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4章 身体強化とその後のアレやコレ
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それにしても、二人ともテンションが上がって声も大きい。
通行人のみなさんは絶対にアレナド兄弟が揃って若いオトコに熱を上げて、満足させるために気合いの入った夜の相談をしていると思ってるぞ。
ジェイデンなんて、すっかりジェイデンだし、「昔に戻ったのかしら?」とか言われてる。
俺と一緒で視線に慣れているからか、外野を気にする様子がない。
「メルヴィン、ジェイデン、俺は無理の無い量なら二人が勧めてくれる物を食べるよ。だからそろそろ相談を終わりにしてくれないか?ギャラリーが俺の尻をじっと見ているんだ。」
事実だし、これなら冷静になるだろう。
「オレの尻だ!勝手に見んな!!」
「わたしのお尻です!許可無く見ないでください!!」
…………駄目だった。
鋭い眼光の二人が叫ぶ。
アレナド兄弟と通行人、どちらにも燃料を投下してしまった。
盛り上がる外野がうるさい。
まあ妄想されるのにも慣れてるし、二人の可愛い姿を想像されるより万倍マシだから別に構わないけど。
「それで俺は何を食べたら良いんだ?二人も同じ物を食べよう。」
抱く側に効く食材は、抱かれる側にも効くハズだからな。
俺は今朝、煽った責任を取れと言われたが、絶対に俺の方が煽られていると思う。
結局、会話に上がった食材を使った料理を3人で食べた。
初めての魔獣の肉には緊張したが、酷いクセもなく美味かった。
しかし何の魔獣の肉かは恐くて聞けなかった。
気にはなるので慣れてきたら教えてもらおう。
昼から品数も多く、なかなかのボリュームがあった料理をあっさり完食できたことには驚いたが、これからはこの量が普通になるみたいだ。
それから服屋へ行く前に市場に寄って、ジェイデンが滋養強壮に効きそうな食材を片っ端から買い漁って、厨房に宛てた手紙と一緒に宿へ届けるように依頼していた。
俺は彼らの期待に応えられるだろうか?
そんな若干の不安とともに服屋に到着した。
「ロバート居るか?」
そう言いながら店のドアをメルヴィンが開けると、奥に座っている店主らしき人物から返事があった。
「居りますよ。ですが、あなたの似合わないショートパンツは二度と作りませんよ、メル…ヴィン?……その格好はどうしたんです?」
どうやら気心の知れた相手らしい。
「こっちに来い」と俺を呼んでから店主の質問に答える。
「あー、このとんでもなくキレイな男はシオンって言うんだがな、その……シオンが見立ててくれた。それであんたにはシオンの好みのオレとジェイデンの新しい服を急ぎで仕立ててもらいたい。」
紹介してもらったので「よろしく」と言えば、立ち上がって挨拶を返してきた。
「申し遅れました、私はこの店の主でロバートと申します。」
こちらに歩み寄って来たが、左右で足音が違った。
「義足?」
「おや、わかりますか?良い耳をお持ちのようで。」
それで奥で座っていたのか?
