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第四章 素材を求めて
第十一話
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「何なのよ…
エリカには何も聞かないで好みの物を創る癖に、何で私にはいちいち確認するのよ…」
サラは侑と接している間に恋の感情が産まれている事に気付かず、ただ侑の態度にイライラしている。
「ドラゴが神界に行ってしまったから、今日はどうする?
サラは何かあるか?」
侑はブツブツ言っているサラの背中に話しかけた。
「特に何も無いわよ。
装備は侑が創ってくれたし、あとは着替えを入れるだけで準備は終わるわ。」
サラは振り向く事もせずに返事した。
「特に無いなら、三人で町に行くか?
明日から旅に出る事をロゼやリゼにも言いたいし。
肉とか魚も心許ないから、少し買っておきたい。」
「私は良いわよ。
お家で留守番してるわ。」
エリカは包帯グルグルで町を歩くのは侑達に悪いと思った。
「エリカは行ったほうが良いわ。
町にはあなたの事を心配して食材とかをくれていた人とか居るでしょ。
少しは顔を出してその人達のことを安心させてあげたら?
怪我の事で何か言ってくる輩が居たら、侑が対処してくれるでしょ。」
サラは私が遠慮するから二人でデートしてきなさいと背中を押した。
「俺は三人でって言ってるんだけど?
三人で行けば、俺が入りにくい店でも買い物できるしロゼ達だってサラの顔が見たいと思うよ。」
侑は三人で行く事を強調して折れない。
「分かったわ(よ)。」
二人が折れて、渋々返事した。
外に出ると侑はポケットの中から何かを出した。
「エリカ、これ着けて。」
侑はエリカの後ろに回ると、シンプルなチェーンのネックレスを首にかけて留めた。
ネックレスの留具を留めると一瞬輝き魔法が発動した。
「侑、そのネックレスは魔導具なの?」
サラは侑がエリカにネックレスを着けている所を羨ましく見ていたので、発動する瞬間が分かった。
「そうだよ。
このネックレスには認識障害が付与されてるんだ。
条件として、エリカに対して苦痛を与える感情の持ち主には見えない様に設定している。
で、こっちはオレが今から着けるのは条件の無い認識障害が付与されているネックレス。」
侑はネックレスを見せると自分で留めた。
二人は侑を探すようにキョロキョロと周りを見た。
侑の姿はどこにも見えない、ただ何かが近くに居るのは感じるので手を伸ばし感じる場所を触ってみた。
「声は普通に聞こえるでしょ?
それに実体はあるから、触れば分かるでしょ?」
侑は声をかけると二人の手を握った。
「これは視覚に対する認識障害なのね?
実際に手を握ると姿は見えるのね。」
「そういう事。
これから旅をするのにエリカが周りを気にし過ぎて疲れるのは嫌だし、面倒事もなるべく回避したいからね。
これから町に行って、ちゃんと機能するかテストするんだよ。」
侑は自分のネックレスを外してポケットに仕舞った。
「侑、私は大丈夫だよ?
包帯グルグルで旅をすれば色んな目で見られる事は覚悟してる。
でも、どんな目で見られても私には皆が居てくれるから気にしないよ。」
エリカはネックレスを外して大事そうに両手で包んだ。
「侑の優しい気持ちがいっぱい詰まってるこのネックレスは大事に仕舞っておくね。」
エリカはネックレスをポーチに仕舞うと侑と手を繋いで歩き出した。
「エリカが良いなら別に着けなくても良いけど…
ただ、保険の為にもいつも持っていてね。」
侑は馬を呼び先に跨り、引き上げるようにエリカを後ろに乗せた。
サラも馬に乗り二頭で門まで進むとラピスとルビーが侑の馬に飛び乗った。
「侑さん、お出かけですか?」
「ちょっと町までね。」
「一緒に行きます。」
二匹のスライムは侑のポケットの中に潜り込んだ。
「エリカじゃないか!
最近姿を見せないから心配してたんだぞ。」
町の駐馬場に着くと管理しているおじさんが駆け寄ってきた。
「ご心配かけて申し訳ありません。
この通り、元気ですよ。」
エリカは笑顔で挨拶した。
「元気なら良いんだ。
町のみんなも心配しているから、元気な顔を見せてやってくれよ。」
おじさんは二頭の馬を引いて奥に入って行った。
「みんなが心配しているみたいだから、先ずは買い物しながら町を歩くか。」
侑は笑顔で手を降るエリカに声をかけると手を繋いだ。
「ねぇ、やっぱり私は必要無くない?」
サラは不貞腐れながら後ろを歩く。
「途中からちょっとの間、別行動になるんだよ。
俺は女性用の日用品とか雑貨は分からないから、サラに一緒に回って欲しいんだよ。
俺は二人がお店で選んでる間に工房の親方に会ってきたいし。」
侑達は肉や魚等を大量に買い込みながら、町をぶらついた。
偶にエリカを知っている人達が声を掛けてきて少し喋ったり、お店の中から声を掛けてくれる人には手を振ったりしている。
「じゃ、サラとエリカでお店の中を見てきて。
俺は工房に顔を出したら、其処のカフェに居るから。
合流したら、そのまま昼御飯にしよう。」
侑は集合場所を決めると二人を店の中に入らせた。
工房に顔が出した侑は親方が出かけていた為、予定より早くカフェに入っていた。
コーヒーを飲みながら二人を待っていると入り口が騒がしい。
何かあったのかな?
