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暗がりを切り裂く試み
仮面の形成 失われた煌めき
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────────柳の回復は、表面上は奇跡のように見えた。
傷が癒え、彼の姿は以前のように戻っているように見えた。
クリスは、彼のそばで一貫して励まし、支え続けた。だからその愛と献身がこの回復をもたらしたと、最初のうちはそう信じて疑わなかった。
学校の裏庭での出来事は、9歳のクリスにとって忘れられない一幕だった。
「あー! また柳のこと囲んでる!」
いつもなら柳は泣いている場面であったが、その日は違った。クリスが駆けつけると、柳は泣いていない。
目には少しだけ涙が浮かんでいるものの、それは静かに内側に留められようとしているようだった。柳のこの反応に、クリスは何かがおかしいと直感する。
周囲の子供たちは柳を囲んでいたが、柳が怪我をさせられたことと、大人から「柳くんは可哀想な目にあったから、いじめないように」という言葉を聞かされていた。
しかし、この日見せた柳の反応に戸惑い、いじめっ子は一人また一人と黙って去っていった。いつもの泣き虫の柳とは違う何かを感じ取ったのかもしれない。
クリスは柳の横に静かに座り、「大丈夫?」と静かに問いかけた。柳はゆっくりと首を縦に振り、しかし言葉は出てこない。
この静けさは、クリスにとって異常に感じられた。
彼女は柳の手を握り「もう大丈夫だからね」と優しく言葉をかけたが、柳からは以前のような安堵の表情は見られなかった。涙は止まっているがじっとクリスの目を観察し、表情のないまま言う。
「……ありがとう」
この出来事は、クリスに柳の心の傷が深まっていることを示唆した。
彼女は、柳が孤独や苦悩を内に抱え込んでしまっていることに気づき、彼を支えるためにできることをもっと考えなければと強く感じた。
柳の無言の涙は、今まで以上に彼を理解し、傷に寄り添いたいと心を動かす動機となった。
────数カ月後
かつて彼らが共有した美しい記憶の一ページを、そこで再び開くかのように、ふたりは静かな公園で時間を過ごしていた。
木漏れ日の下、柳の顔は穏やかで、笑顔には以前の温もりがあるように見えた。クリスは、この瞬間を永遠に記憶に刻みたいと願う。
しかし会話を交わす中で、クリスは微妙な違和感を感じ取る。
柳の言葉には以前と同じ優しさや深い思慮があるようでありながら、どこか他人行儀で、感情の奥行きが欠けているように感じられた。
特に、未来に対するビジョンや夢にかつての情熱や希望が見え隠れするものの、それは表面的なものでしかなかった。具体性に欠けている。
クリスが柳の手を握り彼の目をじっと見つめた時、瞳は開いてはいるものの、どこか遠くを見ているようで、クリスへの真の感情が読み取れなかった。
「柳、本当に大丈夫?」
心配と愛情を込めて問うた。柳は一瞬視線をクリスに戻し、答える。
「大丈夫だよ、クリス。ありがとう」
その声にはかつての温かみが欠けていて、心にますます深い疑問を投げかける。
「……や、なぎ」
「帰ろう。もう暗くなるから」
その夜クリスは自宅まで送り届けられた後、一人自室の床に座り込み、静かに涙を流した。
回復がどれほど奇跡的であったとしても、柳の人格に何か重大な変化があったことを感じ取っていた。
「……怪我が治っても……まだ痛いんだ、きっと」
かつての純粋さやふたりの間に流れた無垢な愛情が、どこか遠くへと消え去ってしまったように感じられたのだ。
「…………なんで、柳ばっかりこんなめにあうの……」
失われた柳を取り戻すため、そして彼の真の回復を見届けるために、何をすべきか、クリスは深く思い悩んだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
柔らかな日差しが未来ノ島の公園を温かく照らしていた。
桜の花びらが舞い落ちる中、クリスは遠くでぼーっと座っている柳を見つめていた。彼の目は空虚に遠くを見つめ、その瞳にはやはりかつての生気が失われているように見える。
クリスは柳の様子に心を痛め、彼のもとへ駆け寄った。
「柳、どうしたの? ……ね、どこ見てるの?」
