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第三章 スタンピード
第十八話
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「ただいま」
侑はリビングにドラゴが居ない事に気付いた。
「あれっ?ドラゴは?」
仔猫と戯れているエリカに聞いてみる。
「ドラゴなら、バトラさんの部屋にいるよ。
侑が行ったあと、二人で映画の話で意気投合して煩いからメイさんがキレたの。
そしたら、いそいそと部屋に篭っちゃった。」
エリカが説明してると、キッチンからメイが手を拭きながら出てきた。
「ったく、うるさいし身振り手振りがウザいし大変だったのよ。」
メイもソファーに座ると仔猫を抱いた。
「そっか、大変だったね。
サラも居ないけど、父さん達と一緒?」
「サラなら調べたい事があるからって侑の部屋で本を読んでるよ。」
エリカが仔猫をモフモフしながら答えた。
三人で話していると、ドラゴが部屋から出てきた。
「おっ、侑おかえり。」
ドラゴはバトラと意気投合して満足なのか、満面の笑顔で現れた。
「ただいま、父さんは?」
「メイさんに怒られて、出てこれないでいるよ。」
「ドラゴはよく出てきたな。」
「俺は引きずらないタイプだからな。
怒られた時はしっかりごめんなさいする。
反省したら、怒られないようにする。
いつまでも引きずっていたら、つまらないだろ?」
ドラゴはメイに同意を求める様に言った。
「そうよ、同じ事を繰り返さなきゃ良いのよ。
私だって、ずっと怒り続けるのは体力使うから嫌なのよ?」
メイはバトラに聞こえる様に大きめの声で言った。
「でさ、侑に頼みがあるんだけど。
バトラさんと話をしてて、この世界に無いから諦めて忘れてた武器があるんだけど作ってくれない?」
ドラゴは侑の顔をのぞき込んだ。
「この世界に無い武器?
どんな武器?」
侑はエリカから仔猫を受け取ってモフモフする。
「ヌンチャクとトンファー、侑は知ってる?」
「両方知ってるよ、カンフー映画とかで出てくるやつだろ?」
「そう、それ。
空手をやってた時に使ってたんだけど、こっちの世界には無くてさ。
鍛冶工房で依頼しようにも上手く伝わらなくて諦めてたんだよ。」
「別に良いよ、紙に形状とかサイズとか細かく書いてくれれば。」
侑は仔猫をエリカに渡して、紙を準備した。
「マジか!幾ら払えばいい?
幾らでも払うぞ?」
「別にいらないよ、俺のスキルのレベル上げにもなるから構わないよ。」
「それなりに持ってる方だから、遠慮しなくていいぞ?」
ドラゴはレベル上げに討伐依頼ばっかりやっていたから、報酬と買取で金ならあると言う。
「必要になったら、力を借りるよ。」
侑はその時まで貸しにしとくと笑った。
「さて、装備の作成をしてしまうか。
気になってるあれもやってみたいしな。」
侑は作成が先か試作が先かで悩んでいたが、試作は後回しにした。
「装備を作るよ。
デザインとかサイズを書いて持ってきて。」
侑はラボに向かった。
最初に来たのはメイだった。
手には研究所から持ち出したアーティファクトを持っている。
「侑、持ってきたよ。
細かく説明するから覚えてね。」
メイは台の上に杖を置いた。
「この杖にはトリガーシステムって呼んでる機能があるの。」
メイは杖を引っ張り構造を見せた。
「杖の中にカートリッジと呼んでる筒を入れるのよ。
このカートリッジの中には魔晶石が入っているの、増幅したい魔法を詠唱してカートリッジの中に溜めて置くのよ。
杖のカートリッジを入れて置く部分はマガジンって呼んでるわ。
マガジンにはカートリッジが四つまで入るの。
だから、増幅出来る魔法は四種類って事。
カートリッジが入っていなくても、魔杖として使う事は出来るわ。
どう?理解できた?」
メイは杖をバラして説明していたので、組み立てようとした。
「母さん、ちょっと待って。」
侑はバラしてある杖の内側を観察し出した。
「やっぱりな。」
「何がやっぱりなの?」
「この杖の内側を見て?
割れてるけど、魔晶石が埋め込んであるんだ。
カートリッジに溜めた魔法をどうやって発動するのか考えたんだ。
カートリッジから放出される魔法を一点に集中させる何かが必要だと思ったんだ。
じゃないと、カートリッジから放出された魔法は分散してしまって杖に付加魔法がかかってしまう。
あくまでも、推論だけどね。」
侑は創造の為に細かいギミック等を確認している。
「多分、当たってるわよ。
修理に出した理由は付加魔法が暴発してしまったからなの。」
メイは侑の頭を撫でてる。
「母さん、杖を作る前に付加魔法を教えてくれない?