「若い頃ハンターをしていて、その時に。私は膝関節が残っていますから、まだマシな方です。私だけでなく、手足や眼球を失うハンターは多いですからね。」
「不躾な質問をして申し訳ない。座ってもらっても俺は気にしないから、あなたのやりやすいようにしてくれ。」
「お気遣い感謝します。それでメルヴィンは若い子に熱を上げて、生脚を止めたと言う事ですか?」
「ちげえよ!」
「ふふっ。ロバートさん、お久しぶりね。大体合ってるわ。ね、シオン?」
「俺とジェイデンで説得したんだ。」
「おや、アンジェラ。あなたもお熱ですか。それはそれは目出度いですね。」
「彼にはね、わたしが駆け出しの頃、メルヴィンと一緒にお世話になったのよ。話し方は堅いけれど面倒見の良い人なの。」
二人の面倒を見てくれた先輩か。
今も交流があるって事はすごく慕っているんだな。
そんなに良くしてくれたなら、俺も何かしたい。
「失礼だが、足の切断面、義足と接するところに痛みは無いか?」
「まあ、それなりにあります。義足の宿命だと言われましたので、諦めていますが。」
「では俺に治癒させてくれないか。今だけでも痛みが無くなるかもしれない。痛むと集中力を保つのが難しい。良い仕事の妨げになるし、どうだろうか。」
「その前に教えてください。たった今知り合ったばかりの私に、なぜそのような申し出を?」
「あなたは彼を『メルヴィン』と呼んだ。それを許された人物だからだ。あとは二人が世話になったなら、俺もできる事をあなたに返したいと思ったんだ。」
「二人に求めるだけでなく、与えたいということですか……。この子たちを大切に想っているんですね。………わかりました。よろしくお願いします。」
義足を外してもらってから、足に触れて治癒を始める。
口には出さなかったが、できるなら再生させたい。
二人が慕う人物なら、俺の能力が多少バレても問題無いだろう。
「《エクストラヒール》」
魔法で重要なのは想像力……。
何も考えていなかったフェイトのときよりも緊張する。
俺はスーパードクターじゃないけど、彼の失ったものを取り戻したい。
そう強く想うと魔力が薄っすらとロバートの足を形作りはじめた。
この感じならきっと大丈夫。
そのまま再生を願い続けた。
「………多分、大丈夫だと思う。動かせるなら確かめてほしい。」
ロバートは呆然としているが、二人には褒めてもらいたい。
「シオン、良くやってくれた!」
「ええ!本当に素晴らしいわ。」
「褒めてくれるならキスがほしい。ロバートさんになら俺の魔法のことがバレても問題無いよな?」
「ええ!恥ずかしいけど、嬉しいからキスしちゃう!」
そう言いながらジェイデンが顔中にちゅっちゅって感じのキスをしてくれた。
「シオン」と呼ばれて振り向けば、メルヴィンが熱烈なキスをしてくれた。
「お前さん、本当に…。ありがとうよ。」
俺は前後から抱きしめてもらえて幸せだ。
今朝味わえなかった雄っぱいサンドの感触は、極上だったと言っておく。
通行人のみなさんは絶対にアレナド兄弟が揃って若いオトコに熱を上げて、満足させるために気合いの入った夜の相談をしていると思ってるぞ。
ジェイデンなんて、すっかりジェイデンだし、「昔に戻ったのかしら?」とか言われてる。
俺と一緒で視線に慣れているからか、外野を気にする様子がない。
「メルヴィン、ジェイデン、俺は無理の無い量なら二人が勧めてくれる物を食べるよ。だからそろそろ相談を終わりにしてくれないか?ギャラリーが俺の尻をじっと見ているんだ。」
事実だし、これなら冷静になるだろう。
「オレの尻だ!勝手に見んな!!」
「わたしのお尻です!許可無く見ないでください!!」
…………駄目だった。
鋭い眼光の二人が叫ぶ。
アレナド兄弟と通行人、どちらにも燃料を投下してしまった。
盛り上がる外野がうるさい。
まあ妄想されるのにも慣れてるし、二人の可愛い姿を想像されるより万倍マシだから別に構わないけど。
「それで俺は何を食べたら良いんだ?二人も同じ物を食べよう。」
抱く側に効く食材は、抱かれる側にも効くハズだからな。
俺は今朝、煽った責任を取れと言われたが、絶対に俺の方が煽られていると思う。
結局、会話に上がった食材を使った料理を3人で食べた。
初めての魔獣の肉には緊張したが、酷いクセもなく美味かった。
しかし何の魔獣の肉かは恐くて聞けなかった。
気にはなるので慣れてきたら教えてもらおう。
昼から品数も多く、なかなかのボリュームがあった料理をあっさり完食できたことには驚いたが、これからはこの量が普通になるみたいだ。
それから服屋へ行く前に市場に寄って、ジェイデンが滋養強壮に効きそうな食材を片っ端から買い漁って、厨房に宛てた手紙と一緒に宿へ届けるように依頼していた。
俺は彼らの期待に応えられるだろうか?