エリカには何も聞かないで好みの物を創る癖に、何で私にはいちいち確認するのよ…」
サラは侑と接している間に恋の感情が産まれている事に気付かず、ただ侑の態度にイライラしている。
「ドラゴが神界に行ってしまったから、今日はどうする?
サラは何かあるか?」
侑はブツブツ言っているサラの背中に話しかけた。
「特に何も無いわよ。
装備は侑が創ってくれたし、あとは着替えを入れるだけで準備は終わるわ。」
サラは振り向く事もせずに返事した。
「特に無いなら、三人で町に行くか?
明日から旅に出る事をロゼやリゼにも言いたいし。
肉とか魚も心許ないから、少し買っておきたい。」
「私は良いわよ。
お家で留守番してるわ。」
エリカは包帯グルグルで町を歩くのは侑達に悪いと思った。
「エリカは行ったほうが良いわ。
町にはあなたの事を心配して食材とかをくれていた人とか居るでしょ。
少しは顔を出してその人達のことを安心させてあげたら?
怪我の事で何か言ってくる輩が居たら、侑が対処してくれるでしょ。」
サラは私が遠慮するから二人でデートしてきなさいと背中を押した。
「俺は三人でって言ってるんだけど?
三人で行けば、俺が入りにくい店でも買い物できるしロゼ達だってサラの顔が見たいと思うよ。」
侑は三人で行く事を強調して折れない。
「分かったわ(よ)。」
二人が折れて、渋々返事した。
外に出ると侑はポケットの中から何かを出した。
「エリカ、これ着けて。」
侑はエリカの後ろに回ると、シンプルなチェーンのネックレスを首にかけて留めた。
ネックレスの留具を留めると一瞬輝き魔法が発動した。
「侑、そのネックレスは魔導具なの?」
サラは侑がエリカにネックレスを着けている所を羨ましく見ていたので、発動する瞬間が分かった。
「そうだよ。
このネックレスには認識障害が付与されてるんだ。
条件として、エリカに対して苦痛を与える感情の持ち主には見えない様に設定している。
で、こっちはオレが今から着けるのは条件の無い認識障害が付与されているネックレス。」
侑はネックレスを見せると自分で留めた。
二人は侑を探すようにキョロキョロと周りを見た。
侑の姿はどこにも見えない、ただ何かが近くに居るのは感じるので手を伸ばし感じる場所を触ってみた。
「声は普通に聞こえるでしょ?
それに実体はあるから、触れば分かるでしょ?」
侑は声をかけると二人の手を握った。
「これは視覚に対する認識障害なのね?
実際に手を握ると姿は見えるのね。」
「そういう事。
これから旅をするのにエリカが周りを気にし過ぎて疲れるのは嫌だし、面倒事もなるべく回避したいからね。
これから町に行って、ちゃんと機能するかテストするんだよ。」
侑は自分のネックレスを外してポケットに仕舞った。
「侑、私は大丈夫だよ?
包帯グルグルで旅をすれば色んな目で見られる事は覚悟してる。
でも、どんな目で見られても私には皆が居てくれるから気にしないよ。」
エリカはネックレスを外して大事そうに両手で包んだ。
「侑の優しい気持ちがいっぱい詰まってるこのネックレスは大事に仕舞っておくね。」
エリカはネックレスをポーチに仕舞うと侑と手を繋いで歩き出した。
「エリカが良いなら別に着けなくても良いけど…
ただ、保険の為にもいつも持っていてね。」
侑は馬を呼び先に跨り、引き上げるようにエリカを後ろに乗せた。
サラも馬に乗り二頭で門まで進むとラピスとルビーが侑の馬に飛び乗った。
「侑さん、お出かけですか?」
「ちょっと町までね。」
「一緒に行きます。」
二匹のスライムは侑のポケットの中に潜り込んだ。
「エリカじゃないか!
最近姿を見せないから心配してたんだぞ。」
町の駐馬場に着くと管理しているおじさんが駆け寄ってきた。
「ご心配かけて申し訳ありません。
この通り、元気ですよ。」
エリカは笑顔で挨拶した。
「元気なら良いんだ。
町のみんなも心配しているから、元気な顔を見せてやってくれよ。」
おじさんは二頭の馬を引いて奥に入って行った。
「みんなが心配しているみたいだから、先ずは買い物しながら町を歩くか。」
侑は笑顔で手を降るエリカに声をかけると手を繋いだ。
「ねぇ、やっぱり私は必要無くない?」
サラは不貞腐れながら後ろを歩く。
「途中からちょっとの間、別行動になるんだよ。
俺は女性用の日用品とか雑貨は分からないから、サラに一緒に回って欲しいんだよ。
俺は二人がお店で選んでる間に工房の親方に会ってきたいし。」
侑達は肉や魚等を大量に買い込みながら、町をぶらついた。
偶にエリカを知っている人達が声を掛けてきて少し喋ったり、お店の中から声を掛けてくれる人には手を振ったりしている。
「じゃ、サラとエリカでお店の中を見てきて。
俺は工房に顔を出したら、其処のカフェに居るから。
合流したら、そのまま昼御飯にしよう。」
侑は集合場所を決めると二人を店の中に入らせた。
工房に顔が出した侑は親方が出かけていた為、予定より早くカフェに入っていた。
コーヒーを飲みながら二人を待っていると入り口が騒がしい。
何かあったのかな?
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