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第二章 鍛冶と鉱山の国トトリ
第三十話
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「侑は私が居なくなったら寂しい?」
ミチルは答えの分かっている質問をした、胸が締め付けられる様に苦しい。
「寂しいに決まってる!
ずっと一緒に居てくれると思っていたから、ミチルの口からそんな質問が出るとは思わなかったよ!」
侑は分かりきっている質問に苛ついた。
「私も寂しいよ…
でも、私が行かないと、この世界に治せない病気が出来てしまうかもしれない。」
ミチルは震えながら、自分を押し殺している。
「なんで、ミチルなんだよ!
別にミチルじゃなくても、他にも医者だった使徒は居るんだろ?
ミチルは元使徒で、今は召喚獣だろ?」
侑は気持ちを抑えられない。
「私は確かに元使徒だけども、召喚獣になる時にブラフマー様と約束したの。
この世界が私を必要とした時には、使徒長に戻ると。」
ミチルは自分が使徒を束ねる使徒長で、約束は破れないと侑に言った。
「なんなんだよ…
使徒長って…
ブラフマー様との約束って…
俺とずっと一緒に居てくれるんじゃないのかよ…」
侑は気持ちの整理がついたのではなく、何を言っても変わらない事に気付いた。
「ごめんね、侑…
こんなに早く、別れが来るとは私も思わなかった。
でもね、侑…
早くて良かったと思って?
だって、今ならまた侑に会えるかも知れないでしょ?
大人になった侑は私に気付かないかもしれないけど…
大人になってからの別れは、再会の無い永遠の別れよ?
ね、侑。
また会える可能性は、今の方が高いのよ?
しかも、次に会えるとしたら鳥じゃ無くてちゃんと人族よ?」
ミチルは侑に問いかけているようで、自分に言い聞かせていた。
「分かったよ…
いや、分かりたくないけど何を言っても変わらないんだろ?
いつ戻ってくるかは分からないんだよね?
俺が大人になっても、ミチルの事は気付くよ。
例え、姿が変わっていようが声が違かろうが絶対に気付いて声をかける。
だから、ミチルも俺の事を忘れるなよ?」
侑は前を向く事に決めた。
侑は涙を堪えてラボに向かった。
ミチルはリビングに残って、考え事をしてる。
ラボに入った侑は周りを見渡している。
作業台の上に、銀鉱石とカバンの中から標本を出した。
侑は銀鉱石を手に取ると、錬金術を発動して銀のワイヤーを作った。
そして、標本の中からサファイアを取り出すと錬金術でクラスターの形にした。
サファイアに銀のワイヤーを自分の手で思いを込めて、装飾をする様に巻き付けていった。
途中、ワイヤーが指に刺さり血が出たり巻き付ける力で内出血したりしたが侑はクリエイトに頼らず自分の手で作った。
侑が作ったそれは、ペンダントトップだった。
革紐を通して、カスタマイズで自動サイズ調整を付加した。
人化して装着した時点でカスタマイズを全て無に返し、ただのアクセサリーになるように付け加えた。
ネックレスを手に持った侑がリビングに戻ると、ミチルは後悔にも安堵にも見える表情でまだ考え事をしていた。
「ミチル、ちょっといい?」
考え事に没頭するミチルに声をかけた。
「えっ、あ…、呼んだ?」
ミチルは暫く気付かなかった。
「これ、ミチルにプレゼント。」
侑はミチルの首にネックレスをかけた。
ネックレスは一瞬光って、ミチルサイズになった。
普通の人が見たら、指輪に見えるサイズだ。
「私に…?」
ミチルは突然のプレゼントに驚いた。
ペンダントトップはクリエイトではなく、手作りだというのがひと目でわかった。
「侑が作ってくれたの?」
侑の手を見ると傷だらけだった。
「ミチルへの最初のプレゼントだから、クリエイトじゃ無く自分で作ったよ。
人の状態で首にかけたら自動サイズ調整したあとは、カスタマイズが無くなりただのネックレスになるからね。
アッチの世界で手に入る素材で作ったから、良かったらあっちで使って。」
侑は何処にいても一緒に居るよって笑顔で言った。
「…ありがとう、大切にするね。」
前を向いて進もうとする侑、私は……
ミチルは侑の事が眩しく見えた。
そろそろ寝ようか。
侑の肩に乗って寝室に移動する。
「ミチル、おやすみ。」
侑はベッドに入ると壁側を向いて寝る体制になった。
「侑、おやすみ。」
ミチルは侑がサイドテーブルの上に置いてくれたクッションに丸くなった。
ミチルはまた考え事を始めた。
暫くすると、侑の寝息が聞こえてきた。
『また今夜も始まってしまうのかしら…』
ミチルは不安そうに侑の背中を見ていた。
侑の寝息が聞こえなくなると、すすり泣く声の様な何かに抗っている様なうめき声にも似た声が聞こえてきた。
『今夜も始まってしまったのね。』
ミチルは人化して侑の背中を包み込む様に抱きしめた。
『侑…起きている間は平気な振りをしてるけどやっぱりこの世界は不安なのね。
貴方の知らない事ばかりで不安を話せる人も少ないこの世界…
誰にも頼れず…独りで葛藤して…
私にはこうしてあげる事くらいしか出来なかったけど…
これも今夜で最後…
侑…本当にごめんね。』
ミチルは毎晩、侑がこの状態になると人化して落ち着かせていた。
「……おかあさん…」
侑は寝ている世界で母親に抱きしめられているのだろうか…
暫くすると、侑の寝息が聞こえてくる。
いつもなら、ミチルは鳥に戻りクッションで寝るのだが今夜はなかなか戻らない。
『侑…
短い間だったけどありがとう…
侑のおかげで幸せな毎日だった…
明日からの侑を考えると胸が苦しいけど…
侑なら大丈夫…
きっと乗り越えてくれるはず…』
ミチルは鳥に戻り、クッションに戻った。
侑から貰ったネックレスを咥えると、窓枠へ飛んだ。
『侑…さようなら…
そして…ありがとう…
愛しい侑……
いつまでも愛してますよ…』
ミチルは侑に別れを、そして空へと飛んだ。
ミチルは答えの分かっている質問をした、胸が締め付けられる様に苦しい。
「寂しいに決まってる!
ずっと一緒に居てくれると思っていたから、ミチルの口からそんな質問が出るとは思わなかったよ!」
侑は分かりきっている質問に苛ついた。
「私も寂しいよ…
でも、私が行かないと、この世界に治せない病気が出来てしまうかもしれない。」
ミチルは震えながら、自分を押し殺している。
「なんで、ミチルなんだよ!
別にミチルじゃなくても、他にも医者だった使徒は居るんだろ?
ミチルは元使徒で、今は召喚獣だろ?」
侑は気持ちを抑えられない。
「私は確かに元使徒だけども、召喚獣になる時にブラフマー様と約束したの。
この世界が私を必要とした時には、使徒長に戻ると。」
ミチルは自分が使徒を束ねる使徒長で、約束は破れないと侑に言った。
「なんなんだよ…
使徒長って…
ブラフマー様との約束って…
俺とずっと一緒に居てくれるんじゃないのかよ…」
侑は気持ちの整理がついたのではなく、何を言っても変わらない事に気付いた。
「ごめんね、侑…
こんなに早く、別れが来るとは私も思わなかった。
でもね、侑…
早くて良かったと思って?
だって、今ならまた侑に会えるかも知れないでしょ?
大人になった侑は私に気付かないかもしれないけど…
大人になってからの別れは、再会の無い永遠の別れよ?
ね、侑。
また会える可能性は、今の方が高いのよ?
しかも、次に会えるとしたら鳥じゃ無くてちゃんと人族よ?」
ミチルは侑に問いかけているようで、自分に言い聞かせていた。
「分かったよ…
いや、分かりたくないけど何を言っても変わらないんだろ?
いつ戻ってくるかは分からないんだよね?