クリスの声に、柳はゆっくりと彼女の方を向いた。無表情で、この質問に対する反応も鈍かった。
「……何も。ただ、考え事をしていただけだよ」
返答は淡々としており、温度がない。
クリスは、柳が以前と変わらずぼんやりと遠くを見つめることが増えたことに気づいていた。
その変化が何を意味するのかはっきりとは理解できずにいたが、何か重大なことが起こっているのではないかとずっと心配していた。
「柳、最近またその……変わったことあった? ……なんか心配だよ」
クリスが再び尋ねると、柳はしばらく沈黙した後、小さく首を振ってみせる。
「大丈夫だよ、クリス……ただの気のせいだよ」
その声には説得力がなく、瞳は遠く空虚な景色を見つめ続けていた。
その日から、クリスは柳の変化をより一層感じ取ることに努力を払うようになった。
以前のように笑うことが少なくなり、友人たちとの会話も控えめになった。それが気がかりで仕方がない。
「柳、かーえろ」
「うん……」
クリスは柳の心の中に何があるのか、そして元のような明るい少年に戻すために何ができるのかを考え続けた。
「……今日も、柳の家行っていい?」
「ん……」
答えは容易には見つからず、クリスは柳が抱える心の傷の深さをただ感じることしかできなかった。
密かに誓う。
柳が再び本当の笑顔を取り戻すその日まで、彼を見守り続けると。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
科学技術を結集した革新的な心理支援プログラムに参加したにも関わらず、期待された効果は現れなかった。
それどころかこれらのセッションを経ることで、柳は自らの内面との距離をさらに広げ、仮面をかぶることの疲れを深く感じるようになっていく。
各セッションに参加するたびに、自分自身を守るための仮面をさらに厚くする技術を磨く結果になっていった。
エモーショナル・デコーディング・プログラムで自分の感情が可視化されることに不安を感じ、メモリー・リフレーミング・セッションでは改変された結末を真実とは受け入れられず、サイバーネティック・エンパワーメント・プログラムでは現実逃避の手段として仮想現実に依存するようになる。インタラクティブ・アート・セラピーでも、自分の本当の感情を隠すための別の手段としてアートを利用する。
精神科の医師が小さく唸り声を上げるのを、柳は聞いていた。
「先生、ありがとうございました」
「お大事にしてください」
いつ、治療が終わるのだろう。
柳は、他人と共有する感情や表情が、ますます本当の自分からかけ離れたものになっていることに気づき始める。虚無的な心、傷ついた自分がどこかに横たわっている。しかしそれを覆い隠す暗く粘ついた何かが邪魔をしている。
しかしそれを止める方法を知らず、また止める勇気もない。
カウンセリングとセラピーが進むにつれ、仮面はより複雑に、そして厚くなっていった。そしてますます孤独と無力感に苛まれるようになる。
時が流れるのが、ひどく遅く感じられた。
その移り変わりも、かつて心を癒していたあたたかい温もりも、今は全てが乾いた砂のように指の間をすり抜けていった。
仮面を被ることに疲れた柳は、自分自身と向き合う時間が増える。しかしそれは苦痛な時間だった。
自分が何を感じているのか、本当に何を望んでいるのかさえ分からなくなっていた。
自分の感情や欲望を表現することができず、仮面の裏で自己という存在が徐々に消失していくような感覚に陥った。感情が硬くなり、凍りつき、動かなくなっていく。
デバイスを取り出す。かつては調べずとも、自然に操れたものが、柳は、もうわからない。
涙は出てこなくなってしまって久しいし、周囲の人間が首を傾げても、心からの反応が表現できなかった。何が不自然なのか。
鏡を見ても、何が不自然なのかを感じ取る感受性がない。
「……感情、表現」
文字を入力し、検索する。
「笑顔」
検索する。
「コミュニケーション」
検索する。やはり、わからない。
もう演技でもいい。それらしさを演出することができなければ、周囲の人間は戸惑ったままだろう。
なんとしても、できるようにならねば。なるべく早く。
「感情」
心からのものでないとしても、やがてそれが本心に置き換わり、元のように自然に生きていけるようになるかもしれない。
