25 / 170
3章 天使と仔猫と風呂と俺、マスコットを添えて
03
しおりを挟む
「アンジェラママ。1つ不躾な質問をしても良いだろうか?」
「なあに?答えられるコトなら良いわよ?」
「あなたは先ほど『年甲斐も無く』と言っていたが、そのような年齢には見えない。見た目にはラースとそう変わらないように思うが、纏う空気はもっと大人の雰囲気だ。これはどういうことだろうか?」
「そのことね。シオンちゃんはわたしが元ハンターだって知っているかしら?」
「この二人に教えてもらった。」
「そう。わたしはね、身体強化が得意なの。熟達すると肉体が活性化して老化が遅くなるから実年齢よりも若く見えるのよ。だからアナタはギャップを感じたのだと思うわ。」
「そうなのか…。教えてくれて感謝する。」
「見た感じ、シオンちゃんも身体強化使えるでしょ?アナタが見た目通りの年齢ならギャップはまだ出てないわね。だから疑問に思ったのかしら。でも、きっとこれから外見年齢は変わり難くなるわ。」
「そうなのか。だが俺は身体強化を使った記憶が無い。誰か指南してくれる方はいないだろうか?」
どうせなら正しい使い方を学びたいし、こっちの武術も気になる。
元ハンターのツテでマトモな師匠を紹介してもらえるなら嬉しい。
「それならわたしか、わたしの兄が良いわ。シオンちゃん、相当できるでしょ。半端な人間が教えたら怪我するわ。」
「ではご教授願います、アンジェラ先生。お兄さんにもご挨拶しなければなりませんね。」
師には礼を尽くさねば、と態度を改める。
「先生より、ママって呼ばれたいわ。先生は教えているときだけ、口調もさっきまでのでお願い、ね?」
「わかった、アンジェラママ。よろしく頼む。」
「ええ。」
微笑みながら了承してもらえたので、早くも師匠ができた。
こうなると身体を動かしたくなってくる。
「シオンよ、話は終わったって雰囲気出してるけど、本題忘れんなよ?」
忘れてないが、俺の話はこっちがメインでも良いくらいだ。
だがフェイトはそうじゃないからな。
「わかってる。」
「そうか。じゃあフェイトからか?」
「そうですね、お願いします。」
そう言ってフェイトが昨日からの出来事を話していった。
「そんなことがあったのね…。無事ではなかったみたいだけれど、生きていてくれて良かったわ。シオンちゃん、ありがとう。フェイトちゃんを見つけて守ってくれて。ウチの魔道具はね、みんなフェイトちゃんの作品なの。とっても腕の良い職人さんなのよ。それなのに使い捨てるみたいなことをされるなんて…。それにルジェちゃんのことも複雑ね。」
「それで自宅には居られなくなってしまったので、暫くはこちらで部屋をお借りしたいのですが、その…例の魔道具の材料費のせいで働かないと長期滞在するには持ち合わせが心許なくなってしまって…。あの、申し訳ないんですけど、後払いで泊めていただけないかと、お願いに来ました…。」
フェイトの声が段々と小さくなる。
「もう!水臭いわね!わたしは元だけど、Sランクハンターよ?こんなときは頼ってくれて良いんだからね?それにウチの従業員と設備ならしっかりしてるもの。知ってるわよね?だから安心して滞在してちょうだい。」
そう言いながらフェイトを労っているアンジェラママの瞳は慈愛に溢れていた。
「…ありがとうございます。お世話になります。」
そんな様子を見ていたラースが疑問を投げかけた。
「そういえばだが、アンジェラさんは怖くないのか?」
フェイトはコクリと頷いて答える。
「シオンさんもだけど、近くに居ても、触られても、性的な匂いが一切しないから怖くないです。ラースさんもそうなんですけど、あの、見た目が男性的だから……その、思い出してしまって。ごめんなさい。」
「いや、怖がらせたいわけじゃないから良いんだ。触れたり近づき過ぎなきゃ会話もできるし、俺は問題無いから気にしないでくれ。しかし、シオンだって俺と身長変わらんのにズルいな。」
「シオンさんは、あの、助けて貰ったのもあるんですけど、………う、美し過ぎて、そういうの、忘れちゃうんです。」
俯いて恥ずかしがる真っ赤な顔のフェイト、いただきました。
「フェイト。」
純粋に褒めてくれたし、顎クイをサービスしてやろう。
俯いていた顔を上げさせたらぷるぷる震えてしまったが、怖がってないから良いだろう。
「嫌な事を忘れられるなら、俺の顔くらいいくら見ていても構わないよ。」
ぼふんっと音がするくらいに、赤い顔をさらに赤くしたフェイトに見つめられる。
どんなに恥ずかしくても視線を逸らさない気概が凄い。
「い、良いんですか?シオンさん、そういうのイヤがると思ってました…。」
「有象無象からの熱視線は御免被るが、下心の無い純粋な視線なら許容できる。フェイトから感じるのは賛美だから照れるけどな。…どうだラース、羨ましいだろう。」
あんたには流し目をくれてやろう。
「お前!またそんな視線寄越して!それにちょっと悔しいだろ!俺だって花街を歩けばそれなりに人気あるんだからな!それと俺で遊ぶの止めてくれ!」
ラースまで赤い顔にしてやった。
この男で遊ぶのは止められなさそうだ。
「なあに?答えられるコトなら良いわよ?」
「あなたは先ほど『年甲斐も無く』と言っていたが、そのような年齢には見えない。見た目にはラースとそう変わらないように思うが、纏う空気はもっと大人の雰囲気だ。これはどういうことだろうか?」
「そのことね。シオンちゃんはわたしが元ハンターだって知っているかしら?」
