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4章 身体強化とその後のアレやコレ
02
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レストランに降りると、ちょうどフェイトが朝食をとっているところだった。
「おはよう、フェイト。」
「シオンさん!おはようございます。」
「俺は午後から買い物に行くがフェイトはどうする?一緒に行くか?それとも足りない物があれば買ってこようか。」
「大丈夫です!例の鞄のおかげで必要な物は揃っていますから。今日僕はシオンさんが許可してくれた魔道具の解析をしていますから、外出の予定もありません。気にかけてもらえて嬉しいです。」
「わかった。作業、進むと良いな。」
「はいっ。」
そんな会話をしているとメルヴィンとジェイデンがやってきたので、昨日の夕食にと同様に4人で食事を楽しんだ。
その後でジェイデンが受付に今日は一日留守にすると言付け、3人でギルドへ向かう。
歩き始めて思ったが、暑い。
我慢できない程ではないが、昨日の方が快適だった。
「なあ、ジェイデン。今日は暑くないか?」
「そうね、昨日より暑くなるかもしれないわ。王都はね、数日に一度くらい今日みたいに暑くなる日があるの。」
今日はその暑い日って事か。
街歩きするのにツイてないな。
「それだけじゃねえよ。お前さん、今日は服が違うだろ?魔法が付与された装備を脱いだからじゃねえのか?」
「俺の装備って魔法付与してあったのか?」
「気付いてなかったのかよ。効果までは解らんが、何かの力を感じたぞ。そうだろ、アンジェラ。」
「ええ。凄い装備だと思っていたわ。」
「マジか…。」
製作者の二人は作った物に魔法として付与される程、俺を想っていてくれたって考えて良いのかな。
どうしよう、すごく嬉しい。
「ハンターの依頼に出るなら、必ずあの装備で行け。きっとお前さんのための魔法が付与してある。」
「全身に魔法が付与された装備なんて、稼いでいるAランクか、それこそSランクでもない限り揃えられないわ。愛されているのね、シオン。」
「……うん。知っていたつもりだったけど、俺が思っているよりもっと大切にしてもらっていたみたいだ。」
じんわりとこみ上げるものがあったが、メルヴィンが肩を抱いて、ジェイデンが腕を組んで、そっと寄り添ってくれた。
二人の優しさが心に沁みる。
失ったものは確かに大きい。
だがこれから得る物もまた大きいはずだ。
俺を信じて待つと言ってくれた二人のためにも、決して挫けまい。
◇◇◇◇◇
ギルドに到着すると、昨日と同様に視線が集まる。
ただ、昨日はメルヴィンに集中していたが、今日は違った。
俺を基点に3人の間を行ったり来たりしている。
奥に進みつつ、周りの声を拾う。
「あいつか?ギルマス絞め落としたってヤツ。」
「あの身体じゃムリだろ、細っせーし。見ろよ、あの体格差。」
「俺はギルマスの執務室でアレナド兄弟を一人で相手にしてたって聞いたけど。」
「野人が人間になって帰った来たぞ!!」
「しかもエロ格好良い……。はぁ。」
「本当に生脚じゃなくなってる!もうギルマスが怖くない!」
「何もされないって分かってても怖かったもんな…。」
「ギルマスにズボン穿かせたのアイツだろ?救世主じゃねえか!」
「俺、今日のギルマスになら金払ってでも抱かれたい……。」
「私も!」
2番目のやつのコメントは予想してたが、最後の二人。
お前らは駄目だ、赦さん。
メルヴィンはいくら積まれたってお前らなんか抱かないからな!
「あんなの気にすんな。オレにはお前さんだけだって言ったろ?約束を違える気はねえよ。」
「……うん。」
「しかしお前さん、そんなキレイな顔してんのに意外とヤキモチやきだよな。有象無象の言葉なんかほっときゃいいのに真に受けて。」
俺だって人の子だぞ。
そういう感情だってある。
「嫌か?俺も初めてで戸惑ってる。でもメルヴィンが格好良いのがいけない。ジェイデンも、口説かれても靡かないで。」
「もちろんよ!わたしもシオンだけだって知ってるでしょう?アナタの初めてなんて嬉しいわ!」
「うん。ありがとう。(だいすき)」
他人の耳目を集めているので口の動きだけで伝えたが、二人なら読唇できるだろう。
正面の受付嬢たちには俺たちのやり取りが聞こえているし、初っ端から悶絶しているが、彼女たちなら大丈夫だろう。
「お前ら悶えてないで復活しろ。それとルーシャ、訓練場はしばらくオレらの貸し切りだ。後は《リペア》を起動してくれ。」
「はっ、はい!《リペア》ってことは身体強化で模擬戦でもするんですか?見学希望者が出ると思うんですけど、入れて良いんですか?」
「まあな。それと見学者は無しだ。行くぞ。」
訓練場の準備が整うと二人が説明をしてくれる。
「身体強化の基礎だが、まずは魔力で身体を活性化して内側から身体能力を上げる。
それから魔力を身体に纏って外側から身体能力を上げる。
そのブーストした状態で攻撃力や防御力を上げることまで熟せるようになれば、オレとジェイデンの域だ。
理由はいろいろあるが、大抵のやつは活性化を基にして、攻撃型と防御型に別れる。お前さんは器用だから全てできるようになるだろうよ。」
「きっと期待に応えるよ。」
できなければ二人に並び立てないなら、やるしかない。
「武器や体術で戦うやつにはすげえ便利だが、注意しなけりゃならん事も当然だがある。どんなにツライ状態になっても、身体強化を使うなら必ず全身を強化しろ。でなきゃ最悪、もげて死ぬ。」
…………………は?
