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第二章 鍛冶と鉱山の国トトリ
第二十四話
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「じゃ、行こうか。」
侑とミチルは礼拝室の前に立っている。
礼拝室のドアノブを握り、ブラフマーの部屋を思い浮かべる。
ドアノブが光り、ドアが開く。
ドアをくぐると白い部屋に…
『何だろう、何か違和感。』
侑はブラフマーの部屋に違和感を感じた。
一面真っ白で色の抜けた世界の様な部屋だった筈だが、今居る部屋は若干薄紫がかっている。
「よく来ましたね侑様、それとミチル。」
テーブルに笑顔のブラフマーが現れた。
「ブラフマー様、こんにちは。
何か、部屋が薄紫に見えるのですが?」
侑は部屋を見渡し、違和感の原因を探した。
「元々この部屋の白は何も無いから白だったのです。
所謂、何色にも染まらない白だったのです。
ですが、今は侑様が私にプレゼントしてくれた薔薇と花瓶が有りますのでその色に染まったのです。」
ブラフマーは枯れない薔薇と花瓶を大切そうに手を添え、うっとりとしている。
そして、今の侑の姿を見て思った。
『何日も経ってないけど、逞しくなったわね。
此処に始めてきた時は、風が吹いたら折れそうな枝の様だった侑が今はしっかりと太い枝になってる感じね。』
感慨に耽っていたブラフマーが口を開いた。
「此方の世界には慣れましたか?」
ブラフマーは敢えて要件を聞かず、侑の近況を聞いた。
「はい、ブラフマー様のお心遣いで頂いた食材で食べる事には事欠きませんし、ティーターン様の使徒の方が夫婦で気遣って下さいますので、不自由なく過ごしてまいりました。
色々考える事ができる位落ち着きましたので、ご挨拶とお伺いしたい事が有りまして参りました。」
侑は近況の報告とお礼を言い、ミチルは自分の名前が出てこない事にむくれた。
「お礼など、侑様が元気なお顔を見せて下さるだけで充分ですよ。
食材は足りてますか?後で足しておきますね。
それで、伺いたい事とは何でしょうか?」
ブラフマーは微笑みながら、侑を見つめた。
「一つは秋元さんについてです。
俺は死んだ事になり、ブラフマー様の使徒の方が滞り無く事を進めて頂けたと思いますが秋元さんの近況が知りたいです。」
侑は秋元さんがちゃんと家族との生活に戻れたか、俺の事を引きずってないかとか考える余裕が出来たら心配で胸が一杯になった。
「順を追って説明しますね。」
侑様の死因は、急性心不全と云うことにしておきました。
うちの使徒が侑様の遠縁という形で転生し、葬儀や書類整理などを恙無く終わらせました。
使徒を転生させた時、海外で物流会社を経営していて日本に進出すると云う筋書きにして秋元様をスカウト致しました。
使徒が社長ですから、ある程度の時間が経ちましたら社長の席を秋元様に座って頂くことになります。
秋元様の意思を尊重しますので入社を断られた場合は、秋元様の息子様が社会に出る時バックアップする予定でした。
「この流れで話は進んでおります。
秋元様の移籍も恙無く進み、現在は外資系の物流センターの仕事に慣れていただいている所です。
今は、トラックの運転がメインなのですぐ慣れると思います。
慣れてきましたら、経営に関して学んで頂く事になります。」
ブラフマーは秋元の十年間を侑に費やした事に対して、相応の対価を渡すと侑に約束しました。
「メンタルな部分ですが、侑様が亡くなられた事に対しては、悲しいという感情が溢れています。
用意していた誕生日プレゼントを渡せなかった悔しさ、切なさで暫くは塞ぎ込んでいました。
今はご家族のフォローに依って落ち着き出したみたいです、特に息子様が常に寄り添って塞ぎ込んでいた心を溶きほぐした様です。」
