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清濁併せ呑む
師匠と弟子
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流磨が見守る中、ユエンはデバイスから聞こえた声に、少し安堵した。
『おう』
「渋川さん! ……よかった、通じて! 今、東雲柳が大変なことに……」
『いや、知ってるよ俺も。てか……』
ユエンは驚きとともに安堵を感じた。この人物が、今の状況を打破する鍵となることを直感したからだ。
『……もう未来ノ島に上陸してんだよな、オレ』
その時、学園の敷地内から聞き慣れないエンジン音が聞こえた。
「なに? すごい音」
玲緒菜が音に驚いて窓に近づいた。
ロータリーにギラギラと光る古い車が現れ、一同は窓からそれを見下ろして唖然とする。
職員室から慌てて数名の男性教師が駆け出してきた。これは不審者だと思われても仕方がない。
そして、スポーツカーが彼らのいる校舎前に停まると、渋川は車から降り立った。
甚平を風に揺らしながら、彼は悠然と歩み寄る。その姿は、まるで戦場に赴く武士のようであった。かっこいい。今、このときと場所でなければ。
ユエンは額に手を当てて顔を背けた。
「……え、あの人か? お前が、きっと協力してくれるって言ってたの。随分頼りにできるっぽかったけど」
「聞かなかったことにしてくれると嬉しい。流磨」
渋川レンは、無精髭を生やした飄々とした風貌の男だった。
ユエンに口頭で確認を取らせて男性教師たちを退散させる。なぜか足元は穴の空いた靴下一枚だった。
サンダルくらい履いてこなかったのか。教師たちが来客用スリッパを取り出してきて、渋々彼に履かせた。
「よぉー、お前ら。大変なことになったな。いやまあ、テストの方が楽だったな、こりゃ」
自宅へ上がり込むように校舎内に侵入したその姿を、彼を知らない流磨や高崎はやや警戒心をもって見ていた。顔見知りであるユエンさえ。
玲緒菜に至っては、完全に彼を見据える表情が変質者へのそれだった。いたいけな中学生には刺激が強すぎる。教育に良くない。
渋川の声は続く。
「おまたせ。呼ばれるかと思ってよ、ユエン。お前だけじゃあいつを連れて帰るには荷が重いだろ? なあ?」
彼の言葉に、ユエンは深く頷いた。
「……東雲柳にはおれの手の内を知られています。作戦会議のような話を持ちかけられて、おれが取れる手段、不可能なことをほぼ教えてしまいました。だから今日だったんです」
「なるほどな、あいつらしい」
ユエンは、渋川の登場が柳を救うための大きな一歩となることを確信していた。
「……あいつが俺の話を聞かないなんて前代未聞だった。だから来たんだ」
その言葉には、渋川の深い愛情と責任感が滲んでいた。柳の不穏な動きを察知して連絡を取ろうとしたが、話を打ち切られてしまったという説明に、ユエンは得心がいった。全ての東雲柳の動きが、今符合して繋がってゆく。
「弟子の不始末は師匠が始末をつける。古い考え方だが、血の繋がりがない親子関係のような縛りを理屈として説明するには、これが一番納得がいくな、オレは」
渋川の言葉に、流磨と玲緒菜も納得の表情を浮かべた。彼らにとっても柳は特別な存在であり、その救出は全員の願いだ。
「先生、この人はシノのことに関しては全面的に頼りにできます。協力してもらっても大丈夫でしょうか?」
ユエンは現場の監督者である高崎に確認する。彼女は軽く腕を組みながら頷いた。
「私ももちろん知ってるわ。東雲からも説明は受けてたし。彼は長らく幽霊部員だったから、こうして顔を合わせることになるとは思わなかったけど。協力のことについては、ぜひお願いしたいです」
頭を下げられた渋川は軽く応じたが、すぐに高崎の背後にある繭に目線を移す。その中に柳がいる。一人でずっと、電脳世界へ閉じこもってしまっている。
