異世界でスローライフを目標にしましたが、モテ期到来で先の話になりそうです。

koh

文字の大きさ
上 下
33 / 93
第二章 鍛冶と鉱山の国トトリ

第二十一話

しおりを挟む
「侑~、準備できた~?」
ミチルは遠足が待ち遠しい子供の様に侑を急かす。

「ちょっと待ってて。」
侑はさざれ石に魔法を仕込んでいた。
魔法を溜めこんだ石は風魔法は緑、氷魔法は青に色を変えていた。

「侑~、は~や~く~。」
ミチルは昨日の件から、言葉を選ばず遠慮無しで向き合うと決めた。

「ミチルは忘れ物無い?」
侑はミチルの態度が嬉しくて、ワザと意地悪な質問をした。

「ある筈無いよ、持てないもん。
あっ!アレか!」
ミチルはパタパタとベッドに飛んで行った。

「さてと、あとは朝御飯を入れれば終わりかな。」
侑はミチルが戻ってくる前に仕度を終わらせる。

「侑、これ何~。」
侑に石を渡す。

「これは難しいな、黒の中に細かくキラキラが入っていて…」
侑は鑑定眼を発動した。

英名 オブシディアン
和名 黒曜石

非晶質、魔晶石には使用不可。

「オブシディアンかぁ、俺の持っているのと全然違うから分からなかったよ。」
侑はインベントリから革袋を出した。
中には、ミチルから貰った石が入ってる。
石を袋に入れると、大事そうにまたインベントリに仕舞った。

「さて、行きますか。」
侑は寝る前に作った釣り竿を肩にかけた。

「それ、カバンに仕舞わないの?」
ミチルは肩に乗って行こうと思っていたのにとむくれてる。

「玄関で仕舞うよ?
これから釣りに行くって雰囲気味わってるだけ。」
侑はちょっと意地悪をしてクスッと笑った。

玄関を出るとラピスとルビーがお出迎え。

「侑さん、お出かけですか?」
二匹はピョンピョン跳ねている。

「これから湖畔に行くんだよ。
一緒に行く?」
侑は分け隔て無く、両方連れていくつもりだ。

「いいんですか?
行きたいです。」
ルビーは足元で跳ねてる。

「どうしようかな、カニが居るし。
僕は戦えないし。」
ラピスはプルプルと躊躇ってる。

「ラピスは安全な所で荷物番してくれれば良いよ。」
侑は安心できる言葉をかけた。

「僕も行きます、荷物番します。」
ラピスも足元で跳ね始めた。

「じゃ、みんなで行こう。」
侑は門まで進むと、スキルを発動した。

『偵察』
湖畔までの道沿いにモンスターが居ないか確認した。

「大丈夫、何も居ないよ行こう。」
ミチルは肩に乗って、ラピスとルビーは侑の足元を跳ねるようについてくる。

湖畔に着くと、小高い位置にあるベンチを選び荷物を広げる。
侑はミチルにサンドイッチ、ラピスには水の入ったビンをルビーには生肉を渡した。

「何が起きるか分からないから、先に朝御飯にしよう。」
侑はサンドイッチを手に取り、食べ始めた。

「僕等の分まで、ありがとうございます。」
ラピスとルビーは触手を出し、器用に飲み食いしている。

「こうして見てると、100匹以上が一緒に居るって事を忘れるわね。」
ミチルはサンドイッチを頬張りながら、ラピス達を見た。

朝御飯を食べ終わり片付けを済ますと、侑は釣り道具を出した。

「始めようかな、ラピスは荷物番お願いね。
ルビーはカニとかモンスターが居たら、殲滅ね。食べる分はあるから、気にしないで獲り込んで良いよ。」
侑は連れて行くのを決めた後、モンスター図鑑でスライムの戦い方を読んでいた。

「「了解です。」」
ラピスとルビーは声を揃えて答えた。

「今からランゲージを外すから言葉が分からなくなるけど、帰りに声をかけるからね。」
侑は優しく微笑みながら、ランゲージを外した。

「侑さん、忘れないでくださいね。」
ラピスの声が聞こえた。

「あれっ?声が聞こえる。」
侑はキョトンとしている。

「契約したからじゃない?」
肩の上のミチルが首を傾げる。

「そうかもね、じゃ行ってくるよ。」
侑はミチルを肩に乗せて水際に移動した。

「侑、釣り糸も針も無いよ。
それにエサはどうするの?」
ミチルは侑が忘れたのかと思った。

「問題無いよ、こうするんだ。」
侑は釣り竿に魔力を込めると、竿先から魔糸がのびその先にはルアーのようなものが光ってる。

「ルアー?それで魚が釣れるの?」
ミチルはモンスターが釣れないか心配になってきた。

侑はルアーを『ポチャン』と水の中に入れると、ルアーは生きているかの様に沖に向かって泳ぎ始めた。
しばらくすると、竿先から大きく曲がった。
『きたっ』侑は釣り竿に一段と魔力を込めると暴れる魚が水辺に近付いてくる。
竿を振り上げると、水の中から魚が跳ねた。
釣れたのは虹色に光り、40センチ位の魚だった。
侑は鑑定眼で魚を調べた。

種族 魚
名前 虹鱒
食用になる、新鮮な状態では生でも食べられる。

侑はバケツに入れて、またルアーを泳がす。
後ろではルビーがカニを獲り込んでいる。
ルビーは飲み込むように獲り込むと、カニはルビーの中で暴れるがやがて動かなくなる。
よく見ると、遠くにもルビーが居る。
分離して侑の近くにカニが行かない様に防衛線を張っていた。

虹鱒がバケツ一杯になった所で荷物の所に戻った。
ラピスはルビーと連携して、何処から倒していくか指示を出していた。

「おかえりなさい、いっぱい捕れましたね。」
ラピスはルビーを呼び戻しながら、バケツを覗く。

「そろそろ帰ろう。」
侑が声をかけると、
ラピスに呼ばれたルビーも集合体になり戻ってきた。

みんなで屋敷に戻った。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のルナリス伯爵家にミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...