも首ったけなんですか?」

「オレらとは昨日の午後からの仲だ。それからの内容はやたらと濃かったがな。」

「は?……………そうですか。シオンは恐ろしい子ですね。」

「それにそう遠くない将来、Sランクになる男だからな。そうだろ?」

「鋭意努力中だ。」

何だろう、今さらだけど恋人のお兄さんに挨拶してるみたいな気分になってきた。

「はあ、そうですか。それはまた何とも…。しかし良くそんな逸材を見つけましたね。」

「オレもそう思うぜ。なあ、ジェイデン。」

「ええ!出会えた事に感謝しているわ。」

「あなたたちが幸せそうで何よりですよ。では気を取り直して。シオン、好みや苦手な素材や色はありますか?」

「あまりに奇抜な物で無ければ大丈夫だ。せっかくだから、二人それぞれの髪色や服と合う物を作ってもらおうかな。メルヴィンに合わせて濃い目の色とか、ジェイデンに合わせるならアイボリーに金糸とか。」

「分かりました、やってみましょう。では魔法で採寸しますので、弾いたりしないでくださいね。」

おお!便利だな!
採寸という名のセクハラも受けずに済む。
ロバートさんの魔法も、ラースにクリーンしてもらったときのように少しホワっとした。

「はい、良いですよ。では私が提案した件に移りましょうか。」

「よろしく頼む。まずは質問だが、あなたはアオザイか旗袍をご存知だろうか?」

「ええ。実物は見たことがありませんが、アオザイのデザイン画なら。南の国の一部で見られる服ですね。」

良かった、通じたよ。

「では二人に着てほしいから作ってもらえないか?メルヴィンの物は袖なしで。丈は長いと踏んでボロボロにしそうだから膝くらいにしてもらおうか。ジェイデンの物は袖があって、丈は踝くらいで。中に穿くズボンもセットでお願いしたい。」

「それはどんな服なんだ?」

「俺の中では己の肉体で闘う者に似合う服だ。だから絶対にメルヴィンに似合う。ジェイデンの物は少し違って、女性用に近いが。」

正確には違うし、戟みたいなポールウェポンも似合うと思う。
メルヴィンならハルバートかな。
何となくだが、彼には虎とか龍を背負ってもらいたい。

想像力を発揮しているとジェイデンから声がかかった。

「ねえ、シオン。本当はわたしには他の服を着せたいのではないの?」

「………………。」

バレていたか。
でもさすがにこれはお願いできない。
つらい記憶を思い出させるくらいなら、言わなくてもいいことだ。

「わたしに着せたい物も言ってほしいわ。メルヴィンだけなんてズルいじゃない。どんな物でもシオンとメルヴィンの前なら平気よ。嘘じゃないわ。」

そんなふうに言われたら白状するしかないじゃないか……。

「…………騎士っぽい衣装を着たジェイデンが見たい。あなたには敵わないな。」

『ぽい』とか悪あがきだ。
申し訳ないが、本当は騎士装備というか、聖騎士パラディンなジェイデンが見たい。

「ええ、いいわ!でも外で着るわけにはいかないから、部屋着にアレンジしてもらいましょうね?」

「うん。ありがとう、ジェイデン。騎士服のあなたは凛々しくて絶対に格好良いと思っていたんだ。あと、不良騎士なメルヴィンも見てみたい。」

「「「不良騎士…。」」」

俺以外の3人が揃った。

「だって絶対に着崩すだろうし、巡回中に買い食いして昼寝しそうだから。それなのに街の人にはなぜか人気があるんだ。そんなメルヴィン、目に浮かばないか?」

「あー、そりゃあ否定できねえな。」

「ふふっ、本当ね!せっかくだから、シオンが依頼した2種類の服は3人で着ましょう!」

ジェイデンが笑ってくれてホッとした。

「わかった。ではロバートさん、色柄や刺繍は任せるから合計6着作ってくれ。」

「承りました。他にはありませんか?」

むしろコレが本題かもしれない。

「こういう下着はどこで手に入るだろうか?」

そう言って空間収納から取り出したように装って、昨日二人に渡した下着とベビードールを作り出す。

そういえば、空間収納とマジックバッグってどっちが目立たないのだろう?
今度フェイトに教えてもらおう。

俺が作った物を見てもロバートさんは冷静だったが、アレナド兄弟は固まってしまった。

「こちらの下着はあの二人が穿いている物ですね。お尻とこの下着を見れば理由もわかります。残念ながら、どちらも私は見た事がありません。」

「そうか…。教えてくれてありがとう。」

「ですが、高級下着店なら女性用、もしくは小柄な男性用で似たような物があるかもしれません。娼館御用達の店にも。……あなたたちも固まってないで何とか言ったらどうです?ハンターなら娼館のお世話になった事くらいあるでしょう?」

ロバートさん強いな!
アレナド兄弟にこんな事を言える人、なかなか居ないんじゃないか?

「…………見た事ねえ。」

「…………私もです。」

「役に立ちませんね。ところでシオン、今後の参考にしたいので私にこれらを売ってはいただけませんか?」

「いや、差し上げるよ。未使用だから安心してくれ。」

「ありがとうございます。こういった物があると夜が刺激的になって良いですね。」

「そう思うか?」

「ええ。是非とも夫と楽しみたいです。」

「あの二人は固まってしまったし、わかってくれて嬉しい。あなたのお相手も喜んでくれると良いな。」

いろんな意味で。

「ええ!それと注文の品は出来上がり次第ジェイデンの宿に届けます。数が多いので納品が何回かに分かれますが、ご了承ください。」

「はいよ。それと、支払いはいつもの方法で頼む。」

「わかりました。ですがシオンの分はいただけません。今日の注文分では再生魔法と釣り合いませんので、私が納得するまであなたの服を季節ごとにお贈りします。これは決定事項ですから誰にも覆せません。良いですね?」

メルヴィンとジェイデンが視線で了承しろと促してくる。

「わかった。有り難く頂戴するよ。」

しかし勝手にやった事でそこまでしてもらうのは気が引ける。
何かお礼を考えよう。

「服飾の事で何かあれば私を頼ってください。お待ちしておりますよ。」

そんな言葉をもらってから店を出た。
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