異世界でスローライフを目標にしましたが、モテ期到来で先の話になりそうです。

koh

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第二章 鍛冶と鉱山の国トトリ

第二十三話

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「おかえりなさい。」
門の中でラピス達が待っていた。

バトラは紫蜘蛛の毒腺を袋の口を開けて、ラピスの前に置いた。

「ありがとうございます。」
ラピスは分離しながら、侑とバトラにお礼を言った。

ラピスは分離と言っても、小さい分身を作った感じだ。

「それでは。」
小さいラピスは毒腺を摂り込み始めると、身体の色が水色から紫色に変わっていく。

すっかり、紫色になったラピスはちょっと毒々しい感じだ。

「名前はそのままで良いの?」
侑は呼ぶのに困りそうなので、紫ラピス?に聞いた。

「ちょっと待って下さい、まだ途中なので。」
ルビーが返事をした。

ルビーは紫ラピス?を摂り込み始めた。
身体の色が赤色から、赤紫色に変化した。

「えっ?摂り込んだの?」
侑は単純にポイズンスライムが増えると思っていた。

「いえ、吸収しました。
僕がラピスを吸収すれば、僕は索敵が出来る攻撃種になります。
でも、索敵が出来る代償として攻撃力が落ちます。
攻撃+守備=オールマイティなんです。
でも、ポイズン種を吸収しても攻撃力は落ちずに毒を扱える様になるんです。
攻撃+攻撃=攻撃力大なんです。」
ルビーが分かりやすく説明する。

「ルビーなんだよね?
じゃ、名前はそのままで良いか。」
侑は赤紫色の方がルビーっぽいかなと思った。

「はい、僕はルビーです。
今迄は摂り込む攻撃だけでしたが、これからは毒を飛ばす毒弾が使えるようになりました。」
ルビーは侑に新しい攻撃方法を紹介した。

「これからも宜しくね。」
侑は、ラピスとルビーに手を振り、バトラと家の中に移動する。

リビングのソファに座ると、インベントリから虹鱒を出した。

「今朝、湖で釣ってきたんですよ。
ミチルと食べてみたんですけど、美味しかったです。
良かったら、メイさんと食べて下さい。」
侑の肩に座っているミチルが『塩焼き』がオススメと言っている。

「湖で釣りですか?
カニは大丈夫でしたか?」
バトラは湖でのんびりと釣りをしたくてもカニに邪魔をされて、結局釣りではなくカニ退治になってしまうと言う。

「カニはラピスとルビーで退治してくれましたよ。
ラピスが場所と数を把握して、ルビーがラピスの指示で攻撃する見事な連携でしたよ。
おかげで、カニが居た事すら忘れてましたよ。」
侑はミチルと笑った。

「私も今度、ラピスとルビーにお願いしてみましょうかね。」
バトラは諦めていた釣りが出来るとあって、満面の笑顔だ。

「申し訳ありませんが、これからブラフマー様の所に伺おうと思っています。
町には明日お願いしたいのですが。」
侑がうつ向き加減で言うと、バトラは頷き
「分かりました、明日の午前中に伺いましょう。
昼前に用事を済ませて、町で食事でもどうですか?」
と今日のお礼をしたいそうだ。

「食事は兎も角、お礼ならラピスに言ってください。
ラピスの索敵範囲の広さは驚きですよ。
バトラさんを見つけたのもラピスですから。」
侑はバトラに『清水』の入ったビンを渡した。

「では、帰りにお礼と釣りへの同行をお願いしてみます。」
バトラは侑からビンを受け取り、席を立った。

「今日は助けて頂いただけで無く、虹鱒まで頂きありがとうございます。
では今日は失礼して、明日お迎えに上がります。」
バトラは改めてお礼を言い、玄関に向かった。

玄関を出ると、ラピスとルビーが白い家から出てきた。

「ラピス殿、今日はありがとうございました。
おかげで助かりました。」
バトラは言葉が通じなくとも、心は通じると信じてラピスにお礼を言って『清水』の入ったビンを渡した。

『殿は要らないですよ、バトラさん。』
バトラの頭の中に、ラピスの声が響いた。

「念話ができるのですか?」
ラピスの声に驚いたバトラはラピスに問いかける。

『心が通じましたから。
僕は攻撃ができない代わりにこういうのに長けてるんですよ。』
ラピスはピョンピョン跳ねている。

「では、お願いしたいのですが…
湖に釣りに行きたいのですがカニが邪魔するので困っています。
今度、ラピスさんとルビーさんに同行して頂きたいんです。」
バトラはラピスにお願いしてみる。

『分かりました。
僕達のレベルアップにもなりますから、構いませんよ。』
ラピスは快く、承諾した。

バトラは笑顔で手を振りながら、門をあとにした。
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