「おはよう、フェイト。」
「シオンさん!おはようございます。」
「俺は午後から買い物に行くがフェイトはどうする?一緒に行くか?それとも足りない物があれば買ってこようか。」
「大丈夫です!例の鞄のおかげで必要な物は揃っていますから。今日僕はシオンさんが許可してくれた魔道具の解析をしていますから、外出の予定もありません。気にかけてもらえて嬉しいです。」
「わかった。作業、進むと良いな。」
「はいっ。」
そんな会話をしているとメルヴィンとジェイデンがやってきたので、昨日の夕食にと同様に4人で食事を楽しんだ。
その後でジェイデンが受付に今日は一日留守にすると言付け、3人でギルドへ向かう。
歩き始めて思ったが、暑い。
我慢できない程ではないが、昨日の方が快適だった。
「なあ、ジェイデン。今日は暑くないか?」
「そうね、昨日より暑くなるかもしれないわ。王都はね、数日に一度くらい今日みたいに暑くなる日があるの。」
今日はその暑い日って事か。
街歩きするのにツイてないな。
「それだけじゃねえよ。お前さん、今日は服が違うだろ?魔法が付与された装備を脱いだからじゃねえのか?」
「俺の装備って魔法付与してあったのか?」
「気付いてなかったのかよ。効果までは解らんが、何かの力を感じたぞ。そうだろ、アンジェラ。」
「ええ。凄い装備だと思っていたわ。」
「マジか…。」
製作者の二人は作った物に魔法として付与される程、俺を想っていてくれたって考えて良いのかな。
どうしよう、すごく嬉しい。
「ハンターの依頼に出るなら、必ずあの装備で行け。きっとお前さんのための魔法が付与してある。」
「全身に魔法が付与された装備なんて、稼いでいるAランクか、それこそSランクでもない限り揃えられないわ。愛されているのね、シオン。」
「……うん。知っていたつもりだったけど、俺が思っているよりもっと大切にしてもらっていたみたいだ。」
じんわりとこみ上げるものがあったが、メルヴィンが肩を抱いて、ジェイデンが腕を組んで、そっと寄り添ってくれた。
二人の優しさが心に沁みる。
失ったものは確かに大きい。
だがこれから得る物もまた大きいはずだ。
俺を信じて待つと言ってくれた二人のためにも、決して挫けまい。
◇◇◇◇◇
ギルドに到着すると、昨日と同様に視線が集まる。
ただ、昨日はメルヴィンに集中していたが、今日は違った。
俺を基点に3人の間を行ったり来たりしている。
奥に進みつつ、周りの声を拾う。
「あいつか?ギルマス絞め落としたってヤツ。」
「あの身体じゃムリだろ、細っせーし。見ろよ、あの体格差。」
「俺はギルマスの執務室でアレナド兄弟を一人で相手にしてたって聞いたけど。」
「野人が人間になって帰った来たぞ!!」
「しかもエロ格好良い……。はぁ。」
「本当に生脚じゃなくなってる!もうギルマスが怖くない!」
「何もされないって分かってても怖かったもんな…。」
「ギルマスにズボン穿かせたのアイツだろ?救世主じゃねえか!」
「俺、今日のギルマスになら金払ってでも抱かれたい……。」
「私も!」
2番目のやつのコメントは予想してたが、最後の二人。
お前らは駄目だ、赦さん。
メルヴィンはいくら積まれたってお前らなんか抱かないからな!
「あんなの気にすんな。オレにはお前さんだけだって言ったろ?約束を違える気はねえよ。」
「……うん。」
「しかしお前さん、そんなキレイな顔してんのに意外とヤキモチやきだよな。有象無象の言葉なんかほっときゃいいのに真に受けて。」
俺だって人の子だぞ。
そういう感情だってある。
「嫌か?俺も初めてで戸惑ってる。でもメルヴィンが格好良いのがいけない。ジェイデンも、口説かれても靡かないで。」
「もちろんよ!わたしもシオンだけだって知ってるでしょう?アナタの初めてなんて嬉しいわ!」
「うん。ありがとう。(だいすき)」
他人の耳目を集めているので口の動きだけで伝えたが、二人なら読唇できるだろう。
正面の受付嬢たちには俺たちのやり取りが聞こえているし、初っ端から悶絶しているが、彼女たちなら大丈夫だろう。
「お前ら悶えてないで復活しろ。それとルーシャ、訓練場はしばらくオレらの貸し切りだ。後は《リペア》を起動してくれ。」
「はっ、はい!《リペア》ってことは身体強化で模擬戦でもするんですか?見学希望者が出ると思うんですけど、入れて良いんですか?」
「まあな。それと見学者は無しだ。行くぞ。」
訓練場の準備が整うと二人が説明をしてくれる。
「身体強化の基礎だが、まずは魔力で身体を活性化して内側から身体能力を上げる。
それから魔力を身体に纏って外側から身体能力を上げる。
そのブーストした状態で攻撃力や防御力を上げることまで熟せるようになれば、オレとジェイデンの域だ。
理由はいろいろあるが、大抵のやつは活性化を基にして、攻撃型と防御型に別れる。お前さんは器用だから全てできるようになるだろうよ。」
「きっと期待に応えるよ。」
できなければ二人に並び立てないなら、やるしかない。
「武器や体術で戦うやつにはすげえ便利だが、注意しなけりゃならん事も当然だがある。どんなにツライ状態になっても、身体強化を使うなら必ず全身を強化しろ。でなきゃ最悪、もげて死ぬ。」
…………………は?
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