試したい事があるんだ。」
侑は頭を撫でてるメイの手を掴んだ。
「別に良いけど、一つだけ約束して。
決して生きてる物にはかけないって。」
メイは真剣な顔で侑を見た。
「分かったよ、俺はドラゴの手甲を見て武器に永続魔法をかけられないかなって思ったんだ。
だから、生き物にはかけないよ。」
侑は試作したい物の内容をメイに話した。
「武器に永続魔法ね。
それが出来てしまったら、エンチャンターは要らなくなるわね。」
メイはクスッと笑ったが、侑ならやりかねないと思った。
「そんなこと無いよ、エンチャンターの本筋に近づけるだけだよ。」
侑は付加魔法を教わると、杖を組み立てた。
構造解析を発動して、素材やサイズを頭に叩き込む。
「母さん、今から作るけどデザインは今のままでいいの?
あと、名前はどうする?」
「デザインは気に入ってるから、このままで。
名前はマルティーニでお願い。」
「父さんの真名って、マルティーニなんだね。」
「そうよ、イタリア人だからね。」
メイは予告通り、バトラの真名にするみたいだ。
「じゃ、始めるよ。」
侑は石を手に持ち、創造を始めた。
目の前にある杖を頭の中で分解し、もう一度組み立てる。
杖のギミックを動かし、細部までイメージする。
杖の中の魔晶石に頭の中で、硬化の永続魔法を付加する。
一通りイメージすると、目を閉じた。
クリエイトを発動する。
魔法陣の中から名前を呼びながら杖を出す。
侑はクリエイトで作った杖をメイに渡した。
「どうかな?多分同じ性能だと思うけど。
試しに使ってみる?」
侑はメイにカートリッジを渡した。
メイはカートリッジを受け取ると切断強化の付加魔法をカートリッジに溜めた。
杖のマガジンにカートリッジを入れると、ラボにあったナイフに付加魔法をかけた。
「侑、そのナイフで何か切ってみて。」
メイは侑にナイフに何の付加をかけたかを言わなかった。
「何でも良いの?」
「できるだけ硬いものが良いな。」
侑は作業台の角を斬りつけた。
普通のナイフでは傷しか付かない金属の台がスッと切れた。
「凄いな、切断強化の付加をかけたの?」
侑はメイの杖が成功した事を確信した。
「そうよ、切断強化をかけたの。
でも、それでは50%ね。
杖は切断強化の付加魔法だけど、私は硬化の付加魔法をかけたの。」
メイは杖の付加魔法を判断する為に自分と杖は違う付加をかけたと侑に説明した。
「そっか、母さんの付加魔法だけでもナイフのキレ味は良くなっちゃうもんね。」
侑はメイ技術の高さに驚いた。
侑はリビングにドラゴが居ない事に気付いた。
「あれっ?ドラゴは?」
仔猫と戯れているエリカに聞いてみる。
「ドラゴなら、バトラさんの部屋にいるよ。
侑が行ったあと、二人で映画の話で意気投合して煩いからメイさんがキレたの。
そしたら、いそいそと部屋に篭っちゃった。」
エリカが説明してると、キッチンからメイが手を拭きながら出てきた。
「ったく、うるさいし身振り手振りがウザいし大変だったのよ。」
メイもソファーに座ると仔猫を抱いた。
「そっか、大変だったね。
サラも居ないけど、父さん達と一緒?」
「サラなら調べたい事があるからって侑の部屋で本を読んでるよ。」
エリカが仔猫をモフモフしながら答えた。
三人で話していると、ドラゴが部屋から出てきた。
「おっ、侑おかえり。」
ドラゴはバトラと意気投合して満足なのか、満面の笑顔で現れた。
「ただいま、父さんは?」
「メイさんに怒られて、出てこれないでいるよ。」
「ドラゴはよく出てきたな。」
「俺は引きずらないタイプだからな。
怒られた時はしっかりごめんなさいする。
反省したら、怒られないようにする。
いつまでも引きずっていたら、つまらないだろ?」
ドラゴはメイに同意を求める様に言った。
「そうよ、同じ事を繰り返さなきゃ良いのよ。
私だって、ずっと怒り続けるのは体力使うから嫌なのよ?」
メイはバトラに聞こえる様に大きめの声で言った。
「でさ、侑に頼みがあるんだけど。
バトラさんと話をしてて、この世界に無いから諦めて忘れてた武器があるんだけど作ってくれない?」
ドラゴは侑の顔をのぞき込んだ。
「この世界に無い武器?
どんな武器?」
侑はエリカから仔猫を受け取ってモフモフする。
「ヌンチャクとトンファー、侑は知ってる?」
「両方知ってるよ、カンフー映画とかで出てくるやつだろ?」
「そう、それ。
空手をやってた時に使ってたんだけど、こっちの世界には無くてさ。
鍛冶工房で依頼しようにも上手く伝わらなくて諦めてたんだよ。」
「別に良いよ、紙に形状とかサイズとか細かく書いてくれれば。」
侑は仔猫をエリカに渡して、紙を準備した。
「マジか!幾ら払えばいい?