「東雲柳は俺が、中学生の頃に何度か本土に呼び寄せて鍛えた。出来すぎたやつだと思ってはいたが、同時に何か大きな歪みがあるとは感じていた。それが今になってこういう形で現れちまうとはな……」
彼の声には、過去の教え子に対する無念さと同時に、現状を打破しようとする強い決意が含まれていた。
ユエンは彼の知る東雲柳と、自分の中のそれを比べていた。
歪み。それをユエンはほとんど知らない。過去の事件を流磨に教えられた後、様々な手段を使って調べた。取材映像やインタビュー記事も参照したが、その心の内はかなり見えにくい。
実際、彼のそばにいるクリスや流磨の対応を通して間接的に柳の状態を知ることが、最も精度の高い調査方法だった。
彼は心を開かぬまま、他のすべての人間に模範生・ネオトラバース選手・優しいクラスメイトという役柄を、自分自身だと思い込ませて生活していた。
「モニタリング、サポートはオレとユエン、ああ、その電子黒板の計画をベースにやるぞ。ユエン、お前は生徒たちとのやりとりに専念しろ。リーダーはあくまでお前だ。大人はオレが捌く。一応顔が利くからな、ある程度。そこの女の子……清宮玲緒菜は、ユエンを手伝ってやって。清宮流磨は桐崎クリスタルが起きた後に備えて、繭に入る準備」
「あの車の音で目が覚めちゃったんですけど!」
突然に割り込んだ声に、全員が顔を上げた。
「……アレェ?!」
憔悴しきっていると思っていたクリスが部室の入り口に立っている。大きな目を見開いてこの状況を見定めようとしているが、予想外の人物がいることに困惑しているようだ。
しかし車の音へのクレームはまだ続く。つかつかと歩み寄って金髪を揺らした。
「下は大騒ぎなんですよ! 変な車が来たせいで! 今どうなってんの? 流磨、ユエン、れおちゃん!」
「クリス、悪い……」
「なんでユエンが謝ってんだよ。悪いのはこのオッサンだろ」
「オレ一応助けに来たんだけどなあ……」
「クリスちゃん、大丈夫?」
「うん、ありがとうれおちゃ……え? 渋川さん、何か助けに来てくれたんですか? なんで?」
ドリンクを持って近づいた玲緒菜からそれを受け取り、そもそもの疑問を口にする。話の導線が定まらなくなる予感がして、ユエンは一旦この場を仕切り直す算段を立てた。
「ごめんクリス、今色々話し合って計画立てようとして、ゴチャゴチャした末にこの人の登場がトドメだ。後で全員まとめて説明するから、シャワーでも浴びてきてくれ」
「クリスちゃん、行こ!」
「ねえ、ユエンなんかひどくない? オレに」
渋川は彼らが部室から出ていくと、高崎に向き直った。
「高崎先生、保護者と生徒たちへの伝達、お願いできますか。というか、突然入ってきてしまってすみません」
高崎は頷き、渋川の言葉に応じた。
「もちろんです、渋川さん。皆さんの協力を得て、この状況を乗り切りましょう」
ユエンはひとまずクリスを伴って部室を出た玲緒菜に続く形で、扉をくぐる。
「ユエン、渋川レンさんのこと……ああ、ネオトラプレイヤーなら知ってるか。プロなんだもんね」
「クリス、多分今までネオトラバースのことを積極的に知ろうとしていなかったし、シノが言ってなかったなら知らないのかもしれないけど、一応教えておくよ」
「なに? なんかある?」
「渋川レンさんはネオトラバースプロ選手ってことは知ってると思うけど、シノの師匠みたいな人なんだ。技術、戦術、戦略、さらには物事の考え方まで、きっとネオトラバースの事以外にも柳に多くを教え込んだ」
ユエンは安心させるように微笑み、クリスと玲緒菜を交互に見た。遅れて現れた流磨も一部話を聞いていたようで、肩先で短くリアクションを取った。
「だからあの人が来たなら、おれたちは思ったよりスムーズにシノに近づけるかもしれない。今は心身を整えて、シノに会うその時に備えてほしい」
