異世界でスローライフを目標にしましたが、モテ期到来で先の話になりそうです。

koh

文字の大きさ
20 / 93
第二章 鍛冶と鉱山の国トトリ

第八話

しおりを挟む
「ミチル、ここでいいかな?」
侑はシートを広げながら、ミチルを呼んだ。

庭は一面芝生で、丁寧な手入れがされている。
ミチルは侑の膝の上にするか悩みながら、横に座った。

「庭がきれいだから、テーブルセットが有ると良いですね。」
「お茶を飲んだり、バーベキューなんかも良いかもしれませんね。」
ミチルは庭が気に入ったらしい。

「バーベキューかぁ、落ち着いたらバトラさん夫婦を呼んでやりたいね。」
侑が同意すると、あとでテーブルセットを作りましょうとミチルは乗り気だった。

…バトラさんの事、嫌な感じがするって言ってなかったっけ?
まぁ、仲良くしてくれるなら良いけど。

侑はバーガーを包んでいる紙をミチルの前で開いてあげた。

目の前にあるバーガーなミチルの目はキラキラしてる。
「侑様、私の好きなモスバーガーそっくりです。
レタスとトマトのバランス、それとこのトマトソース。」

「それは良かった。あと気づいたんだけど、レベルアップすると痛みを伴うんだけどスキルのレベルアップは痛みが無いから上がった瞬間が分からないんだよ。」

侑はさっきのカニのおかげで、水魔法と風魔法のスキルレベルが上がったらしい。

「ひと目で分かるようになる何かが欲しいですね。」
ミチルは待ちきれなかったのか、食べながら受け答えしてる。

「いただきます。」
侑も包みを開いて、バーガーを食べ始めた。

周りの景色を楽しみながら食事をしていると、視界の片隅で青い物がピョンピョン跳ねている。

侑はランゲージを切っていたので気付かなかった。

ランゲージを発動すると、声が聞こえた。

「やっと気付いてくれました、疲れました。」
「貴方様のお屋敷だったのですね、それに良い匂いがします。」
スライムは侑に挨拶をした。

「ちょっと食べる?」
侑はバーガーをちぎって、スライムに渡した。

「これ、美味しいです。」
スライムはピョンピョン跳ねて、喜んでいる。

「貴方様のお屋敷ならお願いしたいのですが、暫く居ても良いですか?」
スライムは上目遣い?でお願いする。

「別に良いけど、何かあったの?」
侑が聞くと、スライムは恥ずかしそうに答えた。

「ここは苛める者が居ないのです、僕等は弱いので戦う事も出来ないし。」
「あまり役に立たないので、テイムされる事も期待出来ません。」
「なので暫くの間、庭の片隅に居させて下さい。」

「うん、分かった。」
「この家に出入りする人には苛め無いように伝えるから、庭で自由にして良いよ。」
「近くに仲間が居るのなら、別に呼んでも構わないよ。」

「改めてだけど俺の名前は侑、青い鳥はミチルね。」
侑は快くスライムを受け入れた。

「………」
ミチルは不安そうな顔をしている。
侑は気付いて、ミチルに問いかける。

「ミチル、気に入らない?」

「そんな事は無いんだけど…折角の一面緑の芝生が青に染まったらヤダなって。」
ミチルはスライムが群れで動く事を知っていた。

「ミチルさん、大丈夫ですよ。
僕等は集合体になってサイズを変えられますから皆さんの前に居るのは一匹だけです。」
「それは100匹集まっても変わりません。」

「なら、良いんだけど。」
ミチルの不安が取り除かれたタイミングでバトラが現れた。

「侑様、何かご要望がお有りとの事で参上致しました。」
バトラはスライムを見ながら、侑に挨拶をする。

「お忙しい所呼び出してしまって申し訳ありません。」
「あと、この子は友達なので駆除しないでくださいね。」
侑はスライムを友達と紹介した。

「分かりました、スライムに危害を加える事は致しません。」
「あとそちらのミチル様は話す事が出来るそうですね、妻から聞きました。」
「ミチル様からのご要望の他にも、妻が見繕った物をミチル様へとお持ちしました。」
ミチルは尾羽をフリフリ、嬉しさを隠さずバトラに挨拶をした。

「宜しければ、中でご用件をお伺いしたいのですが。」
バトラは中の様子が気になるらしい。

「ちょっと待って下さいね。」
侑はシートを片付け、バトラを中に招き入れた。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

外れスキル【畑耕し】で辺境追放された俺、チート能力だったと判明し、スローライフを送っていたら、いつの間にか最強国家の食糧事情を掌握していた件

☆ほしい
ファンタジー
勇者パーティーで「役立たず」と蔑まれ、役立たずスキル【畑耕し】と共に辺境の地へ追放された農夫のアルス。 しかし、そのスキルは一度種をまけば無限に作物が収穫でき、しかも極上の品質になるという規格外のチート能力だった! 辺境でひっそりと自給自足のスローライフを始めたアルスだったが、彼の作る作物はあまりにも美味しく、栄養価も高いため、あっという間に噂が広まってしまう。 飢饉に苦しむ隣国、貴重な薬草を求める冒険者、そしてアルスを追放した勇者パーティーまでもが、彼の元を訪れるように。 「もう誰にも迷惑はかけない」と静かに暮らしたいアルスだったが、彼の作る作物は国家間のバランスをも揺るがし始め、いつしか世界情勢の中心に…!? 元・役立たず農夫の、無自覚な成り上がり譚、開幕!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

処理中です...