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2章 間違った使い方をされた麻袋と中の人
01
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俺の心は折れそうになっている。
たった今、ありふれてるけどちょっと良い事を言って、決意も新たに歩きだしたにも関わらず。
だからこそ俺の心は折れそうだ。
まだ貴族の屋敷2軒分しか歩いてないのに…。
もう嫌だ、貴族嫌い。
今、まさに、目の前で、人間が麻袋に詰められていく瞬間に出くわしてしまっている。
体育祭系のイベント以外で、麻袋に人が入ってるのを初めて見た。
俺の心は折れそうだけど、まだ折れてはいない。
できたら助けてやりたい。
麻袋の中の人も貴族の被害者っぽいから余計に。
「正当な対価を支払ってほしいだけなんです。」
ガヤガヤ…バキッ
「この事はご当主様はご存知なのですか?」
ドサッ
「お前ごとき、旦那様にお知らせする価値があるとでも?」
ゴスゴス…ドコッ…バキッ
「やめて!やめっ…指はダメぇっ!ああぁッ(ザシュ)………グゥッ」
「スラムにでも捨ててきなさい。」
チャリン
ゴソゴソ
こんなやり取りが聞こえてきて、人が麻袋に詰められてくところを目撃してしまった。
自分のこともままらない現状で、厄介事に首を突っ込むのは良くないと分かっているが放って置けない。
これはきっと母親から受け継いだ性質だ。
俺の母はやたらと男前で格好良い。
武術の腕は達人クラスだし、ぶっちゃけ宗家当主のおじよりも強い。
辛い過去を背負ってるけど母に鍛えられた舎弟みたいな人がそれなりの数居たりもする。
ちなみにこの人たちも俺を可愛がってくれた。
余談だが、父は重たい過去のせいもあって剣術が得意だ。
小さな頃から両親や母の舎弟(?)たちに鍛えてもらっているので、俺もそれなりの腕はあると自負している。
両親とも俺に自衛のための力を付けさせようと必死だったし、俺もそれには真剣に応えたつもりだ。
よって麻袋を運ぼうとしている奴らに後れを取ることなんて無いだろう。
カラコンとウィッグで変装してるようなものだし、いけると思うが場所が悪い。
貴族街で騒ぎになって目を付けられたくないし、麻袋の中の人の安全も確保が難しくなる。
スラムに捨てろと言われていたから、捨てるなら人の目のない所だろうし、そこで仕掛けるか。
麻袋の中の人と彼を運ぶ男たちをマーキングしてマップに表示してトーレスする。
尾行中は俺の存在を秘匿したいし、隠密とか隠蔽のイメージで魔法を使ってみたが、変化が自分では実感できないな…。
まあ尾行していたらその内わかるだろう。
1時間くらい裏路を歩いただろうか。
貴族街からスラムまでだから結構かかったが、人気が無い通りの物陰に麻袋が降ろされた。
「っあー肩凝った。いくら軽い身体でもリアルスラムまでは遠かったな。」
「まあな。だがここまで運んだってことはオマエ、殺る前にヤる気だろ?そんな肉付きの悪そうな雄体のどこがいいのかねぇ。オレは雌体の柔らかさが好きだ。」
ユータイ?シタイ?
「女の柔らかさも良いが、たまには男に酷くしたくなるのさ。」
今度は女と男と言ったな。
てことは雄体、雌体か?