「この二人に教えてもらった。」
「そう。わたしはね、身体強化が得意なの。熟達すると肉体が活性化して老化が遅くなるから実年齢よりも若く見えるのよ。だからアナタはギャップを感じたのだと思うわ。」
「そうなのか…。教えてくれて感謝する。」
「見た感じ、シオンちゃんも身体強化使えるでしょ?アナタが見た目通りの年齢ならギャップはまだ出てないわね。だから疑問に思ったのかしら。でも、きっとこれから外見年齢は変わり難くなるわ。」
「そうなのか。だが俺は身体強化を使った記憶が無い。誰か指南してくれる方はいないだろうか?」
どうせなら正しい使い方を学びたいし、こっちの武術も気になる。
元ハンターのツテでマトモな師匠を紹介してもらえるなら嬉しい。
「それならわたしか、わたしの兄が良いわ。シオンちゃん、相当できるでしょ。半端な人間が教えたら怪我するわ。」
「ではご教授願います、アンジェラ先生。お兄さんにもご挨拶しなければなりませんね。」
師には礼を尽くさねば、と態度を改める。
「先生より、ママって呼ばれたいわ。先生は教えているときだけ、口調もさっきまでのでお願い、ね?」
「わかった、アンジェラママ。よろしく頼む。」
「ええ。」
微笑みながら了承してもらえたので、早くも師匠ができた。
こうなると身体を動かしたくなってくる。
「シオンよ、話は終わったって雰囲気出してるけど、本題忘れんなよ?」
忘れてないが、俺の話はこっちがメインでも良いくらいだ。
だがフェイトはそうじゃないからな。
「わかってる。」
「そうか。じゃあフェイトからか?」
「そうですね、お願いします。」
そう言ってフェイトが昨日からの出来事を話していった。
「そんなことがあったのね…。無事ではなかったみたいだけれど、生きていてくれて良かったわ。シオンちゃん、ありがとう。フェイトちゃんを見つけて守ってくれて。ウチの魔道具はね、みんなフェイトちゃんの作品なの。とっても腕の良い職人さんなのよ。それなのに使い捨てるみたいなことをされるなんて…。それにルジェちゃんのことも複雑ね。」
「それで自宅には居られなくなってしまったので、暫くはこちらで部屋をお借りしたいのですが、その…例の魔道具の材料費のせいで働かないと長期滞在するには持ち合わせが心許なくなってしまって…。あの、申し訳ないんですけど、後払いで泊めていただけないかと、お願いに来ました…。」
フェイトの声が段々と小さくなる。
「もう!水臭いわね!わたしは元だけど、Sランクハンターよ?こんなときは頼ってくれて良いんだからね?それにウチの従業員と設備ならしっかりしてるもの。知ってるわよね?だから安心して滞在してちょうだい。」
そう言いながらフェイトを労っているアンジェラママの瞳は慈愛に溢れていた。
「…ありがとうございます。お世話になります。」
そんな様子を見ていたラースが疑問を投げかけた。
「そういえばだが、アンジェラさんは怖くないのか?」
フェイトはコクリと頷いて答える。
「シオンさんもだけど、近くに居ても、触られても、性的な匂いが一切しないから怖くないです。ラースさんもそうなんですけど、あの、見た目が男性的だから……その、思い出してしまって。ごめんなさい。」
「いや、怖がらせたいわけじゃないから良いんだ。触れたり近づき過ぎなきゃ会話もできるし、俺は問題無いから気にしないでくれ。しかし、シオンだって俺と身長変わらんのにズルいな。」
「シオンさんは、あの、助けて貰ったのもあるんですけど、………う、美し過ぎて、そういうの、忘れちゃうんです。」
俯いて恥ずかしがる真っ赤な顔のフェイト、いただきました。
「フェイト。」
純粋に褒めてくれたし、顎クイをサービスしてやろう。
俯いていた顔を上げさせたらぷるぷる震えてしまったが、怖がってないから良いだろう。
「嫌な事を忘れられるなら、俺の顔くらいいくら見ていても構わないよ。」
ぼふんっと音がするくらいに、赤い顔をさらに赤くしたフェイトに見つめられる。
どんなに恥ずかしくても視線を逸らさない気概が凄い。
「い、良いんですか?シオンさん、そういうのイヤがると思ってました…。」
「有象無象からの熱視線は御免被るが、下心の無い純粋な視線なら許容できる。フェイトから感じるのは賛美だから照れるけどな。…どうだラース、羨ましいだろう。」
あんたには流し目をくれてやろう。
「お前!またそんな視線寄越して!それにちょっと悔しいだろ!俺だって花街を歩けばそれなりに人気あるんだからな!それと俺で遊ぶの止めてくれ!」
ラースまで赤い顔にしてやった。
この男で遊ぶのは止められなさそうだ。
0
お気に入りに追加
546
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。



王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

○○に求婚されたおっさん、逃げる・・
相沢京
BL
小さな町でギルドに所属していた30過ぎのおっさんのオレに王都のギルマスから招集命令が下される。
といっても、何か罪を犯したからとかではなくてオレに会いたい人がいるらしい。そいつは事情があって王都から出れないとか、特に何の用事もなかったオレは承諾して王都へと向かうのだった。
しかし、そこに待ち受けていたのは―――・・



俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる