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第三章 スタンピード
第二十一話
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「侑、入るぞ。」
ドラゴは弓を抱えるサラがリビングに戻ってきたのを見て、ラボに顔を出した。
「いいよ、今呼びに行こうと思った所だったから。」
侑はドラゴの手甲をテーブルの上に置いて、考え事をしていた。
「呼びに来るにしては、なんか考えてるみたいだが?」
「ドラゴの手甲なんだけど、俺は使ったこと無いからイメージ湧かないんだよね。」
侑は手甲をはめてシャドーボクシングを始めた。
「手甲は殴る時の打撃力アップに捉えられがちだけど、そうでも無いんだぞ?
防御にも使うし、俺は出来ないけど魔法を絡める人も居る。」
ドラゴは手甲を着けると、空手の型を侑に見せ此処で防御するとかイメージしやすくアドバイスをした。
「ルックスのイメージは有るんだよ。
付加魔法を覚えたから、魔晶石を入れるポケットは要らないよ。
二つまで付けられるけど付加魔法は何にする?
あと、要望があれば取り入れるよ。」
侑は装飾品じゃないから、ルックスだけじゃなく中身もイメージしたかった。
「俺さ、映画が好きで色んなのを観たんだよ。
その中で、手から鉤爪が出る映画とか指先に刃物が付いてる系に憧れたんだ。
だから、手甲から鉤爪が出るように出来ないか?」
ドラゴは打撃だけじゃ無く、斬撃も出来る様にしたいと侑に言った。
「手甲から、鉤爪かぁ。
出来なくはないけど、イメージが湧かないなぁ。
鉤爪は実体じゃ無きゃ駄目かな?
例えば手甲から風魔法の鎌鼬を出すとか、水魔法のウォーターナイフを出すとか。」
侑は実体の鉤爪より、魔法の方がイメージしやすいと言った。
「鎌鼬いいなぁ。
でも、俺自身は魔力はあるけど魔法を使えないぞ?」
ドラゴは昔やった格闘ゲームを思い出していた。
「それは問題無いよ。
付加魔法で鎌鼬を付加すれば使えるよ?
それに手甲に魔力を送れば発動する様に出来るし。」
侑はその代わり、付加はあと一つになると言った。
「鎌鼬にするかな…
その手甲は魔晶石を使って、火属性と攻撃力アップを使える様にしていたんだけど…
風属性の魔法を付加すると火属性は付加出来ないよな?」
ドラゴは魔法を使う事は出来無いけど、火属性との相性が良かったから捨て難いと言った。
「じゃ、飛ばないけどフレイムナイフにする?
それなら、ナイフのフォルムを鉤爪にすれば元の案に近付くよ?」
侑は火属性を付加するのでは無く、火属性を纏わせたナイフにしたらどうかと聞いた。
「それなら、考え方次第では火属性と鉤爪ともう一つ付けられるって事か。
それは魅力的だな。
なら、もう一つは攻撃力アップだな。」
ドラゴは火炎放射も良いなと言い出した。
「魔力が沢山あればいいけど、少ないと一秒位で消えるよ?
ナイフとかは出す時に魔力を使うだけで、出したら魔力は消費しないから少なくて済むよ?
どうする?」
侑はドラゴの魔力がどれくらいあるのか知らないから、オススメしないと言った。
「そっか、火炎放射だと継続して魔力を使うのか。
それは厳しいな。
ナイフにするよ。」
ドラゴは火炎放射を諦めた。
「じゃ、付加は火属性とナイフと攻撃力アップで良いね?」
侑は最終確認をした。
「付加はそれで頼む、フォルムは侑に任せるよ。
カッコイイのを作ってくれよ。」
ドラゴはサラの弓のセンスから、余計な事を言わずに侑に任せた方が良いと思った。
「分かった、こうしたいってイメージが有るんだよ。」
侑は創造を始めた。
手甲はこぶしをカバーする様にナックルの様に指を入れるスタイル。
防御も考えて、長さは前腕の半分をカバーする位。
手首を保護する様に可動部は鎖帷子。
手甲全体に龍の鱗をイメージしたアダマンタイトの鱗。
付加はフレイムナイフと永続魔法の攻撃力アップ。
あとは名前か…
名前はフレイムドラゴン。
イメージが固まったら、クリエイトを発動する。
魔法陣の中から名前を呼んで取り出す。
赤い手甲が姿を現した。
