ダメな方の異世界召喚された俺は、それでも風呂と伴侶を愛してる

おりく

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3章 天使と仔猫と風呂と俺、マスコットを添えて

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「あー、それにしても疲れた。もう嫌だ。今日はこれ以上、書類なんか見たくねえ。」

「ボヤいても仕事は減らないでしょう。手を動かさないと明日買い物に行けませんよ?」

「んなこたぁわかってる。手ぇ動かしゃ片付くヤツならもう終わってるしな。そうじゃないから困ってんだ。」

「またハンター不足ですか…。」

「まあな。ザコ相手にオレらが出て行くワケにもいかんだろ。引退した意味が無くなっちまうし、後進にも成長してもらわなきゃならん。それ以外のは明後日分くらいまで終わってんだけどな。」

「ではもう帰って休みましょう。わたしも今日は疲れましたよ、誰かさんのおかげでね。」

「確かに、誰かさんのおかげでな。」

酷い言われようだ。
だが後悔はしてない。
本気で嫌がられない程度に、これからもいろいろしたいからな。

「じゃあシオンの登録して、ギルドカード発行したら帰るか。」

そう言って立ち上がったメルヴィンを見上げて気が付いた。
きっと今の服装でホールに降りたら、彼に向けられる視線がさっきまでとは別物になる。
自分でやったことなのに、今更だが誰かに盗られないか心配になってきた。

メルヴィンの後ろに立って、扉に手をかける彼の背中にそっと抱きついた。
ヤバイ、僧帽筋と広背筋も最高過ぎる。
ちょっと筋肉に意識が飛びかけたが、そのままお願いする。

「なぁ、メルヴィン。ホールに降りたらあんたに注がれる視線が、さっきまでと違うと思う。でも外見が変わっただけでそんな手のひらを返すような奴らに、あんたを盗られたくない。だから他所見しないでくれ。」

そう言ってから離れ、次はジェイデンの胸に収まり肩に頭を預ける。
ジェイデンの僧帽筋も最高だし、三角筋が格好良い。

「ねぇ、ジェイデン。出会ったばかりの俺が気付くくらいにあなたも雰囲気が変わって、きっと今まで以上に魅力的になった。俺もその一助になれて嬉しい。でも口説いてくる奴らがいても、俺を忘れないで。誘いになんか乗らないでほしい。」

恥を忍んでお願いしたのに、返答が無い。
二人に好かれてるって思ったのは俺の勘違いか?
お子様のワガママだって思われたとか?

「……いや、驚いた。お前さんでもそんな事考えるんだな。」

「ええ、年相応の行動をされるとびっくりしちゃいますね。」

「年相応って、何歳いくつだ?」

「今年25だそうですよ。メルヴィンより11歳年下ですね。」

ってことは彼は36歳か。
こちらも見えない。
やはり身体強化恐るべし。

「大丈夫です。『無自覚にべた惚れで、既にメロメロ』なんですよ?わたしには君だけ…シオンだけです。」

そう言って抱きしめてくれたジェイデンが好きだ。

「うん。ありがとう、ジェイデン。」

抱擁が解かれると、今度はメルヴィンの広い胸に包まれた。

「オレはもう腹を括ったぞ。オレにもお前さん、シオンだけだ。逆にオレが逃さねえよ。覚悟しろや。」

そう言って髪を撫でてくれたメルヴィンが好きだ。

「あんたに捕まるなら嬉しい、メルヴィン。」

マシュマロ雄っぱいも最高だ。

「今はまだ無理だけど、時期が来たらきっと言うから待っていてくれ。」

好きだ、愛してる、って早く伝えたい。

「ええ。早く聞きたいですね。」

「オレがジイさんになる前に聞きてえモンだな。」

「うん、安全第一に頑張る。」

死んだら元も子もないからな。

「なんだい、それ」「今度こそ行くぞ」と扉を開けてロビーから見える所まで行くと、ギルド内が静まり返った。
それに視線が集まっている。
俺のメルヴィンとジェイデンなのに。
心の中で膨れていると慰められた。

「心配いらねえよ。」
「大丈夫よ。」

そう言ってメルヴィンは俺の頭のをぽんぽんしてくれた。
ジェイデンはアンジェラになっているけど、頬を撫でてくれた。
二人から触れられてご機嫌になる俺はお手軽だ。

「二人を信じるよ。」

ギルド中の視線を集めながら階段を降りて、受付に向かう。

「ルーシャ、シオンを登録してくれ。ランクはCだ。」

ザワっと動揺が走る。

「それと、メルヴィン・アレナドからニコルのパーティに指名依頼を出す。手続きを頼む。」

ルーシャの隣の受付嬢に告げたところで、声がかけられた。

「ギルマス、あたしらならここに居るよ!」

「おう、じゃあこっち来てくれ。ついでに依頼の説明もするからよ。」

3人の女性ハンターがやって来る。
剣士、拳士、魔術師、かな?

「初めまして、あたしはニコル。こっちはアルシェとラーナ。」

「俺はシオン。3人ともよろしく頼む。」

「依頼内容だが、来週からシオンの講師役を頼みたい。一通り依頼を経験させたいんだ。だからお前たちの依頼に同行させて、シオンの質問に答えてくれりゃあ良い。報酬は1人に大銀貨2枚(20万)ずつ支払う。どうだ?」

3人で確認しあって頷いた。

「あたしらは構わない。受けるよ。」

「お兄さん、さっきマスターを足で投げてた人でしょ?あの技教えて!」

アルシェが言ってきたので答える。

「見てたのか。時間があるときなら良いぞ。」

「ありがとっ!よろしくね!」

よっぽど嬉しかったのか、ぴょんぴょん跳ねている。

「アルシェを喜ばせてくれてありがとう。来週からよろしく。」

今度はラーナだ。

「こちらこそよろしく。彼女はラーナの良い人なのかな?怪我をさせないように注意するよ。」

首を縦に振るラーナの横からニコルが告げてきた。

「少し違うよ。あたしらは3人で愛し合ってるのさ。」

アルシェとラーナも頷いている。

「そうか。仲睦まじそうだし、良いパーティなんだな。」

だからメルヴィンが選んだのだろう。
まともな講師役で良かった。
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