ブラフマーは秋元の現状を説明した。
「良かった…」
侑はブラフマーの言葉に安堵の息を漏らした。
侑とミチルは礼拝室の前に立っている。
礼拝室のドアノブを握り、ブラフマーの部屋を思い浮かべる。
ドアノブが光り、ドアが開く。
ドアをくぐると白い部屋に…
『何だろう、何か違和感。』
侑はブラフマーの部屋に違和感を感じた。
一面真っ白で色の抜けた世界の様な部屋だった筈だが、今居る部屋は若干薄紫がかっている。
「よく来ましたね侑様、それとミチル。」
テーブルに笑顔のブラフマーが現れた。
「ブラフマー様、こんにちは。
何か、部屋が薄紫に見えるのですが?」
侑は部屋を見渡し、違和感の原因を探した。
「元々この部屋の白は何も無いから白だったのです。
所謂、何色にも染まらない白だったのです。
ですが、今は侑様が私にプレゼントしてくれた薔薇と花瓶が有りますのでその色に染まったのです。」
ブラフマーは枯れない薔薇と花瓶を大切そうに手を添え、うっとりとしている。
そして、今の侑の姿を見て思った。
『何日も経ってないけど、逞しくなったわね。
此処に始めてきた時は、風が吹いたら折れそうな枝の様だった侑が今はしっかりと太い枝になってる感じね。』
感慨に耽っていたブラフマーが口を開いた。
「此方の世界には慣れましたか?」
ブラフマーは敢えて要件を聞かず、侑の近況を聞いた。
「はい、ブラフマー様のお心遣いで頂いた食材で食べる事には事欠きませんし、ティーターン様の使徒の方が夫婦で気遣って下さいますので、不自由なく過ごしてまいりました。
色々考える事ができる位落ち着きましたので、ご挨拶とお伺いしたい事が有りまして参りました。」
侑は近況の報告とお礼を言い、ミチルは自分の名前が出てこない事にむくれた。
「お礼など、侑様が元気なお顔を見せて下さるだけで充分ですよ。
食材は足りてますか?後で足しておきますね。
それで、伺いたい事とは何でしょうか?」
ブラフマーは微笑みながら、侑を見つめた。
「一つは秋元さんについてです。
俺は死んだ事になり、ブラフマー様の使徒の方が滞り無く事を進めて頂けたと思いますが秋元さんの近況が知りたいです。」
侑は秋元さんがちゃんと家族との生活に戻れたか、俺の事を引きずってないかとか考える余裕が出来たら心配で胸が一杯になった。
「順を追って説明しますね。」
侑様の死因は、急性心不全と云うことにしておきました。
うちの使徒が侑様の遠縁という形で転生し、葬儀や書類整理などを恙無く終わらせました。
使徒を転生させた時、海外で物流会社を経営していて日本に進出すると云う筋書きにして秋元様をスカウト致しました。
使徒が社長ですから、ある程度の時間が経ちましたら社長の席を秋元様に座って頂くことになります。
秋元様の意思を尊重しますので入社を断られた場合は、秋元様の息子様が社会に出る時バックアップする予定でした。
「この流れで話は進んでおります。
秋元様の移籍も恙無く進み、現在は外資系の物流センターの仕事に慣れていただいている所です。
今は、トラックの運転がメインなのですぐ慣れると思います。
慣れてきましたら、経営に関して学んで頂く事になります。」
ブラフマーは秋元の十年間を侑に費やした事に対して、相応の対価を渡すと侑に約束しました。
「メンタルな部分ですが、侑様が亡くなられた事に対しては、悲しいという感情が溢れています。
用意していた誕生日プレゼントを渡せなかった悔しさ、切なさで暫くは塞ぎ込んでいました。
今はご家族のフォローに依って落ち着き出したみたいです、特に息子様が常に寄り添って塞ぎ込んでいた心を溶きほぐした様です。」
ブラフマーは秋元の現状を説明した。
「良かった…」
侑はブラフマーの言葉に安堵の息を漏らした。
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