続けて柳は、自分の中に残った執着といえるものを掴み取る。持てる言葉の全てを探しつくし、最後に残った、守りたい、ただひとつのもの。
「大切な人」
傷が癒え、彼の姿は以前のように戻っているように見えた。
クリスは、彼のそばで一貫して励まし、支え続けた。だからその愛と献身がこの回復をもたらしたと、最初のうちはそう信じて疑わなかった。
学校の裏庭での出来事は、9歳のクリスにとって忘れられない一幕だった。
「あー! また柳のこと囲んでる!」
いつもなら柳は泣いている場面であったが、その日は違った。クリスが駆けつけると、柳は泣いていない。
目には少しだけ涙が浮かんでいるものの、それは静かに内側に留められようとしているようだった。柳のこの反応に、クリスは何かがおかしいと直感する。
周囲の子供たちは柳を囲んでいたが、柳が怪我をさせられたことと、大人から「柳くんは可哀想な目にあったから、いじめないように」という言葉を聞かされていた。
しかし、この日見せた柳の反応に戸惑い、いじめっ子は一人また一人と黙って去っていった。いつもの泣き虫の柳とは違う何かを感じ取ったのかもしれない。
クリスは柳の横に静かに座り、「大丈夫?」と静かに問いかけた。柳はゆっくりと首を縦に振り、しかし言葉は出てこない。
この静けさは、クリスにとって異常に感じられた。
彼女は柳の手を握り「もう大丈夫だからね」と優しく言葉をかけたが、柳からは以前のような安堵の表情は見られなかった。涙は止まっているがじっとクリスの目を観察し、表情のないまま言う。
「……ありがとう」
この出来事は、クリスに柳の心の傷が深まっていることを示唆した。
彼女は、柳が孤独や苦悩を内に抱え込んでしまっていることに気づき、彼を支えるためにできることをもっと考えなければと強く感じた。
柳の無言の涙は、今まで以上に彼を理解し、傷に寄り添いたいと心を動かす動機となった。
────数カ月後
かつて彼らが共有した美しい記憶の一ページを、そこで再び開くかのように、ふたりは静かな公園で時間を過ごしていた。
木漏れ日の下、柳の顔は穏やかで、笑顔には以前の温もりがあるように見えた。クリスは、この瞬間を永遠に記憶に刻みたいと願う。
しかし会話を交わす中で、クリスは微妙な違和感を感じ取る。
柳の言葉には以前と同じ優しさや深い思慮があるようでありながら、どこか他人行儀で、感情の奥行きが欠けているように感じられた。
特に、未来に対するビジョンや夢にかつての情熱や希望が見え隠れするものの、それは表面的なものでしかなかった。具体性に欠けている。
クリスが柳の手を握り彼の目をじっと見つめた時、瞳は開いてはいるものの、どこか遠くを見ているようで、クリスへの真の感情が読み取れなかった。
「柳、本当に大丈夫?」
心配と愛情を込めて問うた。柳は一瞬視線をクリスに戻し、答える。
「大丈夫だよ、クリス。ありがとう」
その声にはかつての温かみが欠けていて、心にますます深い疑問を投げかける。
「……や、なぎ」
「帰ろう。もう暗くなるから」
その夜クリスは自宅まで送り届けられた後、一人自室の床に座り込み、静かに涙を流した。
回復がどれほど奇跡的であったとしても、柳の人格に何か重大な変化があったことを感じ取っていた。
「……怪我が治っても……まだ痛いんだ、きっと」
かつての純粋さやふたりの間に流れた無垢な愛情が、どこか遠くへと消え去ってしまったように感じられたのだ。
「…………なんで、柳ばっかりこんなめにあうの……」
失われた柳を取り戻すため、そして彼の真の回復を見届けるために、何をすべきか、クリスは深く思い悩んだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
柔らかな日差しが未来ノ島の公園を温かく照らしていた。
桜の花びらが舞い落ちる中、クリスは遠くでぼーっと座っている柳を見つめていた。彼の目は空虚に遠くを見つめ、その瞳にはやはりかつての生気が失われているように見える。
クリスは柳の様子に心を痛め、彼のもとへ駆け寄った。
「柳、どうしたの? ……ね、どこ見てるの?」
クリスの声に、柳はゆっくりと彼女の方を向いた。無表情で、この質問に対する反応も鈍かった。
「……何も。ただ、考え事をしていただけだよ」
返答は淡々としており、温度がない。
クリスは、柳が以前と変わらずぼんやりと遠くを見つめることが増えたことに気づいていた。
