蒼穹の彼方へ

うるは猫

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第3章: 王の城と謎めいた預言

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翔と老賢者は広大な草原を越え、やがて壮麗な城の門前にたどり着いた。その城は空高くそびえ立ち、古めかしい石造りの壁が歴史を感じさせる。門の前には甲冑に身を包んだ二人の衛兵が立っていたが、賢者を一目見るなり、恭しく頭を下げて門を開けた。

「王が君を待っている。」

賢者は翔に向かって言った。

城内に入ると、その壮麗さに翔は息をのんだ。大理石の床は輝き、壁には美しいタペストリーが掛けられ、中央には巨大なシャンデリアが煌めいている。だが、その豪華さに惑わされることなく、翔は自分の役割を心に刻み込んでいた。

やがて二人は玉座の間に到着した。そこには威厳に満ちた王が座っており、その隣には長い黒髪を持つ若い女性が立っていた。彼女の瞳は鋭く、どこか不安げな表情を浮かべていた。

「お前が翔か?」

王は重々しい声で問いかけた。

「はい、そうです。」

翔は緊張しながらも、しっかりとした口調で答えた。

「よく来た。」

王はうなずき、彼をまっすぐに見つめた。

「リヴィアの世界に君を招いたのは、他でもない私だ。この世界がいま、かつてない危機に瀕しているのを知っているか?」

翔は首を振った。

「いえ…ですが、何か重要な使命があると聞いています。」

「その通りだ。」

王は隣の女性に目配せした。彼女は静かに前に進み出て、手に持った古びた巻物を広げた。

「これは、リヴィアの最古の預言書です。」

女性は柔らかい声で言った。

「その中に、外の世界からの来訪者がこの世界を救うと記されています。そして、その者こそ、あなたです、翔様。」

翔はその言葉に驚きを隠せなかった。

「僕が…この世界を救う?でも、どうやって…?」

「預言には、暗黒の魔王が復活し、この世界を滅ぼそうとする時、光の戦士が現れ、彼を討つとある。」

賢者が説明を加えた。「その光の戦士が、君だと信じられているのだ。」

「魔王…」

翔はその言葉に不安を覚えたが、それ以上に自分に課せられた運命に対する責任感を感じた。

「僕にその力があるかどうか、まだ分かりませんが…できる限りのことをします。」

「翔様には、まず自らの力をより強くしなければなりません。」

女性は続けた。

「預言にある光の戦士は、四つの試練を乗り越えることで、その力を完全に解放すると言われています。」

「四つの試練…」

翔は考え込んだ。

「それらが何か、わかっているのでしょうか?」

「ひとつは、風の試練。君はすでにその力を示した。」

賢者が答えた。

「だが、他の三つの試練はそれぞれ、火、水、そして大地の力を象徴している。君はそれらの力を得て、魔王に立ち向かわなければならない。」

「それに、これを。」

王は玉座の横から小さな金の鍵を取り出し、翔に手渡した。

「この鍵は、古代の遺跡への扉を開くものだ。その遺跡には、火の試練を受けるための道がある。まずはそこへ向かい、自らの力を試すのだ。」

翔は鍵を受け取り、深く頭を下げた。

「わかりました。まずは火の試練を乗り越えます。」

王は満足げにうなずいた。

「良いだろう。君がこの世界に光をもたらしてくれることを信じている。」

「私も同行します。」

隣の女性が口を開いた。彼女の名前はエリシアと言い、この国の姫であり、また王の片腕として働く戦士でもあった。

「エリシア、君は城を守るべきではないのか?」

王が驚いたように問いかけた。

「いいえ、父上。翔様はまだこの世界のことを十分に理解していません。彼には案内役が必要です。それに…」

エリシアは決意の眼差しを王に向けた。

「私も預言にある試練を共に乗り越えたいのです。」

王は少し考え込んだが、やがてゆっくりとうなずいた。

「よかろう。エリシア、お前に翔を託す。」

「ありがとうございます、父上。」

エリシアは感謝の意を表し、翔に微笑みかけた。

「共に行きましょう、翔様。あなたの冒険は、今始まったばかりです。」

こうして翔は、新たな仲間エリシアと共に、火の試練が待ち受ける古代の遺跡へと向かうことになった。彼らの前に広がる道には、数多の困難と謎が待ち受けている。しかし、翔はもう迷わなかった。彼はこの世界を救うため、そして自分自身を超えるため、歩みを進めるのだった。
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