そんな若干の不安とともに服屋に到着した。
「ロバート居るか?」
そう言いながら店のドアをメルヴィンが開けると、奥に座っている店主らしき人物から返事があった。
「居りますよ。ですが、あなたの似合わないショートパンツは二度と作りませんよ、メル…ヴィン?……その格好はどうしたんです?」
どうやら気心の知れた相手らしい。
「こっちに来い」と俺を呼んでから店主の質問に答える。
「あー、このとんでもなくキレイな男はシオンって言うんだがな、その……シオンが見立ててくれた。それであんたにはシオンの好みのオレとジェイデンの新しい服を急ぎで仕立ててもらいたい。」
紹介してもらったので「よろしく」と言えば、立ち上がって挨拶を返してきた。
「申し遅れました、私はこの店の主でロバートと申します。」
こちらに歩み寄って来たが、左右で足音が違った。
「義足?」
「おや、わかりますか?良い耳をお持ちのようで。」
それで奥で座っていたのか?
「若い頃ハンターをしていて、その時に。私は膝関節が残っていますから、まだマシな方です。私だけでなく、手足や眼球を失うハンターは多いですからね。」
「不躾な質問をして申し訳ない。座ってもらっても俺は気にしないから、あなたのやりやすいようにしてくれ。」
「お気遣い感謝します。それでメルヴィンは若い子に熱を上げて、生脚を止めたと言う事ですか?」
「ちげえよ!」
「ふふっ。ロバートさん、お久しぶりね。大体合ってるわ。ね、シオン?」
「俺とジェイデンで説得したんだ。」
「おや、アンジェラ。あなたもお熱ですか。それはそれは目出度いですね。」
「彼にはね、わたしが駆け出しの頃、メルヴィンと一緒にお世話になったのよ。話し方は堅いけれど面倒見の良い人なの。」
二人の面倒を見てくれた先輩か。
今も交流があるって事はすごく慕っているんだな。
そんなに良くしてくれたなら、俺も何かしたい。
「失礼だが、足の切断面、義足と接するところに痛みは無いか?」
「まあ、それなりにあります。義足の宿命だと言われましたので、諦めていますが。」
「では俺に治癒させてくれないか。今だけでも痛みが無くなるかもしれない。痛むと集中力を保つのが難しい。良い仕事の妨げになるし、どうだろうか。」
「その前に教えてください。たった今知り合ったばかりの私に、なぜそのような申し出を?」
「あなたは彼を『メルヴィン』と呼んだ。それを許された人物だからだ。あとは二人が世話になったなら、俺もできる事をあなたに返したいと思ったんだ。」
「二人に求めるだけでなく、与えたいということですか……。この子たちを大切に想っているんですね。………わかりました。よろしくお願いします。」
義足を外してもらってから、足に触れて治癒を始める。
口には出さなかったが、できるなら再生させたい。
二人が慕う人物なら、俺の能力が多少バレても問題無いだろう。
「《エクストラヒール》」
魔法で重要なのは想像力……。
何も考えていなかったフェイトのときよりも緊張する。
俺はスーパードクターじゃないけど、彼の失ったものを取り戻したい。
そう強く想うと魔力が薄っすらとロバートの足を形作りはじめた。
この感じならきっと大丈夫。
そのまま再生を願い続けた。
「………多分、大丈夫だと思う。動かせるなら確かめてほしい。」
ロバートは呆然としているが、二人には褒めてもらいたい。
「シオン、良くやってくれた!」
「ええ!本当に素晴らしいわ。」
「褒めてくれるならキスがほしい。ロバートさんになら俺の魔法のことがバレても問題無いよな?」
「ええ!恥ずかしいけど、嬉しいからキスしちゃう!」
そう言いながらジェイデンが顔中にちゅっちゅって感じのキスをしてくれた。
「シオン」と呼ばれて振り向けば、メルヴィンが熱烈なキスをしてくれた。
「お前さん、本当に…。ありがとうよ。」
俺は前後から抱きしめてもらえて幸せだ。
今朝味わえなかった雄っぱいサンドの感触は、極上だったと言っておく。
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