その変化が何を意味するのかはっきりとは理解できずにいたが、何か重大なことが起こっているのではないかとずっと心配していた。
「柳、最近またその……変わったことあった? ……なんか心配だよ」
クリスが再び尋ねると、柳はしばらく沈黙した後、小さく首を振ってみせる。
「大丈夫だよ、クリス……ただの気のせいだよ」
その声には説得力がなく、瞳は遠く空虚な景色を見つめ続けていた。
その日から、クリスは柳の変化をより一層感じ取ることに努力を払うようになった。
以前のように笑うことが少なくなり、友人たちとの会話も控えめになった。それが気がかりで仕方がない。
「柳、かーえろ」
「うん……」
クリスは柳の心の中に何があるのか、そして元のような明るい少年に戻すために何ができるのかを考え続けた。
「……今日も、柳の家行っていい?」
「ん……」
答えは容易には見つからず、クリスは柳が抱える心の傷の深さをただ感じることしかできなかった。
密かに誓う。
柳が再び本当の笑顔を取り戻すその日まで、彼を見守り続けると。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
科学技術を結集した革新的な心理支援プログラムに参加したにも関わらず、期待された効果は現れなかった。
それどころかこれらのセッションを経ることで、柳は自らの内面との距離をさらに広げ、仮面をかぶることの疲れを深く感じるようになっていく。
各セッションに参加するたびに、自分自身を守るための仮面をさらに厚くする技術を磨く結果になっていった。
エモーショナル・デコーディング・プログラムで自分の感情が可視化されることに不安を感じ、メモリー・リフレーミング・セッションでは改変された結末を真実とは受け入れられず、サイバーネティック・エンパワーメント・プログラムでは現実逃避の手段として仮想現実に依存するようになる。インタラクティブ・アート・セラピーでも、自分の本当の感情を隠すための別の手段としてアートを利用する。
精神科の医師が小さく唸り声を上げるのを、柳は聞いていた。
「先生、ありがとうございました」
「お大事にしてください」
いつ、治療が終わるのだろう。
柳は、他人と共有する感情や表情が、ますます本当の自分からかけ離れたものになっていることに気づき始める。虚無的な心、傷ついた自分がどこかに横たわっている。しかしそれを覆い隠す暗く粘ついた何かが邪魔をしている。
しかしそれを止める方法を知らず、また止める勇気もない。
カウンセリングとセラピーが進むにつれ、仮面はより複雑に、そして厚くなっていった。そしてますます孤独と無力感に苛まれるようになる。
時が流れるのが、ひどく遅く感じられた。
その移り変わりも、かつて心を癒していたあたたかい温もりも、今は全てが乾いた砂のように指の間をすり抜けていった。
仮面を被ることに疲れた柳は、自分自身と向き合う時間が増える。しかしそれは苦痛な時間だった。
自分が何を感じているのか、本当に何を望んでいるのかさえ分からなくなっていた。
自分の感情や欲望を表現することができず、仮面の裏で自己という存在が徐々に消失していくような感覚に陥った。感情が硬くなり、凍りつき、動かなくなっていく。
デバイスを取り出す。かつては調べずとも、自然に操れたものが、柳は、もうわからない。
涙は出てこなくなってしまって久しいし、周囲の人間が首を傾げても、心からの反応が表現できなかった。何が不自然なのか。
鏡を見ても、何が不自然なのかを感じ取る感受性がない。
「……感情、表現」
文字を入力し、検索する。
「笑顔」
検索する。
「コミュニケーション」
検索する。やはり、わからない。
もう演技でもいい。それらしさを演出することができなければ、周囲の人間は戸惑ったままだろう。
なんとしても、できるようにならねば。なるべく早く。
「感情」
心からのものでないとしても、やがてそれが本心に置き換わり、元のように自然に生きていけるようになるかもしれない。
続けて柳は、自分の中に残った執着といえるものを掴み取る。持てる言葉の全てを探しつくし、最後に残った、守りたい、ただひとつのもの。
「大切な人」
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