協力者を募るために緊急に連絡したメンバーも、集まるのは明日の早朝になる。日付が変わる前に各々準備を整えることにした。
『おう』
「渋川さん! ……よかった、通じて! 今、東雲柳が大変なことに……」
『いや、知ってるよ俺も。てか……』
ユエンは驚きとともに安堵を感じた。この人物が、今の状況を打破する鍵となることを直感したからだ。
『……もう未来ノ島に上陸してんだよな、オレ』
その時、学園の敷地内から聞き慣れないエンジン音が聞こえた。
「なに? すごい音」
玲緒菜が音に驚いて窓に近づいた。
ロータリーにギラギラと光る古い車が現れ、一同は窓からそれを見下ろして唖然とする。
職員室から慌てて数名の男性教師が駆け出してきた。これは不審者だと思われても仕方がない。
そして、スポーツカーが彼らのいる校舎前に停まると、渋川は車から降り立った。
甚平を風に揺らしながら、彼は悠然と歩み寄る。その姿は、まるで戦場に赴く武士のようであった。かっこいい。今、このときと場所でなければ。
ユエンは額に手を当てて顔を背けた。
「……え、あの人か? お前が、きっと協力してくれるって言ってたの。随分頼りにできるっぽかったけど」
「聞かなかったことにしてくれると嬉しい。流磨」
渋川レンは、無精髭を生やした飄々とした風貌の男だった。
ユエンに口頭で確認を取らせて男性教師たちを退散させる。なぜか足元は穴の空いた靴下一枚だった。
サンダルくらい履いてこなかったのか。教師たちが来客用スリッパを取り出してきて、渋々彼に履かせた。
「よぉー、お前ら。大変なことになったな。いやまあ、テストの方が楽だったな、こりゃ」
自宅へ上がり込むように校舎内に侵入したその姿を、彼を知らない流磨や高崎はやや警戒心をもって見ていた。顔見知りであるユエンさえ。
玲緒菜に至っては、完全に彼を見据える表情が変質者へのそれだった。いたいけな中学生には刺激が強すぎる。教育に良くない。
渋川の声は続く。
「おまたせ。呼ばれるかと思ってよ、ユエン。お前だけじゃあいつを連れて帰るには荷が重いだろ? なあ?」
彼の言葉に、ユエンは深く頷いた。
「……東雲柳にはおれの手の内を知られています。作戦会議のような話を持ちかけられて、おれが取れる手段、不可能なことをほぼ教えてしまいました。だから今日だったんです」
「なるほどな、あいつらしい」
ユエンは、渋川の登場が柳を救うための大きな一歩となることを確信していた。
「……あいつが俺の話を聞かないなんて前代未聞だった。だから来たんだ」
その言葉には、渋川の深い愛情と責任感が滲んでいた。柳の不穏な動きを察知して連絡を取ろうとしたが、話を打ち切られてしまったという説明に、ユエンは得心がいった。全ての東雲柳の動きが、今符合して繋がってゆく。
「弟子の不始末は師匠が始末をつける。古い考え方だが、血の繋がりがない親子関係のような縛りを理屈として説明するには、これが一番納得がいくな、オレは」
渋川の言葉に、流磨と玲緒菜も納得の表情を浮かべた。彼らにとっても柳は特別な存在であり、その救出は全員の願いだ。
「先生、この人はシノのことに関しては全面的に頼りにできます。協力してもらっても大丈夫でしょうか?」
ユエンは現場の監督者である高崎に確認する。彼女は軽く腕を組みながら頷いた。
「私ももちろん知ってるわ。東雲からも説明は受けてたし。彼は長らく幽霊部員だったから、こうして顔を合わせることになるとは思わなかったけど。協力のことについては、ぜひお願いしたいです」
頭を下げられた渋川は軽く応じたが、すぐに高崎の背後にある繭に目線を移す。その中に柳がいる。一人でずっと、電脳世界へ閉じこもってしまっている。