「硬い肉を割りさいて、柔らかくなってくナカを愉しむのもオツなもんだぜ。」
そう言いながら麻袋から中の人を引きずり出し、ベルトを外して中身を扱き始め、中の人の髪を掴んで自分の股関に引き寄せる。
黙れよ強姦魔が。
オマエが割かれてろ。
ゲスの貧相なモノなど見たくもないので声を出した。
「そこまでだ。」
たが男たちに声は届かなかった。
俺の存在すべてが隠蔽されていて、声を出しても奴らには聞こえなかったようだ。
急いで魔法を解除する。
性能が良すぎるのも慣れないと危ないな。
「そこまでだ。」
二度目の声は届いたが少し遅かった。
ゲスの下肢は早くも臨戦態勢で、目の前に汚くて粗末なモノを突き付けられている中の人が気の毒だ。
「誰だ!見りゃわかるだろ、取り込みちゅ「黙れ」」
「何が取り込み中だ、強姦中の間違いだろ。」
中の人の視線がこちらを向く。
目元が腫れていて痛々しい。
ゲスが中の人の首にナイフをあてがって、逃げないように脅す。
「人様のお愉しみを邪魔しやがって!オマエのケツ穴にもブチ込んでやろうか!!」
うるさいな。
俺に突っ込みたいならアケミさんの許可を取れ。
絶対に許可は降りないし、許可があってもゲス野郎にはヤらせんが。
盛ってない方のゲスが武器を構えて俺に向かってくる。
「ゲス共、《黙れ》《動くな》」
今度は魔力を乗せて告げると、奴らが動きを止めた。
俺は誘拐と強姦が大嫌いだ。
それはもう、言葉で表すのが難しいほどに。
なぜなら俺と父を長年苛んできた犯罪だからだ。
父のことは人伝に聞いたが、俺も似たようなものだ。
詳細は省くが、犯人の性別を問わずに性的な目的で何回も誘拐された。
自力で脱出したり、父、母、藍羽の家のコネクションで助けられたが、薬を盛られて記憶がないこともあった。
父はモデルになって世間に顔と名前を認知させ、自分に手出しできないようにした。
業界は業界で色々あるみたいだが、おかげで俺はアケミさんたちオネェ様方に可愛がって貰えたし、精神的に辛い時期には支えて貰った。
そして俺は藍羽家から派遣される武術講師になった。
派遣先で欲の籠もった視線を感じたりもするが、俺の実力を知って襲ってくる奴は中々いない。
全く居ない訳じゃないのが嫌になるが、まだマシだ。
たった今、ありふれてるけどちょっと良い事を言って、決意も新たに歩きだしたにも関わらず。
だからこそ俺の心は折れそうだ。
まだ貴族の屋敷2軒分しか歩いてないのに…。
もう嫌だ、貴族嫌い。
今、まさに、目の前で、人間が麻袋に詰められていく瞬間に出くわしてしまっている。
体育祭系のイベント以外で、麻袋に人が入ってるのを初めて見た。
俺の心は折れそうだけど、まだ折れてはいない。
できたら助けてやりたい。
麻袋の中の人も貴族の被害者っぽいから余計に。
「正当な対価を支払ってほしいだけなんです。」
ガヤガヤ…バキッ
「この事はご当主様はご存知なのですか?」
ドサッ
「お前ごとき、旦那様にお知らせする価値があるとでも?」
ゴスゴス…ドコッ…バキッ
「やめて!やめっ…指はダメぇっ!ああぁッ(ザシュ)………グゥッ」
「スラムにでも捨ててきなさい。」
チャリン
ゴソゴソ
こんなやり取りが聞こえてきて、人が麻袋に詰められてくところを目撃してしまった。
自分のこともままらない現状で、厄介事に首を突っ込むのは良くないと分かっているが放って置けない。
これはきっと母親から受け継いだ性質だ。
俺の母はやたらと男前で格好良い。
武術の腕は達人クラスだし、ぶっちゃけ宗家当主のおじよりも強い。
辛い過去を背負ってるけど母に鍛えられた舎弟みたいな人がそれなりの数居たりもする。
ちなみにこの人たちも俺を可愛がってくれた。
余談だが、父は重たい過去のせいもあって剣術が得意だ。
