異世界でスローライフを目標にしましたが、モテ期到来で先の話になりそうです。

koh

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第三章 スタンピード

第九話

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「お見事でしたね。」
ギルマスの部屋に戻ると、初対面の女性がギルマスの横に座っていた。
アンダーリムの眼鏡をかけ、翠色のロングヘアーで身長はロゼより一回り小さい。
しかし、出る所は出ていてスタイルはロゼより良いかもしれない。

「流石だね、さらっとこなしたね。」
ロゼは頭痛の元が一つ取れて、ニコニコしてる。

「一個目の報酬ね、隣のサラが報酬よ。
この娘はこの国一番の薬師よ。
侑のいま一番必要な情報を持ってるかもね?」
ロゼはサラを紹介した。

「私はあげないわよ?
国一番かは知らないけど、薬師のサラよ。
よろしくね。
話をする前にさっきの刀の種明かししてくれる?
すごく興味があるのよ。」
サラはロゼと比べると大人しい感じだ。

「侑といいます。
さっきの刀の種明かしですか。」
侑はどうぞ持ってくださいと机の上に鷹丸を置いた。

「重いというか、持てないわね。」
サラは柄を握り持ち上げようとするが、持ち上がらない。
何か仕掛けがないか、色々な角度から見ている。

「仕掛けはありますが、見えませんよ。」
侑は所有者登録の仕組みを説明した。

「なるほど、持ち主しか持てないのですか。
便利ですね、私のカバンにも欲しいですね。」
サラはカバン中には貴重な薬品とか入ってるからよく狙われるのと溢した。

「所有者登録かけましょうか?」
侑はお近づきの印にと進言した。

「是非、お願いします。」
サラは飛びついた。

「じゃ、カバンを持って此方に向けて下さい。」
侑はカスタマイズで所有者登録をした。

「もう大丈夫ですよ、サラさん以外持てませんし開けられません。」

『ねぇねぇ、私の事無視?
それとも、二人の世界に入っちゃった?』
ロゼは蚊帳の外にされて、ふて腐れてる。

「で、二つ目の案件なんだけど。」
サラはロゼを無視して話を進めた。

『私が話すの!
お願いだから、シカトしないで!』
ロゼは泣きそうになっている。


「で?案件は何ですか?」
侑はわざとサラに聞いた。

「私の服を作って欲しいのよ。
ロゼの服を見たら、欲しくなっちゃった。
出来れば、一緒に下着も。
報酬はエリカに関しての情報よ。」
サラはエリカを知っていて、どうすれば良いかも知っているみたいだ。

「エリカさんを知っているんですね?
治せるんですか?」
侑はサラに確認した。

「全ては侑さん次第ですね。
因みに、私が治すわけでは無いですよ?
あくまでも、治すのは侑さんです。」
サラは私の情報を渡すだけだと断言した。

『ねぇ、いい加減話に混ぜてよ!
寂しくて死んじゃうよ?』
ロゼは足をバタバタさせている。

「ロゼ、うるさい。
後で服を作ってやるから黙ってて。」
侑は交換条件を出して黙らせた。

『ほんと?
じゃ、黙ってる。』
ロゼは棚からぼた餅ーっと鼻歌交じりで上機嫌になった。

「サラさんはどんな服が欲しいんですか?
ロゼから聞いてると思うけど、デザイン画みたいなのが無いと作れないですよ?」
侑は心を許してるのか、ロゼには『さん』を付けない。

「うん、ロゼから聞いてるわ。
設計図みたいなのを描いてきたよ。」
サラは机の上に紙を広げた。

「随分と複雑なデザインですね、
全く同じものは出来ないですけどいいですか?」
サラが描いてきたデザインは和服に近いドレスだった。

「職業柄、王家のパーティーとか茶会に呼ばれるのよ。
着て行く物がないから、有り合わせのドレスとかで行くんだけどね。
何ていうか…インパクト?存在感?が欲しいのよ。」
サラは大人しく見える反面、目立ちたがりだった。


侑はデザイン画を凝視すると絵に描いていない部分を想像し始めた。
色や柄はデザイン画通りに出来るが、服のディテールなど細かい部分を想像で考えた。

イメージが固まると、カバンからさざれ石を出してスキルを発動した。

机の上にドレスと下着が置かれた。
サラはそれ等を手に取ると、

「凄いスキルね、イメージ通りだわ。」
大喜びで着替え始めそうになった。

侑は敢えて黙っていたが、ロゼが着替えを止めた。

『侑?私達の時と態度が違く無い?
サラには喜んで作ってる様に見えるんだけど?
侑のタイプってこっち系だったの?』
黙って見ていたロゼが騒ぎ出した。

「うるさいなぁ、ロゼはこの前のと同じでいいか?」
侑は面倒くさそうに聞いた。

『やっぱり、扱いが雑じゃない?!
一応、ギルマスよ?偉いのよ?』
ロゼは扱いが不服だと騒ぐ。

「はいはい、えらいえらい。
で、どうすんだ?」
侑は軽くあしらった。

『…この前のと同じやつがいい。
でも、色を変えて。
今度は、白がいい。』
ロゼはこれ以上騒ぐと作ってくれなさそうなよで大人しくした。

「白ね、2セット作るか?」
侑はイジメ過ぎたから、多めに作ることにした。

「うん、下着は白と赤がいい。」
ロゼは元気よく返事した。

「ったく、ゲンキンだな…」
侑は石を四つ出して、2セット作った。

ロゼが大はしゃぎで受け取り、喜んでいると、

「お姉ちゃんうるさい!!」
リゼが文句を言いに来た。
が、ロゼが2セットも服を持っていたのを見て

「侑さん!
私のは??お姉ちゃん達だけズルイです!!」
リゼも侑に下着をねだった。

「…ったく、だから来たくなかったんだよ。
何で、俺が下着を作らなきゃいけないんだよ…」
侑はブツブツとボヤいた。

「えっと、白と黒が欲しいです。」
リゼは聞く耳を持ってなかった。

「はいはい、白と黒ね。」
侑は諦めてリゼの下着を作った。

「ありがとー、侑さんは冒険者よりも下着屋さんの方が儲かると思いますよ?」
リゼは侑のキズに塩を塗った。

「次からは金貨十枚取るからな。」
侑は開き直った。

「……そろそろ、報酬の情報を話してもいいかな?」
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