51 / 170
3章 天使と仔猫と風呂と俺、マスコットを添えて
29
しおりを挟む
「あー、それにしても疲れた。もう嫌だ。今日はこれ以上、書類なんか見たくねえ。」
「ボヤいても仕事は減らないでしょう。手を動かさないと明日買い物に行けませんよ?」
「んなこたぁわかってる。手ぇ動かしゃ片付くヤツならもう終わってるしな。そうじゃないから困ってんだ。」
「またハンター不足ですか…。」
「まあな。ザコ相手にオレらが出て行くワケにもいかんだろ。引退した意味が無くなっちまうし、後進にも成長してもらわなきゃならん。それ以外のは明後日分くらいまで終わってんだけどな。」
「ではもう帰って休みましょう。わたしも今日は疲れましたよ、誰かさんのおかげでね。」
「確かに、誰かさんのおかげでな。」
酷い言われようだ。
だが後悔はしてない。
本気で嫌がられない程度に、これからもいろいろしたいからな。
「じゃあシオンの登録して、ギルドカード発行したら帰るか。」
そう言って立ち上がったメルヴィンを見上げて気が付いた。
きっと今の服装でホールに降りたら、彼に向けられる視線がさっきまでとは別物になる。
自分でやったことなのに、今更だが誰かに盗られないか心配になってきた。
メルヴィンの後ろに立って、扉に手をかける彼の背中にそっと抱きついた。
ヤバイ、僧帽筋と広背筋も最高過ぎる。
ちょっと筋肉に意識が飛びかけたが、そのままお願いする。
「なぁ、メルヴィン。ホールに降りたらあんたに注がれる視線が、さっきまでと違うと思う。でも外見が変わっただけでそんな手のひらを返すような奴らに、あんたを盗られたくない。だから他所見しないでくれ。」
そう言ってから離れ、次はジェイデンの胸に収まり肩に頭を預ける。
ジェイデンの僧帽筋も最高だし、三角筋が格好良い。
「ねぇ、ジェイデン。出会ったばかりの俺が気付くくらいにあなたも雰囲気が変わって、きっと今まで以上に魅力的になった。俺もその一助になれて嬉しい。でも口説いてくる奴らがいても、俺を忘れないで。誘いになんか乗らないでほしい。」
恥を忍んでお願いしたのに、返答が無い。
二人に好かれてるって思ったのは俺の勘違いか?
お子様のワガママだって思われたとか?
「……いや、驚いた。お前さんでもそんな事考えるんだな。」
「ええ、年相応の行動をされるとびっくりしちゃいますね。」
「年相応って、何歳だ?」
「今年25だそうですよ。メルヴィンより11歳年下ですね。」
ってことは彼は36歳か。
こちらも見えない。
やはり身体強化恐るべし。
「大丈夫です。『無自覚にべた惚れで、既にメロメロ』なんですよ?わたしには君だけ…シオンだけです。」
そう言って抱きしめてくれたジェイデンが好きだ。
「うん。ありがとう、ジェイデン。」
抱擁が解かれると、今度はメルヴィンの広い胸に包まれた。
「オレはもう腹を括ったぞ。オレにもお前さん、シオンだけだ。逆にオレが逃さねえよ。覚悟しろや。」
そう言って髪を撫でてくれたメルヴィンが好きだ。
「あんたに捕まるなら嬉しい、メルヴィン。」
マシュマロ雄っぱいも最高だ。
「今はまだ無理だけど、時期が来たらきっと言うから待っていてくれ。」
好きだ、愛してる、って早く伝えたい。
「ええ。早く聞きたいですね。」
「オレがジイさんになる前に聞きてえモンだな。」
「うん、安全第一に頑張る。」
死んだら元も子もないからな。
「なんだい、それ」「今度こそ行くぞ」と扉を開けてロビーから見える所まで行くと、ギルド内が静まり返った。
それに視線が集まっている。
俺のメルヴィンとジェイデンなのに。
心の中で膨れていると慰められた。
「心配いらねえよ。」
「大丈夫よ。」
そう言ってメルヴィンは俺の頭のをぽんぽんしてくれた。
ジェイデンはアンジェラになっているけど、頬を撫でてくれた。
二人から触れられてご機嫌になる俺はお手軽だ。
「二人を信じるよ。」
ギルド中の視線を集めながら階段を降りて、受付に向かう。
「ルーシャ、シオンを登録してくれ。ランクはCだ。」
ザワっと動揺が走る。
「それと、メルヴィン・アレナドからニコルのパーティに指名依頼を出す。手続きを頼む。」
ルーシャの隣の受付嬢に告げたところで、声がかけられた。
「ギルマス、あたしらならここに居るよ!」
「おう、じゃあこっち来てくれ。ついでに依頼の説明もするからよ。」
3人の女性ハンターがやって来る。
剣士、拳士、魔術師、かな?