小さな頃から両親や母の舎弟(?)たちに鍛えてもらっているので、俺もそれなりの腕はあると自負している。
両親とも俺に自衛のための力を付けさせようと必死だったし、俺もそれには真剣に応えたつもりだ。
よって麻袋を運ぼうとしている奴らに後れを取ることなんて無いだろう。
カラコンとウィッグで変装してるようなものだし、いけると思うが場所が悪い。
貴族街で騒ぎになって目を付けられたくないし、麻袋の中の人の安全も確保が難しくなる。
スラムに捨てろと言われていたから、捨てるなら人の目のない所だろうし、そこで仕掛けるか。
麻袋の中の人と彼を運ぶ男たちをマーキングしてマップに表示してトーレスする。
尾行中は俺の存在を秘匿したいし、隠密とか隠蔽のイメージで魔法を使ってみたが、変化が自分では実感できないな…。
まあ尾行していたらその内わかるだろう。
1時間くらい裏路を歩いただろうか。
貴族街からスラムまでだから結構かかったが、人気が無い通りの物陰に麻袋が降ろされた。
「っあー肩凝った。いくら軽い身体でもリアルスラムまでは遠かったな。」
「まあな。だがここまで運んだってことはオマエ、殺る前にヤる気だろ?そんな肉付きの悪そうな雄体のどこがいいのかねぇ。オレは雌体の柔らかさが好きだ。」
ユータイ?シタイ?
「女の柔らかさも良いが、たまには男に酷くしたくなるのさ。」
今度は女と男と言ったな。
てことは雄体、雌体か?
「硬い肉を割りさいて、柔らかくなってくナカを愉しむのもオツなもんだぜ。」
そう言いながら麻袋から中の人を引きずり出し、ベルトを外して中身を扱き始め、中の人の髪を掴んで自分の股関に引き寄せる。
黙れよ強姦魔が。
オマエが割かれてろ。
ゲスの貧相なモノなど見たくもないので声を出した。
「そこまでだ。」
たが男たちに声は届かなかった。
俺の存在すべてが隠蔽されていて、声を出しても奴らには聞こえなかったようだ。
急いで魔法を解除する。
性能が良すぎるのも慣れないと危ないな。
「そこまでだ。」
二度目の声は届いたが少し遅かった。
ゲスの下肢は早くも臨戦態勢で、目の前に汚くて粗末なモノを突き付けられている中の人が気の毒だ。
「誰だ!見りゃわかるだろ、取り込みちゅ「黙れ」」
「何が取り込み中だ、強姦中の間違いだろ。」
中の人の視線がこちらを向く。
目元が腫れていて痛々しい。
ゲスが中の人の首にナイフをあてがって、逃げないように脅す。
「人様のお愉しみを邪魔しやがって!オマエのケツ穴にもブチ込んでやろうか!!」
うるさいな。
俺に突っ込みたいならアケミさんの許可を取れ。
絶対に許可は降りないし、許可があってもゲス野郎にはヤらせんが。
盛ってない方のゲスが武器を構えて俺に向かってくる。
「ゲス共、《黙れ》《動くな》」
今度は魔力を乗せて告げると、奴らが動きを止めた。
俺は誘拐と強姦が大嫌いだ。
それはもう、言葉で表すのが難しいほどに。
なぜなら俺と父を長年苛んできた犯罪だからだ。
父のことは人伝に聞いたが、俺も似たようなものだ。
詳細は省くが、犯人の性別を問わずに性的な目的で何回も誘拐された。
自力で脱出したり、父、母、藍羽の家のコネクションで助けられたが、薬を盛られて記憶がないこともあった。
父はモデルになって世間に顔と名前を認知させ、自分に手出しできないようにした。
業界は業界で色々あるみたいだが、おかげで俺はアケミさんたちオネェ様方に可愛がって貰えたし、精神的に辛い時期には支えて貰った。
そして俺は藍羽家から派遣される武術講師になった。
派遣先で欲の籠もった視線を感じたりもするが、俺の実力を知って襲ってくる奴は中々いない。
全く居ない訳じゃないのが嫌になるが、まだマシだ。
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