「フレイムドラゴンだよ。」
侑はドラゴに手甲を渡した。
「フォルムは侑に任せて正解だったな。
すごくカッコイイ。
全体に有る鱗がイカしてる。
フレイムドラゴンか、名前もいいな。
ナイフの出し方を教えてくれるか?」
ドラゴは手甲をはめながら、手を握ったり開いたりして動きを確認した。
「ナイフを出す時は、魔力を流せばいい。
手甲に意識を集中する感じかな。」
「やってみるよ。」
ドラゴは手甲に意識を集中した。
すると、鱗から滲み出るように炎が手甲全体を包む。
全体を覆った炎はナックルの辺りからナイフに姿を変えた。
「おぉ、すげぇ。
全体が炎に覆われてるよ、俺がこれに触っても熱くないのか?」
「大丈夫だよ、この炎は防御力を上げるために纏っているから熱くないよ。
ナイフも熱くないよ、あくまでも焼くのではなく斬る為の炎だからね。
ドラゴが使い慣れてきたら、燃やす事も出来るようになるかもね。」
侑はドラゴが使い慣れたら、本来の使い方を教えようと思った。
「そっか、侑はそんなことまで出来るんだな。
将来が恐ろしいな。」
ドラゴは笑いながら、侑の頭に手を乗せて礼を言った。
「よし、次を作るか。」
「トンファーとヌンチャクだな。」
ドラゴは諦めていた武器が手に入る喜びよりも、いま手にある手甲を試したい気持ちの方が大きかった。
「トンファーもヌンチャクも手甲とリンクさせるから、付加は火属性と打撃力アップで良いかな?
違うカテゴリーの付加をつけるとうまく機能しないかもしれないから。」
「リンクって、同時に使う事が出来るのか?
付加は侑に任せるよ。」
ドラゴは手甲と組み合わせて使う事をイメージして無かったので驚いた。
「同時に使った方が攻撃力アップの付加に打撃力アップが加わるから強力だよ。」
侑は創造を始めた。
今回は試作だから、シンプルにしよう。
折れることが無いようにアダマンタイトで、付加は火属性と打撃力アップ。
名前はトンファーにはフレイムストーム、ヌンチャクにはツインフレイムがいいかな。
侑はクリエイトを発動した。
二つ同時に作るのは初めてだ、侑は初めて緊張した。
魔法陣から武器を取り出した。
先に出てきたのは赤いトンファーだ。
次にヌンチャクをだす。
チェーンも本体と同じ赤だった。
ドラゴに渡すと
「試しに使ってくる!」
ドラゴは侑に礼を言うと一目散に湖畔へと向かった。
ドラゴは弓を抱えるサラがリビングに戻ってきたのを見て、ラボに顔を出した。
「いいよ、今呼びに行こうと思った所だったから。」
侑はドラゴの手甲をテーブルの上に置いて、考え事をしていた。
「呼びに来るにしては、なんか考えてるみたいだが?」
「ドラゴの手甲なんだけど、俺は使ったこと無いからイメージ湧かないんだよね。」
侑は手甲をはめてシャドーボクシングを始めた。
「手甲は殴る時の打撃力アップに捉えられがちだけど、そうでも無いんだぞ?
防御にも使うし、俺は出来ないけど魔法を絡める人も居る。」
ドラゴは手甲を着けると、空手の型を侑に見せ此処で防御するとかイメージしやすくアドバイスをした。
「ルックスのイメージは有るんだよ。
付加魔法を覚えたから、魔晶石を入れるポケットは要らないよ。
二つまで付けられるけど付加魔法は何にする?
あと、要望があれば取り入れるよ。」
侑は装飾品じゃないから、ルックスだけじゃなく中身もイメージしたかった。
「俺さ、映画が好きで色んなのを観たんだよ。
その中で、手から鉤爪が出る映画とか指先に刃物が付いてる系に憧れたんだ。
だから、手甲から鉤爪が出るように出来ないか?」
ドラゴは打撃だけじゃ無く、斬撃も出来る様にしたいと侑に言った。
「手甲から、鉤爪かぁ。
出来なくはないけど、イメージが湧かないなぁ。
鉤爪は実体じゃ無きゃ駄目かな?
例えば手甲から風魔法の鎌鼬を出すとか、水魔法のウォーターナイフを出すとか。」
侑は実体の鉤爪より、魔法の方がイメージしやすいと言った。
「鎌鼬いいなぁ。
でも、俺自身は魔力はあるけど魔法を使えないぞ?」
ドラゴは昔やった格闘ゲームを思い出していた。
「それは問題無いよ。
付加魔法で鎌鼬を付加すれば使えるよ?