幾らでも払うぞ?」
「別にいらないよ、俺のスキルのレベル上げにもなるから構わないよ。」
「それなりに持ってる方だから、遠慮しなくていいぞ?」
ドラゴはレベル上げに討伐依頼ばっかりやっていたから、報酬と買取で金ならあると言う。
「必要になったら、力を借りるよ。」
侑はその時まで貸しにしとくと笑った。
「さて、装備の作成をしてしまうか。
気になってるあれもやってみたいしな。」
侑は作成が先か試作が先かで悩んでいたが、試作は後回しにした。
「装備を作るよ。
デザインとかサイズを書いて持ってきて。」
侑はラボに向かった。
最初に来たのはメイだった。
手には研究所から持ち出したアーティファクトを持っている。
「侑、持ってきたよ。
細かく説明するから覚えてね。」
メイは台の上に杖を置いた。
「この杖にはトリガーシステムって呼んでる機能があるの。」
メイは杖を引っ張り構造を見せた。
「杖の中にカートリッジと呼んでる筒を入れるのよ。
このカートリッジの中には魔晶石が入っているの、増幅したい魔法を詠唱してカートリッジの中に溜めて置くのよ。
杖のカートリッジを入れて置く部分はマガジンって呼んでるわ。
マガジンにはカートリッジが四つまで入るの。
だから、増幅出来る魔法は四種類って事。
カートリッジが入っていなくても、魔杖として使う事は出来るわ。
どう?理解できた?」
メイは杖をバラして説明していたので、組み立てようとした。
「母さん、ちょっと待って。」
侑はバラしてある杖の内側を観察し出した。
「やっぱりな。」
「何がやっぱりなの?」
「この杖の内側を見て?
割れてるけど、魔晶石が埋め込んであるんだ。
カートリッジに溜めた魔法をどうやって発動するのか考えたんだ。
カートリッジから放出される魔法を一点に集中させる何かが必要だと思ったんだ。
じゃないと、カートリッジから放出された魔法は分散してしまって杖に付加魔法がかかってしまう。
あくまでも、推論だけどね。」
侑は創造の為に細かいギミック等を確認している。
「多分、当たってるわよ。
修理に出した理由は付加魔法が暴発してしまったからなの。」
メイは侑の頭を撫でてる。
「母さん、杖を作る前に付加魔法を教えてくれない?
試したい事があるんだ。」
侑は頭を撫でてるメイの手を掴んだ。
「別に良いけど、一つだけ約束して。
決して生きてる物にはかけないって。」
メイは真剣な顔で侑を見た。
「分かったよ、俺はドラゴの手甲を見て武器に永続魔法をかけられないかなって思ったんだ。
だから、生き物にはかけないよ。」
侑は試作したい物の内容をメイに話した。
「武器に永続魔法ね。
それが出来てしまったら、エンチャンターは要らなくなるわね。」
メイはクスッと笑ったが、侑ならやりかねないと思った。
「そんなこと無いよ、エンチャンターの本筋に近づけるだけだよ。」
侑は付加魔法を教わると、杖を組み立てた。
構造解析を発動して、素材やサイズを頭に叩き込む。
「母さん、今から作るけどデザインは今のままでいいの?
あと、名前はどうする?」
「デザインは気に入ってるから、このままで。
名前はマルティーニでお願い。」
「父さんの真名って、マルティーニなんだね。」
「そうよ、イタリア人だからね。」
メイは予告通り、バトラの真名にするみたいだ。
「じゃ、始めるよ。」
侑は石を手に持ち、創造を始めた。
目の前にある杖を頭の中で分解し、もう一度組み立てる。
杖のギミックを動かし、細部までイメージする。
杖の中の魔晶石に頭の中で、硬化の永続魔法を付加する。
一通りイメージすると、目を閉じた。
クリエイトを発動する。
魔法陣の中から名前を呼びながら杖を出す。
侑はクリエイトで作った杖をメイに渡した。
「どうかな?多分同じ性能だと思うけど。
試しに使ってみる?」
侑はメイにカートリッジを渡した。
メイはカートリッジを受け取ると切断強化の付加魔法をカートリッジに溜めた。
杖のマガジンにカートリッジを入れると、ラボにあったナイフに付加魔法をかけた。
「侑、そのナイフで何か切ってみて。」
メイは侑にナイフに何の付加をかけたかを言わなかった。
「何でも良いの?」
「できるだけ硬いものが良いな。」
侑は作業台の角を斬りつけた。
普通のナイフでは傷しか付かない金属の台がスッと切れた。
「凄いな、切断強化の付加をかけたの?」
侑はメイの杖が成功した事を確信した。
「そうよ、切断強化をかけたの。
でも、それでは50%ね。
杖は切断強化の付加魔法だけど、私は硬化の付加魔法をかけたの。」
メイは杖の付加魔法を判断する為に自分と杖は違う付加をかけたと侑に説明した。
「そっか、母さんの付加魔法だけでもナイフのキレ味は良くなっちゃうもんね。」
侑はメイ技術の高さに驚いた。
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