「東雲柳は俺が、中学生の頃に何度か本土に呼び寄せて鍛えた。出来すぎたやつだと思ってはいたが、同時に何か大きな歪みがあるとは感じていた。それが今になってこういう形で現れちまうとはな……」
彼の声には、過去の教え子に対する無念さと同時に、現状を打破しようとする強い決意が含まれていた。
ユエンは彼の知る東雲柳と、自分の中のそれを比べていた。
歪み。それをユエンはほとんど知らない。過去の事件を流磨に教えられた後、様々な手段を使って調べた。取材映像やインタビュー記事も参照したが、その心の内はかなり見えにくい。
実際、彼のそばにいるクリスや流磨の対応を通して間接的に柳の状態を知ることが、最も精度の高い調査方法だった。
彼は心を開かぬまま、他のすべての人間に模範生・ネオトラバース選手・優しいクラスメイトという役柄を、自分自身だと思い込ませて生活していた。
「モニタリング、サポートはオレとユエン、ああ、その電子黒板の計画をベースにやるぞ。ユエン、お前は生徒たちとのやりとりに専念しろ。リーダーはあくまでお前だ。大人はオレが捌く。一応顔が利くからな、ある程度。そこの女の子……清宮玲緒菜は、ユエンを手伝ってやって。清宮流磨は桐崎クリスタルが起きた後に備えて、繭に入る準備」
「あの車の音で目が覚めちゃったんですけど!」
突然に割り込んだ声に、全員が顔を上げた。
「……アレェ?!」
憔悴しきっていると思っていたクリスが部室の入り口に立っている。大きな目を見開いてこの状況を見定めようとしているが、予想外の人物がいることに困惑しているようだ。
しかし車の音へのクレームはまだ続く。つかつかと歩み寄って金髪を揺らした。
「下は大騒ぎなんですよ! 変な車が来たせいで! 今どうなってんの? 流磨、ユエン、れおちゃん!」
「クリス、悪い……」
「なんでユエンが謝ってんだよ。悪いのはこのオッサンだろ」
「オレ一応助けに来たんだけどなあ……」
「クリスちゃん、大丈夫?」
「うん、ありがとうれおちゃ……え? 渋川さん、何か助けに来てくれたんですか? なんで?」
ドリンクを持って近づいた玲緒菜からそれを受け取り、そもそもの疑問を口にする。話の導線が定まらなくなる予感がして、ユエンは一旦この場を仕切り直す算段を立てた。
「ごめんクリス、今色々話し合って計画立てようとして、ゴチャゴチャした末にこの人の登場がトドメだ。後で全員まとめて説明するから、シャワーでも浴びてきてくれ」
「クリスちゃん、行こ!」
「ねえ、ユエンなんかひどくない? オレに」
渋川は彼らが部室から出ていくと、高崎に向き直った。
「高崎先生、保護者と生徒たちへの伝達、お願いできますか。というか、突然入ってきてしまってすみません」
高崎は頷き、渋川の言葉に応じた。
「もちろんです、渋川さん。皆さんの協力を得て、この状況を乗り切りましょう」
ユエンはひとまずクリスを伴って部室を出た玲緒菜に続く形で、扉をくぐる。
「ユエン、渋川レンさんのこと……ああ、ネオトラプレイヤーなら知ってるか。プロなんだもんね」
「クリス、多分今までネオトラバースのことを積極的に知ろうとしていなかったし、シノが言ってなかったなら知らないのかもしれないけど、一応教えておくよ」
「なに? なんかある?」
「渋川レンさんはネオトラバースプロ選手ってことは知ってると思うけど、シノの師匠みたいな人なんだ。技術、戦術、戦略、さらには物事の考え方まで、きっとネオトラバースの事以外にも柳に多くを教え込んだ」
ユエンは安心させるように微笑み、クリスと玲緒菜を交互に見た。遅れて現れた流磨も一部話を聞いていたようで、肩先で短くリアクションを取った。
「だからあの人が来たなら、おれたちは思ったよりスムーズにシノに近づけるかもしれない。今は心身を整えて、シノに会うその時に備えてほしい」
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