俺が大人になっても、ミチルの事は気付くよ。
例え、姿が変わっていようが声が違かろうが絶対に気付いて声をかける。
だから、ミチルも俺の事を忘れるなよ?」
侑は前を向く事に決めた。
侑は涙を堪えてラボに向かった。
ミチルはリビングに残って、考え事をしてる。
ラボに入った侑は周りを見渡している。
作業台の上に、銀鉱石とカバンの中から標本を出した。
侑は銀鉱石を手に取ると、錬金術を発動して銀のワイヤーを作った。
そして、標本の中からサファイアを取り出すと錬金術でクラスターの形にした。
サファイアに銀のワイヤーを自分の手で思いを込めて、装飾をする様に巻き付けていった。
途中、ワイヤーが指に刺さり血が出たり巻き付ける力で内出血したりしたが侑はクリエイトに頼らず自分の手で作った。
侑が作ったそれは、ペンダントトップだった。
革紐を通して、カスタマイズで自動サイズ調整を付加した。
人化して装着した時点でカスタマイズを全て無に返し、ただのアクセサリーになるように付け加えた。
ネックレスを手に持った侑がリビングに戻ると、ミチルは後悔にも安堵にも見える表情でまだ考え事をしていた。
「ミチル、ちょっといい?」
考え事に没頭するミチルに声をかけた。
「えっ、あ…、呼んだ?」
ミチルは暫く気付かなかった。
「これ、ミチルにプレゼント。」
侑はミチルの首にネックレスをかけた。
ネックレスは一瞬光って、ミチルサイズになった。
普通の人が見たら、指輪に見えるサイズだ。
「私に…?」
ミチルは突然のプレゼントに驚いた。
ペンダントトップはクリエイトではなく、手作りだというのがひと目でわかった。
「侑が作ってくれたの?」
侑の手を見ると傷だらけだった。
「ミチルへの最初のプレゼントだから、クリエイトじゃ無く自分で作ったよ。
人の状態で首にかけたら自動サイズ調整したあとは、カスタマイズが無くなりただのネックレスになるからね。
アッチの世界で手に入る素材で作ったから、良かったらあっちで使って。」
侑は何処にいても一緒に居るよって笑顔で言った。
「…ありがとう、大切にするね。」
前を向いて進もうとする侑、私は……
ミチルは侑の事が眩しく見えた。
そろそろ寝ようか。
侑の肩に乗って寝室に移動する。
「ミチル、おやすみ。」
侑はベッドに入ると壁側を向いて寝る体制になった。
「侑、おやすみ。」
ミチルは侑がサイドテーブルの上に置いてくれたクッションに丸くなった。
ミチルはまた考え事を始めた。
暫くすると、侑の寝息が聞こえてきた。
『また今夜も始まってしまうのかしら…』
ミチルは不安そうに侑の背中を見ていた。
侑の寝息が聞こえなくなると、すすり泣く声の様な何かに抗っている様なうめき声にも似た声が聞こえてきた。
『今夜も始まってしまったのね。』
ミチルは人化して侑の背中を包み込む様に抱きしめた。
『侑…起きている間は平気な振りをしてるけどやっぱりこの世界は不安なのね。
貴方の知らない事ばかりで不安を話せる人も少ないこの世界…
誰にも頼れず…独りで葛藤して…
私にはこうしてあげる事くらいしか出来なかったけど…
これも今夜で最後…
侑…本当にごめんね。』
ミチルは毎晩、侑がこの状態になると人化して落ち着かせていた。
「……おかあさん…」
侑は寝ている世界で母親に抱きしめられているのだろうか…
暫くすると、侑の寝息が聞こえてくる。
いつもなら、ミチルは鳥に戻りクッションで寝るのだが今夜はなかなか戻らない。
『侑…
短い間だったけどありがとう…
侑のおかげで幸せな毎日だった…
明日からの侑を考えると胸が苦しいけど…
侑なら大丈夫…
きっと乗り越えてくれるはず…』
ミチルは鳥に戻り、クッションに戻った。
侑から貰ったネックレスを咥えると、窓枠へ飛んだ。
『侑…さようなら…
そして…ありがとう…
愛しい侑……
いつまでも愛してますよ…』
ミチルは侑に別れを、そして空へと飛んだ。
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