「初めまして、あたしはニコル。こっちはアルシェとラーナ。」
「俺はシオン。3人ともよろしく頼む。」
「依頼内容だが、来週からシオンの講師役を頼みたい。一通り依頼を経験させたいんだ。だからお前たちの依頼に同行させて、シオンの質問に答えてくれりゃあ良い。報酬は1人に大銀貨2枚(20万)ずつ支払う。どうだ?」
3人で確認しあって頷いた。
「あたしらは構わない。受けるよ。」
「お兄さん、さっきマスターを足で投げてた人でしょ?あの技教えて!」
アルシェが言ってきたので答える。
「見てたのか。時間があるときなら良いぞ。」
「ありがとっ!よろしくね!」
よっぽど嬉しかったのか、ぴょんぴょん跳ねている。
「アルシェを喜ばせてくれてありがとう。来週からよろしく。」
今度はラーナだ。
「こちらこそよろしく。彼女はラーナの良い人なのかな?怪我をさせないように注意するよ。」
首を縦に振るラーナの横からニコルが告げてきた。
「少し違うよ。あたしらは3人で愛し合ってるのさ。」
アルシェとラーナも頷いている。
「そうか。仲睦まじそうだし、良いパーティなんだな。」
だからメルヴィンが選んだのだろう。
まともな講師役で良かった。
「ボヤいても仕事は減らないでしょう。手を動かさないと明日買い物に行けませんよ?」
「んなこたぁわかってる。手ぇ動かしゃ片付くヤツならもう終わってるしな。そうじゃないから困ってんだ。」
「またハンター不足ですか…。」
「まあな。ザコ相手にオレらが出て行くワケにもいかんだろ。引退した意味が無くなっちまうし、後進にも成長してもらわなきゃならん。それ以外のは明後日分くらいまで終わってんだけどな。」
「ではもう帰って休みましょう。わたしも今日は疲れましたよ、誰かさんのおかげでね。」
「確かに、誰かさんのおかげでな。」
酷い言われようだ。
だが後悔はしてない。
本気で嫌がられない程度に、これからもいろいろしたいからな。
「じゃあシオンの登録して、ギルドカード発行したら帰るか。」
そう言って立ち上がったメルヴィンを見上げて気が付いた。
きっと今の服装でホールに降りたら、彼に向けられる視線がさっきまでとは別物になる。
自分でやったことなのに、今更だが誰かに盗られないか心配になってきた。
メルヴィンの後ろに立って、扉に手をかける彼の背中にそっと抱きついた。
ヤバイ、僧帽筋と広背筋も最高過ぎる。
ちょっと筋肉に意識が飛びかけたが、そのままお願いする。
「なぁ、メルヴィン。ホールに降りたらあんたに注がれる視線が、さっきまでと違うと思う。でも外見が変わっただけでそんな手のひらを返すような奴らに、あんたを盗られたくない。だから他所見しないでくれ。」
そう言ってから離れ、次はジェイデンの胸に収まり肩に頭を預ける。
ジェイデンの僧帽筋も最高だし、三角筋が格好良い。
「ねぇ、ジェイデン。出会ったばかりの俺が気付くくらいにあなたも雰囲気が変わって、きっと今まで以上に魅力的になった。俺もその一助になれて嬉しい。でも口説いてくる奴らがいても、俺を忘れないで。誘いになんか乗らないでほしい。」
恥を忍んでお願いしたのに、返答が無い。
二人に好かれてるって思ったのは俺の勘違いか?
お子様のワガママだって思われたとか?