それに手甲に魔力を送れば発動する様に出来るし。」
侑はその代わり、付加はあと一つになると言った。
「鎌鼬にするかな…
その手甲は魔晶石を使って、火属性と攻撃力アップを使える様にしていたんだけど…
風属性の魔法を付加すると火属性は付加出来ないよな?」
ドラゴは魔法を使う事は出来無いけど、火属性との相性が良かったから捨て難いと言った。
「じゃ、飛ばないけどフレイムナイフにする?
それなら、ナイフのフォルムを鉤爪にすれば元の案に近付くよ?」
侑は火属性を付加するのでは無く、火属性を纏わせたナイフにしたらどうかと聞いた。
「それなら、考え方次第では火属性と鉤爪ともう一つ付けられるって事か。
それは魅力的だな。
なら、もう一つは攻撃力アップだな。」
ドラゴは火炎放射も良いなと言い出した。
「魔力が沢山あればいいけど、少ないと一秒位で消えるよ?
ナイフとかは出す時に魔力を使うだけで、出したら魔力は消費しないから少なくて済むよ?
どうする?」
侑はドラゴの魔力がどれくらいあるのか知らないから、オススメしないと言った。
「そっか、火炎放射だと継続して魔力を使うのか。
それは厳しいな。
ナイフにするよ。」
ドラゴは火炎放射を諦めた。
「じゃ、付加は火属性とナイフと攻撃力アップで良いね?」
侑は最終確認をした。
「付加はそれで頼む、フォルムは侑に任せるよ。
カッコイイのを作ってくれよ。」
ドラゴはサラの弓のセンスから、余計な事を言わずに侑に任せた方が良いと思った。
「分かった、こうしたいってイメージが有るんだよ。」
侑は創造を始めた。
手甲はこぶしをカバーする様にナックルの様に指を入れるスタイル。
防御も考えて、長さは前腕の半分をカバーする位。
手首を保護する様に可動部は鎖帷子。
手甲全体に龍の鱗をイメージしたアダマンタイトの鱗。
付加はフレイムナイフと永続魔法の攻撃力アップ。
あとは名前か…
名前はフレイムドラゴン。
イメージが固まったら、クリエイトを発動する。
魔法陣の中から名前を呼んで取り出す。
赤い手甲が姿を現した。
「フレイムドラゴンだよ。」
侑はドラゴに手甲を渡した。
「フォルムは侑に任せて正解だったな。
すごくカッコイイ。
全体に有る鱗がイカしてる。
フレイムドラゴンか、名前もいいな。
ナイフの出し方を教えてくれるか?」
ドラゴは手甲をはめながら、手を握ったり開いたりして動きを確認した。
「ナイフを出す時は、魔力を流せばいい。
手甲に意識を集中する感じかな。」
「やってみるよ。」
ドラゴは手甲に意識を集中した。
すると、鱗から滲み出るように炎が手甲全体を包む。
全体を覆った炎はナックルの辺りからナイフに姿を変えた。
「おぉ、すげぇ。
全体が炎に覆われてるよ、俺がこれに触っても熱くないのか?」
「大丈夫だよ、この炎は防御力を上げるために纏っているから熱くないよ。
ナイフも熱くないよ、あくまでも焼くのではなく斬る為の炎だからね。
ドラゴが使い慣れてきたら、燃やす事も出来るようになるかもね。」
侑はドラゴが使い慣れたら、本来の使い方を教えようと思った。
「そっか、侑はそんなことまで出来るんだな。
将来が恐ろしいな。」
ドラゴは笑いながら、侑の頭に手を乗せて礼を言った。
「よし、次を作るか。」
「トンファーとヌンチャクだな。」
ドラゴは諦めていた武器が手に入る喜びよりも、いま手にある手甲を試したい気持ちの方が大きかった。
「トンファーもヌンチャクも手甲とリンクさせるから、付加は火属性と打撃力アップで良いかな?
違うカテゴリーの付加をつけるとうまく機能しないかもしれないから。」
「リンクって、同時に使う事が出来るのか?
付加は侑に任せるよ。」
ドラゴは手甲と組み合わせて使う事をイメージして無かったので驚いた。
「同時に使った方が攻撃力アップの付加に打撃力アップが加わるから強力だよ。」
侑は創造を始めた。
今回は試作だから、シンプルにしよう。
折れることが無いようにアダマンタイトで、付加は火属性と打撃力アップ。
名前はトンファーにはフレイムストーム、ヌンチャクにはツインフレイムがいいかな。
侑はクリエイトを発動した。
二つ同時に作るのは初めてだ、侑は初めて緊張した。
魔法陣から武器を取り出した。
先に出てきたのは赤いトンファーだ。
次にヌンチャクをだす。
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