「……いや、驚いた。お前さんでもそんな事考えるんだな。」
「ええ、年相応の行動をされるとびっくりしちゃいますね。」
「年相応って、何歳だ?」
「今年25だそうですよ。メルヴィンより11歳年下ですね。」
ってことは彼は36歳か。
こちらも見えない。
やはり身体強化恐るべし。
「大丈夫です。『無自覚にべた惚れで、既にメロメロ』なんですよ?わたしには君だけ…シオンだけです。」
そう言って抱きしめてくれたジェイデンが好きだ。
「うん。ありがとう、ジェイデン。」
抱擁が解かれると、今度はメルヴィンの広い胸に包まれた。
「オレはもう腹を括ったぞ。オレにもお前さん、シオンだけだ。逆にオレが逃さねえよ。覚悟しろや。」
そう言って髪を撫でてくれたメルヴィンが好きだ。
「あんたに捕まるなら嬉しい、メルヴィン。」
マシュマロ雄っぱいも最高だ。
「今はまだ無理だけど、時期が来たらきっと言うから待っていてくれ。」
好きだ、愛してる、って早く伝えたい。
「ええ。早く聞きたいですね。」
「オレがジイさんになる前に聞きてえモンだな。」
「うん、安全第一に頑張る。」
死んだら元も子もないからな。
「なんだい、それ」「今度こそ行くぞ」と扉を開けてロビーから見える所まで行くと、ギルド内が静まり返った。
それに視線が集まっている。
俺のメルヴィンとジェイデンなのに。
心の中で膨れていると慰められた。
「心配いらねえよ。」
「大丈夫よ。」
そう言ってメルヴィンは俺の頭のをぽんぽんしてくれた。
ジェイデンはアンジェラになっているけど、頬を撫でてくれた。
二人から触れられてご機嫌になる俺はお手軽だ。
「二人を信じるよ。」
ギルド中の視線を集めながら階段を降りて、受付に向かう。
「ルーシャ、シオンを登録してくれ。ランクはCだ。」
ザワっと動揺が走る。
「それと、メルヴィン・アレナドからニコルのパーティに指名依頼を出す。手続きを頼む。」
ルーシャの隣の受付嬢に告げたところで、声がかけられた。
「ギルマス、あたしらならここに居るよ!」
「おう、じゃあこっち来てくれ。ついでに依頼の説明もするからよ。」
3人の女性ハンターがやって来る。
剣士、拳士、魔術師、かな?
「初めまして、あたしはニコル。こっちはアルシェとラーナ。」
「俺はシオン。3人ともよろしく頼む。」
「依頼内容だが、来週からシオンの講師役を頼みたい。一通り依頼を経験させたいんだ。だからお前たちの依頼に同行させて、シオンの質問に答えてくれりゃあ良い。報酬は1人に大銀貨2枚(20万)ずつ支払う。どうだ?」
3人で確認しあって頷いた。
「あたしらは構わない。受けるよ。」
「お兄さん、さっきマスターを足で投げてた人でしょ?あの技教えて!」
アルシェが言ってきたので答える。
「見てたのか。時間があるときなら良いぞ。」
「ありがとっ!よろしくね!」
よっぽど嬉しかったのか、ぴょんぴょん跳ねている。
「アルシェを喜ばせてくれてありがとう。来週からよろしく。」
今度はラーナだ。
「こちらこそよろしく。彼女はラーナの良い人なのかな?怪我をさせないように注意するよ。」
首を縦に振るラーナの横からニコルが告げてきた。
「少し違うよ。あたしらは3人で愛し合ってるのさ。」
アルシェとラーナも頷いている。
「そうか。仲睦まじそうだし、良いパーティなんだな。」
だからメルヴィンが選んだのだろう。
まともな講師役で良かった。
0
お気に入りに追加
546
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い



淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

○○に求婚されたおっさん、逃げる・・
相沢京
BL
小さな町でギルドに所属していた30過ぎのおっさんのオレに王都のギルマスから招集命令が下される。
といっても、何か罪を犯したからとかではなくてオレに会いたい人がいるらしい。そいつは事情があって王都から出れないとか、特に何の用事もなかったオレは承諾して王都へと向かうのだった。
しかし、そこに待ち受けていたのは―――・・


飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる